七月の下旬に、夏休みが始まった。
市総体で優勝した野球部は、夏休みが始まってすぐの県大会に出場した。
1回戦。、2回戦と勝ち進んだが、ベスト4が決まる試合で負けてしまった。
8月の中最初には、私たちも大会に出て、銀賞を受賞した。
こうして、吹奏楽部と野球部は、お互いに大きな大会が一段落して、校内での練習が続いた。
私たちの住む地区では、お盆の最初の日に夏祭りが開かれる。
「凛、今日の夏祭り、二人で行こー!」
「うん! じゃあ、グラウンドの入り口に集合ね」
午前中の部活の帰りに、美咲と約束した。
夕方、辺りが少しずつ暗くなる頃。
私と美咲は浴衣を着て、約束の場所に集まった。
二人とも紺色の浴衣で、私のは青い花柄。
美咲の浴衣にはピンクの蝶が描かれている。
「じゃあ行こうか」
そう言って歩き出したとき。
「あっ、凛だ。おーい!」
「!!!」
いきなり声をかけられた。
振り向くと、海斗くんと翔くんが走ってくるところだった。
「俺と海斗と悠也の3人で出店回る予定だったんだけど、悠也が急用でこれなくなって・・・・・・。そうだ、凛と美咲ちゃん、俺らと回らない?」
隣の美咲の顔を見ると、うれしそうに顔を赤くしている。
「・・・・・・うん」
ということで、私たちは4人で出店に向かった。かき氷や焼きそばを食べたり、金魚すくいをしたりして、楽しめた。
でも、何をしていても、一緒にいる翔くんのことが気になる。
「吹奏楽部も毎日部活あるの?」
「! えーっと、平日は毎日・・・・・・」
急に話しかけられたのと、意識しすぎていたのとで、うまく答えられない。
「へー、俺らもずっと部活だから、宿題が大変なんだよなー」
後ろを歩く二人を見ると、美咲は緊張しながらも、海斗くんと楽しそうに話していた。
そうこうしているうちに、時間はあっという間に流れていった。
夏祭りも終わりに近づき、フィナーレの花火の時間になった。
「坂の上の方で見ようぜ!」
海斗くんの提案で、高い所に行って見ることになった。
「俺、飲み物買おうかな。凛も行く?」
「あっ、うん・・・・・・」
「じゃあ俺らは先に行こうかなー。美咲ちゃんは何か買いに行く?」
「ううん、大丈夫。」
私たちは後で美咲たちと合流しようとしたが、会場には人が多く、明かりがだんだん消えていったので、花火が上がる前には会えなかった。
二人を探すのを一端諦めたとき、夜空に大輪の花が咲いた。
「うわー、すっげー!」
翔くんがはしゃいだ声を出す。
隣に彼がいるということに心臓の鼓動が早くなり、花火の美しさに圧倒されて、私は声が出せなかった。
(やっぱり私、翔くんが好きなんだな・・・・・・)
翔くんと見た今年の花火は、今まで見た中で、一番きれいだった。