桜並木の青春   作:青山五月

3 / 4
第3話

 

 

 七月の下旬に、夏休みが始まった。

 市総体で優勝した野球部は、夏休みが始まってすぐの県大会に出場した。

 1回戦。、2回戦と勝ち進んだが、ベスト4が決まる試合で負けてしまった。

 8月の中最初には、私たちも大会に出て、銀賞を受賞した。

 こうして、吹奏楽部と野球部は、お互いに大きな大会が一段落して、校内での練習が続いた。

 

 

 

 私たちの住む地区では、お盆の最初の日に夏祭りが開かれる。

「凛、今日の夏祭り、二人で行こー!」

「うん! じゃあ、グラウンドの入り口に集合ね」

 午前中の部活の帰りに、美咲と約束した。

 

 

 

 夕方、辺りが少しずつ暗くなる頃。

 私と美咲は浴衣を着て、約束の場所に集まった。

 二人とも紺色の浴衣で、私のは青い花柄。

美咲の浴衣にはピンクの蝶が描かれている。

「じゃあ行こうか」

 そう言って歩き出したとき。

「あっ、凛だ。おーい!」

「!!!」

 いきなり声をかけられた。

 振り向くと、海斗くんと翔くんが走ってくるところだった。

「俺と海斗と悠也の3人で出店回る予定だったんだけど、悠也が急用でこれなくなって・・・・・・。そうだ、凛と美咲ちゃん、俺らと回らない?」

 隣の美咲の顔を見ると、うれしそうに顔を赤くしている。

「・・・・・・うん」

 ということで、私たちは4人で出店に向かった。かき氷や焼きそばを食べたり、金魚すくいをしたりして、楽しめた。

 でも、何をしていても、一緒にいる翔くんのことが気になる。

「吹奏楽部も毎日部活あるの?」

「! えーっと、平日は毎日・・・・・・」

 急に話しかけられたのと、意識しすぎていたのとで、うまく答えられない。

「へー、俺らもずっと部活だから、宿題が大変なんだよなー」

 後ろを歩く二人を見ると、美咲は緊張しながらも、海斗くんと楽しそうに話していた。

 そうこうしているうちに、時間はあっという間に流れていった。

 

 

 

 夏祭りも終わりに近づき、フィナーレの花火の時間になった。

「坂の上の方で見ようぜ!」

 海斗くんの提案で、高い所に行って見ることになった。

「俺、飲み物買おうかな。凛も行く?」

「あっ、うん・・・・・・」

「じゃあ俺らは先に行こうかなー。美咲ちゃんは何か買いに行く?」

「ううん、大丈夫。」

 私たちは後で美咲たちと合流しようとしたが、会場には人が多く、明かりがだんだん消えていったので、花火が上がる前には会えなかった。

 二人を探すのを一端諦めたとき、夜空に大輪の花が咲いた。

「うわー、すっげー!」

 翔くんがはしゃいだ声を出す。

 隣に彼がいるということに心臓の鼓動が早くなり、花火の美しさに圧倒されて、私は声が出せなかった。

(やっぱり私、翔くんが好きなんだな・・・・・・)

 翔くんと見た今年の花火は、今まで見た中で、一番きれいだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。