世界とはとても不条理だと私は思う。
個人個人、得意不得意があるにも関わらずに周りは姉と比べる。
私の姉は家事以外は超人の類に入る人間だった。だから、私に降りかかる風当りがひどかった。
『どうして、あなたは出来ないの?』
『何であんたみたいなのが、■■■の妹なの?』
最初の頃はまだよかった。だけど、アレが登場して以来、酷くなった。
インフィニット・ストラトス。
姉の友人が作ったパワード・スーツ。
元々は宇宙開発の為に作ったのだが、最終的にはスポーツになってしまったのだが、そんな事は私にとってはどうでもいい。問題なのが、それは何故か女性にしか反応しない。
そして、私の姉は……
『■■選手の入場です』
「なんで、奴がでているんだぁ!?」
「しらねぇよ! 確かに言ったんだぞ?」
ドラム缶の上に置かれたテレビに向かって叫ぶ男達。
ああ、そうだ……思い出した。
私は現在、誘拐されていたんだ。
「仕方ねぇ……」
男たちの目的は私の姉を優勝させないことだった。
しかし、それは失敗に終わる。
男の一人が懐から一つの黒い物体を取り出す。
「お前はもう用済みだから、ここでお別れだ……」
がちゃ と誰もが知っている物を構える。
確かそれに撃たれたら、手足を縛られた私は死んじゃうね。
「あば……」
そして、引き金を引こうとした瞬間、誰かが入って来る。全員、今やっている行動を止め、硬直していた。
何故かって?
そりゃ……倉庫の扉が飛んで来るんだもの。
「目標の生存を確認」
白く綺麗な髪が腰まで伸びていた少女がそこにいた。歳にして10歳ぐらいの少女。
「おいおい……お嬢ちゃん。そこで何をしているんだ? 見張りもいたはずなんだが?」
「確かにいた。しかし、私を止めるには力不足すぎる。だから、無力化させてもらいました」
外には複数の男たちとある物が倒れていた。
それを聞いた男は冷や汗を掻く。
「……まじかよ」
この作戦は失敗は許せなかったから、保険で用意しておいたISがいとも簡単に突破された事に、動揺が走る。
それ以前にどうやってここがわかった? そのことが男達の頭の中で駆け巡っていた。
「目標の名前を確認します。あなたは織斑一夏で合っていますか?」
「え……?」
「もう一度問います。あなたは織斑一夏で合っていますか?」
「は、はい……」
少女はこんな状況下の中を歩いて来る。
「ちょっと待ちな。見られた以上、ここから帰す訳にはいかないんでなぁ」
先程まで私に向けていた銃口を少女の方へと向ける。
「待って! 彼女は関係ないでしょ! やるなら私……」
私の願いは届かなく、銃弾は放たれた。しかし、私たちは目を疑った。
「な……なんだよそれ……」
少女に放たれた銃弾は六角形の何かに塞がれていた。
回転を失った銃弾は地面へと落ちる。
「交戦は控えるようにと、言われておりましたが……仕方がありません」
そう言って、少女は右手に何かを形成していく。
それは、男達が持っている物と同じ物だった。
「お、おまえは……な、何者なんだ……」
銃は効かない、何もない所から銃を作る。恐怖に包まれた男達は怯える。無表情の少女は男達の手足を撃ち、無力化する。
「あ、あなたは……」
「今は知らなくてよいことです」
そう言って、少女は両手で私の頭を触ると何故か眠気が襲い、私は意識を失った。
「目標の捕獲に成功しました。これより帰投します」
少女は一夏を縛っていた物を破壊した。
倉庫は海の近くにあり、そこから一隻の潜水艦が浮上する。
「400、後は頼みます」
少女は意識を失った一夏を乗せて、姿を消す。
その後、ドイツ軍の協力の下、駆けつけて来た千冬の声が響いた。
◇
太平洋のど真ん中で、異常なまでにも大きな戦艦が浮いていた。
第二次世界大戦に沈没したはずの戦艦。
軍艦大和だった。その甲板に純白のドレスを着た女性が立っていた。
「これで、よかったのですよね?」
「ええ」
その後ろに同じ顔の女性がいた。彼女は日本の中学の制服を着ていた。
「これで、全てが揃ったのですね?」
「あとは、あれを見つけるだけ」
風に靡かれる髪は日本の方角を指していた。
「早く来ないかな……一夏ちゃんは」
沈みかけている夕日を眺めながら彼女は呟いた。