問題なく全クラスの試合が終わり、次の試合が始まろうとしていた。
最初の試合は一組対四組の試合。一夏と簪の試合だ。
アリーナではお互いにISを展開して、試合開始のブザーが鳴るのを待っている。
「本気で行くよ。一夏」
「来なさい。全力で応えてあげる」
自身が最もしっくりくる武器を展開し、構える。
そして、試合開始のブザーが鳴り、戦いの火ぶたが落とされた。
「「はぁああああああ!!!!」」
お互いに
薙刀を使用する簪には今の一夏の猛攻を捌くのは至難の技だった。一夏は常人目では一回しか振っているようにしか見えない剣を
簪は態勢を立て直すと同時に
一夏も
お互いに
「『山嵐』!!」
簪は肩部ウイング・スラスターに付けられた六枚の板がスライドし、八連装ミサイルが六箇所・計四八発が一斉に顔を出した。
ドドドドドドッ!
凄まじい音を立てて、一夏へ向けて、ミサイルが一斉に発射される。
一夏は向かって来るミサイルを全てクラインフィールドで握りつぶした。
「クラインフィールドの消費率30%……。シールドエネルギーも残り258となると、そろそろ決着をつけたいわね」
「この一撃で終わりにしましょう」
「うん……」
一夏は《雪片弐型》を構え、簪は《夢現》を構える。
お互いに動こうとせず、沈黙がその場を支配していた。
そしてまた、最初と同様にお互いの
「「はぁああああああ!!!!」」
しかし、ここに来て思いがけない客が入って来る。
ズドオオオオオオンッ!!
お互いの武器がぶつかり合う寸前、強制的にクラインフィールドが展開され、セシリアのレーザーとは比べ物にならないレーザーが二人を襲った。
「っ!? 何!?」
アリーナの遮断シールドを突き破っての攻撃だった。
一夏は攻撃があった方を見るとそこに一機のISがこちらを見ている。全身を装甲で隠した黒いISが。
『織斑さん! 更識さん! 今すぐアリーナから脱出してください!』
プライベート・チャンネルから山田先生の声が聞こえる。
「そうしたい所ですが……」
その理由をイオナとタカオが教えてくれた。
『敵ISに捕捉させている』
『同じで、こっちも捕捉されているわ』
敵ISはやる気満々だった為、逃げることができない。
なら、選択肢は一つ。
「簪。もしかすると
「そうだよね。うん。わかった」
私たちは敵ISの攻撃を合図に飛び出した。
「ヒュウガ。アレは使えるの?」
天羽は観客席からヒュウガに連絡を取っていた。
観客席は正体不明のISの襲撃により、パニックになっている。
『簪の方は問題ないが、一夏の方がちょっとまずいね』
簪の方はタカオだったから元々あった為、問題なく使えるらしいが、一夏の方は後付した為、不完全だったのだ。
「一発撃てればいいわ」
『そのぐらいなら、大丈夫だけど……』
「なら、使わせるよ」
観客席は防壁で隠され、外の様子は見えない。
天羽は一夏たちにプライベート・チャンネルで話しかける。
『一夏ちゃん、簪ちゃん、聞こえる? 許可が下りたからアレを使いなさい』
『『わかりました』』
短い通話の後、外から物凄い音が響いた。
「許可が下りたし、始めるよ」
『《ヴァール》を展開。オールリミッターを解除。《超重力砲》の発動を確認』
イオナの音声と共に白式改の手元に《ヴァール》が展開される。
同時に《ヴァール》が変形した。
『《超重力砲》の起動を確認』
簪の方も《超重力砲》の発射体制に入る。
そして、二つの《超重力砲》にロックされた敵ISは身動きが取れなくなった。
「「私の試合に水を差した罪よ!!」」
無慈悲に敵ISに《超重力砲》を放った。
敵ISは何も出来ず消滅する。
「っ!」
一夏の《超重力砲》は撃ち終わると《ヴァール》ごと壊れる。
「ヒュウガの《超重力砲》だから、威力があるわね」
一発撃っただけで《ヴァール》は使用不可になってしまう。
敵ISがいなくなったことにより、教員たちがアリーナに入って来る。
クラス対抗戦は謎のISの襲撃により中止になった。
「また、ヒュウガにお世話になるわね」
寮で雑誌を読みながらイオナに話しかける。
『《ヴァール》のこともだが、一度本艦に戻る必要がある』
「そうなるよね……」
私はため息を吐く。考えるのも嫌になり、私たちは早く寝た。