フランスのサン=マロの海岸で釣りをする少女がいた。ズイカクと402だ。
「ここも、だいぶ酷いな」
霧の襲撃により漁に出ることが禁止され、この町にはスラム街が出来た。
一部の者は家を持つが殆どの者は家はなく外で寝ている状態だ。電気、水道も高額で取引されだいぶ荒れている。
ズイカクと402はヤマトから多額の資金をもらっているので、特に気にしていないが、ズイカクの趣味である釣りに402は付き合っていた。
「そうだな。タカオも来れば良かったのだが」
「仕方ないさ。あいつは簪と一緒にIS学園に行っているんだから」
生活の殆どはズイカクが釣ってきた魚を今後の食事と物々交換とかで生活していた。ヤマトからの資金は家の方に回している。
「そんで、アレの方はどうだったのだ?」
「やっぱり、我々のことを探っていた」
402はヤマトの命でデュノア社に探りを入れていた。
結果はドイツと違って白だったのだが、経営危機に陥っていたのだ。
その理由が“
「いまどき、
「仕方ない。
そこでズイカクは疑問に思った。
「デュノア社の社長って男だよな?」
「表向きにはな。実際はその男の妻が会社を仕切っている」
「じゃあ、夫はどこにいるのだ?」
「監禁」
「……………」
ズイカクは何も言えなかった。
「ほっといても、会社は倒産する。我々が介入する必要はない」
402はここにいる必要はないとはっきりと宣言し、立ち上がる。
「まあ、待ちなよ。とりあえず、このことをヤマトに聞いてもらうのはダメか?」
「……………」
ズイカクはこの町に来てから……いや、もっと前から人間に興味を持ち始めていた。
スラム街はここだけではなく、世界中何処にでもある。日本も例外ではない。
「勝手にしろ……」
402はそれを言い残して行ってしまった。
『そうなのですか。では、ズイカク。正体がばれない程度であれば好きにやっても構いません』
天羽はズイカクからの概念伝達を聞き、決断をズイカクに任せた。
『了解す。総旗艦殿』
「……これは、またまた」
ズイカクとの会話を終え、天羽はステージの方に目を向ける。
今現在、学年別タッグトーナメントが行なわれていた。その第一試合、一夏と簪のタッグ対ラウラと箒との試合が大詰めに入っていた。
「うがああああああ!!!!」
試合は一夏と簪の圧勝。打鉄、箒が乗るISは日本産の量産機であり、簪の機体の元になったIS。訓練機と専用機では性能の差で大きく違う為、専用機に勝つことはそこそこ難しい上に蒼き鋼の機体となればほぼ不可能だった。その為、箒は試合開始直後、簪のミサイルに飲み込まれ速攻で退場された。残ったラウラは端から箒のことなど仲間だとは考えておらず、助けることなく箒を見捨てた。それが大きな敗因だとは知らずに……
「どうしたの? あなたはその程度の実力な訳?」
一夏はラウラを挑発する。ラウラは現役軍人に関わらず私情を優先にしてしまった為、判断力がガタ落ちしていた。
「ふ、ふざけるな……貴様如きに負けるものか……」
ラウラの目の前には憎き敵がいる。最強あったはずのAICは霧のクラインフィールドで相殺されてなお、ワイヤーブレードを止めては破壊されていた。簪は箒を瞬殺してから一夏の援護に入ろうかと思ったが、一夏から「大丈夫」と言われ、その場で待機していた。
「この試合、一夏の勝ちだね」
肩の大型レールカノンと両肩およびリアアーマーに計6機装備されたワイヤーブレード、両腕手首から出現するプラズマ手刀、AICは完全に無効化され、シールドエネルギーはもう限界値に入っていた。
一夏は第二の主力武器である《ヴァール》を銃撃モードにする。
「そろそろ、終わりにしようか」
一夏はラウラに向かって一気に進む。ラウラは無駄と分かってながらAICを展開するが、一夏を守るクラインフィールドがそれを邪魔する。
AICを突破され、ラウラの腹部に一夏はヴァールを押し当てる。ラウラは後退しようとするができなかった。
「!? どう言うことだ!?」
クラインフィールドは使い方を変えるだけで色々とできる。衝撃から物理まであらゆる攻撃から身を守るだけではなく、その場で固定することもできるのだ。
ラウラはそんな事を気にしている暇はなく、一夏はヴァールのトリガーを引いた。
「ぐうううっ……」
ヴァールの一撃が叩き込まれた。シールドエネルギーが集中して絶対防御が発動し、それを防ぐものの、残り少ないエネルギー残量をごっそりと奪っていく。その上相殺出来なかった衝撃はラウラに襲いかかった。
(わ、私は、こんな、こんな所で負けるのか……)
打つ手も無くなったラウラは敗北を目の前にする。
「私は負けたくない! 負ける訳にはいかないんだぁ!!」
その時、ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンに異変が起こった。