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「ここはどこ……」
私が起きて最初に見た景色は海だった。
周りを見渡すがあるのは機関銃と主砲と海の3つだけ。
「これって……」
戦艦。それしかありえない。
だが、これほどの大きさの戦艦なんて今の時代には存在しない。
「目覚めたのね」
「え?」
後ろの方から声をかけられたので私は振り向くと日本のとある中学の制服を着た女性がいた。
だけど、私はその人が誰なのか知っている。
「な、なんで……」
「ん?」
「なんであなたがここにいるのですか……天羽琴乃さん」
「うふふふ……」
天羽琴乃。私の通っている中学のアイドル的存在の彼女がこの戦艦にいたのだ。
入学当初から彼女の存在は誰もが知っている。
学年総合一位……それも毎年、その上スタイル抜群のお嬢様と言われても可笑しくない程の有名人が今、私の前にいる。地味で成績も普通な私が今、その天羽さんと会話をしている。
「来たようですね」
「え?」
天羽さんの視線の先を見ると水しぶきが起こる。この戦艦の周りから数十隻の戦艦と数隻の潜水艦が浮上してきたのだ。
「集まったことですから、食事にしましょ」
「…………」
「どうしたのですか? こちらですよ」
琴乃はおいでと手招き、私もついていく。
そして甲板に出るとそこには様々な女性が待っていた。
「お待たせしましたわ。皆さん」
そこにいたのは様々な服装をした女性から少女までがいたのだ。
ミニ&ニーソックスの青髪の女性、ダブダブのロングコートの金髪女性、ロリータファッションの黒髪女性、タキシードが何故か似合う茶髪の女性、白衣を着た同じく茶髪の女性、白いシャープカを被り、それに合わせたコートを着た金髪少女、ロングドレスの金髪女性、着物を着た二組の黒髪女性、と他にも季節はずれな服装の女性たちがいる。
「我々を招集するとは、どう言うことだ? ヤマト」
ロングドレスの女性が今回の事について問いかける。
私も思う事はある。天羽さんが何故この船にいるのか? そしてこの人たちは誰なのか? と聞きたいことはたくさんある。
「この子の歓迎会をしようと思ったのですよ。コンゴウ」
ロングドレスの女性の名前はコンゴウと言うらしい。
そのコンゴウさんは何故か私を睨んでいるか分からないが私に目を向けて来る。
「それは表向きだろ? なら本当の理由はなんだ?」
「…………」
コンゴウはどうもその理由は納得できなかったらしい。
天羽は無言になると、額と頬から何かの跡が現れた。それと同時に私以外の女性にも同じ物が現れる。
「そう言う事か……」
コンゴウは何を納得したのか分からないが、先程の視線とは全く違う視線を私に向けて来る。
「さて、お話はこれ位にしましょうか」
天羽さんは手を叩き、全員を着席させる。
ちなみに私は誕生日席と称される場所に座らされ、横には天羽さんが座っていた。
「では、織斑一夏ちゃん」
天羽さんの挨拶で始まる。
それと同時に私の運命も大きく変わった。
「我ら“霧の艦隊”へようこそ♪」
◇
あの後、天羽さんたちから色々聞かされた。
あの場に集まっていた女性を挙げるとコンゴウ(金剛)、タカオ(高雄)、ヒュウガ(日向)、ハルナ(榛名)、キリシマ(霧島)、マヤ(摩耶)、ナガト(長門)、ムサシ(武蔵)と所々聞いたことがある名前がある。
「戦艦の名前ですか?」
「ええ、その通りです。ちなみに私はヤマトです。この霧の艦隊総旗艦、超戦艦ヤマトなのです」
「で、では……天羽琴乃は……」
「それは、地上での私の名前です。私は天羽琴乃でありヤマトでもあるのです」
天羽さんの今の姿はウェディングドレス。いつ着替えたのか分からなかったが、それもこの後すぐに分かった。
私の両腕を天羽さんが掴むと私が着ていた服がドレスへと変わる。
「え? 何これ……」
私は驚く。一瞬にして今まで着ていた地味な服装がパーティーとかで着るナイトドレスへと変わったのだ。
天羽さんは「うふふふ……」と笑う。
「これが我々、霧の艦隊でしか使えない物……“ナノマテリアル”よ」
「ナノ……マテリアル……?」
「ええ。分子構成をシミュレーションすれば、あらゆる物質を作り出すことができるのよ。この戦艦も全部、ナノマテリアルでできているのよ」
「こ、これがですか!?」
私はまさかと思うように席に座る全員を見た。
天羽は笑いながら答える。
「その通りです。ここにある全ての艦もナノマテリアルで出来ているのですよ」
衝撃の真実に私は何も言えなかった。
その後はマヤやアシガラなどの小さい子と遊んでいた。
天羽やコンゴウ、長門と大人組は紅茶を飲みながら何かの話をしていたがなぜかムサシもその中にいた。
「…………」
「イッチー、どうしたの?」
「……ううん。何でもないよ、マヤちゃん」
マヤに心配されたが、私はいつも通りの顔をする。
日が沈み、星が見え始めるとマヤが天体望遠鏡を持ち出し、天体観測が始まる。
「一夏ちゃん」
後ろから天羽さんに呼ばれ私は振り向く。
天羽の手には何かのブレスレットがあった。
「これは私たちからのプレゼントです」
そう言って、私の左腕にシルバーのブレスレットを付ける。
「あ、ありがとうございます……」
他の人から物を貰う事が少なかった私は嬉しかった。
しかもあの天羽からのプレゼントだったからより嬉しかったのだ。
「それじゃあ、締めに入りましょうか」
そう言って天羽は甲板に複数の筒を作り出す。
その後、筒から光の弾が打ち上げられた。
「きれい……」
打ち上げられたのは、花火だった。
◇
その後の事はあんまり覚えていない。
霧の艦隊の皆で打ち上げ花火を見ていたところまでは覚えている。しかし、その後の記憶がない……。
「全部……夢……?」
目覚めると私は知らない部屋で寝ていた。
窓からは町が見え、ここが陸だと言う事は分かる。
甲板で花火を見ていた事が夢に思えたが、それが夢ではないことを知る切っ掛けが私の左腕にあった。
「これって……」
天羽さんからもらったシルバーのブレスレットがあったのだ。
その直後ドアが開き、私は驚いてしまう。
「い、一夏……」
そこにいたのは息を切らした私の姉、織斑千冬がいたのだ。
「千冬……姉……?」
私はそのまま、千冬姉に無言で抱きしめられた。
その時、私は初めてある物を聞いた。
「よ、よかった……よかったよ」
「千冬……姉」
千冬姉さんが初めて涙を流した。
あの千冬姉が泣いたのだ。
「ごめんなさい……」
その時、私は何故か謝ることしか思いつかなかった。
その後、ここが病院だと知る。私はドイツの海辺のベンチで寝ているところをドイツ軍が見つけたらしい。
誘拐の後の説明を求められたが、私は覚えていないと言って霧の事は何一つ話さなかった。