「それでは作戦を開始する」
千冬のその一言で全ての作戦が開始した。
私は赤椿に掴まり、福音のいる方向へと飛ぶ。
「暫時衛星リンク確立……情報照合完了! 目標の現在位置を確認……一夏。一気に行くぞ!!」
赤椿はさらに速度を上げる。
そして、数分ともせずに目標である福音を一夏は捉えた。
「見えたぞ! 10秒後に接触する……構えろ!!」
白式改から《雪片弐型》を呼び出す。
私は《零落白夜》を発動させ、福音にへと振り下ろした。
しかし、福音はその一振りをいとも簡単に回避したのだ。
「ちっ!」
ファーストアタックに失敗したのだ。
福音も私たちを敵として認識したのだろう、すぐさま反撃に出た。
身体を一回転すると、幾重もの光の弾丸が打ち出される。
「爆発するエネルギー弾……か。ちょっと厄介ね」
一夏はクラインフィールドで福音の攻撃を凌ぎ、福音から距離を取る。
先程の攻撃でクラインフィールドが40%消失したのだ。しかも数発被弾しただけで。
IS学園で鈴を除いて、クラインフィールドが40%以上消失したことは一度もなかった。
私は改めて軍用ISの脅威を認識する。
「大丈夫?」
「平気だ! ……それより」
箒は福音の光弾を僅かに受けたが、特に問題なかったようだ。
「連射速度が異常に速い……あれはちょっと厄介だね」
「私が動きを止める……一夏はその隙を突け」
「…………」
私は箒の言う通りに動くか迷っていた。
本来の作戦である《零落白夜》で福音を落とす作戦は失敗した。このまま、アドリブでやるには些か分が悪い。
ましてや……
「仕方ないか……箒」
「なんだ」
「10分」
一夏は使わないと決めていた切り札を切ることにしたのだ。
「10分……福音を足止めして欲しい」
「……わかった」
箒は
その場に残った一夏は静かに呟く。
「イオナ……」
『わかった』
私は白式改に搭載されているイオナの返事を聞き、クラインフィールドを展開した。
白式改を中心に球状にクラインフィールドが展開され、一夏はそっと膝を抱くように身体を丸める。それはまるで胎児のような格好でうずくまる。
「《新たな世代への進化》……起動」
一夏と白式改を包み込むように光が纏わりつく。
◇
作戦が開始されて直後。ロシアから帰還した第一艦隊。
「大きな重力波を感知!」
重巡洋艦ナチはこちらに向かってくる超重力砲を感知したのだ。
「緊急回避!!」
「ダメだ! 間に合わない!!」
しかし、その矛先がヒエイに向かっていることが分かるが、超重力砲の方が速すぎた。
だが、ヒエイは撃沈しなかった。アシガラがヒエイと位置を入れ替わるように横に押し出したのだ。結果、代わりに超重力砲を直に受ける。
「アシガラ!!」
幸いだったのか。艦隊サイズの超重力砲でなかことで、アシガラのみ撃沈で済んだ。
「くっそう! 何処の艦隊だ!!」
ミョウコウは超重力砲が撃たれた方向に怒鳴るが、ヒエイは先程の超重力砲に疑問を感じていた。
「超重力砲にしては小さすぎる……」
そう。小さすぎたのだ。
普通ならヒエイも無事に済むはずない。
「まさか、人類が超重力砲の製造に?」
その時だった。
「ん?」
霧の艦隊のみが使える戦術ネットワークに何かが送られて来たのだ。
「……あの超重力砲はヤマトだったか」
ヒエイは様々な疑問が解消され―――
「なら、少し戯れましょう」
その言葉と同時に大戦艦ヒエイが変形し、複数のミサイルポットが出現する。それは最早、戦艦の形をした何かだった。
「目標は総旗艦ヤマトのメンタルモデル、アマハコトノ!!」
第一艦隊は一斉に天羽と簪がいる沖目掛けて、大量の浸食魚雷とミサイルを発射させた。