「重力子センサーに感! 浸食魚雷並びにミサイルです! 数……1200!」
「反撃にきましたか」
天羽は予想通りだったのか、凄く落ち着いていた。
《スサノオ》の再構成とチャージには最低でも10分はかかる。
「簪さんは《スサノオ》の演算処理を任せます」
「わかりました」
天羽はこの場所だけでなく、旅館ごとまとめてクラインフィールドを張る準備に入る。
超戦艦級の演算処理ではこれぐらいのことは、朝飯前であった。
◇
余りにも速いその動きに反応できず、一夏は足を掴まれた。
そして、切断された翼から、ゆっくり、ゆっくりと、まるで蝶が蛹から孵るかのように
「一夏を離せぇっ!」
箒はすぐさま雨月・空裂による突撃を行う。
しかし、その刃は空いた方の手で受け止められて止まった。
「ダメ! 逃げなさい! こいつは―――」
その言葉は最後まで続かず、一夏はその眩い程の輝きと美しさを併せ持ったエネルギーの翼に抱かれる。
一夏は咄嗟にクラインフィールドを展開する。刹那、あのエネルギー弾雨を零距離で食らい、全身をズタズタにされて一夏は海へと落ちた。
「一夏!」
クラインフィールドの蓄積量が遂に95%を超え、福音のエネルギー弾を全て相殺出来ず、一夏はその身に受けてしまう。
辛うじてだが、意識があり、ギリギリだが態勢を整えるが、もう一夏は戦うだけの力は残っていなかった。せめて、そこに飛んでいることが限界であった。
「一夏を―――よくも!」
急加速によって接近した箒は、続けざまに斬撃を放ち続ける。
展開装甲を局所的に用いたアクロバットで福音の攻撃を回避する。それと同時に不安定な格好からの斬撃をブーストによって加速させ放つ。
「うおおおおおおっ!!」
お互いに回避と攻撃を繰り返しながらの格闘戦。徐々に出力を上げていく紅椿に、僅かながら福音が押され始める。
(いける!)
箒は確信を持って、雨月の打突を放つが―――
「なっ! エネルギー切れだと!? ―――ぐあっ!」
その隙を見逃さず、福音は箒を捕まえる。
そして、ゆっくりとその翼が箒を包み込んでいった。
刹那、エネルギー弾雨が箒を襲い、全身をズタズタにされて箒は落ちる。
「くっ! 箒……ぐっ!」
福音は瀕死状態の一夏の首を捕まえる。
そして、ゆっくりとその翼が一夏を包み込もうとしていた。
福音はもう一度、一夏に零距離エネルギー弾雨をやろうとしていたのだ。
(ごめんなさい、琴乃さん……!)