問題児が異世界で白夜叉とラブコメするそうですよ? 作:竜葵 時雨
最近眠くなってくるばかりです。
俺の胸元で泣いていた二人は、落ち着くと顔を真っ赤にして胸から離れた。
すると離れた何か思いついた様子の桜は、イリス、楓、そして白夜叉を手招きし、なにやら三人の耳元で俺に聞こえない程度の小声で何やら喋っていた。
これは俺は近づかない方がいいかなと思い、テーブルの上にあったお菓子と紅茶を飲む。
うん、美味い。
この甘さ控えめのクッキーに紅茶のタッグは最高だね。
そんなこんなでくつろいでいると、どうやら話が終ったらしく、桜が近づいてきた。
「あの、兄さん。ちょっといいですか?」
「ん? どうした?」
「実は私たちこれから小一時間用事がありまして、すぐに終わるので、その間に白夜叉さんとこの街を散策してみてはどうですか? 色々と昔とは変わったこともありますから」
「確かに、ここに来るまでに見た街中も色々と変わってたな・・・・・・よし、そうだな。行くか」
「本当ですか。ありがとうございます。では、白夜叉さんと楽しんでくださいね」
そう言い残し、桜と楓、イリスが部屋を出る。
出る前に桜が白夜叉にすれ違いざま、何か小声で何やら言っていたがさっきの話といい、一体何をたくらんでいるのだろうか。
そして、部屋に残った俺と白夜叉。
「さてシロちゃん。俺たちも行くか」
「そうじゃな。行くか。・・・・・・負けてはいられんからの」
「・・・・・・ん? 何か言ったか? シロちゃん」
「っえ!? いや、何もいっとらんぞ?」
「そうか?」
そんな事を言いながら、俺たち二人は並んで建物を出た。
何やら白夜叉がやけに気合が入って見えるのは気のせいだろうか?
◇◇◇
「さてと、ハクよ。まずはどこに行こうかの」
「んーそうだなあ・・・・・・。まあ、とりあえずはぶらぶらと歩くか」
「そうじゃの」
そして、俺たちは街を回っていった。
――のだが、やけに視線を向けられてるような。
それも至近距離から。
となると犯人は――
ふと、隣を歩く白夜叉に目線を向けると、白夜叉はやけにそわそわした感じでチラリ、チラリと俺を見ていた。
正確には俺の右手を。
・・・・・・あ、なるほど。そういうことか。
そう思い、俺は白夜叉の小さく可愛らしい左手を握った。
「なっ!? ハ、ハク?・・・・・・」
「手、繋ぎたそうだったろ? そうならそうと早く言ってくれればよかったのに」
「え!?/// そ、そんなわけ・・・・・・あ、いや・・・・・・その・・・・・・・・・・・・っ!」
そう言いながらもギュッと手を握り返してくるあたりが実に可愛らしい。
そんな顔を朱くした白夜叉と街を・・・・・・
ん? 顔が赤い?
ふと白夜叉に向き直り、
「ん? どうしたんだハクッ!?」
「うーん、熱はないみたいだな。でも顔が赤いし・・・・・・」
「ハ、ハク! い、い、一体これは!?///」
「いや、顔が赤いみたいだから熱でもあるのかなと思って」
「そ、そうじゃなくて」
「あぁ、おでことおでこをくっつけてること? これは俺が飛ばされた世界で熱を測るためにやってたものだけど」
「そ、そんなことよりも。か、顔が近い・・・・・・!?///」
「んー、まあ熱はないみたいだし大丈夫かな」
そう言いながらおでこを放した。
「あっ・・・・・・」
すると、白夜叉が残念そうな表情でそう声を上げる。
「ん? どうしたシロちゃん?」
「え? あ、いや何でもない!/// さ、さっさと店を回ろうかの!」
「え、ちょっとシロちゃん!? 先に行くなよ!」
そんな二人の騒がしい声が街に響いた。
◇◇◇
「いやあ、楽しかったのハク!」
そう言いながら隣を歩く白夜叉は途中で買ったクレープを片手に言った。
「そうだな。久しぶりにこの街を歩いたが、所々新しくなってるところはあったがとても懐かしかったな。・・・・・・と、シロちゃん。口元にクリームついてるぞ」
「え? どこじゃ?」
「違うよ、そっち。ああ、そっちじゃなくて・・・・・・もう仕方ない。シロちゃんちょっと動くなよ」
仕方なく、俺は持ってたハンカチで白夜叉の口を拭う。
「っ!?/// あ、ありがとうハク・・・・・・///」
そういい、白夜叉は顔を伏せる。
まあ、さすがに今のは少し恥ずかしかったのかな。
口元を拭ってもらうなんて子供みたいだし。
「それにしても、すっかり暗くなったな」
気づけば辺りは真っ暗になり、店や家などからは暖かな光が漏れ出ている。
この周辺の建物は西洋風な建物が多いから、これは結構きれいだ。
男の俺が言うのもなんだが、なかなかメルヘンだった。
「そうじゃのう。なら、そろそろユグドラシルに戻ってもよさそうじゃの」
「だな。じゃあ、行くか」
そして、俺たちは桜たちが待つコミュニティ〝ユグドラシル〟へ帰るのだった。
やがて、俺たちは大きな建物――コミュニティ〝ユグドラシル〟に着いた。
そして、入り口である大きな門をくぐると――
『リーダー!! 箱庭帰還、おめでとうございます!!!』
眼前では、桜を筆頭に数十人の人が待っていた。
その後ろには垂れ幕に『祝! ハクリーダー箱庭に帰還!!』と書かれていた。
種族も吸血鬼や獣人種、竜など様々。
中には懐かしい顔ぶれもちらほらと見え、その全員が瞳に光るものが見えた。
ふと、隣の白夜叉はさして驚いてはいなかった。
どうやら白夜叉もこの歓迎に一枚噛んでいるようだ。
俺は、熱くなる目を腕で拭うと嬉々とした表情で、彼らの輪に入るのだった。