問題児が異世界で白夜叉とラブコメするそうですよ?   作:竜葵 時雨

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ありがとうございます!

感激で泣きそうです。(泣きませんが)


では、第18話どうぞ☆


第18話

 ――境界壁・舞台区画の〝火龍誕生祭〟運営本陣営。

 

 〝サウザンドアイズ〟の支店でシフォンケーキを作った後、遅れてやってきた〝ユグドラシル〟のメンバーと白夜叉と共にそこへやってきた。

 

 現在、本部では白夜叉の持っていたチラシのギフトゲームが開催されており、その舞台上では最後の決勝枠が争われており、その中には耀の姿があった。

 

 ちなみに現在俺たち、〝ユグドラシル〟メンバーがいるのはゲーム会場である馬鹿でかい宮殿の上層に位置するところでゲームの様子が見下ろせるVIP席にいる。白夜叉は〝主催者(ホスト)〟ということでここよりも少し高いところで観戦していた。

 

 すると、左隣に座る桜が口を開いた。ちなみに席順は右からイリス、俺、桜、楓の順である。

 

「兄さん、今ゲームをしているあの女の子が兄さんの言っていた〝ノーネーム〟の人なんですか?」

 

 現在、ゲームをしているのは耀と相手の自動人形(オートマター)、石垣の巨人だから十中八九耀の事だろう。

 

「あぁ、そうだよ。彼女の持つギフトは本人いわく、友達になった証らしい。まぁ、他種の生き物の特性を手に入れる類だと思うが、恐らく本質はまた別のものだろうと俺は思うがな」

 

「ふぅん。確かに〝ノーネーム〟にしておくには惜しい人材ですね」

 

「へぇ、やっぱり桜の瞳でもそう視える(・・・・・・・・・・)か」

 

「はい。ですが、やっぱり本人が〝ノーネーム〟を望んでいるのでしたらそれが一番だと思いますがね」

 

「そうだな。お、そろそろ終盤か。イリスもちゃんと観てるか?」

 

 ふと右隣のイリスの方を見ると、首をこっくりこっくりと揺らしすっかり夢の中にいた。

 

 イリスはなぜか昼間は寝ていて夜に起きていることが度々あり、今日もそういう日なのだろうという事で今回は寝かしておこう。

 

 視線をゲームに戻すと、耀が石垣の巨人の背後に飛翔し、その後頭部を蹴り崩し、加えて瞬時にギフトで自分の体重を増加させ落下の力とともに巨人を押し倒した所だった。

 

 石垣の巨人が倒れると同時に、割れるような歓声の声が起こった。その中から――――

 

『お嬢おおおおおお! うおおおおおおおおお! お嬢おおおおおおおお!』

 

 という耀の相棒である三毛猫の声が聞こえたのだが、傍目から見ればニャーニャー言っているだけである。

 

 ふとパンパンという音ともに歓声がピタリと止む。

 

 音の方を向くと宮殿の上の方で白夜叉が柏手を打っていた。

 

 白夜叉はバルコニーから朗らかに笑いかけ、耀と一般参加者に声をかける。

 

「見ての通り、最後の勝者は〝ノーネーム〟の春日部耀に決定した。決勝のゲームは明日以降の日取りとなっておる。明日以降のゲーム説明は・・・・・・ふむ。お披露目も兼ねてもう一人の〝主催者(ホスト)〟にして、今回の祭典の主賓から説明願おう」

 

 白夜叉が振り返り、宮殿のバルコニーの中心を譲る。そして代わりに中心に現れたのは真紅の髪を頭上で結い、色彩鮮やかな衣装を幾重にも纏った幼い少女。

 

 龍の純血種――星海龍王の龍角を継承した、新たな〝階層支配者〟のサンドラ=ドルトレイクである。

 

 サンドラは大きく深呼吸し、鈴の音のような凛とした声音で挨拶する。

 

「ご紹介に預かりました、北のマスター・サンドラ=ドルトレイクです。この火龍誕生祭も今日で中日を迎えることが出来ました。進行に協力してくださったコミュニティの皆様には御礼の言葉を申し上げます。以降のゲームにつきましてはお手持ちの招待状をご覧ください。明日からも引き続き〝火龍誕生祭〟をお楽しみください」

 

 サンドラがそう締めくくると客席から惜しみない拍手が起こる。

 

 これにて、本日の大祭はお開きとなり悪鬼羅刹が魍魎跋扈する北との境界線は、夜の街へと姿を変えて目覚めるのだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 あのあと、俺らは白夜叉たちと合流し、白夜叉が運営本陣営の謁見の間に一緒に来てほしいという事なのでついて行ったのだが、そこにはジンとリリ、さらには黒ウサギと十六夜の姿あったのだが、どうやらこの二人は何かをやらかしたらしくここに連れてこれたとのこと。

 

 というわけで十六夜に事情を説明してもらったことだと、黒ウサギが十六夜を追いかける最中、『捕まえたら捕まえた者へ一回分の命令権を手にできる』というギフトゲームに発展。そして、黒ウサギがあともう少しで捕まえられるという時、十六夜がそこからの逆転を狙い足場にしていた大きな時計塔を蹴り飛ばしたのだ。その結果、時計塔が崩落、駆け付けた〝サラマンドラ〟のコミュニティが騒ぎを聞きつけ、ここに連れてこられたという事らしい。

 

 さすが笑いしか出てこない。

 

 白夜叉も事の顛末を聞いて笑いを噛み殺しながら十六夜に問う。

 

「随分と派手にやったようじゃの、おんしら」

 

「ああ。ご要望通り祭りを盛り上げてやったぜ」

 

「胸を張って言わないでください! このお馬鹿様!!」

 

 スパァーン! と黒ウサギの伝家の宝刀であるハリセンが十六夜の頭を奔る。その後ろではジンが痛い頭を抱えていた。

 

 すると、サンドラの側近らしき軍服姿の男が鋭い目つきで前に出て、十六夜達を高圧的に見下す。

 

「ふん! 大体貴様らは!」

 

「これマンドラ。それを決めるのはおんしらの頭首、サンドラであろ?」

 

 白夜叉が軍服姿の男――マンドラを窘める。

 

 サンドラは玉座から立ち上がると、黒ウサギと十六夜に声をかける。

 

「〝箱庭の貴族〟とその盟友の方。此度は〝火龍誕生祭〟に足を運んでいただきありがとうございます。今回の件は奇跡的に負傷者はなく、破壊された建造物も白夜叉様のご厚意で修繕してくださいましたので、この件に関して私からは不問とさせていただきます」

 

 その言葉にチッと舌打ちするマンドラとほっと胸を撫で下ろす黒ウサギやジン。

 

 十六夜は意外そうに声を上げる。

 

「へぇ? 太っ腹な事だな」

 

「うむ。おんしらは私が直々に協力を要請したのだからの。報酬の前金とでも思っておけ」

 

 白夜叉はそう言うと連れの物に目配せする。サンドラも同志を下がらせマンドラだけが残った。

 

 やがて残ったは、サンドラ、マンドラ、白夜叉、黒ウサギ、十六夜、そして俺ら〝ユグドラシル〟のメンバーである。

 

 人がいなくなると、サンドラは先程までの硬い表情や口調を崩し、ジンとリリの下へ駆け寄る。

 

「ジン、久しぶり! コミュニティが襲われたと聞いてずいぶんと心配してたんだよ」

 

「ありがとう。サンドラも元気そうでよかった」

 

「その服似合ってるね!」

 

 サンドラと同じく笑顔で接するジンとリリ。

 

「ふふ、当然。・・・・・・襲われたと聞いて、本当はすぐに行きたかったんだ。けどお父様の急病や継承式のことでずっと会いに行けなくて」

 

「それは仕方ないよ。だけどあのサンドラがフロアマスターになっていたなんて――――」

 

「そのように気安く呼ぶな! 名無しの小僧!!」

 

 すると、突然マンドラが獰猛な牙を剥き出しにし、帯刀していた剣をジンに向かって抜く。

 

 ジンの首筋に触れる直前、その刃を十六夜が足の裏で受け止めた。

 

 穏やかじゃねぇなぁ。ただの再会の場面だというのにどこにそんなに怒る要素がある?

 

 十六夜は軽薄そうな笑みを浮かべ、笑っていない瞳をマンドラへ向ける。

 

「・・・・・・おい、今の止める気なかっただろオマエ」

 

「当たり前だ! サンドラはもう北のマスターになったんだぞ! 晴れの祭典に〝名無し〟風情を招き入れただけでも〝サラマンドラ〟の威厳に関わるというのに!」

 

 睨み合う十六夜とマンドラを見て、サンドラが止めに入る。

 

「マ、マンドラ兄様! 彼らはかつての〝サラマンドラ〟盟友です! そのような態度をとられては、礼節に反する!」

 

「サンドラ、お前は甘すぎる。お前はもう北のフロアマスターだ。〝名無し〟共になれなれしくされる立場ではない」

 

「しかし・・・・・・」

 

「はぁ、これマンドラ。いい加減に下がれ」

 

 呆れた口調でいさめる白夜叉。しかし、尚も食って掛かり睨み返すマンドラ。

 

「〝サウザンドアイズ〟も余計な事をしてくれたものだ。『南の幻獣・北の精霊・東の落ち目』とはよく言ったものだ。此度の噂も、東が北を妬んで仕組んだことではないのか?」

 

「マンドラ兄様!! もういい加減・・・・・・に、えっ!?」

 

 サンドラが見かねてマンドラを叱りつけようと口を開くが、その言葉は最後まで続くことはなかった。

 

 正確には先程まで少し離れていた俺の姿が、マンドラのすぐ後ろに現れたのに驚いたのだろう。

 

 俺はマンドラの背後に立ち、右肩に手を置き、少々ドスの利いた低い声でマンドラの耳元で囁く。

 

「あのさぁ、それはさすがに失言が過ぎるんじゃないのかな? 白夜叉が下がれって言ってんだからさっさと下がれ。雑魚が」

 

「ッ!? だ、誰だ!?」

 

 マンドラは一瞬恐怖のようなものが身体中を駆け巡るが、そんな身体に喝を入れ、帯刀していた剣を後ろに振り抜く。

 

 だが、マンドラが剣に手をかけた時には、すでに俺は元いた位置に戻っていた。

 

 マンドラは手ごたえのなさに驚愕を浮かべ、周囲を見渡し、ふと俺と目が合う。

 

 睨み返したきたマンドラは憤激の表情を浮かべ口を開く。

 

「貴様、なんのつもりだ!」

 

「ん? なんのつもりだ・・・・・・って、いや、ムカついたから?」

 

「なっ!? おい、こいつはいったいなんだ!?」

 

 マンドラは青筋を立て、白夜叉に問う。

 

 問われた白夜叉は、呆れたように言う。

 

「あぁ、そやつは二桁の門に位置するコミュニティ〝ユグドラシル〟のリーダーだ。あやつの後ろに控えておるのはその幹部たちだの」

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

 白夜叉の言葉にマンドラのみならずサンドラも開いた口が塞がらないといった感じになっている。マンドラに至っては、血の気が引いたように先程までの怒りが消え失せ、顔色が青くなっている。

 

 そんな彼らに俺は一歩前に出て、口を開く。

 

「改めて紹介しようか。初めまして北のフロアマスターにそのお連れさん。白夜叉の言ったようにコミュニティ〝ユグドラシル〟のリーダーの望月 白亜だ。後ろにいるのは妹の桜、幹部の楓とイリス。・・・・・・これからも仲良くしようか。よろしく」

 

 




ご報告がございます。

前回やっと『ご注文はうさぎ? 変な趣味を持ってるね。』を投稿できたのですが、よって投稿ペースが遅くなることが考えられます。

読者の方々には申し訳ございませんが、気長に投稿を楽しみにしていただけたら幸いです。
これからも白亜君と白夜叉、桜たちをよろしくお願いしますです。はい。
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