問題児が異世界で白夜叉とラブコメするそうですよ? 作:竜葵 時雨
いやっほおおおおおぉぉぉぉぉおおおい!!
最初に湯船に浸かったのは飛鳥であった。
先程、洞窟で地面を覆い尽くすほどの大量のネズミが現れ、それを止めようと自らのギフト〝威光〟を使い、従わせようとしたのだが、ネズミは止まることなく迫ってきたのである。
飛鳥は仕方なく、何故か付いてきたトンガリ帽子の精霊を守りながら脱出を試みる。と、そこへ現れたのが、封印を解き、少女だった姿を華麗な女性の姿をしたレティシアであった。
刹那、レティシアが生み出した影がネズミどもに這いより、無尽の刃が迸った。その刃が魔性の群れの悉くを肉の塵と化して呑み込んでいった。
そして、その後レティシアに連れられサウザンドアイズの旧支店へ向かったのだが――
「お風呂へ駆け足! 今すぐです! そのような薄汚れた格好で〝サウザンドアイズ〟の暖簾をくぐろうなどとは言語道断! は、なんです? 生傷? そんなものはお風呂に入れば治ります! 衣類をこちらへ! さっさと身を清めてきてください!!」
と、飛鳥を迎えた割烹着姿のいつもの女性店員がそう一喝し、半ば強引に服を剥ぎ取り湯殿へと連れて行かれた。
そして、今に至る。
飛鳥は、湯船に浸かり見る見る治癒し始める自らの傷を見ながら、先程の事を思い至る。
ギフト〝威光〟が通用しない理由はいくつかある。
1つは、自分よりも各上の超常存在が相手の場合。これは以前の〝ペルセウス〟のリーダー・ルイオスなどが例としてある。
だが、たかがネズミに劣ることはない。
となると他にに考えられる理由は――――
飛鳥は受け入れがたい事実に歯噛みする。支配の力がネズミに通用しなかった原因は――自分よりも強力な支配を受けていた、と考えるのが妥当だったからである。
「・・・・・・っ」
ドボンッ! と深く湯に沈む。
前々から気づいていたことだが、自分の『ギフトを支配するギフト』は十六夜達三人の中で一番有用性が低い。相手によって、効果の有無が変わってしまうからだ。
たとえ強力な武具の力を引き出せたとしても、十六夜や耀のような大立ち回りを見せる事は不可能である。
(・・・・・・選択、誤ったかしら)
ぶくぶくと、膝を抱えて息を吐く。
人心を操る方向性に強く育ったこの力を使えば、様々な種を傘下に置く魔性のギフトして開花させる可能性もある。
だが、そのように心身を操る魔女のような物は望んでいない。
(・・・・・・『ギフトを支配するギフト』・・・・・・物にしてみせる!)
ザパンッ! と勢いよく立ち上がる。その眼には先程までの迷いなどは存在せず、やる気が満ち溢れていた。
すると、脱衣場の方が騒がしくなる。
そして、そこから身体を手拭いで隠し、ウサ耳を逆立てながら黒ウサギが勢いよく飛び込んできた。
「飛鳥さん! お怪我の程は大丈夫でございますか!?」
黒ウサギは飛鳥の下へと駆け寄る。
「待て待て待て黒ウサギ! 家主より先に入浴とはどういう了見だいやっほおおおおい!!」
だが、その背後から同じく素っ裸な白夜叉に背後から強襲され、二人はくっついたままトリプルアクセルで湯船にダイブした。
黒ウサギは勢いそのまま、湯船の底に頭を突っ込んでいた。
「ちょ、ちょっと黒ウサギ! 大丈夫!? 湯船の底に頭が突き刺さってるわよ貴女!」
「
白夜叉は黒ウサギのウサ耳を掴んで勢いよく、
「てい!」
「フギャア!!」
湯船から引き抜いた。
◇◇◇
みな、落ち着いたところで女性陣が全員、湯船に入る。
メンバーは、リリやレティシアを含めた〝ノーネーム〟メンバーに白夜叉、そして〝ユグドラシル〟メンバーであり、サンドラは忙しいという事なので来れなかった。
ちなみに、飛鳥と〝ユグドラシル〟メンバーは初対面なので、軽く挨拶などしてくつろいでいた。
心地よい温度や雰囲気などですっかりほんわかムードになる頃、ある一人が口を開く。
「それにしても、黒ウサギはデカいねぇ」
「へ? ひゃわぁぁああ!?」
口を開いたイリスがそっと黒ウサギの背後に忍び込み、腋下から手を伸ばし、その豊満な胸を揉みしだく。
「え、ちょっ!?・・・・・・あ、イ、イリスさ・・・・・・手を、は、離しt・・・・・・ひゃっ!」
「うわ、何コレ! 物凄く柔らかい。桜といい勝負するかも?」
「イリス!? 何言ってるんですか!」
黒ウサギの色声に、その場のほとんどが顔を朱くさせ、イリスの言葉に桜の方を――正確にはこれまた豊満な胸を――向く。一部、羨望の目を向けていた。
「だってさ、桜も結構デカいじゃん。・・・・・・という訳で、白夜叉ゴー」
「うむ、心得た」
「え、ちょっと! はうっ」
イリスの声で素早く桜の背後に回り込み、同様に揉みしだく。
「ふむ、桜よ。おんしさらに大きくなったな?」
「えっ、う、うん・・・・・・また、ブラがきつくなっちゃって」
白夜叉の問いに桜は苦笑を浮かべながら答える。
「ほほう。・・・・・・まったくけしからん胸だ! 少しは分けんか!」
「大きくても、あっ・・・・・・い、良い事ないですよ? ひっ、肩も、凝っちゃいますし・・・・・・あっ!」
桜はそう答える。現在進行形で白夜叉に胸を揉まれているため、所々で色声が出てしまっている。
ちなみに桜の言葉に、先程羨望の眼差しを向けていた者は打って変わって険しい目つきで睨んでいた。もちろん当の本人は気づかない。
「あっ、ちょっ、待っ・・・・・・こ、これ以上は!」
「ひうっ・・・・・・も、もう、だめっ・・・・・・!」
そしてしばらく、その場に二人の少女の色声が響き渡った。
◇◇◇
「「はぁ、はぁ・・・・・・あとで覚えておいてくださいね・・・・・・二人とも」」
「「はーい♪」」
やっと、揉み地獄から解放された二人は、息絶え絶えに言うが、やった二人の方は別段気にしたそぶりも見せず返答する。
なお、他の者は顔を真っ赤にさせ俯く者や呆れた表情を見せる者が大半であった。だが、止めようとした者はいなかった。まぁ、当の二人は逃れようともがいていたが。
「あ、あの」
ふと、顔を真っ赤にし静かにしていたリリが口を開く。
「ん? どうしたんです? リリ」
「え、えっと・・・・・・皆さんにお尋ねしたいことが」
黒ウサギが問い返し、リリが答える。
「うむ。良かろう。私たちが何でも答えてやろう」
「は、はい。えっとですね・・・・・・」
白夜叉が胸を張り、リリにそう答えた。
リリは少しばかり口ごもると、期待などの表情を表し、キラキラと輝く瞳を向ける。
「み、みなさんって・・・・・・今、好きな人はいらっしゃいますか!?」
『・・・・・・えっ!?』
そこにいるメンバーは、リリの言葉に驚きの表情を出し顔を真っ赤にする。
「な、何を言ってるんですか!? リリ!」
その中の一人である黒ウサギが問い返す。
「す、すみません。・・・・・・私、恋とかしたことがなくて、でも、皆さんなら何か経験がありそうだなと、思いまして」
「そ、そんな、経験なんて・・・・・・」
「そうね。私もそういう人物には・・・・・・向こうでは会わなかったわね」
「・・・・・・い、以下同文」
「私もそういう者はいないな」
と、黒ウサギ、飛鳥、耀、レティシアの〝ノーネーム〟メンバーが口を開く。
リリは「そうですか」と、狐耳と尻尾をだらんと下げる。
「・・・・・・私はいる。好きな人」
「え!? そうなんですか! ち、ちなみにどなたか聞いてもいいですか?」
イリスの言葉にリリは下がっていた狐耳と尻尾をピンッと張り、問うた。
「ハクだよ」
「ハク・・・・・・というと、白亜さんですか!?」
「うん。ちなみに桜や楓もハクのことが好き」
「「ちょっ、イリス!?」」
突然の飛び火に、二人が声を上げる。
「だって、そうでしょ?」
「「うぐ・・・・・・」」
イリスの言葉に二人は詰まる。
「へぇ、お二人も白亜さんのことがお好きなんですね」
「うん。・・・・・・でも、私たちよりももっとハクのことが好きな人、いる」
「え? だ、誰ですか!?」
「ん」
イリスはその人物の方を向く。リリもそれにつられて同じ方向を向く。
そこには、黒ウサギたち以上に顔を真っ赤にさせた白夜叉の姿があった。
白夜叉は多くの視線を受け、身体がビクッと震えた。
「え!? し、白夜叉様がですか!?」
リリは心底驚き、声を上げる。
だが、他の者達はそれほど驚いてはいない。過去に白夜叉の白亜に対してのみ見せる、『恋する乙女』な言動を見たことがあるからだ。
しかし、リリは白夜叉のそういう一面は見たことがないため、驚いたのである。むしろ残念なところしか見たことがないため、それも驚きの材料となった。
「べ、別にハクの事なんて・・・・・・そりゃあ嫌いではないがの・・・・・・でも・・・・・・」
白夜叉は両手の人差し指をくっつけたり離したりしながら、ぼそぼそと口を開く。
「白夜叉様―。結局好きか嫌いどっちなんですかぁ?」
黒ウサギがいつも悪戯されている仕返しだろうか、ニヤニヤしながら白夜叉を煽る。
白夜叉はしばし俯いていていたが、やがて意を決して――
「あぁ、もう! そうだ! 私はハクの事が好き! いつも、ハクの事を考えてしまうくらい、ハクの全部が大好きだ!!」
――と、半ばやけくそ気味に白夜叉は大きな声で言う。
その言葉は湯殿に響き渡った。
というわけで!
どうでしたでしょうか!
今回は何と言っても、最後の白夜叉の告白!
これからの展開にこうご期待です!
では、また!