問題児が異世界で白夜叉とラブコメするそうですよ? 作:竜葵 時雨
それは、まだ白夜叉たちが鬼ごっこをしている時の事。
「んっ・・・・・・」
重いまぶたを開けると、天井の木目と目があった。
「ここは・・・・・・」
状況を把握するために、体を起こそうとするが体が思うように動かなかった。仕方なく、首だけ動かして周りを見る。すると、自分の右側に本を読んでいる桜の姿があった。その後ろには楓の姿もあったが、イリスは見当たらなかった。
すると、こちらの視線に気づいたのか、桜と目があった。
「あ、兄さん。目が覚めたんですね」
「うん、まぁな。――どれくらい寝てた?」
「そうですね・・・・・・ざっと2時間と少しくらいでしょうか」
「そのくらい寝てたか――」
ここまでくると意識もはっきりしてきた。その結果、こうして寝る羽目になってしまった原因も思い出すわけで――――。
『私はハクの事が好き』
「――――っ」
白夜叉の告白の言葉が頭の中にて反芻し、顔がどんどん赤くなっていく。
「兄さん、なんか顔が赤いですよ? 熱でもあるんじゃないですか?」
桜はそう言い、こちらに手を伸ばしそのままおでこに手を当てる。
「熱は・・・・・・ないようですね」
「そうか・・・・・・」
そういい手を離す桜。ふと見たその顔は少し染まっていた。さらには、こちらに近づいてきた楓も心なしか顔が赤い。
「そういうお前たちも、顔が赤いぞ?」
その言葉に二人は目を開き、顔の赤色が増した。
「そ、そんな事は!?・・・・・・ねぇ、楓――――」
「赤くないですよ!?・・・・・・ねぇ、桜――――」
二人は慌てたように否定の言葉を口に出し、顔を合わせる。すると、お互いがびっくりするほどに顔が赤い事に気づき、顔を俯かせる。
「ほ、ホントに大丈夫・・・・・・か」
そこまで口にしたところで、なぜこの二人がこんなに狼狽しているかに気付く。
それは、白夜叉の告白の十数秒前。
『・・・・・・私はいる。好きな人』
『え!? そうなんですか! ち、ちなみにどなたか聞いてもいいですか?』
『ハクだよ』
『ハク・・・・・・というと、白亜さんですか!?』
『うん。ちなみに桜や楓もハクのことが好き』
『『ちょっ、イリス!?』』
イリスの一言から始まったこの会話。小さい声ではあったが、たった一枚の壁だけではまる聞こえであった。
そう、俺は白夜叉だけではなく、桜や楓、それにイリスからも好意を向けられている。それに気づいてしまい、顔を俯かせてしまった。
だが、それと同時に頭の中ではこんな問題が浮かんだ。それは『誰を選ぶのか』という事。だが、それは多分もう決まっていた。――白夜叉。そう、おそらく俺は白夜叉が一番好きである異性。なら何も問題がないではないかと思うが、そうでもない。その先の問題が、俺の心に壁を作っていた。
『俺に人を愛することが出来るのか』
というものだった。これは、
・・・・・・俺は耐えきれなくなり、俺は逃げるようにしてこの箱庭から姿を消した。
『俺に人を愛することが出来るのか』
俺は怖かったのだ。愛する人を失う事を。その結果、人を愛するという事に壁を作った。
「・・・・・・ハク」
すると、突如腹のあたりから声がした。
そこへ視線を向けると、布団の中から何も服を着ていないイリスの姿があった。先程起きあがれなかったのは、イリスが乗っていたからであった。
「ちょっと、イリス!? 何をやってるんですか!?」
「療養には人肌が一番」
桜が声を上げるがイリスはさも当然というかのように返す。
俺もイリスに声を上げようと思ったが、イリスのこれ以上ない真剣な眼差しに声を出すことが出来なかった。
「・・・・・・ハク。もしかして、まだ
「・・・・・・っ」
イリスが口を開いたのは、まさに先程俺が考えていた事だった。俺は目を見開いて驚き、言葉に詰まる。そんな俺の様子と、イリスの言葉に桜と楓も気づき、泣きそうな表情をする。
「兄さん。本当・・・・・・なんですか? まだ、ひとりで責めてたんですか?」
「・・・・・・」
桜の言葉に言葉を返せなかった。沈黙を肯定とよんだのか、桜は今一歩近づき、腕を伸ばし、俺を抱きしめた。
「私たち・・・・・・言ったじゃないですか! あれは兄さんのせいじゃないって!! 私たちは、感謝こそすれど兄さんを責めたりなんかしないって!! 私たちには、お兄ちゃんが必要なの! ・・・・・・・・・・・・だから、もうどこにもいかないで。ひとりで抱え込まないで」
桜の言葉に心が少しばかり軽くなった気がした。そして、桜の頭に手を乗せ口を開く。
「桜、心配させて悪かったな。兄ちゃんはもう大丈夫だ」
「ほんと?」
「あぁ、だからもう泣くな。――それとありがとう」
そういい、桜の頭を撫でる。そして、顔を上げ、楓とイリスの方を向く。
「二人もほんとにありがとう。お前らがいなかったら、またひとりで悩んでた。だからほんとにありがとな」
俺の言葉に楓とイリスも泣きそうな表情を笑顔に変える。イリスは相変わらずの無表情だったが、嬉しそうにしているというのは分かった。
「さてと! 気分もさっぱりしたし、また久しぶりにお菓子でも作ろうかな。・・・・・・イリス、何が食べたい?」
俺の言葉にイリスは首を傾げ考え、案が出たのか口を開く。
「ケーキが食べたい。ウェディングサイズの」
「オッケー分かった。ウェディングサイズのケーキだな・・・・・・ってデカすぎないか? それ」
「ノープロブレム」
「そうか」
そういい、俺は布団から立ち上がる。さて、良い気分だし。今のうちに作りますか。
「あ、そうだ兄さん」
「ん? どうした?」
固まった体をほぐすようにボキボキと身体を鳴らしたところで、桜から声がかかった。
「もう、悩んだりはしないですよね?」
「おう、もう大丈夫だ」
「そうですか。なら――白夜叉さんへの告白の返事も大丈夫ですよね?」
「おう、大丈夫・・・・・・え?」
俺は聞き間違いかと思い、視線で桜にもう一度問うが。
「・・・・・・」
うん。とてもいい笑顔でこちらを見てらっしゃる。
「えぇっと、イリス」
助けを求めるようにイリスの方を向く。
「・・・・・・」
やべぇ、いつも無表情のイリスが満面の笑みでこちらを見てらっしゃる。
ならばと最後の希望の楓の方を向く。
「えっと、頑張って下さいね」
苦笑でこちら言葉をかける。
俺は、3人に向かってもう一度問うた。
「マジで?」
「「「マジです。頑張って」」」
という励ましのお言葉をいただきました。
実際に好意を向けられている3人にこう言われてしまうと、後には引けず。
「が、頑張ります」
こう言う事しか出来なかった。
部屋の外では、黒ウサギ達の騒がしい声が遠くに聞こえていた。
お久しぶりです。
1ヶ月越えの投稿となりました。申し訳ございません。
何はともあれもう12月後半。あと数日もすれば2016年となります。ホントに長いようで短い2015年でした。
来年と言えば、私は受験生になります。
うっ、勉強したくないぃぃぃぃ!!!
というわけで、
皆様が健康で楽しく過ごせる1年になりますように。
良いお年を!