問題児が異世界で白夜叉とラブコメするそうですよ? 作:竜葵 時雨
『長らく大変お待たせいたしました! 火龍誕生祭のメインギフトゲーム・"造物主達の決闘"の決勝を始めたいと思います! 進行および審判は"サウザンドアイズ"の専属ジャッジでお馴染みの黒ウサギがお務めさせていただきます!』
――境界壁・舞台区画。日が昇りきり、舞台中央にて黒ウサギが満面の笑みを振りまきながら、開催宣言をすると、歓声――もとい図太い奇声が舞台に響き渡った。
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉ月の兎が本当に来たあああぁぁぁぁぁぁ!!!」
「黒うさぎぃぃぃぃぃ! お前に会うためにここに来たぞおぉぉぉぉぉ!!!」
「今日こそスカートの中身見てみせるぞおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」
割れんばかりの熱い情熱を垂れ流しにしている観客の姿に、黒ウサギは頬を引きつらせ、へにょりとうさぎ耳を垂らして怯む。
一方、観戦する俺ら"ユグドラシル"と"ノーネーム"、その他メンバーは運営側の特別席に腰掛けていた。ちなみにこの場にジンとレティシアの姿はない。二人は、観客席から見えない舞台裏で対戦相手――"ウィル・オ・ウィスプ"の情報を耀と共に確認している。
なお、この特別席に腰掛けている理由は、どうやら一般の席が満席らしく、急遽本陣営のバルコニーに席を用意してくれるようサンドラが取り計らってもらったのだ。
この場所からなら舞台を上から見ることが出来るため、観戦するには絶好の場所である。
・・・・・・のだが、居心地が悪い。理由は分かっている。
俺の隣の席には白夜叉が座っている。そして、当の白夜叉は少しばかり顔を伏せおり、時折ちらちらとこちらの方を盗み見て、こちらと目が合うと顔を染めてまた顔を伏せる。だが、またこちらを盗み見ては、目が合い、顔を伏せる。こんな動きを繰り返していた。そんな白夜叉の姿は可愛らしいのだが如何せん少しばかり・・・・・・いや、かなり恥ずかしいので、目線を外す。しかし、目線を外した先では、十六夜たちがニヤニヤとこちらを見ていた。仕方なく、もう一度白夜叉の方に視線を向けると、こちらとまた目が合い一瞬ぱぁっと笑みを浮かべるも、すぐに顔を真っ赤にし、またもや顔を伏せる。
仕方なく、はぁとため息をつきつつ目線を舞台の方へ向ける。すると、そこではちょうど黒ウサギが出場選手を入場させていた。
『それでは入場していただきましょう! 第一ゲームのプレイヤー・"ノーネーム"の春日部耀と"ウィル・オ・ウィスプ"のアーシャ=イグニファトゥスです!』
黒ウサギの合図に、まず耀が入場する。その瞬間、耀の眼前を火の玉が高速で横切った。あまりの突然のことに耀はたまらず仰け反り尻餅をついた。
耀が頭上を見上げると、その火の玉に腰掛ける人影の姿があった。その人物――アーシャは、水色のツインテールの髪と白黒のゴシックロリータ調の派手なフリルのスカートを揺らしながら、尻餅をついている耀を嘲笑った。
「あっはははははははははは! 見た見たぁ? ジャック。"ノーネーム"の女が無様に尻餅ついてる! ふふふ、さぁ素敵に不敵にオモシロオカシク笑ってやろうぜ!」
「YAッFUFUFUFUFUUUUUuuuuu!!」
『wwwwwwwww!!』
ドッと観客席の一部からも笑いが起きた。
・・・・・・・・・・・・なんかイラッときた。なので、ちょっとばかし笑っていた観客とアーシャと『FUFUFUuu』と変な笑い方をしていたものに軽く殺気を向ける。
すると、先ほどまで笑っていた観客は顔を青くし頻りに周りを見渡す。それはアーシャも同様でキョロキョロとあたりを見渡すも、これまた観客と同様に殺気の正体に気づかない。・・・・・・唯一、変な笑い方をしていたものはあたりを見回した後、訝しげな視線をこちらへ向けた。
一方、嘲笑われた耀だが、そんなものは気にしない。むしろ火の玉の中心に見えるシルエットに釘付けになっていた。
「火の玉? それ、もしかして」
「へ? ふ、ふんっ。アンタ何言ってんの? アーシャ様の作品を火の玉なんかと一緒にすんなし。コイツは我らが"ウィル・オ・ウィスプ"の名物幽鬼! ジャック・オー・ランタンさ!」
「・・・・・・YAッFUFUFUUUUUUuuuuu!!」
アーシャは気を取りつつ腰掛けている火の玉に合図を送る。すると、火の玉は炎陣を振りほどき、姿を顕現させる。
轟々と燃えさかるランプと、実態のない浅黒い布の服。人の頭の何倍もあるであろう巨大なカボチャの頭。その姿を見た二つ右隣の飛鳥が声を上げる。
「ジャック! ほらジャックよ十六夜君! 本物のジャック・オー・ランタンだわ!」
「はいはい分かってるから、落ち着けお嬢様」
十六夜は飛鳥に肩を揺らされながら苦笑を浮かべる。どうやら先程の嘲笑っていた声は聞こえなかったようだ。まぁ、そこまで大きな声ではなかったし。ま、俺にはばっちり聞こえてるがな。
耀は土を軽く払い、舞台に上がる。耀はこちらを向き小さく手を振った。それに気づいた飛鳥は手を振り返す。
この様子が気に入らなかったのか、アーシャは皮肉気味に言う。
「たいした自信だなーオイ。私とジャックを無視して何? 私たちに対する挑発ですかそれ?」
「うん」
耀が即答で返すと、カチン! と来たように唇を尖らせるアーシャ。どうやら効果は抜群らしい。一見して大人しい耀だが、人一倍負けず嫌いな一面を持つ。
黒ウサギはそんな二人(と1カボチャ)の様子にため息をつくも、気を取り直して、宮殿のバルコニー――つまりこちらに手を向けて厳かに宣言する。
『――それでは第一ゲームの開幕前に、白夜叉様から舞台に関してご説明があります。ギャラリーの皆様はどうかご静粛のほどを』
刹那、会場からあらゆる喧噪が消えた。"主催者"の言葉を聞くために、静寂が満ちている。俺は、そんな状況にも関わらず、隣でまだ顔の赤い白夜叉を現実に戻させるため、白夜叉の脳天に向けてチョップをかます。
「てい」
「ふ、ふにゅっ。な、なにをするんじゃハク!?」
「お呼びだよ? シロちゃん」
「へ? あっ、コ、コホンッ」
帰ってきた白夜叉は咳払いを一つすると、バルコニーの前に出て、静まりかえった会場を見回す。
「うむ。さて、それではゲームの舞台についてだが・・・・・・・・・・・・まずは手元の招待状を見てほしい。そこにナンバーが書かれておらんかの? ・・・・・・もしそこに書かれているナンバーが我々ホストの出身外門――"サウザンドアイズ"の三三四五番となっておるものはおるかの? おるのであれば、招待状を掲げ、コミュニティの名を叫んでくれ」
その言葉に皆が一斉に招待状を取り出し、ざわざわと観客席がどよめく。
すると、数秒してから真正面の観客席で木霊の少年が招待状を掲げていた。
「こ、ここにあります! "アンダーウッド"のコミュニティが、三三四五番の招待状を持っています!」
おおお! とその少年の言葉に歓声が上がる。
白夜叉はニコリとその少年に笑いかけると、その姿が霞のように朧気になっていき、次の瞬間には木霊の少年の前に現れた。
「ふふ、おめでとう。"アンダーウッド"の木霊の童よ。よろしければおんしの旗印を拝見させてもらえるかの?」
その言葉に頷いた少年は、コミュニティのシンボルであろう巨大な大樹の根に囲まれた町が描かれた木製の腕輪を差し出した。
白夜叉はその紋様を一瞥すると、腕輪を返却し、次の瞬間にはバルコニーへ戻ってきた。
「では、今し方、決勝の舞台が決定した。では、皆の者。お手を拝借」
白夜叉が両手を前に出す。倣って観客も両手を前に出す。
そして、パンッ! と会場一致で柏手一つ。
その所作一つで、舞台上の世界が一変した。
2016年一発目の投稿となりますね。
今年も白夜叉ちゃんやその他のキャラクターと白亜君などのオリ主の甘々ストーリーを書いていきたいですね。
もっと増えろ! シロちゃん信者!