問題児が異世界で白夜叉とラブコメするそうですよ?   作:竜葵 時雨

3 / 29
召喚編
第1話


 落下した四人と一匹は、全身びしょ濡れになりながら湖から這い上がる。

 

 僕は、たまたま近くに一緒に落下してきたであろう三毛猫を抱き上げながら。

 

「大丈夫かい? 三毛猫さん」

 

()じぬがぼおぼた(死ぬかと思った)・・・・・・』

 

 僕の質問に、何とか返事する三毛猫。

 

「ははは・・・・・・」

 

 三毛猫の返事に苦笑いしながらも無事を確認し一安心。

 

「・・・・・・三毛猫、大丈夫?」

 

 すると、こちらにショートヘアの大人しそうな少女がやってきた。

 

 三毛猫に話しかけているあたり、恐らく飼い主か何かだろう。

 

「大丈夫みたいですよ。死にかけてましたが」

 

 三毛猫が大変そうだったので、代わりに返事を返した。

 

「そう、よかった・・・・・・」

 

 無事を確認した彼女は、ほっとする。

 

 ふと、横の方に目を向けるとそこではロングヘアのいかにも育ちが良さそうなお嬢様と学ランを着てヘッドホンをした少年が、罵詈雑言を吐き捨てていた。

 

 ちなみに俺の外見は縦に青い線が入ったストライプ柄のシャツにジーンズという普通の服装。

 

 比較的癖のなく耳がぎりぎり隠れるくらいの黒の髪の毛。

 

 年齢は一六で、顔は・・・・・・比較的良いのかな? 自分で言うのもなんだけど

 

 身長は176㎝と高め。

 

「し、信じられないわ! まさか問答無用で引き摺り込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」

 

「・・・・・・。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない」

 

「そう。身勝手ね」

 

 二人の男女はフン、と互いに鼻を鳴らして服の端を絞る。

 

 そして、僕の隣では、同じように服を絞る先程の大人しそうな少女が服を絞る隣で三毛猫が全身を震わせて水をはじく。

 

 それを見て、自分も全身びしょ濡れなのを思い出し濡れた服に手を伸ばす。

 

 濡れた服に手が触れたところで、この濡れた服が乾くのを想像する。

 

 すると、先程まで濡れていた服に一瞬ラグが生じると服が想像どおりに乾いた。

 

「ふぅ、これで乾いた・・・・・・か、な」

 

 ふと、足元を見るとさっきまで水をはじいていた三毛猫がポカンと口を開けたままこちらを見ていた。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・。

 

 

『お、お嬢・・・・・・お嬢!』

 

 三毛猫は数秒固まった後、慌てた様子で少女に駆け寄った。

 

「な、なに? 三毛猫」

 

『ワシ、凄いもん見てしもうたんや!』

 

「すごいもの?」

 

『なんか、この小僧が濡れた服を一瞬で乾かしおった!』

 

「一瞬で?」

 

『そう! 一瞬でや!』

 

 三毛猫の言葉を聞くと、少女はこちらを向いた。

 

 そして、そのままこちらに近づいてきた・・・・・・って近い近い!? もう鼻と鼻がくっつきそうなんですけど!?

 

「な、なんですか?」

 

 何とか声を出すことに成功。

 

「・・・・・・一瞬で服を乾かしたって、ほんと?」

 

「ま、まあ本当のことだけど・・・・・・」

 

「なら、乾かしてくれる? 私の服も。濡れたままは嫌だから」

 

「へ? う、うん。いいよ」

 

 僕はそういうと、彼女の服に手を当て乾くことを想像する。

 

 すると、さっきと同じように一瞬ラグを生じると乾いた服が現れた。

 

「っ!? すごいね。あ、ありがとう」

 

 彼女は驚き、目を見開いたもののすぐに無表情になった。

 

「へえ、面白いもん持ってるな。お前」

 

「確かに、面白いものを持っているわね」

 

 突然後ろからかかってきた言葉にドキッとしながら、振り向くとそこには先程まで罵詈雑言を吐き捨てていた二人がいた。

 

「なあ、俺の服も乾かしくれないか」

 

「なら私の服もお願いしてくださる? 濡れているままは気持ち悪いもの」

 

「うん。いいよ。全然」

 

 というわけで、二人の服も乾かしてあげた。

 

 服が乾いた後、少年は軽く曲がったくせっぱねの髪の毛を掻き上げ、

 

「さてと、まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」

 

「そうだけど、まずは〝オマエ〟って呼び方を訂正して。――私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。そこで、そこの猫を抱きかかえている貴女と服を乾かしてくれた貴方は?」

 

「・・・・・・春日部耀。以下同文」

 

「望月白亜です。これからよろしく」

 

「そう。よろしく春日部さん、望月君。最後に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と容量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

「ははは・・・・・・」

 

 

 心からケラケラ笑う逆廻十六夜。

 

 傲慢そうに顔をそむける久遠飛鳥。

 

 我関せず無関心を装う春日部耀。

 

 そんな三人を見て苦笑いを浮かべる望月白亜。

 

 

 そんな彼らを物陰から見ていた人物――

 

 ――黒ウサギは思う。

 

(うわぁ・・・・・・なんかお一人を除き、問題児ばっかりみたいですねぇ・・・・・・)

 

 黒ウサギは陰鬱そうに重くため息を吐くのだった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。