問題児が異世界で白夜叉とラブコメするそうですよ?   作:竜葵 時雨

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第4話

「フォ、〝フォレス・ガロ〟とゲームをする!?」

 

 飛鳥さんたちと合流するとそこではコミュニティ〝フォレス・ガロ〟に喧嘩を売り、挙句の果てにギフトゲームを挑むということになっていた。

 

 十六夜はその経由を聞くと「ヤハハ」と笑った。

 

 そりゃ笑いたくなるね。

 

「って、聞いてるのですか三人とも!」

 

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」

 

「黙らっしゃい!」

 

 口裏を合わせたような言い訳に黒ウサギは顔を真っ青にしながらハリセンで三人の頭をスパァンッと叩く。

 

「まぁでもいいです。〝フォレス・ガロ〟相手なら十六夜さんもしくは望月さんどちらか一人でも楽勝でしょう」

 

「俺は出ねえぞ」「僕は出ないよ」

 

「あら、分かってるじゃない二人とも」

 

「・・・・・・もう好きにしてください」

 

 ガクッと凹んだ黒ウサギは今にも泣きだしそうである。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 フォレス・ガロのゲームの経由の話のときに分かったのだが、どうやら飛鳥さんたちも黒ウサギのコミュニティの惨状を聞いたらしい。

 

 それを知った黒ウサギは恥ずかしそうに頭を下げ、

 

「も、申し訳ございません。皆さんを騙すのは気が引けたのですが・・・・・・黒ウサギ達も必死だったので」

 

「もういいわ。私は組織の水準なんてどうでもよかったもの。春日部さんはどう?」

 

「私も怒ってない。そもそもコミュニティがどうの、というのは別にどうも・・・・・・あ、けど」

 

 思い出したように迷いながら呟く春日部さん。

 

 ジンはテーブルに身を乗り出して問う。

 

「どうぞ気兼ねなく聞いてください。僕らにできることなら最低限の用意はさせていただきます」

 

「そ、そんな大それたものじゃないよ。ただ・・・・・・毎日三食お風呂付の寝床があればいいな、と思っただけだから」

 

 その質問にジンの表情が固まったが、先に黒ウサギが嬉々とした顔で蛇神から手に入れた苗を持ち上げ、

 

「それなら大丈夫です! 十六夜さんと白亜さんがこんな大きな水樹の苗を手に入れてくれましたから! これで水を買う必要もなくなりますし、水路を復活させることもできます♪」

 

 一転して明るい表情に変わる。これには飛鳥も安心したような顔を浮かべた。

 

「今日は理不尽に湖へ投げ出されたから、お風呂には絶対に入りたかったのよ」

 

「それは同意だぜ。あんな手洗い招待は二度と御免だ」

 

「あう・・・・・・そ、それは黒ウサギの責任外のことですよ・・・・・・」

 

 召喚された僕以外の三人の攻めるような視線に怖気づく黒ウサギ。

 

 僕とジンは苦笑する。

 

「あはは・・・・・・それじゃあ今日コミュニティに帰るの? 黒ウサギ」

 

 僕は黒ウサギに言う。

 

 だってみんな早く帰ってお風呂入りたいオーラ出しまくりだし。

 

「あ、ジン坊っちゃんは先にお帰り下さい。ギフトゲームが明日なら〝サウザンドアイズ〟に皆さんのギフト鑑定をお願いしないと。この水樹のこともありますし」

 

「ッ!?」

 

 ――〝サウザンドアイズ〟。

 

 その言葉を聞いた瞬間頭に痛みが生じ、顔をしかめる。

 

「〝サウザンドアイズ〟? コミュニティの名前か? ――てか、大丈夫か? 白亜」

 

「だ、大丈夫。いいよ、続けて」

 

「おう、そうか。で、黒ウサギ〝サウザンドアイズ〟てのはコミュニティの名前か?」

 

「YES。詳しいお話は歩きながらでも。あ、白亜さんは無理をなさらないでくださいね?」

 

「うん。分かった」

 

 先程、痛みがあった頭に手を当てる。

 

 痛みはなくなったが、分かったことが一つ分かった。

 

 〝サウザンドアイズ〟・・・・・・多分これに関する何かが僕の記憶の鍵(・・・・・・・・・・・・・・・)になっている(・・・・・・)可能性がある。

 

 勘ではあるがそう思った。

 

 そして、先程の〝サウザンドアイズ〟の説明に入る。

 

「それで、〝サウザンドアイズ〟なのですが」

 

「直訳すると〝千の瞳〟か?」

 

「YES!〝サウザンドアイズ〟は特殊な〝瞳〟のギフトを持つ者たちの群体コミュニティ。箱庭の東西南北・上層下層全てに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますし」

 

「ギフト鑑定というのは?」

 

「もちろん、ギフトの秘めた力や起源などを鑑定する事です。自分の力の正しい形を把握していた方が引き出せる力はより大きくなります。皆さんも、自分の力の出所は気になるでしょう?」

 

 確かに出所は気になると言えば気になる。だけど、そこまで気にしたことはなかった。

 

 自分の力よりも記憶の方が最も気になる事項だったからだ。

 

 まぁ、ともあれ分からないものは仕方がない、と周りを見ると日は暮れて月と街頭ランプに照らされている並木道を、飛鳥は不思議そうに眺めて呟く。

 

 あ、ちなみに飛鳥とさん付けで呼んでいないのは先程「これから一緒のコミュニティで過ごすんだからさん付けとかじゃなくて十六夜君のように呼び捨てで結構よ」と言われたからである。ちなみに耀からも同じような事を言われた。

 

「桜の木・・・・・・ではではないわよね?花弁の形が違うし、真夏になっても咲き続けてるわけないもの」

 

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ。気合の入った桜が残っていてもおかしくないし…そもそもこの花が桜と同時期に咲くとは限らないだろ」

 

「・・・・・・?今は、秋だったと思う」

 

「え、冬じゃないの?」

 

 意見がかみ合わない。

 

 どういう事だと顔を見合わせて首を傾げれば、前の方から笑い声が聞こえた。

 

「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているです。もといた時間軸以外にも歴史、文化、生態系などなど、所々違うところがあるはずです」

 

「へぇ?パラレルワールドってやつか」

 

「近いですね。正しくは立体交差平行世界論というものなのですけども、今からコレの説明を始めると1日2日では説明しきれないのでまたの機会に」

 

 曖昧に濁して黒ウサギは振り返る。どうやら店に着いたらしい。

 

 商店の旗には、蒼い生地に互いが向かい合う二人の女神像が記されている。

 

 あれが〝サウザンドアイズ〟の旗なのだろう。

 

 そんな店の看板を下げる割烹着姿の女性店員が見え、黒ウサギは滑り込みでストップをかける。

 

 まぁ、日も暮れているし時間的には仕方のないことかもしれないが意外だ。

 

「まっ」

 

「待ったはなしです、御客様。うちは時間外営業はやっていません」

 

 流石は超巨大商業コミュニティ、押し入ろうとする客に対する拒み方もしっかりしてる。

 

 でも、こういう時に僕のギフトは役立つんだよね。卑怯だけど。

 

 と、ちょこっとギフトを使うとあわあわしている黒ウサギの前に立ち、

 

「すみません。ちょっとよろしいですか?」

 

 目の前の堅物な店員に声をかける。

 

「なんですか? 何と言われてもうちは時間外営業は――」

 

「あの、その時間外営業というのなんですが閉店時間までまだ一時間もありますよ?」

 

「そんな事あるわけないじゃないですか。馬鹿ですか? 貴方は」

 

「いや、本当ですよ。そこに書いてある閉店時間を見てくださいよ」

 

「え? ・・・・・・はっ!? 嘘!?」

 

 僕が指さす方にある店の看板を店員が見てみると確かにまだ閉店時間まで一時間もあった。

 

 卑怯な手とは、このように閉店時間を変える事。

 

 ただ単に閉店時間まであと一時間もあると想像すればいいだけ(・・・・・・・・・)

 

「ね、本当でしょ? まだ、閉店時間じゃないのに店を閉めるなんて――店員失格ですね」

 

「そ、そんな・・・・・・」

 

「というわけで入らせてもらいますね」

 

 と入店しながら、唖然としていた黒ウサギ達を手招きする。

 

 僕に手招きされ黒ウサギ達がこちらに駆け寄る。

 

 ちなみに店員さんは心ここにあらずと燃え尽きていた。

 

「白亜さん、あなたいったいなn」

 

 黒ウサギは今の状況が理解できなかったらしく、疑問をこちらに言ってきたがその言葉は最後まで続かなかった。

 

 なぜなら――

 

 

「いぃぃぃやほおぉぉぉぉぉぉ! ひさしぶりだ黒ウサギイィィィィ!」

 

 

 ――店内から飛び出て爆走してくる着物風の服を着た白髪ロリが黒ウサギにフライングボディーアタックを食らわして空中4回転半ひねりして街道向こうの水路まで吹っ飛んだから。

 

「し、白夜叉さま!? どうして貴方がこんな下層にいらっしゃるのですか!?」

 

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろうに! やっぱり黒ウサギは触り心地が違うのぉ! ほれ、ここが良いかここが良いか!」

 

 だが、黒ウサギが吹っ飛んだことよりも店内から飛び出してきた和装ロリの声、そして〝白夜叉〟という名前を聞き驚きを隠せなかった。

 

 

 なぜならば――――

 

 

「ちょ、ちょっと離れてください!」

 

 黒ウサギがブンッと和装ロリを引っぺがして頭を掴んで投げ飛ばした。

 

 跳んでくるそれを十六夜が足で受け止める。

 

「ゴバァッ! お、おんし・・・・・・飛んできた初対面の美少女を足で受け止めるとは何様じゃ!」

 

「十六夜様だぜ、和装ロリ」

 

 十六夜が笑いながら自己紹介し、足で受け止められた和装ロリがふとこちらと目が合った瞬間、

 

「ッ・・・・・・!?」

 

 彼女は目を見開き、固まった。

 

 それはまるで、ここにいるはずもない人物と会った(・・・・・・・・・・・・・・・・)時のような表情だった。

 

「ど、どう、どうして・・・・・・ハ、ハクがここに・・・・・・・・・・・・」

 

 彼女は目があったままそう呟く。

 

 目からは一筋の涙を流しながら。

 

 僕はそんな彼女に向かって苦笑で、

 

「・・・・・・ただいま、帰ってきたよ。白夜・・・・・・叉」

 

 そう言うと頭の中で今まで忘れていた記憶が一気に押し寄せ、その激流に意識がフェードアウトした。

 

 倒れる寸前にぼやけた視界で見えたのはこちらに慌てて駆け寄る白夜叉と十六夜たち。

 

 

 

――――彼女が、僕の隠された記憶の鍵(・・・・)だったから。

 





ここで、この作品のヒロインの白夜叉様が登場しました。

白夜叉様がラブコメ・・・
想像ができませんw
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