問題児が異世界で白夜叉とラブコメするそうですよ? 作:竜葵 時雨
学校が始まり、色々と忙しかったものですから
今後の投稿に関しても、このくらいの投稿ペースになると思いますのでご了承ください。
また、誤字脱字などを見つけた際は気兼ねなく知らせてくださると嬉しいです。
第5話
「し、白夜叉さま・・・・・・、白亜さんは大丈夫でしょうか?」
黒ウサギが恐る恐るといった感じで問うが、
「・・・・・・・・・・・・」
白夜叉は呆然と――一枚の障子に挟まれた隣の部屋の方向を見ていた。
隣の部屋では突然倒れた白亜が寝ている。
倒れてから数十分たったが未だに目覚める様子はない。
「し、白夜叉さま?」
「・・・・・・な、なんじゃ!? 黒ウサギ」
黒ウサギの二度目の問いは聞こえたらしく、白夜叉は慌てた様子で黒ウサギの方を向く。
「・・・・・・いえ、白亜さんは大丈夫かと」
「あ、あぁ、あやつなら大丈夫じゃろう。にしても黒ウサギ! 何故ここに?」
黒ウサギの問いにそう答え、話を変えるように黒ウサギに問うた。
「あ、いえ実はこの方々の――」
と、黒ウサギは隣の三人に目を向ける。
「おぉ、これは失礼した。改めて自己紹介しようかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えている〝サウザンドアイズ〟幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな、コミュニティが崩壊してからもちょく
ちょく手を貸している器の大きな美少女だと認識しておいてくれ」
「あ、はいはいお世話になっております本当に」
黒ウサギは苦笑ながらも投げやりな言葉で返す黒ウサギ。
どうやら白夜叉は白亜の件は一旦置いておくようだ。
「外門・・・・・・って何?」
春日部は首を傾げ問う。それに答えたのは黒ウサギ。
「箱庭の階層を示す外壁にあるもんですよ。一番外側から七けたの門、六桁の門、と内側に行くほど数字が若くなり、数字が若いほど同時に強大な力を持つものが住んでいるのです」
黒ウサギが説明しながら描く上空から見た箱庭の図を見て、最初に春日部が口を開く。
「・・・・・・超巨大タマネギ?」
「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」
「そうだな、どちらかといえばバームクーヘンだ」
三人の身も蓋もない感想に肩を落とす黒ウサギ。
そのやり取りを見た白夜叉はさっきまで思い詰めていた表情を緩め、呵々と哄笑を上げて二度三度と頷いた。
その白夜叉の様子に重かった空気も少しだけ軽くなった。
「ふふ、上手いこと例える。その例えならば今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。さらに説明するなら東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は〝世界の果て〟と向かい合う場所になる。あそこにはコミュニティに所属こそしていないものの、強力なギフトを持ったもの達が棲んでおるぞ――その水樹の持ち主のようにな」
薄く笑い黒ウサギの持つ水樹の苗に視線を向ける。
白夜叉が言っているのはあの馬鹿でかい大滝――トリトニスの滝を住処にしていた蛇神のことだろう。
「して、一体誰が、どのようなゲームで勝ったのだ? 知恵比べか? 勇気を試したのか?」
「いえいえ。この水樹は十六夜さんと・・・・・・白亜さんがここに来る前に、蛇神様を叩きのめしてきたのでございますよ」
「いや黒ウサギ。俺はただあの蛇をぶん殴っただけだ。とどめは白亜がさしたじゃねぇか」
黒ウサギの言葉に十六夜はそう答えるが、
(いや、ぶん殴るだけでも十分常識外ですよ・・・・・・)
そんな事を思う黒ウサギ。
「なんと!? クリアではなく直接的に倒したとな!? ではこの童は神格持ちの神童か?」
「いえ、黒ウサギはそうは思えません。神格なら一目見れば分かるはずですし」
「む、それもそうか。しかし神格を倒すには同じ神格を持つか、互いの種族によほどパワーバランスがある時だけのはず。種族の力でいうのなら蛇と人ではドングリの背比べだぞ」
この会話を聞くなり三人は首を傾げる。
「神格ってなんだ?」
「神格というのは種の最高のランクに体を変幻させるギフトを指します。例えば、蛇に神格を与えれば巨躯の蛇神に。人に神格を与えれば現人神や神童に。鬼に神格を与えれば天地を揺るがす鬼神と化します。また神格を持つことで他のギフトも強化させるため、箱庭にあるコミュニティのほとんどは神格を手に入れることを第一目標とし、上層を目指して力をつけているのでございますよ」
十六夜の質問に黒ウサギはそう答え、三人は納得した。
黒ウサギは「ところで・・・・・・」といった感じで白夜叉に、
「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」
「知り合いも何も、アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」
それを聞いた十六夜は物騒に瞳を光らせ、
「へえ? じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」
「ふふん、当然だ。私は東側の〝
小さな胸を張り、呵々と豪快に笑う白夜叉。
だが十六夜・飛鳥・耀は瞳を輝かせ立ち上がった。
「ふふ。ではつまり、貴女のゲームをクリア出来れば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」
「無論、そうなるのう」
「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けたぜ」
三人は闘争心を剥き出しにして白夜叉を見る。もとい睨む。
「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」
「え? ちょ、ちょっと御三人様!?」
慌てる黒ウサギに右手で制す白夜叉。
「よいよい黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えている」
(それに・・・・・・今の気持ちを紛らわせたいからの)
そう言いチラッと隣の部屋を見る。
だが、すぐに視線を三人に向ける。
「さて、そうか――――しかし、ゲームの前に一つ確認しておく必要がある」
白夜叉は着物の裾から〝サウザンドアイズ〟の旗印である向かい合った双女神の紋が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みを浮かべる。
「おんしらが望むのは〝挑戦〟か――――もしくは〝決闘〟か?」
刹那、三人の視界が一瞬白く染まる。
それも束の間、眼前には見たこともないような光景が広がっていた。
「「「・・・・・・なっ・・・・・・!?」」」
三人が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔――そして、水平に太陽が廻る世界だった。
あまりの異常さに、十六夜たちは同時に息を呑む。
遠く薄明の空にある星はただ一つ。
緩やかに世界を水平に廻る、白い太陽のみ。
まるで星を一つ、世界を一つ創り出したかのような奇跡の顕現。
呆然とたちすくむ三人に、白夜叉もう一度問う。
「今一度名乗り直し、問おうかの。私は〝白き夜の魔王〟――――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への〝挑戦〟か? それとも対等な〝決闘〟か?」
彼女の少女とは思えぬ凄みに、再度息を呑む三人だった。