問題児が異世界で白夜叉とラブコメするそうですよ?   作:竜葵 時雨

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今回からオリジナル要素が少しずつ増えていきます。



第6話

「私は〝白き夜の魔王〟――――太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への〝挑戦〟か? それとも対等な〝決闘〟か?」

 

 少女の笑みとは思えぬ凄みに、再度息を呑む三人。

 

 十六夜は背中に心地いい冷や汗を感じながら、白夜叉を睨んで笑う。

 

「水平に廻る太陽と・・・・・・そうか、白夜と夜叉。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるってことか」

 

「如何にも。この白夜と湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私がもつゲーム盤の一つだ」

 

「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤・・・・・・だと!?」

 

「うむ。して、おんしらの返答は? 〝挑戦〟であるならば、手慰み程度には遊んでやる。――――だがしかし〝決闘〟を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り闘おうではないか」

 

「・・・・・・っ」

 

 飛鳥と耀、そして自信家の十六夜でさえ即答できずに返事を躊躇った。

 

 自分たちに勝ち目がないことは一目瞭然だ。しかし自分たちが打った喧嘩を、このような形で取り下げるにはプライドが邪魔した。

 

 十六夜は諦めたように笑い、ゆっくりと挙手し、

 

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉。これだけのものを見せてくれたんだ。今回は黙って試されてやるよ、魔王様」

 

 後ろの飛鳥と耀も苦虫をかみつぶしたような表情で頷く。

 

「く、くく、では決闘ではなく試練を受けるということかの」

 

 一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギは、ホッと胸をなでおろす。

 

「も、もう! お互いにもう少し相手を選んでください! 〝階層支配者〟に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う〝階層支配者〟なんて、冗談にもほどがあります! それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」

 

「何? じゃあ元・魔王様ってことか?」

 

「はてさて、どうだったかな?」

 

 ケラケラと悪戯っぽく笑う白夜叉。ガクリと肩を落とす黒ウサギと三人。

 

「さてと、それはともかくゲームに移ろうかの」

 

 

 ◇◇◇

 

 

 ゲームの内容は先程風の如く現れたグリフォンの背に跨り湖畔を一周するというものだった。

 

 そのゲームに参加したのは、意外にも大人しい耀だった。

 

 そして現在、その誇りをかけたゲームは終わりに差し掛かっていた。

 

 そして勢いもそのままゴールし、その場の全員が耀の勝利が決定したその瞬間――――耀の手から手綱が外れた。

 

 その場のほとんどがその様子に焦りを感じたがそれも束の間、全員が絶句した。

 

 耀は湖畔の上で風を纏って浮いているのだ。

 

 ふわふわと泳ぐようにして飛翔した耀はしばらくすると十六夜たちの下へ戻ってきた。

 

 そんな彼女に三毛猫が駆け寄る。

 

『お嬢! 怪我はないか!?』

 

「うん、大丈夫。指がジンジンするのと服がパキパキになったぐらい」

 

 三毛猫をやさしく撫でる耀。その向こうでパチパチと拍手を送る白夜叉。

 

「いやはや大したものだ。このゲームはおんしの勝利だの。・・・・・・ところで、おんしの持つギフトだが。それは先天性か?」

 

「違う。父さんにもらった木彫りのおかげで話せるようになった」

 

「木彫り?」

 

 頷いた耀は、ペンダントにしていた丸い木彫り細工を取り出す。

 

 

白夜叉は渡された手の平大の木彫りを見つめ、急に顔をしかめる。

 

その木彫りに彫られていたのは中心を目指す幾何学模様、そして中心に円状の空白。

 

それを覗き見た十六夜は、

 

「やっぱりこの図形は系統樹を表しているのか白夜叉?」

 

「おそらくの・・・・・・ならこの図形はこうで・・・・・・この図形が収束するのは・・・・・・いや、これは・・・・・・これは、凄い!! 本当に凄いぞ娘!! コレは正真正銘〝生命の目録〟と称して過言ない名品だ!」

 

 興奮したように声を上げる白夜叉。

 

 そんな白夜叉に十六夜が問う。

 

「で、これはどんな力を持ったギフトなんだ?」

 

「それは分からん。今分かっとるのは異種族と会話ができるのと、友になった種から特有のギフトを貰えるということぐらいだ。これ以上詳しく知りたいのなら店の鑑定士に頼むしかない。それも上層に住む者でなければ鑑定は不可能だろう」

 

「え? 白夜叉様でも鑑定できないのですか? 今日は鑑定をお願いしたかったのですが」

 

 ゲッ、と気まずそうな顔になる白夜叉。

 

「よ、よりにもよってギフト鑑定か。専門外どころか無関係もいいところなのだがの」

 

 困ったように頭をかく白夜叉。

 

 すると、白夜叉の後ろから誰もいなかったはずなのに声が聞こえた。

 

 

「でも、せっかく試練をクリアしたんだし、コミュニティ復興の前祝いとしてアレあげたらいいじゃん。白夜叉」

 

 

 突然聞こえてきた声に白夜叉だけでなく、その場の全員が驚きその声の主を見る。

 

 そこには先程まで寝ていて、このゲーム盤にいるはずのいない望月白亜がいた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 目を覚ましたのはついさっきだった。

 

 ひとまず記憶の整理をする。

 

 取り戻した記憶は自分でも驚いたが、自分が箱庭にいた頃の記憶だった。

 

 今はまだ記憶を取り戻したばかりだからか、まだ断片的にしか思い出せないがある程度な事を取り戻せた。

 

 そして、記憶を取り戻すと同時に自分にかかっていた何かの封印が解けたような感じがした。

 

 多分、自分のギフトにかかっていた制限系の封印だと思う。

 

 ふと、周りを見るとこの部屋には自分一人しかいないようだった。隣の部屋に何人かの気配があるから隣の部屋にいるんだろう。

 

 布団から起きあがり隣の部屋との境である障子を開けるとそこには――――

 

「・・・・・・ん?」

 

 ――――誰もいなかった。

 

「誰もいない。おかしいな、気配はあるはずなんだが・・・・・・。もしかして、どこかのゲーム盤にでも入ったか?」

 

 はそう考え、まるで目の前の空間を切るように手を軽く振り下ろした。

 

 すると、何もない空間に裂け目ができ向こう側が見えるようになった。

 

 十六夜や黒ウサギ達が見え、白夜叉の姿も見えた。

 

 裂け目の中に入り、向こう側に進むと声が徐々に聞こえてきた。

 

 どうやらギフト鑑定の依頼を白夜叉にしようとしたが、それに対して困っているという光景だった。

 

 あいつは鑑定系とかホントにやったことないからなぁ。

 

 ここはひとつは助けてやるか。

 

 そう思い、誰にも気づかれないように白夜叉の後ろに立ち、

 

「でも、せっかく試練をクリアしたんだし、コミュニティ復興の前祝いとしてアレあげたらいいじゃん。白夜叉」

 

 そう俺が呟くと、驚いた顔でこちらを振り返る白夜叉。

 

 驚いた顔はロリになっても変わらず可愛らしくいじりたくなる・・・・・・と話がずれたか。

 

「ハ、ハク! もう大丈夫なのか!?」

 

「おう、もうばっちり。元気だぜ」

 

 その言葉に安堵の表情を見せる白夜叉。

 

「それに、曖昧だった記憶もある程度思い出したしな」

 

「「「「「は?」」」」」

 

 俺の言葉にまた全員が唖然とした表情をした。

 

「・・・・・・記憶ってどういうことだ?」

 

「ん? まぁ、それは話が長くなるからまた今度でいいか? んで、さっきの事なんだが」

 

「へ? あ、あぁそうじゃな。まあちょいと豪華な代物じゃが、受け取るがよい」

 

 白夜叉は気を取り戻し、白亜の案であるあるものを送った。

 

 パンパンと柏手を打つと、十六夜、飛鳥、耀。それに白亜の眼前に光り輝く計四枚のカードが現れる。

 

 カードにはそれぞれの名前と、体に宿るギフトを表すネームが記されていた。

 

 

 コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム〝正体不明(コード・アンノウン)〟。

 

 ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム〝威光〟。

 

 パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム〝生命の目録(ゲノム・ツリー)〟〝ノーフォーマー〟。

 

 スノーホワイトのカードには望月白亜・ギフトネーム〝天地創造〟〝月の幻想(ルナ・イルシオン)〟。

 

 

「それは・・・・・・ギフトカード!」

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「引換券?」

 

「ち、違います! というかなんで御四人様はそんなに息が合ってるのです!? それに白亜さんはこの〝ラプラスの紙片〟のことご存知ですよね!?」

 

「まあ、知ってるちゃあ知ってるけど。ここはこいつらに乗ったほうがいいかと思って」

 

「思わなくてもいいですよ・・・・・・。ともかく! このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!」

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

「だからなんで適当に聞き流すんですか! あーそうですそうです、超素敵アイテムなんです!」

 

 黒ウサギに叱られながら白亜を除いた三人はそれぞれのカードを物珍しそうに見つめる。

 

「我らの双女神の紋のように、本来はコミュニティの名と旗印も記されるのだが、おんしらは〝ノーネーム〟だからの。少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」

 

 そういう白夜叉に白亜が挙手して問う。

 

「・・・・・・なぁ、ちょっといいか白夜叉」

 

「ん? なんじゃハクや」

 

 白夜叉が白亜をハクと呼んだことに一瞬周りがキョトンとしたが次に俺がいう言葉に目が点になった。

 

「ちょっと聞きたいことがあるんだが」

 

「ん? なんじゃ??」

 

「あのさ、なんで俺のカードにはノーネームじゃないコミュニティも書かれてるんだよ」

 

 そういって自分の真っ白なギフトカードを白夜叉に見せる。

 

 白亜のギフトカードに描かれていたのは、名前とギフトネーム。

 

そして、大きな樹木の絵柄。

 

その樹木の絵柄の下には『コミュニティ〝ユグドラシル〟』。さらにその下に『コミュニティ〝ノーネーム〟』と書かれていた。

 

「え!?」

 

 そんな俺の言葉を聞いて、真っ先に反応したのは黒ウサギであった。

 

 彼女は白夜叉の隣からカードを覗き込み、

 

「な、なんですってーーー!!!」

 

 黒ウサギの叫び声が、広大なゲーム盤に響き渡った。

 

 





読んでいただけいただければ分かるとおり、
白亜君の口調、性格などが変わってしまいました。

簡単な原因↓
白亜君の記憶が一部封印されてしまい、その時に一緒に白亜君の感情、性格なども封印されてしまう。

大人しかった白亜君はいわば、仮の姿。


詳しいことは、追々わかるかも?
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