駒を操る劣等生 作:夕陽
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第4話
再びやって来た、『劣等生』の世界。
また、上空からだと思って、念動力で空を飛ぶ準備をしていたら既に地面にいたから拍子抜けした。
場所は、砂浜。綺麗な海が広がっている。
ってことは、現在沖縄だろう。
フム。太陽の位置は、午前中だな。
なら、どこかで達也が闘ってるのでは無いかと、周りを見てみると、達也が最後の1人を殴って退散させたところだった。
凄いな~ と見ていると達也がこっちに来た。
「どうした。何か用か?」
「いや、君の喧嘩の強さに感心してただけだよ。そういえば、名前は?」
「名前を聞くときは、自分から名乗るのが常識だぞ」
「おっと、すまない。俺は、雪柳闇夜だ」
「雪柳、闇夜?」
達也の表情が少し変わった?
どうしたんだろ?
「そうだ。闇夜 って呼んでくれ。名乗ったからそっちも名乗ってくれ」
「あぁ、すまない。俺は司波達也だ。俺も達也でいい」
「よろしくな、達也。……ところでその傷は放置しとくのか?」
「あぁ、勝手に治るからな」
「なら、俺が治してやるよ。『勝手』に治るのが速くなるだけだから、問題ないだろ」
そういって、袋から聖女を出して投げた。
「達也の怪我を治してやってくれ」
「判りました、マスター」
「マスターは止めろと言ってるだろ」
「すいません。闇夜」
「はぁ。 どうした、達也」
達也が、驚いた表情をしているのを見て問いかけた。
「……あぁ、治療にはどのぐらいかかる」
「う~ん。3秒あれば終わるよ。ほら、終わってる」
「本当だ。ありがとう」
「どういたしまして。闇夜、戻してくれる?」
「わかってる。『役目終わり』」
聖女が消えた。また、達也が、驚いた表情をしている。
どうしたのだろうか?
「達也、そこにいる女の子たちのところに戻らなくていいのか?変な男たちが近付いてるぞ」
「何!?」
「はぁ。俺が変な男たちを倒しとくから戻っとけ」
「わかった。……男たちを倒した後に話があるから来てくれ」
「うん? わかった。後で行くよ」
そういって、走った。
男たちとの距離は、大体5メートル。
その距離を0,0数秒で詰め寄った。
男たちは、身長180㎝超えの男ばかりで、全員筋肉質だった。
俺たちは、二人の可愛い女の子が寝ているのを見てイタズラしようと近づいて行ったら、急にガキが目の前に現れた。
「お前ら、あの子達に何やろうとしていた」
と、ガキが言ってきた。
「うっさい、ガキ!」
「ガキには関係ないだろが!」
「はぁ。まだあの子達に何かやろうとしてるんだだったら、潰すぞ」
「ガキが!出来るもんならやってみやがれ!」
そうって殴りかかった。
その瞬間、意識を失った。
俺は、殴りかかってきた男の懐に入り掌底突きで飛ばし他の男たちは顎殴って脳を揺らしたり、溝内にスピードを付けて殴ったりして全員を気絶さした。
「ふう~」
さて、達也の所に向かうか。
「速かったな、闇夜」
「まぁ、相手が弱かったからな」
「そうか。まず、闇夜に礼が言いたい。ありがとう」
「達也が、その女の子たちを守ろうとしていたのは、わかってたから教えただけだ」
「次はそれだ。どうして守ろうとしているのがわかった」
「驚いて注意を逸らした時を除いて常に気にしているみたいだったから」
「なるほど。 最後の質問は、どこに泊まる予定を立ててないならウチに泊まったらどうだ?」
「いや、悪いよ。確かに泊まる場所は決めて無いけど、達也たちは、旅行中だろ?」
「……どうして 旅行中だとわかった?」
「勘」
「……凄い勘だな。闇夜が喧嘩してる間に連絡を取ったら許可が出た」
俺が喧嘩してたのは、会話も含めてたった10秒程だ。その間に許可を得るとは凄い。
「……わかった。お世話になるよ」
「2人が起きるのを待っていたいんだが、いいか?」
「構わない」
それから2人が起きるのを待っていた。
10分程たった頃2人がほぼ同時に目を覚ました。
「……どれくらい眠っていました?」
「およそ2時間です」
「そうですか。そちらの方は?」
「雪柳闇夜といいます。よろしく」
「司波深雪です」
「四葉風雪です」
……四葉風雪?
原作ではいなかったキャラだな。
だけど、あの顔見たことがあるような気がするだよな。
…………誰かは思い出せないけど、俺 という原作にいなかったキャラがいるのだから他にもいて可笑しくはないか。
「それで、闇夜を泊めることになったのですが、よろしいでしょうか?」
「……お母様は何と?」
「構わない、と。寧ろ、聞きたいことがあるから連れて来なさい、と仰られました」
「そうですか。では帰りましょう。風雪もいいわよね?」
「えぇ」
知らない人がいきなり泊まると言われれば、不機嫌になるか。
気まずかったので、達也と話しながら向かった。
場所が変わって、四葉家の別荘。
「初めまして。雪柳闇夜です」
「……司波深夜です。早速なのだけど、雪柳くんには聞きたいことがあるの」
目の前に座っているのが、司波深夜。または四葉深夜。系統外魔法 精神干渉系魔法の使い手。しかも、最高ランクの。
「聞きたいこと?なんでしょうか?」
「貴方、直接四葉真夜に会ったことがあるかしら?」
知っている前提らしい。
「ありますよ。3日間程の付き合いですが、その程度のことなら知っています」
「桜井さん、真夜に繋いでちょうだい」
と、後ろに控えていた女性に声をかけた。
真夜と電話するらしい。
女性は、すぐさま壁にある端末を触り、モニターに電源を入れた。
すると、
「なぁに、深夜。あら……」
「久しぶり、真夜。元気そうだな」
真夜が、写った。
「久しぶり って。闇夜、この30年間何処にいたの?あの後、探したけど何処にもいないし」
真夜が、俺を咎めるような視線を送ってくる。
表情に若干の安堵が含まれていた。
どうやら、心配してくれたようだ。
「それはその、申し訳ない」
「……何でここでお父様と同じこと言ってるの?」
「何となく。まぁ、それに関しては悪かった」
「真夜、彼は本物ということでいいのかしら?」
「ええ、多分本物よ。姿が変わって無さすぎるのが気になるけど」
「そこよ。真夜から聞いた話だと、あの頃の私たちと同じくらいの歳だったと聞いたわ」
「それなら駒出しましょうか?」
「「「駒?」」」
「真夜が、わかればいいんだろ?だから今は気にしない」
「……そうね。駒とやらを出してちょうだい」
袋から兵士を7基出し投げた。
部屋に更に7人増えた。
その内1人が、
「闇夜、用もないのに呼び出さないでくれって言ってるだろ」
「すまないね、文句はこの部屋にいるやつに言ってくれ」
「なら、しょうがない。用が終わったらさっさと戻してくれよ」
「勿論」
「「「「「…………」」」」」
「……30年前に比べて饒舌になってない?」
「伊達に修行していません」
部屋の端で駒たちが集まって何か話し合っていた。
「真夜、そろそろ駒に戻していいか?」
「……いいわよ」
「ありがと、『役目終わり』」
部屋の端にいた駒が消えた。
「もういいか?」
「ついでだからもっと何かやってよ」
……真夜のキャラが崩壊してる。
後は念動力でいっか。
「わかった。これで、終わりな」
まず、近くにあったコップを浮かす。
次に、部屋の中にいる人を全員空中に浮かせる。
最後に、家を浮かせてみたが、部屋にいる人は皆気が付かなかった。
そして、家を降ろし、浮いている人を床に降ろし、コップも降ろした。
「この場で出来ることはこのくらいだと思うのだけど、信じて貰えたかな?」
「闇夜で間違いなさそうね。駒を人間にする魔法、誰もが使えないわよ。それに、宙に浮かせることも出来るしね」
「真夜もこう言ってるし、信じるとするわ」
「なら、ここに泊まってもいいんですか?いい忘れてましたけど駒以外持ってませんよ?」
「そるくらいなら構わないわ。貴方には、真夜を救ってくれた恩があるもの」
……ここまで親切だと、何か裏があるような気がする。
でも、予知が発動しないから危険なことはないんだろけど……。
急に黙りこんだ俺に真夜が、
「そうそう。闇夜、そこの風雪は、私の娘よ」
「あぁ!誰かに似てると思ったら、真夜に似てたのか!」
「……私は、30年の間に忘れられるほど印象が薄かったのね」
本当は5年と4ヶ月だと知ったらもっと傷つくよな。
何とかフォローせねば。
「い、いや 真夜が、子供産んでるとは思わなかったんだよ。ほら、あの事件で男性恐怖症になってると思ったから」
あまりフォローになっていなかったのが、気付いて話を戻すことにした。
「そ、それで風雪とは仲良くすればいいのか?」
「ええ。あと、手を出しても構わなくってよ」
「結構だ!!」
そう叫んで、端末の電源を切った。
それから、遅めの昼御飯を食べた後、与えられた部屋に行こうとすると、
「闇夜さん、少しいいですか?」
桜井さんに呼び止められた。
この場にいるのは、俺と桜井さんだけ。
他は、自分の部屋に行っちまった。
「何でしょうか?それと、さん付けは止めてください。桜井さんの方が年上なんですから」
「……なら、闇夜くんでよろしいですか?」
「構いません」
「わかりました。……もし良ければ、この30年の間の四葉ことについてお話ししたいと思いまして」
「ありがたいですね。是非、お聞かせ願いますか?」
「それでは、まず、30年前の時点で既に真夜様救出と復讐は貴方によって行われていました。この結果、四葉は戦力を失うことは無かった。あくまでも推測のはなしなのですが、復讐を四葉で行おうとしていれば、相当の戦力を削られたと思われます」
「当時、戦略級の魔法師がいなければ、そうなっていたでしょうね」
実際、原作では戦力の半分と当主を失っていた。
てか、戦力の半分失っても十師族としていられるなんてスゴい。
「そう、戦略級の魔法師です。貴方は現在でも世界中で恐れられている戦略級魔法師となっています。あの事件の復讐を行ったのが、日本の魔法師だということが世界中に知られました。だからこそ敵国からの報復もなく四葉の味方をしたともみえる貴方を恐れているからこそ国内からの非難も最小限に済みました」
四葉を感心していると、そんな言葉が聞こえました。
……どうやら、俺は戦略級魔法師になって世界中に恐れられているみたいだ。
あ、だから名乗ったとき、達也が表情を変えたのか。
表情を変えた原因は、驚きと警戒心だろうな。
っていうか、俺は困るんですけど~。
「30年も表に姿を表さない人をずっと恐れているというのも信じられないのですが……。失礼ですけど、本当の話ですか?」
「本当です。たった3日で、実質たった1人で、国を滅ぼしたのですから、他の国が恐怖するのも可笑しくはないと思いますけど」
「それはそうかもしれませんが、それで俺にどうしろと?」
「どうしろとは言いません。ただ、私個人としても四葉と敵対して欲しくは無いだけです」
「勿論そのつもりです。それと、他の十師族との関係はどうなっていますか?」
だってさぁ、達也と敵対したら『雲散霧消』で、消されてしまう。俺は別に不死身ってわけではないし。
まぁ、聖女と同化しているときに限れば元通り回復するだろうけどな。
それでも、消されたくはない。
「関係ですか?……現在四葉が頭一つ抜きでています。七草とは、仲が良い訳でもありませんが、険悪な訳でもありません。他も似たり寄ったりです」
「そうですか、よくわかりました。ありがとうございます。……いい忘れていましたけど、お昼御飯美味しかったですよ」
そういって部屋に行き、占い師の駒を投げ、自分の未来がどうなるか占って貰った。
因みに、『これから良いことが起き、その後悪いことが起きるであろう。良いことに関しては、心の準備が必要である。悪いことに関しては、人を殺さなければならないだろう』と言われた。
どのような心の準備をすればいいのか聞くとはぐらかされた。
達也たちがクルーザーに乗ってセーリング行くらしいので、ついて行こうとすると深雪が不満気にこちらを見ていたので止めた。
クルーザーが沖に行くを見ていると、今達也たちが乗っているクルーザーに魚雷が接近するのが、『見えた』。
仕方がないので空中を飛んでクルーザーを追いかけた。
暫くすると、クルーザーから、『通信不良』
言う声が聞こえ、魚雷らしきものがクルーザー目掛けて向かっているのが、わかった。
そこで、念動力を使い魚雷を止め、海中から空中へと持ち上げてみた。
魚雷に近づいてみても何もわからなかった。
その様子を見ていた達也が、声をかけてきて状況を説明され、ここにいる理由を聞かれた。
因みに、潜水艦は捕まえてもよかったが、面倒だったのでそのまま逃がした。
その日の内に四葉の別荘に軍の人が訪ねてきた。
俺はあのクルーザーに乗って無かったが事情を説明の為にリビングに呼ばれた。
軍人の風間春信大尉と桜井さんの口論が、ヒートアップしていく。
風間大尉が、急に達也に話を振った。
「――君は何か気づかなかったか」
「目撃者を残さぬ為に、我々を拉致しようとしたのではないかと考えます」
「なぜそう思う?」
風間大尉は、面白そうに達也を見た。
「クルーザーに発射された魚雷が、発泡魚雷だったからです」
「発泡魚雷?何ですか、それ?」
深雪と風雪が一緒に首を捻っているのを見ていると、桜井さんが達也に訊ねた。……まぁ、俺もわかんなかったから知りたいんだけどな!
「化学反応で大量の泡を長時間作り出す薬品を弾頭に仕込んだ魚雷です。泡で満たされた水域ではスクリューが役に立たなくなります。重心の高い帆船ならば転覆する可能性も高い。そうして相手を足止めし、事故を装って乗組員を捕獲することを目的とした兵器です」
「良く知っているな」
「それに、クルーザーの通信が妨害されていましたから。事故を偽装する為には、通信妨害の併用が必須です」
「事故を装った拉致で間違いなさそうだから、質問は終わりだよな。それよりも何で質問しにきたの?発泡魚雷を軍に渡してるんだから、今さっき達也がした仮説が軍が建てれないわけないよな?」
つい、言葉を挟んでしまった。
「確かにその仮説はあった。だか、君たちの陰謀の可能性もあがった。だから、こうして訪ねてきた。理解していただけたかな?」
「あぁ、理解した。だが、それだけが理由なわけないよな?」
「その通りだ。……君は出発の際には、クルーザーには乗っていなかったようではないか。いつ、どこで、どうやって乗った」
「……それだけですか? 発泡魚雷を捕まえた後。帰り道。空を飛んでいたのでそのままクルーザーに降りました。これで質問は終わりですか?」
「……」
「大尉さん、そろそろよろしいのではなくて?私たちに、大尉さんのお役に立てるお話はできないと思いますよ」
ずっと沈黙していた深夜が、退屈そうに、尚且つ抗い難い声でそう話しかけた。
風間大尉は、そこに拒絶の意思込められていることに気付き、
「そうですな。ご協力、感謝します」
と、立ち上がり敬礼をしながら言った。
風間大尉のお見送りに、達也と深雪が出たので俺もついでに出た。
出てみると体格の良い兵隊2人の内1人が達也の顔を見て目を見張っていた。
「なるほど」
風間大尉は、訳知り顔で頷いた。
「ジョーを殴り倒した少年というのは君だったのか」
……何の話?
「その若さで裏当てを修得しているとは驚くべき天分だな」
『裏当て』?どっかで聞いたことのある名前だ。
……どこだったかな~。
と、考えていると、達也が軍の基地を訪ねて来てほしいと言って、車に乗り込んでいた。
その後は、夕食を食べ、思い思い自分の好きなことをして過ごした。
お読みいただきありがとうございます。