駒を操る劣等生 作:夕陽
駄文です。
誤字脱字や不適切なところがありましたらご報告していただけると幸いです。
俺が居候し始め、約1週間したある日。
朝食を食べ終えた時、全ての情報機器から緊急警報が流れ出た。
警報の発令元は国防軍。
つまり、外国からの攻撃。
めんどくさかったので、忍者の駒を3基出して投げた。
1人には、国防軍の基地の内部、2人には、町の様子を伺ってきて貰った。そのときに敵に会ったら攻撃をしてこない限り手を出すな。攻撃してきたら、捕らえて情報を引き出して殺せ、と言っておいた。
その後、国防軍のシェルターに避難して貰えるようになり、移動した。
だが……、
「銃声だな」
「闇夜にも聞こえたか……。それも拳銃ではなく、フルオートの、おそらくアサルトライフルだろう」
「そうか。だが、少なくとも銃声が聞こえる範囲にいるとなる。かなり内陸部まで攻め込まれているな」
「状況はわかる?」
「いえ。ここからでは……この部屋の壁には、魔法を阻害する機能があるようです」
「どうやら、古式の結界術式が施されているようね。この建物全体が、魔法的な探索を阻害する式に覆われているみたいね」
「駒はまだ帰ってこないし、俺が外の状況確認してくる」
「駒を使わないのか?」
「一般人の前で使うわけにはいかないからな。達也、風雪を頼んでいいか?」
「それはいいが、大丈夫か?」
「問題ない、行ってくる」
「待ちなさい。達也、貴方も行きなさい」
「……しかし、状況がわからぬ以上、この場が危害が及ぶ可能性が無視できません。今の自分の技能では……」
向こうで話してるけど、今は風雪の説得かな。
今も、心配そうにこっちを見てるし。
「闇夜、危ないです。……ここに残って下さい」
「風雪、心配するなよ。俺は、死なないし、お前も守ってやるから」
そういうと、風雪の顔が赤くなった。
何でだ?
「わかってくれたか?」
「はい、わかりました。ですが、きちんと戻って来てください。……私のところに」
「ああ、勿論だ」
最後の方はよく聞こえなかったが、まぁ 大丈夫だろう。
その時、兵士たちが、アサルトライフルで深夜、深雪、桜井さん、そして風雪を撃っている姿が『見えた』。
これは、一応注意をしといた方がいいな。
「桜井さん、もし兵士たちがこの部屋に入ってきたら警戒してください」
「? なぜです?」
桜井さんは、不思議そうに聞いてきた。
「勘ですが、兵士の一部は相手側に寝返っていると思われるからです」
「……わかりました。警戒するようにします」
「ありがとうございます。桜井さん、お願いしますね」
「闇夜、行くぞ」
そして、シェルターを出た。
指令室に向かっている途中に忍者が戻ってきたので達也に先に行ってもらって報告をきいた。
報告が終わると
「……ご苦労様。『役目終わり』」
駒を戻した。
その直後、銃声が微かに聞こえた。
多分、風雪たちのいるシェルターの方からだ。
千里眼で風雪たちを見てみると、銃で撃たれて血が出ていた。
俺は、とにかくシェルターに戻るため走った。
達也と来たときの3倍に近い速さで戻った。
入口で達也と合流した。
達也も焦っている様子だった。
多分、俺の方が焦っているように見えるだろうが、達也も相当焦っているのが、わかった。
部屋に入ると同時に聖女の駒を投げ、直ぐに同化した。
俺は風雪の元に、達也は深雪の元に移動した。
聖女の力を使い、風雪を回復させた。
「……う、ん、闇夜?」
「風雪、良かった。……本当に間に合って、良かった」
風雪が意識を取り戻した。
思わずそう言いながら、抱きしめた。
何故だろう、大丈夫だとわかっていても酷く不安で仕方がなかった。
「い、痛い、です、闇夜。……助けてくれてありがとう」
「あ、ごめん。こんぐらい何でもねーよ」
無意識の内に力一杯抱きしめていたからか、風雪が苦しそうな声を出していた。
その声で少し冷静になれた。
深夜と桜井さんを聖女の力で回復させた。
桜井さんは、意識を取り戻したが、深夜は意識を戻さなかった。
だが、これでいいはずだ。
向こうでは深雪が達也にあま~い視線を送っていた。
一応原作通りになってるのか。
さて、これからどうなるかな……。
「すまない。反逆者を出してしまったのは、完全にこちらの落ち度だ。罪滅ぼしにならないだろうが、望むことがあれば何なりと言ってくれ」
俺と達也に向かい合う風間大尉。
頭を下げる風間大尉に対し、
「頭を上げて下さい」
と達也。
凄いな、ほんと。
「では、正確な状況を教えて下さい。敵は、大亜連合ですか?」
「確証はないが、恐らくそうであろう」
会話に入らして貰おう。
「間違いありませんよ。軍の反逆者は、大陸の術者にそそのかされていた。それと、まだ軍の内部、それも上の人も裏切る可能性がある」
「……どこで調べた、その情報」
「秘密です。それと大陸の術者は、皆には先生と呼ばれる長髪の中国系の美麗な青年です。後、この事は誰にも言わないで下さい」
「了解した」
忍者に聞いた情報と原作の知識を合わせながら話を進めた。
「それと敵は、名護市北西の海岸に潜水揚陸部隊が既に上陸を果たして、ゲリラは元々数が多く無かったこともあり既に大半を制圧済み。ただ、数が多い大亜連合は痛くも痒くもないだろうけど。それに、今目につく軍の反逆者はもう既に片付いている。……今こんな状況ですよね、風間大尉」
「……ああ、合ってる」
風間大尉を含め全員が驚いていたが、達也が気を取り直すように咳払いをして続けた。
「……次に、母たちをこのシェルターよりも安全な場所に保護して下さい」
「防空指令室で保護しよう。ここの2倍の装甲の強度がある」
「では最後にアーマースーツと歩兵装備を一式貸していただきたい。消耗品なので、返すことは出来ませんけど」
……やっぱり、行くよな。
表情に出てはいないが、かなり怒っているのがわかる。
まぁ、俺も同じなんだが。
「……何故だ?」
「彼らは深雪に手を掛けた。それならば、その報いを受けさせなければならない」
「俺も婚約者に手を出されて黙っていられるほどお人好しではない。風間大尉、俺も行きます」
「君たち、2人で行く気か?」
「俺たちが行うのは、あくまで個人的な報復です」
「それはそれで構わない。復讐心を持って戦うにしても、それが暴走しない限り問題はない」
睨んでくる風間大尉。
それを真正面から受ける。
次に、達也にその視線を向け、達也とも視線を交えた。
「司波達也、雪柳闇夜。君たちを、我々の戦列に加えよう」
「軍の指揮に従うつもりはありません」
「ですが、敵が同じで、敵の殲滅という目的が同じであれば、各々の護るものを護るために、肩を並べて戦いましょう」
「いいだろう。真田、アーマースーツと白兵戦装備をお貸ししろ!」
リストバントの重りを常に『10㎏』だったのを『重さなし』に変えた。
「桜井さん、妹を頼みます」
「風雪をお願いします」
桜井さんに告げ、真田中尉の後を追った。
2人が出ていった。
「よろしいのですか?」
「何がです?」
「いくら2人の腕が立つといっても、戦闘と戦争は全く違います、それも最前線です。怪我ではすまない事態も起こりえます」
「!」
そうよ!
闇夜の強さはよく知ってる。だけど、戦争はいつ何が起こるかわからない。
始めは、お母様が強引に言い出した婚約だったけど、話すうちどんどん惹かれていった。
ショッピングで最早死語であるナンパに会ったとき、自然に助けてくれた。
さっきも、私を助けてくれた。
抱き締められて、少し苦しかったけど、それ以上に嬉しかった。
私に手を掛けられて怒り報復をしようとしてくれるのは、もっと嬉しかった。
な、何考えてるの、私は。
でも、その闇夜が危険なところに行く。
私は、思わず部屋を飛び出した。
途中に、深雪と達也くんがいたがほとんど目に入って来なかった。
「闇夜!!」
「…………少し、いいですか」
真田さんに短く告げると、少し距離を取ってくれた。
気を使ってくれたのかな?
「風雪、どうした?」
「どうした、じゃありません!何故、危険な場所に行くのですか」
「言っただろ?婚約者であるお前を傷付けた敵を俺は絶対に許さない」
私のことでこんなに怒ってくれる闇夜が、とても嬉しい。
だけど、今は戦場に向かわせてはならない。
「駒を使えば、いいじゃないですか!駒を使えば、闇夜自身は戦場に行かなくても――」
「俺は、自分の手で風雪に危害を加えた敵に報復すると決めたんだ。……それに駒だって万能ではない」
また、闇夜が嬉しいことを言ってくれた。
……駒は万能にしか見えないけど。
どういうことか聞きたかったですが、それより戦場に向かうのを止める方が優先です。
「駄目です!ど、どうしても行くのなら婚約を破棄します」
!
私は、何てことを……。
離れることなんて全く望んでいないのに……。
むしろ、ずっと傍にいてほしいのに……。
でも、これで思い留まってくれる。
彼にとって望まない婚約ではあっただろうが、この数日闇夜と過ごして、きっと彼も私のことを憎からずと思ってくれていると信じていた。
「そうか、破棄したいのであれば破棄してくれて構わない」
だからショックだった。
何の躊躇いもなく、答えたことに。
この思いが通じなかったことに。
「そんな。あ、闇夜?」
「良くはないよ。少しずつ、風雪のことを大切に思ってきた。気付かぬ内に風雪に惚れていた」
凄く、嬉しい。
何か、胸が暖かくなる。
嬉しくて何も言えない私に、闇夜が続けて言った。
「だが、だからこそ今行かなければならない。ここで行かなければ俺は、俺を一生赦せない」
闇夜が、忠誠を誓う騎士のように片膝を立て、座った。
「これは俺の覚悟になるんだが……」
私の手を取り、手の甲にキスをした。
「俺は、風雪を護るために敵を殲滅くる」
立ち上がりながら、
「もし風雪が良かったら俺を待っていてくれ。俺の帰る場所でいてくれ」
その覚悟を受けて
「わかりました。婚約は破棄しません。だから……私の元に帰って来てください!死ぬことも怪我をすることも許しません!」
そして、キスをした。
唇を離すと、顔が赤く染まっているのが、自分でもわかった。
闇夜は驚いている。
「参ったな。元々死ぬ気が無かったのに、尚更死ねなくなった」
言いながら、頭を少し掻いていた。
今度は、闇夜からキスをしてくれた。
唇を離すと、闇夜が耳まで真っ赤になっていた。
きっと私も同じくらい赤くなっている。
「行ってくる」
「約束きちんと守って下さいよ」
「勿論、きちんと風雪のところに怪我をせず戻るよ」
私に囁いて闇夜は行ってしまった。
「お待たせして申し訳ありません」
私たちがさつきまでいた部屋に戻った私は、まずそう謝った。
「大丈夫ですよ、深雪もついさっき帰ってきたばかりですし」
深夜様はそうお答えなったけど、かなり怒ってるようだった。
私たちが護衛もいないのに歩き回ったからだろう。
「それでお2人は、何処に?」
「お兄様と闇夜さんは、軍と共に敵を迎撃すると……」
「……そんな危険なことするなんて。……お待たせしました。ご案内くださいな」
深夜様は、一瞬心配そうな表情をしたけれど、すぐに表情を戻した。
その後、防空指令室に案内された。
「盗聴器やカメラの類はありません」
桜井さんがそう告げたあと、コンソールを操作し始めた。
それを眺めていると、
「お母様、教えていただきたいことがあります。お兄様が先程、本当に大切だと思えるものは私だけだ、と仰いました。……何故『大切なもの』ではなく、『大切だと思えるもの』なのか、理由をお訊きしたところ、お母様に教えていただくように、と……」
「達也がそんなことを……。そうね、そろそろ教えてあげてもいい頃かしら」
深雪にあの事を話すのが、わかった。
「でも、その前に一つだけ。深雪さん、貴女はこれから先、ずっと達也の味方であってあげてほしいの」
深夜様のそんな言葉から始まった。
「……達也は魔法師として欠陥を持って生まれました。あの子をそのように産んであげれなかったことには責任を感じます。しかし、あの子が欠陥があるのは事実」
お母様の表情は悔いているようで、本当に責任を感じているように私には見えた。
「あの子は生まれつき、2種類の『魔法』しか使えません。情報体を分解することと、再構成すること。達也はその概念の範疇なら様々な技術を生み出し、使い分けています。でも、達也にはこの2つのことしかできない、魔法師の本領である情報体を改変することが出来ないのですよ」
お母様の見ている先には私はいない。
「魔法とは、情報体を改変し、事情を改変する技術。でも達也にはその技術がない、それができない。本当の意味で、魔法を使う才能を持たずに生まれてきた達也は、魔法師としては欠陥品なのです」
お母様の表情から私が読み取れるのは、後悔。
……きっとお母様が見ているのは、過去のお兄様とお母様。
「そして、わたしたちは十師族に名を連ねる四葉の魔法師。そして、魔法が使えない達也では四葉では生きていけない。……真夜はそれでも構わないと言ったけど他の人間は、それを許さなかった」
「だから、達也が9歳になる年に、私と真夜は達也に手術を施すことにしました。……勿論、全ての可能性を説明し、決定権を達也に委ねました」
「……人造魔法師計画。魔法師ではない人間の意識領域に、人工の魔法演算領域を植え付け、魔法師としての能力を与えるプロジェクト。ただし、これには感情を失う可能性がありました。そして、それも含めて達也に問うと、すぐに答えました」
感情を、失う?
だからお兄様は……。
「……お兄様は、何とお答えになられたのですか」
「『手術をしてください』と。理由を訊くと、『魔法師としての技術は必要かもしれません。ですが、自分は感情を消して欲しいです。『再生』を使うとき、感情があるとその激痛に耐えることが出来ません。もしもそれで深雪を救うことが出来ない時がくれば、自分はそちらの方が耐えられない』……そう言っていました」
私のために……。
「そして、手術の結果達也は感情を失いました。……いえ、感情というよりも衝動の方が適切かしら。強い怒り、深い悲しみ、激しい嫉妬、そういう『我を忘れる』ような衝動を殆ど失い、達也は魔法を操る力を得ました」
「そうして、得た魔法演算領域も先天的な魔法演算領域の性質より劣っていました。そこで達也を貴女のガーディアンにしました」
「お兄様は……全ての感情を失ったのですか?」
「いいえ、あの子に残った衝動は『兄妹愛』。貴女を愛し、護ろうとする感情。それだけが、あの子の中にある本物の感情なのです」
私は……。
今までお兄様にどんなことを言ってきた?
今までお兄様をどのように扱ってきた?
「だからこそ、深雪さんにはあの子の傍にいてあげてほしいの。言うまでもないけど、四葉は強大よ。現当主が達也を認めていても、その下の大半の人間たちは認めていない。だから、達也の傍にいてほしい、その『資格』を持っているのはもう深雪さんだけなのですから」
……私の命すら、お兄様から頂いたものだというのに。
傍にいるだけで、それが返せるでしょうか。
私は……。
俺は、空中から敵の背後に回り剣士の駒を同化した。
俺が海から、達也が陸から、挟み撃ちして敵を殲滅する。
これが俺と達也が考えた作戦だ。
「撃て!蜂の巣にしてやれ!」
『ズガガガガガガ!』
俺は、剣士の駒が持っていた短剣で飛んでくる銃弾を斬っていた。
「こ、こいつ弾を斬ってやがる」
「いいから、撃て!」
「駄目です。当たりません」
「クソ!化け物め!」
兵士たちはムキになって乱射してくる。
キリが無さそうなので、短剣をしまい、ナイフ型のCADを1つ取りだし
「俺の大事な人に手を出したお前たちには、『死』しか選択肢はない!」
と言いながらナイフ型のCADにサイオンを流し込んだ。
すると、CADが水を纏って大剣程の大きさになった。
敵は、愕然としているようだ。
一瞬で、敵に近づいて斬りつけた。
近くいるものは切られ、遠くにいるものは大剣から飛んでいった水に射たれて死んだ。
大剣は少し小さくなっていた。
近づいて斬り、近づいて斬りを繰り返していると、CADに付いていた水がなくなった。
「そろそろ達也と合同するのかな?」
そう呟くと同時に見えてきた集団。
逃げる兵士を、こちらに追い詰めている魔法師。
右手を向ければ、敵が消える。
倒れている味方に左手を向ければ、次の瞬間には何事も無かったように立ち上がる。
十中八九達也だな。
俺は、もう1つのナイフ型のCADを取りだし、サイオンを流し込んだ。
逃げている敵に向かって見えない速度で数回振ると敵がみじん切りになった。
達也と協力して敵を全て殲滅した。
達也の前に移動した。
「無事だよな、達也」
「お前こそ、闇夜」
「勿論、約束したからな」
「闇夜がいなかったら、多分全滅とはいかなかっただろう。礼を言う」
「それはこっちの台詞だな。達也がいたからこそ、此方に回れたんだ」
「それにしても、その『駒付き』CADよく完成させたな」
「いや、まだ未完成だ」
「そうか?充分な完成度だと思うけど……」
「使った駒は一番解析が簡単な兵士の駒。しかもCADに付けた能力より劣っていた」
「……そうだな。今度は俺も手伝ってもいいか?」
「勿論!」
しばらくこんなやり取りをして、拳をぶつけた。
だが、気を抜くのはまだ速かったらしい。
「伝達です!敵艦隊別動隊と思わしき艦影が粟国島に接近中!高速巡洋艦六隻駆逐艦十隻!僚軍の迎撃も間に合わず!20分後に敵艦砲射程内と推測!至急退避せよとのことです!」
……原作より多い。
もしかして俺という戦略級魔法師を恐れが、マイナスに働いたのか?
「通信機をかせ!」
「ハッ!」
原作通りならまだこのCAD 2つで何とかなったかも知れないのに……。
お、通信終わった。
「予想時間20分後に当地点は敵艦砲の有効射程内に入る!総員、内陸部に避難せよ!」
「特尉、君たちも早く基地に帰投したまえ」
「敵巡洋艦の正確な位置がわかりますか?」
「それはわかるが……真田!」
とりあえず、俺は時間稼ぎでもしようかな。
「達也、俺は時間稼いでおく。お前は、何らかの手段があるんだろ?後で連絡してくれ」
「待て!……危険だぞ、少なくとも準備に10分はかかる」
「だから、なるべく早くしろってこと。早くしねぇと俺が全部沈めてしまうかもしれないな」
そう言って、俺は海岸へ走っていった。
勿論、全力で。
達也たちは、砂埃が舞っているなかで話していた。
読んでいただきありがとうございます。