天晴、八雲、凪、風花、霞の五人は先祖代々忍者の家系の従兄弟で、ラストニンジャと呼ばれる
ラストニンジャとは戦国時代、五人の先祖の忍者に倒された武将が妖怪となった最強の敵・
しかし、牙鬼幻月が復活するかもしれないと知り、好天の息子で天晴と風花の父である
ちなみに忍者一番刀に変化忍シュリケンと呼ばれるシュリケンをはめるとそれぞれニンニンジャーの戦士に変化することができ、強力な力を使うことができるようになる。
だが、そのためには基礎がしっかりしていなければならない。そこで五人は毎日のように修行を重ねているのだが、風花の戦績がどうにも芳しくなかった。
「やっくんや霞ちゃんは既に基礎の忍法を使いこなせているし、お兄ちゃんも失敗することはあるけどパワーは一番ある。それに凪ちゃんも成功率は上がってきた。なのに私だけ」
さっきから風花は下を見て動かない。足元を見ていると、激しい動きをしているにも関わらず霞の装束には泥がほとんどついていないことにも気付いてしまい、更に落ち込む。
「私は風ちゃんが弱いとは思いませんよ」
凪が淹れたお茶を一口飲んで霞は言う。その言葉に思わず顔を上げる風花。そこでようやく凪が自分の前にいたことに気付く。風花は凪から湯呑みを受け取り、霞の言葉に耳を向ける。
「勿論、まだおじいさまはおろか、タカくんにもかないませんが、風ちゃんには風ちゃんの良さがありますよ」
「霞姉、それは風花を褒めているのか?」
八雲が首をかしげる。霞の励ましの言葉の思わぬ棘に相手は時々戸惑ってしまうのだが、霞はその点に関してはどうにも鈍感で、今回も八雲がどういう意味でそんなことを言っているのかよくわからなかった。
「はい。それが何か」
「いや、いい……」
八雲が手を挙げて話を終わらせるが、風花の中で話はまだ終わっていなかった。
「ねぇ、霞ちゃん、私の良さってどういうとこ……」
風花が理由を尋ねようとしたその瞬間、屋敷の中から蛙の声が鳴り響いた。
「妖怪か!」
天晴が威勢よく立ち上がり、声のほうへ向かう。蛙の正体は忍者一番刀に並ぶニンニンジャーの武器であるガマガマ銃だった。この銃は街に現れた妖怪に反応して本物の蛙のように鳴きはじめるのだ。
「風ちゃん、話はあとです。行きましょう」
霞は風花の肩をポンと叩いた。
所変わって遊園地。メリーゴーランドから降りた少女が母親と歩いている。
「愛、楽しかった?」
「うん、楽しかった!」
小学校に上がってから初めて行く母との遊園地に愛は舞い上がっていた。
「次はあれに乗りたい!」
と、母の手を離れて愛はローラーコースターに向かって駆け出していく。
しかしローラーコースターしか見えていなかった愛は、突然現れた黒い影に対応できずそのままぶつかってしまった。
「愛! すみません!」
愛の元へ駆けよっていく母親は娘がぶつかった相手に謝罪するために顔をあげるが、瞬間叫び声をあげてしまう。
そこにいたのは妖怪だった。キツネの姿をした妖怪、その名もムジナ。ムジナは母親の声に答えることなく足軽姿の雑兵ヒトカラゲを遊園地に次々と放っていく。
ヒトカラゲはカップルや子供を庇う親を襲っていく。ヒトカラゲの手は愛にも迫っていた。それを見た母親はヒトカラゲを突き飛ばし、愛を自分の身体で包み込む。
「邪魔だ」
思い通りに事が運ばないことに苛立ったムジナは目から妖術を放つ。放たれた螺旋状のビームは愛の母親の身体を貫く。
しかし、別段身体に異常はなかった。守ってもらっていた愛は母の身体に何も起こっていないことを不思議がるが、その時だった。
母はおもむろに立ち上がり、愛を突き飛ばした。手をすりむき、血がにじんでいるものの愛はそれにも気がつかず、ただ呆然とする。
「え、ママ?」
愛は母を見上げるが、母の目に光が宿っていないのを見て、母に何かが異変が起こったことを知る。
ムジナの光線を浴びたものは理性を失い、ムジナに操られてしまうのだった。