「さて、九衛門様に怒られないためにもそろそろ動くか」
「そこまでだ」
ノヅチはニンニンジャーが目の前に現れたことに驚いた。なによりそこにやる気を失っているはずの八雲がいるのだ。
「何故ここに。お前はもう動けないはず……」
「そう簡単に人の気持ちを変えられるものか。そこには強い信念があるんだ。人はお前が思うより強い。いくぞ!」
シュリケン変化! 五人は忍者一番刀にそれぞれの変化忍シュリケンを装着し、回転させ(変)ボタンを押す。するとたちまちニンニンジャーへと変化した。
「忍びなれども忍ばない。手裏剣戦隊ニンニンジャー、忍ぶどころか暴れてやる」
八雲の掛け声で臨戦態勢に入るニンニンジャー。ノヅチは雑兵ヒトカラゲを繰り出し、なんとかその場を切り抜けようとする。しかし、修行を重ねてますます強くなっているニンニンジャーにとってもはやヒトカラゲは相手ではなかった。様々な忍法を駆使して数十倍もいたヒトカラゲを瞬く間に倒していく。
一人先にその場を抜けた八雲は一対一でノヅチと対峙していた。
「覚悟しろ」
八雲はカラクリヘンゲンを取り出した。カラクリヘンゲンとは手裏剣の形をした武器で、刀モード弓モード爪モードと異なる形態にチェンジして戦うことのできる武器。八雲はそれを刀モードにして忍者一番刀との二刀流でノヅチに向かっていく。
八雲の隙のない動きをかわすことができないノヅチはただただ攻撃を浴びていく。圧倒している八雲だが攻撃の手を緩める気は一切ない。しかし、攻撃を続けていたことで視野が狭くなっていたのだろう。ノヅチの足もとからの攻撃に気がつかなかった。
ノヅチはコンセントコードのようになっていた尻尾を伸ばして八雲をぐるぐる巻きに締め上げ、動きを封じてしまった。
八雲はもがくものの、全く抜けそうにない。動けなければ戦うこともできないだろうとノヅチは高笑いするが、八雲にはまだ手があった。右手のカラクリヘンゲンを魔法のステッキになんとか持ち替え、呪文を唱えた。
「レーニナ・ミズネ」
すると八雲はあっという間に小さなネズミへ姿を変え、縛られていたコードからも抜け出してしまった。
「なに!」
ノヅチが驚いている間にさっさと元の姿に戻った八雲はコードの尻尾を斬り落とした。
「残念だったな。俺は忍術だけじゃないんだ」
そう言うと八雲はくるくると回転し、そのまままるで龍のような軌跡を描き、攻撃する。
「手裏剣忍法奥義、忍龍斬!」
これにはノヅチもひとたまりもなかった。断末魔の叫び声を残して、爆発したのだった。
勝利した八雲の元にヒトカラゲを一掃し終わった他の仲間たちも駆けつけ、天晴が勝ち名乗りをあげた。
「忍ばずワッショイ!」
翌日、八雲は淳やその仲間の少年たちと野球を楽しんでいた。
淳は劣等感を感じていたことなど忘れたように友達と楽しそうにボールを回していく。時にはエラーをすることもまだあるけれど、それでもドンマイと仲間が声をかけ、淳もそれに答える。それでいいのだ、と八雲はその光景を見て頷く。
天晴たちも駆けつけて、急遽ニンニンジャーの男子たちを加えて試合をすることになった。打席に立つ天晴。ピッチャーの少年が第一球を投じる。
天晴は豪快に空振り、クルクルと回転したあと思いきり尻もちをついた。敵味方関係なくみんなで笑う。
その時、強い風が吹き、淳の帽子が飛んでいった。
その帽子のツバには「プロになる!」という文字が、以前八雲が見たときよりも太く強く書かれていた。
2話終わりです。
例によって次回は未定。