星城高校の物語   作:Syuka

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第5話「心配と誤解。いま語られる真相」

「兄妹っていうけどさ、突然言われると、なんか他人よりも遠い存在なんだなって、そんな気がするんだ。血のつながりはあっても、急に遠い人になっちゃったって感じだよ」

 

 水野くんの言葉です。公園に行く途中、偶然に彼と出会ったのです。彼は早紀の家に行こうとしていたようですが、早紀は藤崎先生との約束があって家にはいないからと、翔子が公園に引っ張って来たのです。

 2人が腰掛けたペンチからは、電話ボックスが正面に見えていました。

 

「こんなことなら、倉田さんのこと好きになっていれば良かったなって思うよ」

「水野くん、それ本気で言ってるの?」

 

 彼の目は、青く晴れた空に向けられています。でも、いまの言葉は、そんな青空には似合わないと思うのです。翔子の声には、明らかにとまどいの色が混ざっていました。

 水野くんが顔を向け、にっこりと微笑みました。

 

「ウソだよ。そんな簡単じゃないさ。好きになる人を選べるんなら、きっと失恋して泣く人なんかいないんだよ」

「そうだよね」

「早紀だって泣いたんだろうな、きっと」

「うん、泣いてた。この公園でブランコに乗って」

 

 ここでウソを言っても、仕方がありません。それに彼だって、ずいぶんと苦しんだだろうと思うのです。

 

「でもね、水野くん。早紀、やっと笑えるようになったんだよ、きっと来週からは笑顔で学校にくるんだと思う」

「そうなんだ。そりゃ良かった」

「ねえ、今までどおり会ってくれるんでしょう? 早紀と話をしてくれるんでしょ? 笑ってくれるんでしょ? 教えてくれるんでしょ? 怒ってくれるんだよね? ねぇ、水野くん」

 

 彼は、ゆっくりとベンチから立ち上がりました。そして、一歩、二歩・・

 

「さあ、そんなことができるんだろうか」

「え?」

「今はまだ、自信がないんだ。それにオレ、あいつのこと妹だなんて思えないし、思いたくない。まだ頭の中のどこかで、一生懸命に探してるのかもしれないな」

「探すって、何を?」

「間違いを、だよ。どこかに間違いがあるはずだ。早紀は、妹じゃなくて、オレの恋人のハズなんだぞってね」

「でも・・」

「そりゃ、まだ告白もしてないさ。好きだなんて一言も言ってないしね。彼女がどうだったかはわからないけど、でも、オレはそのつもりだったさ」

 

 早紀だってそうだったんだよ、水野くん・・

 そう言ってやりたい、翔子でした。そして同時に、いま水野くんが言った言葉を、早紀にきかせてあげたいとも、思ったのでした。たとえ、早紀をより苦しませる結果になったとしても、です。

 水野くんが、こちらを向きました。

 

「ありがとう、倉田さん。キミと話せてよかったよ。それじゃオレ、帰るよ」

「あ、待って。1つだけ質問があるんだけど」

「質問?」

 

 翔子も、ベンチから立ち上がっていました。

 

「青木佐智子って人、知ってる?」

「え? えっと、昔の同級生に同じ名前の人がいるんだけど、その人のことかな」

「たぶんそうだと思う」

「でも、キミはどうしてその人のことを知ってるの?」

「別に秘密にしていたわけじゃないんだけど」

 

 青木さんから手紙が届いたのは、ずいぶんと前のことなのですが、結局、翔子と早紀は、そのことを水野くんには話してはいなかったのでした。早紀がそうした理由まではわかりませんが、たぶん、その機会がなかっただけだと思います。

 ということで、青木さんが文芸部に入部したいと手紙を送ってきたところから水野くんに話したのでした。会議の結果、それが不許可になったことも。

 でも、村野くんが来たことは、あえて話しませんでした。

 

「ふーん」

 

 水野くんからは、そんな声が帰ってきただけでした。それきり、返事はありません。なにか考えごとでもしているのでしょうか。無言の時が流れますが、その沈黙を破ったのは翔子でした。

 

「ねえ、水野くん。青木さんってどんな人?」

「え?」

「だから、青木さんのことよ。私や早紀と気が合うのかしら。仮に文芸部で一緒になっていたとしたら、仲良くやっていけたと思う?」

「そ、そうだな・・ 面倒見のいい人で、後輩にはよく慕われてたよ。気持ちもさっぱりしてるし、明るいし、いいやつなんだけど」

 

 青木さんの入部許可は出なかったのですが、彼女は、何か他に方法があるようなことを言っていましたから、もしかすると可能性はあるのかもしれません。仮に彼女と文芸部で一緒にやっていくのだとしら、イヤな人よりも、気の合う人のほうがいいに決まっています。

 翔子にとって気の合う人といえば、早紀がそのナンバー1です。その早紀のために、もう1つだけ、聞いておかねばなりません。

 

「水野くんは、青木さんのことどう思ってるの?」

「なんだよ、それ。いきなり、スゴイこと聞くんだな」

「おねがい、答えて。早紀のために」

 

 そのとき、翔子はどんな顔をしていたのでしょう。さしずめ、相手に有無を言わせぬだけの、そんな迫力があったのかもしれません。だって水野くんが、答えてくれたんですから。

 

「正直言って、何も考えられないんだ。一度、告白されたことはあったけど、断ったしね」

「断ったの?」

「その頃オレ、人捜しのことで頭がいっぱいだったんだよ。それにオレは転校するつもりだったし、アイツは芸能・・」

「芸能?」

「あ、イヤ。とにかくさ、アイツは幼なじみみたいなヤツで、小学校、中学校といっしょだったんだ。高校は、星城と城南にわかれたけどね」

 

 芸能? 彼は何を言いかけたのでしょうか。それはわからないけれど、でも青木さんの、水野くんへの想いは、やはり本当でした。一度告白し、フラれているそうですが、でも彼女は、あきらめてはいないのです。そのあたりの気持ちは、同じ女性としてよくわかるし、素直に拍手を贈りたいとも思うのですが、早紀の親友の立場に戻れば、少し事情が違ってきます。

 水野くんが、彼女の告白を拒絶したこと。そこに、一筋の光明を見る思いでした。青木さんがどう頑張っても、早紀には勝てないのだと。

 しかし、早紀と水野くんが兄妹ということになれば、話は違ってきます。こればかりはどうしようもないのです。ならばいっそ、村野さんのように青木さんを応援しようか。水野くんにちゃんと恋人ができれば、早紀だって気持ちに整理がつけやすいに違いないのです。

 翔子の頭の中に、そんなことがよぎります。でも、そんなことしていいのかな、という気持ちもありました。ちょうど、村野さんが悩んでいたように。

 

「ありがと。変なこと聞いてゴメンね」

「別にいいさ。じゃオレ、帰るよ。また月曜日にな」

「うん。さよなら」

「じゃあ、またな」

 

 水野くんが帰り、ひとり残された公園。その公園をぐるっと一周、見回して・・ 翔子も家路についたのでした。

 

 

  ※

 

 

 週明け。早紀は、いつもどおりに登校していました。クラスメートたちに“おはよう”と、明るく声をかけながら。

 ごく普通に話をし、笑い、ふざけあったりしながら、毎日が過ぎていきます。まるで何ごともなかったかのように。以前の早紀のように・・

 でも、これが自然なのでしょうか。いつもとかわらない毎日という表現は、きっと正しいのだと思います。でも、どこか、なにかが違うような、そんな気がするのも確かなのでした。翔子は、そう思っていました。どこがどう違うのか、ちゃんと言葉にはできないけれど・・

 そんな日々が、10日も続いた頃でした。昼休みに早紀がこんなことを言い出したのです。

 

「翔子、私、今日用事があるんだ。だから、部活パスするね」

「あ、うん。いいけど、どうしたの?」

 

 その用事に付き合ってもよかったのでしょうが、翔子はその日の放課後、一人で部室に向かいました。早紀がいないので休みにしてもいいのですが、ここ数日、頭の中で固まりつつあった小説のイメージを、ちゃんとプロットの形にしておくいい機会だと思ったのです。翔子の久し振りの小説でした。たぶん物語を書き始めるのは先のことになるのでしょうが、いま、プロットだけは形にしておきたかったのです。

 放課後、およそ2時間ほどでその作業を終えた翔子は、部室にカギをかけ、外へでます。そこでふと、体育館の明かりが眼に入りました。冬場のことで、周囲はすっかり暗くなっていましたが、体育館からは、まだ練習をしているのか、明かりがもれていました。

 

(そうだ、水野くん。ちょうと様子を見ていこうかなぁ)

 

 体育館には、水野くんがいるはずです。あの日、公園で話をして以来、彼とは会っていませんでした。彼は、元気を取り戻しているのでしょうか。

 あんなに仲の良かった2人も、兄妹とわかって以来、お互いに会ってはいない様子でした。水野くんが、『他人よりも遠い存在に感じる』と言っていましたが、うなづけるような気がするのです。

 キュッ、キュッ、という靴の音。体育館に響くボールの音。その中に、水野くんはいました。でも・・

 翔子は、首をかしげていました。だって、水野くんは、あんな無理なシュートをしていたでしょうか。ムリに相手に割り込むような、強引なプレーや、イライラした素振り・・

 シュートだって、全然入らないのです。城南との練習試合のとき、コートの外から見事にシュートを決めた人とは、とても思えませんでした。バスケ素人の翔子にだってそれがわかるのですから、きっと、彼だって自分でもわかっているはずなのです。ということは・・

 水野くんだって、まだ、ふっきれてはいないのでしょう。いつもの自分に戻れてはいないのだと思います。では、早紀は。

 翔子は、そっと体育館を離れました。

 そんなことがあった日から、数日後の日曜日。その昼下がりに、翔子は、早紀の家にいました。といっても、早紀は留守。お母さんの紀子さんからの電話で、呼び出されたのです。

 

「ごめんなさいね、翔子ちゃん。お休みなのに悪いわね」

「いいえ、どうせヒマにしてましたから」

 

 それは本当でした。小説のアイデアはありましたが、まだ手を付けるには早過ぎますし、結末がみえないうちは書こうという気にもなれないのでした。

 

「このごろ、早紀の様子はどうなのかしら」

 

 ダイニングのテーブルの上には、紅茶とケーキ。翔子のために用意されたものです。それを勧める紀子さんは、少しうつむき加減。翔子も、眼を伏せていました。

 

「今日ね、あの子、デートだって言うのよ」

「え! デートですか」

「うん。でね、その相手って誰なのかなぁって思ってさ。ね、翔子ちゃん知らない?」

「い、いいえ。私は、知りません」

 

 まさか、早紀がデート。水野くんと?? いいえ、それはないでしょう。だって、だって、デートという単語を使うからには・・

 

「あの男の子、水野直樹くんと早紀は、まだ付き合っているのかしら」

「いいえ、彼じゃないと思います。だって、水野くんとは・・」

 

 そこまで言って、ハッとなり、口を閉じた翔子。紀子さんは、早紀が水野くんと兄妹だったことに気づいたことを、まだ知らないのです。ただ、水野くんに失恋したのだと、そういうことになっているはずです。少なくとも、翔子から、そのことを告げたことはありませんでした。

 でも、黙っていていいのでしょうか。いっそ、しゃべってしまったほうがいいのではないでしょうか。翔子は、悩んでいました。

 

「そうよねえ、あんなに泣いたんだものね。きっと新しい恋を見つけたのよね」

「そうかもしれません」

「ね、そんな男の子に、本当に心当たりはないの?」

「私は、知らないです」

 

 紀子さんは、ゆっくりと紅茶の入ったカップを口元に運び、一口飲みました。そしてまた、テーブルの上に戻していきます。翔子は、その動作をじっと見ていました。話す言葉が見つからないのです。

 

「ねえ、翔子ちゃん」

「あ、はい」

「水野直樹くんとのことだけど、どうしてダメになっちゃったのかしら? 早紀の失恋の原因って、聞いてる?」

「そ、それは・・」

「あの子、もう大丈夫だって言うんだけど、何がどう大丈夫なのかは言ってくれないのよね。何か知ってるんなら、教えてくれないかな」

「え、ええっと・・」

 

 迷います。そして、やはり紀子さんには話しておこうと、ぐっと身を乗り出そうとしたとき、早紀が帰ってきたのです。デートからの帰宅にしては少し早いような気もしましたが、そのため翔子は、水野くんとのことを話す機会を失ったのです。

 

「あら、翔子。来てたんだ」

「う、うん。ケーキ、ごちそうになってる」

「うわあ、おいしそう。ね、お母さん、私のもある?」

 

 紀子さんは、ニッコリと微笑んで、自分の前にあるショートケーキを、早紀のほうへ移動させました。

 

「あるわよ。でも、持ってくるのが面倒だから、これ食べなさい」

「いいの? 私、取ってるけど」

「いいわよ、それより座りなさい。ちょっと話があるの」

「なに? どうしたの」

 

 と、いいながらも早紀は、イスに座りました。ショートケーキは早紀の前にあるのですが、それに手をつけようとはしませんでした。やはり、紀子さんの話が気になるのでしょう。もちろん翔子も、ケーキどころではありません。これはいよいよ、水野くんとのこと、兄妹であることに気づいたことを話すことになるのかもしれないと、緊張してくるのがわかります。

 

「今日のデートのお相手は、誰?」

「な、なによ、それ。どうしてそんなこと聞くの?」

「早紀が教えてくれないからよ。だから翔子ちゃんに聞こうと思ったんだけど、アンタ、翔子ちゃんにも秘密にしてるみたいね」

「秘密だなんて・・ まだそういう気持ちになれないだけだよ。そのうち、ちゃんと紹介するから」

 

 いったい誰なのでしょう、早紀のボーイフレンドは。翔子には、まったく心当たりがありませんでした。クラスメートの男の子など、順に思い出してみても、誰もそれに当てはまりそうにはないのです。

 チラと、早紀が翔子のほうをみます。その顔は、すこし照れているように思えました。

 

「お母さんはね、本当に好きな人と付き合って欲しいって思ってるの。失恋して、そのことを早く忘れたくて別の男の子と付き合うとか、そんなことじゃなければいいなぁって思ってるだけ」

「お、お母さん」

「失恋したのは仕方ないじゃない。それもいい経験だと思うのよ。でもね、安易な恋だけはしてほしくないの。本気で好きになれる人が現れたとき、きっと後悔するんだから」

 

 紀子さんとしては、母親として娘を心配する気持ちがあったのでしょう。あれだけ泣いた、失恋のキズ。それも、このところ落ちつきをみせ、笑顔も見せるようにもなってきた。そんな時期の娘へのフォロー、いわば人生の先輩としてのアドバイス。そんなつもりだったろうと思うのです。

 でも、早紀はその瞬間、怒ったような表情をうかべ、乱暴にイスを引いて立ち上がっていました。

 

「お母さんに何がわかるのよ! 村野さんはいい人だよ。彼に告白されて、好きだって言われてOKしたの。私も好きだって言ったのよ。さっき、そう言ってきたんだから。だって、もう元にもどれるわけないじゃない。私は知ってるのよ」

「さ、早紀・・」

 

 ダダダッと階段を駆け上がる音。そして、ドアの開閉の音が聞こえました。早紀が、2階の自分の部屋へと行ってしまったのです。

 紀子さんとしては、まさか、早紀が怒り出すなんて考えもしなかったのでしょう。でも翔子は、ムリもないだろうと思っていました。だって、早紀が本当に好きな人は水野くんだからです。早紀の言葉から、そんな答えが導けると思うのです。表面上は、吹っ切れたように見えても、その心の中でつのる想い、兄弟なのだと割り切ろうとしても、うまくはいかないその想い。

 そこへ、村野さんからの告白。その告白に応えたのは、紀子さんの言葉を借りれば、まさに“安易な恋”そのものなのかもしれません。にしても、村野さんはなぜ、早紀に告白などしたのでしょうか。

 イヤな予感が頭をよぎります。まさかとは思うのですが、青木さんを応援しようと思ったのと同じ理由で、早紀に近づいた・・ まさか、そんなことは・・

 

「ごめんなさいね、翔子ちゃん。なんか、恥ずかしいとこ見せちゃって」

「いいえ、そんなこと。でも、早紀は大丈夫でしょうか」

「平気よ。あの子だって、本当はちゃんと分かってると思うから。あれは、照れ隠しに怒って見せただけね。しばらくすれば、ケロッとしてるわよ」

「そ、そうですか」

 

 さすがは母親、と言えばいいのでしょうか。早紀の行動パターンは、ちゃんとお見通しのようです。もちろん、村野さんの告白に対し、心の葛藤はあったんだと思うのですが、でも、結局は、安易な恋を選んだ自分。そのことを紀子さんに指摘され、恥ずかしさを覚えたという紀子さんの見方は、きっと正しいだろうと思うのです。しかし、翔子としては村野さんとはちゃんと話をする必要があると考えていました。

 

「でも、早紀の悩みはそれだけじゃないみたいね。まだ、なにかありそうな気がする」

「え?」

「ね、翔子ちゃん。村野くんって誰? アナタも知ってる人?」

「彼は、城南大付属高校の人です。私も、2回ほど話しをしたことがあります」

「へぇ、そうなんだ。早紀がその人のこと、本気で好きになれればいいんだけど」

「あの、紀子さん。早紀が、村野さんのことを本当に好きになったとは思わないんですか?」

「思わないわ。とても、そうは思えないのよ。そうであってくれたら、話は簡単なんでしょうけどね」

 

 紀子さんは、じっと翔子の顔をみていました。それに気づいた翔子は、すっと紅茶に手の延ばし、すっかり冷めてしまった紅茶を飲み干します。そして、イスに座り直したのです。

 

「紀子さん、私がお話しできるのは・・」

「何か、知ってるの?」

「私だって、よくわからないんです。でも、1つだけ言えることは、早紀は、いまでも水野くんのことが、誰よりも好きなんです」

「でしょうね、私もそう思うわ」

 

 紀子さんは、早紀が食べなかったケーキを自分の手元に引き寄せ、一口分をフォークに取り、口へと運びます。その動作は、ひどくゆっくりとしたもののように感じました。

 

「でも、早紀はあきらめようとしてるんです。そのために村野さんの告白を受けたのだと思います。その理由は、もちろんわかりますよね?」

 

 そんな翔子の言葉に、紀子さんはケーキを食べる手を止め、顔をあげました。そして、ゆっくりと首を振ります。

 

「わからないわ。それを、早紀は話してくれないのよ。だから翔子ちゃんに聞こうと思ったんだけれど」

「ウソです。紀子さんは知ってるはずです。早紀は、紀子さんの電話を聞いて、それで気がついたんですから」

「電話?」

「お正月です。水野くんが初詣に早紀を誘いにきたあと、紀子さんが水野くんのお父さんにかけた電話です。早紀は、偶然それを聞いて、それで気づいたんです」

「ちょ、ちょっと待って」

「水野くんが捜してた幼い頃の妹は自分だって、早紀は気づいたんです。だから、だから・・」

 

 いつのまにか、翔子は立ち上がっていました。紀子さんはあまりのことに驚き、言葉を無くしているように、翔子には見えました。

 

「そういうことです。時間も遅いし、今日は帰ります」

「あ、待って。翔子ちゃん・・」

 

 遅いといっても、まだ午後3時半を回ったばかりです。いつもなら、夕飯まで引き止められたあげく、泊まっていきなさいよと言われるパターンの多い翔子なのですが、さすがに今日は、そう言われても断っていただろうと思いますし、もちろん、紀子さんも誘わなかったでしょう。

 そんなことがあった日曜日は、その後はなにもなく、翌日の出来事など予想もできぬまま、静かに暮れていったのです。

 

 

  ※

 

 

 さて、翌日の月曜日。その日、翔子は通学路に立ち止まり、早紀が来るのを待っていました。昨日の今日で、登校してこないことも考えられましたが、それでも、翔子は待っていました。早紀と水野くんが兄妹であること、そのことを早紀は知っているのだと、そう紀子さんに告げてしまったことを、詫びるためでした。

 早紀に無断で告げるのではなかったと、昨晩は、ずっと後悔していました。あれから、紀子さんたちはどうしたのだろう、早紀と話し合いはしたのだろうかと、気になったこともありますが、とにかく少しでも早く、早紀の顔が見たかったのです。

 その早紀が、通学路に現れました。だいたい、いつもの彼女の登校時刻でした。その表情にも、変わったところはない様子でした。

 

「おはよう、早紀」

「あ、翔子。どうしたの? 待っててくれたの?」

「うん。実は、早紀に謝りたいことがあってさ」

「昨日のこと? それなら私だよ、謝るのは」

「どうして?」

「だって、翔子が来てるのにほったらかして、部屋に閉じこもっちゃってさ。お母さんにも怒られた」

 

 あれれ? 紀子さんは、あのことを早紀に話してはいないのでしょうか。お互いに、話し合ってはいないのでしょうか。

 

「ね、早紀。私、昨日、紀子さんに話しちゃったんだ。水野くんとのこと」

「え!」

「ごめん。思わず、言っちゃったんだ」

 

 早紀の顔色が、一瞬、変わったような気がしました。翔子は、思わず顔を下に向けていました。そんな翔子へかけた早紀の声は、少し沈んだ感じがしました。

 

「翔子、そのことはいいよ。どうせ、いつかは話さなきゃいけないことだし」

「ごめんね、早紀」

「お母さんがね、今日は早く帰ってきなさいって言うんだ。いつも、そんなこと言わないのにね。きっと、そのせいだね」

「じゃあ、今日の夜」

「きっと、昔のことを話してくれるんだと思う。これで、はっきりしちゃうんだと思うと、ちょっと気が重いけどね」

「どうして?」

「私ね、思うんだ。もしかしたらって・・」

 

 つまりは、可能性ということでした。水野くんと兄妹であるという結論には到ったものの、ほんのわずか、だったの数パーセントかもしれないけれど、そうではないという可能性もあるのではないかと。でも、紀子さんに事実を告げられてしまえば、そんなわずかな希望も、無くなってしまうことになるんだと。早紀としては、せめてその可能性にすがっていたい気持ちだったのでしょう。

 

「そっかぁ。ああ、私って、なんてバカなんだろう」

「いいってば。どうせこうなってたのよ。それが、今日か明日かの違いだけ」

 

 なるほど、早紀の言うとおりでしょう。でも、だからといって、翔子が自分の失敗を悔やむ気持ちは変わりませんでした。そういえば、水野くんも同じようなことを言っていました。どかに間違いがあるような気がする、と。でもこれで、その間違いが無いことも、分かってしまうのです。なんだか、早紀や水野くんに悪いことをしたなと、少しだけ悲しい気持ちになった、翔子でした。

 そして学校に着き、教室へ。

 

「なに? 何かあったの?」

 

 数人で集まって話をしている同級生の女の子をつかまえ、そう聞いたのは早紀でした。その一角にだけ、5人ほどが集まってなにやら話をしているのです。

 

「何って、転校生だよ、転校生。私、朝、チラッとみかけたんだけど、あれはいったい誰だろうって、話してるのよ。どこかで見覚えがあるような気がしてさ。それでみんなで相談ってわけ」

「ふうん。で、その転校生って、ウチのクラスに来るの?」

「残念だったな、転校生は2年だ。ほら、早く席に着け」

 

 先生の声でした。いつのまにか、朝のホームルームが始まる時間になっていたようで、すぐ後ろに先生が立っていました。早紀たちはあわてて自分の席へ。

 そして、朝のホームルームが始まり、午前中の授業へと続きます。転校生は2年生、文芸部に入ってくれないかなと、考えた早紀でしたが、直接の勧誘はできません。ちなみに、文芸部の部員数は、相変わらず、2人だけでした。

 昼休みになると、早紀と翔子はいつもどおりに、文芸部の部室へ向かいます。ここでお弁当を食べ、残りの時間をおしゃべりしながら過ごすのですが、そのお昼休みが半分ほども経過したころ、部室のドアがノックされたのです。

 

「どうぞ、開いてますよ」

 

 翔子の声に、ドアが開けられます。そして、顔を見せたのは・・

 

「青木さん!」

 

 とは、もちろん翔子の声。そこには、城南大付属高校から、早紀たちの文芸部に入りたいとの意向を示していた、青木佐智子さんがいました。でも、着ている服は、星城高校のものです。

 彼女は、ニッコリと微笑みながらドアを閉め、早紀たちのほうへと近づいてきます。

 

「こんにちは、あなたが岸本早紀さんね」

「え、ええ。そうですけど」

 

 そういえば、早紀は倉田さんとは初対面になるのでした。その早紀に、翔子がなにやら耳打ち。きっと、彼女のことを説明しているのでしょう。でも、倉田さんは、その説明が終わるのを待ってはいませんでした。

 

「私、文芸部に入りたいんだけど、いいかしら?」

「で、でも青木さん。入部の件は認められなかったって聞きましたけど。それに、その制服はいったい・・」

「だから私、星城の生徒になったの。同じ学校だったら、入部するのに支障はないわけでしょう」

 

 そう言って、クスクスと笑うのです。そんな青木さんを、あぜんとして見ている翔子、そして早紀。

 

「でも、制服は城南のほうがかわいかったかな。この、スカートの白線はステキだけど」

 

 どちらの制服がかわいいのかは、それぞれの見方次第でしょうが、星城の女生徒にとって、その制服のスカートの裾をぐるりと一周している白線は自慢であり、誰もが誇らしく思っているのは確かなのでした。

 

「でも、スゴイことするんですね。あのとき、あきらめない、別の方法を考えるって言ってましたけど、それがこれだったなんて」

「うん。みんな、あなたのおかげよ。倉田さんだったわよね」

「え、ええ。倉田翔子です」

「ちょっとね、勇気がいったんだけどさ。で、入部は認めてくれるのよね?」

「ええ、それは。ね、早紀」

「そうだね、私たちとしては、部員が増えるのは歓迎なんです。こちらこそ、よろしくお願いします」

「よし、決まった。あー、良かった。ほっとしたわ」

 

 青木さんは、早紀に勧められるままにイスに座り、安堵のため息をついていました。でも、そんな青木さんに、翔子はどうしても聞いておきたいことがありました。

 

「あの、青木さん」

「なに?」

「水野くんには、会ったんですか?」

「まだ。彼とは、クラスが違うみたい。今日のところはムリかな」

「ムリ? どうしてです、会いに行かないんですか?」

 

 この会話には、早紀は入って来れないはずです。だって、早紀は青木さんのことは何も知らないのです。水野くんから聞いた青木さんとのことだって、翔子は早紀に話してはいないのです。

 

「私、早退するの。午後から帰っちゃうから」

「あ、じゃあ、急いで帰ったほうがいいんじゃ・・」

「ううん、まだ大丈夫よ。お昼休みが終わったらね」

 

 その青木さんは、テーブルの脇に置かれている本を手にとり、パラパラと中を見ています。本といっても、早紀と翔子の手作り。翔子の童話に早紀が絵をつけた絵本でした。そんな本が、3冊ほどあるのです。

 

「そうだ! これがいいわ。ねえ、この本、借りてってもいい?」

「え?」

「自慢したいのよ。私の友だちには、こんな本が作れる人がいるんだぞってさ」

「なんか、恥ずかしいけど、いいですよ。翔子も、いいよね?」

「うん。でも、自慢になるのかなぁ。自慢するなら、早紀の絵だけのほうがいいんじゃない」

「あら、この本以外にも早紀さんの絵があるのなら、見せて欲しいわ」

「えーっ、なんか恥ずかしいな」

「いいじゃない。見せてよ」

 

 しぶしぶといったところでしょうか。早紀は、スケッチブックを彼女に手渡したのです。それは、B4版ほどの、表紙には“落書き帳”と書かれた子ども向けのものなのですが、中には、早紀のイラストや、ときどき描く水彩画などが描かれていました。

 

「スゴイわ。これ、いけると思う。ねえ、これも借りてっていいでしょう? えっと、たぶんあさってには返すから」

「はいはい、もうなんでも持っていって下さい。それだって、落書きみたいなものだから」

 

 そう言いながらも、早紀の顔は笑っていました。落書きとはいいますが、どの絵も、早紀が真剣になって描いたもの。水彩画などは、たぶん美術部の人が見たならば、また入部してくれと、騒ぎ出すに違いないレベルのものです。

 

「ありがと。じゃあ私、このへんで帰る。明日は学校休むつもりだから、明後日の放課後に」

「休む? どうして?」

 

 そういえば、青木さんは、いつも忙しそうです。今日だって、早退するというのです。

 

「そうか、お2人には言っておくね。でも、絶対に秘密だよ。いずれはバレるとしても、それまでは絶対に内緒だからね」

「う、うん、わかった」

「私、芸能界にいるの。もうすぐCDデビューもするのよ」

「デビュー? 何それ?」

「CDの発売はもう少し先なんだけど、テレビの番組にはけっこう出てるわよ。今日も、番組の収録があるんだ」

 

 と、それだけ言い残し、青木さんは部室を出て行ったのでした。残された2人が、青木さんが芸能人であることを受け入れるのに、あと少しの時間が必要でした。そして昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴り、午後の授業へと移っていくのです。

 

 

  ※

 

 

「早紀、話があるんだけど」

「う、うん」

 

 いつもより早めの夕食が終わり、その片づけが済むと、紀子さんは1通の封筒を手に、早紀の部屋を訪れました。このとき、いよいよだ、と早紀は思ったのだそうです。

 紀子さんが昔のことを話してくれる、水野くんと兄妹であることを・・ 自然、緊張してくるのが分かったそうです。

 

「早紀、あなたにはいろいろと悩み事をおしつけてしまったようね」

「お母さん」

「でもね、早紀。お母さんは、早紀にウソを言ったことは一度もないわよ。いくつか言わなきゃいないことがあったのは確かかもしれないけどね」

 

 紀子さんの表情は、少しこわばっていたそうです。もちろん早紀も緊張した面持ちだったのでしょうが、そんな紀子さんの顔を見て、少し笑ってしまったのは、失礼だったかなと、いくら相手がお母さんでも、真剣に話をしようとしている相手に対して申し訳なかったと、そう思った早紀なのでした。

 

「でも、お母さんは、言う必要はないと思ってた。だから、隠しておいたつもりはなかったの。それは信じてよね」

「うん」

「翔子ちゃんにチラッと聞いたんだけど、早紀は、水野直樹くんと兄妹じゃないかって、そう思ってるんだってね」

「う、うん、そうだよ。だって・・」

 

 早紀が言おうとするのを手で制し、紀子さんは、封筒の中から数枚の写真を取り出しました。それを、早紀に見せたのです。

 

「これは?」

 

「その人が、直樹くんのお母様よ。そして、その人に抱っこされてるのが、生まれたばかりの直樹くん」

「え?」

「それから、この写真の人が、早紀のお父さん。結婚式のときのこの写真しか残ってないんだけどね。もちろん、その横は私よ」

 

 お母さんは、すぐにわかりました。今とほとんど変わっていないからです。でも、お父さんの写真は初めて見ました。でも、これはどういうことなのでしょう、早紀の頭の中は、混乱していました。

 

「早紀はね、間違いなく私が産んだ、私の娘。そして直樹くんは、あちらの奥様が産んだ子なのよ。それは、分かってもらえるわよね?」

「で、でもお母さん・・」

「あちらの奥様は、もともと体が弱かったらしいんだけど、直樹くんを産んで急に体調を崩し、そのまま入院したの。結局、1年くらいして亡くなったんだけど、その入院中、同じ病院に、早紀のお父さん、つまり私のダンナが担ぎ込まれたのよ。過労死、突然死っていうのかな。脳の血管が破れて出血、あっという間に、死んだのよ」

「それは、聞いたことある」

「そうだったわね」

 

 父親の死因については、小学校の頃に聞いた覚えがありました。いわゆる、脳卒中というものです。病院に運ぶのが遅れ、そのまま亡くなったのだそうです。でも、その病院に水野くんのお母さんが入院していたなんて。

 

「そのころ、お母さんは、早紀を妊娠しててね。9カ月めだったかな、来月には産まれるってときでさ、これからどうしようって、病院の廊下で途方にくれてたのよ。そのとき、声をかけてくれたのが、直樹くんのお父様なの」

「それで」

「あの人も、産まれたばかりの直樹くんを抱えて、困っていらしたのよ。で、お互いのこと話しているうちに、変な話だけど、利害関係が一致したっていうのかな」

「どういうこと?」

「あちらは、私に直樹くんの育児をお願いした。その代わりに、私は生活費などの面倒をみていただいたわけ。3年くらいかな、一緒に暮したのは」

「え!」

 

 紀子さんは、少し話すのをやめ、じっと早紀の顔をみていました。早紀もまた、紀子さんから、眼をそらそうとはしませんでした。そして。

 

「お母さん、再婚したんだね」

「そういうこと言う人もいたけど、結婚はしてないわ。ただ、あちらの家に住み込んだだけ」

「・・・」

「お母さんを軽蔑する?」

「う、ううん、そんなことしない」

「でもね、あの頃は、ふしだらだとかさ、そんなこと言う人もいたんだよ。亭主亡くしたばかりのくせに、別の男の所に上がり込んだりしてるんだもの。しかも、その人には、入院中の奥様がいらっしゃるのにね」

「でも、仕方なかったんでしょ。お互いのためだったんだよね」

「そうよ。そして直樹くんも大きくなったし、早紀だって、美人に育ってくれた」

「でも、どうして再婚しなかったの。してもよかったんでしょ?」

「もちろん再婚も出来たけど、私は、やっぱりお父さんが好きだったし、あちらにしても、亡くなった奥様を愛してらしたのよ」

 

 早紀の頭の中では、いろんなことがグルグルとうずを巻いていました。いろんなことがいっぺんに押し寄せてきて、とても整理できそうにないのでした。だから、言うべき言葉も、ろくに見つからないのです。

 

「今の仕事を始めたのは、早紀が2歳になる少し前。あちらのお父様の紹介で始めることができたんだけど、最初は失敗もしたし、クライアントに怒られたりもした。でも、1年もたつと、自信もついたし、なんとか順調にいきはじめた」

「ふうん」

「そんなとき、あちらのお父様が、こう言ったの。もう大丈夫ですねって。そして、選んでくださいって」

「何を?」

「これからのことよ。本当に結婚して一緒に暮らすか、それとも別れて自立するのか」

「あ、じゃあ、お母さんは」

「うん、自立を選んだわ。水野さんの家を出て、早紀と2人で暮らしますって、そう言ったの。そして、この街に、この家に引っ越してきた」

「そうだったんだ」

「自立するとなったら、覚悟を決めないといけないからね。だから、あちらには、引っ越し先とか教えなかった。お世話になったのに不義理だけど、縁を切るようなつもりでこっちに来たの。これでも、精一杯、頑張ってきたつもりなのよ」

「うん、スゴイよ、お母さんは」

「とにかく、これが全て。早紀には、兄妹なんていないのよ。たしかに直樹くんとは3年ほど一緒に暮らしたけど、でも血のつながりのない、まったくの他人なんだから、結婚だってできるのよ」

 

 そこで、紀子さんは、封筒から、1枚の書類を取り出しました。昼間、役所からもらってきたばかりの戸籍でした。

 

「一応、証拠になるでしょ。これ、早紀に渡しておくから。あと、どうするかはよく考えて決めなさい。お母さんは、村野さんって子には正直に話しておくべきだと思う。それからあとは、自分の気持ちに正直に行動しなさい」

「うん、わかった」

 

 紀子さんは、話を終えると部屋を出て行ったのです。その紀子さんに明るく返事をした早紀だったのですが、内心では、困りはてていました。あまりにも多い、新事実。それを消化し終えるには、時間がかかりそうでした。それに、水野くんと兄妹ではなかった、そのこと自体はとても嬉しいことには違いないのです。今度こそ、お互いの気持ちを告白し、恋人同士になれる、彼の彼女になれる・・

 でも、すでに村野さんからの告白に、応えてしまっているのです。その村野くんは、水野くんとは仲が良いのですから、すでに彼は、そのことを水野くんに話しているかもしれません。いまさら遅いのかもしれません。でも、それでも、全てを正直に話し、元に戻るための努力をしなければ。

 紀子さんは、村野さんに正直に話して謝っておくべきだと言っていました。早紀も、そうしなければと思うのでした。

 だから、受話器を手にとり、電話をかけたのです。番号は、つい先日、村野さんに聞いたばかりでした。そのとき早紀も、自分の家の電話番号を教えているのですが、まだ村野さんからかかってきたことは、ありませんでした。

 

「え、居ないんですか?」

「ええ、合宿なんですよ。あなた、ご存じなかったの?」

「はい、聞いてませんでした。それで合宿って?」

「全日本メンバーの選抜のための合宿なんですって。全国から有力な人を集め、その中から代表選手を選んで、アメリカチームと試合するんですって」

「そ、そうですか」

「それで、どんなご用? 何か、伝えておきましょうか?」

「い、いえ。そういうことでしたら、また改めて連絡しますので。どうも失礼しました」

 

 あわてて、電話を切った早紀でした。村野くんは居ない。その合宿が、どこで何日間行われているのかなど、詳しいことは全然わかりませんでした。また、数日して電話をしてみるしかないでしょう。

 そうだ、水野くんだったら、合宿のこととか知ってるかもしれない。そう思った早紀でした。とにかく、水野くんにも、兄妹ではなかったこと、勘違いであったことを話しておかなければいけないのです。明日、学校で・・ そう思う早紀でした。

 

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