星城高校の物語   作:Syuka

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 作者の母校をイメージした、架空の学校である星城高校が舞台の物語。その第2シリーズとでもいえばいいのでしょうか。
 その第2の第2話です。



第2話「そこが知りたい! 水野くん、転校のナゾ!?」

 城南大付属高校との練習試合の日は、土曜日でした。学校は休みでしたから、午前と午後のそれぞれに男女が1試合ずつ、合計4試合が予定されていました。その日、早紀と翔子が学校で待ち合わせたのは、9時。

 開始は、まず女子部の試合が10時からで、その試合後に男子。そして昼食休憩をおき、午後2時より再び女子部、男子部の順となっていました。ちなみに、城南の選手たちは9時半頃に学校に来ることになっていましたから、9時の待ち合わせはちょうどよい時間だったと思うのです。

 城南の選手たちの出迎えや、校内でのいろいろなお世話などは、生徒会が担当することになっていましたから、早紀たちは、手にはカメラにメモ用紙、そして早紀愛用のスケッチブックを持ち、体育館で星城の選手たちが来るのを待っていました。準備は万全です。

 

「なんだか、ドキドキするね」

「そうだね。うまくいけばいいけど・・」

 

 時間の経過とともに、少しずつ緊張感が高まっていくようでした。いま、体育館には誰もいませんが、そのうち選手たちがやってくるはずです。まずは試合前の気持ちを聞こうと、体育館にいたのですが、星城のバスケット部の人たちが来るよりも、城南の選手たちが到着したという知らせのほうが早かったのです。

 校門で待機していたほうが正解だったようですが、それでも大あわてで校門へ行き、城南大付属高等学校と、ボディに大きく書かれたスクールバスに乗った選手たちの写真を撮ることができました。それ以上のこと、たとえば選手たちから話を聞くなどということは、生徒会の役員から制止されたため、できませんでした。

 体育館に戻ると、応援に来たらしき制服姿の生徒たちが10人ほどいました。コートでは星城の選手たちの試合前の練習がすでに始まっていたので、選手たちへのインタビューはあきらめ、その観客に話しを聞くことにしました。

 その人たちは、城南が全国有数のバスケットの名門校ということは、皆、知っていました。その試合を直接、しかも自分たちの学校でみられるのだからと、誰もが、休日にもかかわらず試合を見に来たというのが、本当のところだったのでしょう。

 コートに目を移せば、見慣れないユニフォーム姿の選手たち。つまりは、城南の選手たちです。それぞれにコートの半分ずつを使い、試合前の練習が行われていました。その様子を写真に撮っているところに、ピーッと、ホイッスルの音が。

 

「開始、3分前です。よろしくおねがいしまーす」

 

 そんな声が聞こえました。もうすぐ、始まるんだと思うと、一気に緊張してきたのを覚えています。ちなみにその声は、水野くんの声。どうやら、この試合の審判は、彼が務めるようです。

 

「1分前でーす」

 

 いよいよ試合開始です。コート中央に、両チームの選手が集合し、審判の水野くんと一言二言、何か言葉を交わしている様子。早紀たちは、2階の客席から降り、コートのそばへ。取材することはあらかじめ了解を得ているので、とがめられることもありませんでした。というより、誰も気にしていなかったようです。

 試合のほうはといえば、やはり城南とでは力の差が大きいらしく、あっという間に点差が開いていきます。それにつれて、城南側ではメンバーチェンジが繰り返され、いつのまにか、最初に出ていた5人全員が入れ替わっていました。まさか、全員1年生ということはないのでしょうが、相手は城南ですから、その可能性はありました。それでもなお、点差は少しずつ開いていくのです。

 そして、ハーフタイムとなります。両チームの選手たちはそれぞれのベンチに固まってミーティングの最中でしたが、水野くんは、コート中央のセンターサークルに座っていました。

 その水野くんのところへ、するすると早紀が近づいていきます。もちろん翔子も、そのあとに続きます。

 

「ねえ水野くん」

「あ、えっと岸本早紀さんだったよね」

「あの、インタビューのことなんだけど」

「まさか、オレにインタビューするつもり?」

「違うの、そうじゃなくてさ」

「あはは、城南にだよね。でも、今はだめだよ。男子の試合が終わったら昼休みになるだろ。そのときに紹介してやるよ。それまでは、ゆっくりと試合観戦してたらいい。ちゃんとしたバスケットの試合を見るのは始めてなんだろ」

 

 たしかに、本格的な試合を見るのは始めてでした。しかも、有名な城南のチームの試合なのですから、きっと、めったに見れるものではないのでしょう。早紀としては、おおげさに言えば文芸部の未来がかかっているのですから、なんとかインタビューしたかったはずですが、あわてても仕方がありません。

 その代わりにと、水野くんに、こんなことを聞いてみるのです。

 

「ねえ、水野くんも試合に出るんでしょう?」

「オレ? さあ、どうかな。審判が回ってきたところを見ると、少なくとも午前の試合は出られないんじゃないかな」

「どうして?」

「バスケの審判ってさ、けっこう走らされるんだよ。試合と両方かけ持ちするのは、キツイんだ」

「ふうん、そうなんだ」

「ま、転校してきたばかりだからね。それよりも、城南の女子で注目すべきは、7番の川原和子と、5番の佐伯美奈のコンピだよ。もっとも、後半出てくるかどうかはわかんないけどね

「メンバー替わったもんね」

 

 おそらく、最初のメンバーが試合に出ていたのは、開始後5分くらいまでじゃなかったでしょうか。あとは、いろんな選手がクルクルと交代を繰り返していたのです。

 それにしても、全国大会の常連というだけあって、城南の強さはさすがでした。星城とのあまりのレベル差に、驚きを通り越して拍手を贈りたい気持ちになったと、早紀があとで話してくれたのを、覚えています。

 

「ホントは、浅川のプレイを見せてやれれば一番いいんだろうけどさ」

「え?」

「いや、なんでもないよ。さてと、そろそろハーフタイム終わりだね」

「あ、うん。じゃあまたあとで」

「オッケー」

 

 まもなく、後半戦がスタート。水野くんが注目しろと言っていた、7番と5番の選手は、結局は後半戦に出場することはありませんでした。また、水野くんがチラッと名前を出した、浅川という選手が出場することもありませんでした。それでも試合は、ずっと城南のペースのままでした。

 その女子部の試合が終わると、今度は男子部です。審判は城南側の生徒に代わっていました。コートに整列した選手は、その背番号だけを信用するならば、4、5、6、7、8、と両チームともにレギュラー選手のようです。かつて城南にいたという水野くんは、ベンチの端っこに座っていました。ハーフタイムのときに彼が言っていたとおりになったわけですが、でも、水野くんは城南にいたのですから、きっとバスケットボールの腕はかなりのものだと思うのです。なのに、どういうわけなのでしょうか。

 とはいえ、彼には申し訳ないことですが、水野くんがベンチに座っているというのは、取材する側の早紀にとって好都合なのでした。早紀と翔子は、こそこそとベンチの水野くんのすぐ後ろへと移動していきます。何といっても、城南について一番詳しいのは水野くんですし、星城バスケット部員のなかで、一番話しやすいのもまた、彼なのですから。

 

「ねえ水野くん」

「え? ああ、キミたちか」

「城南のメンバーは、レギュラーが出てるの?」

 

 と、そんな風に声をかけ、いろいろと話を聞き、また教えてもらうことができたのです。ちなみに城南側はレギュラー選手が出ていたそうですが、本当の意味でのベストメンバーは、背番号10を付けた、村野光一という選手が入ったときかもしれないというのです。星城高校にとっては、その選手を起点とした速攻型の編成にされたときが、一番闘いにくい状況になるだろうと、そういうのです。

 

「ね。変なこと聞いていい?」

「なんだい」

「水野くんって、城南のときはレギュラーだったの? 背番号は何番?」

 

 その質問には、水野くんだけでなく、翔子も驚きました。たしかに、変な質問でした。それにもし、彼がレギュラーでなく補欠だったとしたら、どうでしょう。変というよりは、失礼な質問になってしまうかもしれません。

 それはともかくとして、そんな疑問を抱いたことはおかしなことではないのかもしれません。聞いてみたくなったのも仕方がないのかも。ただ、水野くんは、少し目を大きく見開いたまま、すぐには返事ができずにいましたから、早紀も困った顔になっていました。でもそのすぐ後に、水野くんはにっこりと笑ってくれたのです。

 

「一応ね、レギュラーだったんだよ。2学期からは4番をもらうはずだったんだけど、その前に転校したんだ。浅川には、思いっきり怒られたけどな」

「浅川って?」

「城南女子部のキャプテンだよ。2人で部をもりたてていこうって話をしてたのに、勝手に放り出したんだから、無理もないけどな」

「そうなんだ。でもさ、どうして水野くんは試合にでないの? レギュラーだったんなら、あの人たちに負けないくらい上手だってことでしょう」

 

 あの人たちとは、いま、試合に出ている城南の選手たちのことなのですが、たしかに早紀の言うとおりです。そのことはよくわかるのですが、でも、そんなにストレートに聞いてよかったのでしょうか。それよりも気になったのは、背番号は4番をもらうはずだったということでした。というのも、4番といえば普通、キャプテンが着けるものだからです。つまり、水野くんはキャプテンになるはずだったということ。ということは・・

 1つ疑問が浮かびましたが、早紀は、そのことに気づいたでしょうか。

 試合は城南のリードで進んでいきます。少しずつではありましたが、確実に点差は開いていったのです。やがて、女子部のときと同じように、城南側のメンバーチェンジが告げられました。それも、一挙に3人が交代するようです。

 

「ね、岸本さん」

「なに?」

「村野光一が出てきた。背番号10のヤツだよ、あとの2人は大野と平川。このメンバーだと速攻が主体になる。これからきっと走らされることになるよ。体力勝負だね」

「あ、じゃあ注意してあげなきゃ」

「それはそうなんだけど、いまはムリだな」

「どうして?」

「だってオレ、キャプテンからおとなしくしてろってクギさされてるんだ。それに、試合中だしね。あ、もちろんハーフタイムになったら、それとなくアドバイスはするつもりだけど、星城チームにはきっといい経験になるはずさ」

 

 おとなしくしてろ、とはどういうことなのでしょう。それよりも、水野くんは2年生なんじゃないでしょうか。実は、さきほどの疑問とはそのことでした。1年生がキャプテンになるという可能性まで否定はしませんが、相手はバスケットの名門校なのです。やはり2年生と考えたほうが自然です。

 そういえば、彼のクラスは知りませんでした。早紀は、まるで同級生であるかのように、自然な感じでしゃべっていますが、もし上級生ということになれば、これまでのようなしゃべり方でいいはずがありません。確かめなければと思っているうち、試合はハーフタイムを迎えました。

 そのとき、水野くんは相手の攻撃の起点となっているのが10番の選手だということと、相手のスピードに振り回されていることを指摘し、その対策を指示しようとしたのですが、どういうわけか、星城の選手たちは、あまり耳を傾けようとはしないのです。それよりも、スポーツドリンクを飲んだり、流れる汗を拭いたり。

 その様子からは、あきらめムードというのでしょうか、何をやってもどうせ城南にはかなわないんだと、誰もがそう言っているようでした。自然、水野くんも黙ってしまったのです。

 後半戦になると、城南はさらにスピードをあげました。それは見事な速攻が次々と決まるのです。誰もそのスピードについていけないまま、試合は大差をつけて終わりました。一般的なバスケットの試合の得点が何点くらいなのかよくは知りませんが、100点近くになろうとする点差は、やはり特異なケースなんだろうと思います。

 試合後は昼食休憩となりますが、水野くんの言葉を借りれば、さんざんにコートを走らされた選手たちは、疲れ果てて部室に閉じこもってしまいました。そんなわけで、体育館に人影はなくなり、静かな空間が生まれていました。そのなかで、菓子パンとパック牛乳でお昼を済ませた早紀と翔子は、ひそひそと相談をしていました。

 素人にもわかるほどの、圧倒的な力の差。相手が高校生なら自分たちは小学生、自分たちが高校生なんだとしたら、きっと相手はプロチーム・・ そんな印象すら抱かせる試合。その結果を、わざわざ壁新聞として掲示することは、なにかバスケット部の人たちに悪いことをするような、そんな気になっていたのです。だから、新聞を作るのはやめたほうがいいんじゃないか、このまま取材を中止して帰るべきなのでは・・

 水野くんが体育館に来たのは、2人の相談がそこまで及んだときでした。

 

「岸本さん、それと倉田さんだったよね」

「あ、水野くん」

「もう、お昼は食べた?」

 

 それは、とっくに済んでいました。2人は返事のかわりにゆっくりとうなづきました。

 

「じゃ、城南のやつらを紹介するよ。どうする? ここへ呼んでこようか。それとも、向こうに行く?」

 

 彼にお願いしていた、城南の選手へのインタビューの件でした。でも、壁新聞作りをやめるのだったら、その必要はありません。そのことを告げ、断らなければなりません。どうしようかと顔を見合わせた早紀たちでしたが、そのとき体育館に、城南の選手が5人、体育館に入ってきたのです。

 

「直樹、どうして試合に出ないんだ。おまえとバスケットがやりたくて、わざわざ来たっていうのに、ムダ足にさせる気かよ」

「やっぱりそうか。おおかた、そんなことだと思ったよ。最初に言い出したのは、どうせ光一なんだろ」

 

 光一とは、前半の終わり頃からずっと、攻撃の起点として、星城チームをかき回し続けた、あの10番の選手のことです。残りは11番の選手と、女子選手が3人です。彼らは、どんどんと、水野くんのところへ近づいてきます。ということはつまり、早紀たちのところへやって来たということです。

 

「ああ。でも浅川だって賛成してくれたんだぜ。おまえとも会いたがってたみたいだ」

「そうか。あとで声をかけておくよ」

 

 女子部のキャプテンだという浅川さん。後で聞いた話では、水野くんと浅川さんとは、名門である城南大付属高校のバスケット部をともに任され、一緒に頑張っていこうと話し合っていたそうなのです。なのに、突然水野くんが転校し、ちょっともめ事のようなこともあったらしいのです。でもそんなわだかまりも、試合後には解消することになるのですが、それは少し後のお話。

 

「あの、水野くん。私たち、席はずそうか?」

「え? べつにいいよ。ちょうどいいじゃないか。紹介しておくよ」

 

 早紀としては、遠慮してそう言ったのですが、水野くんは気にしていない様子。しかし、城南の選手たちはそうではなかったようです。特に、女子選手が、鋭い視線を向けてきます。

 

「えっとこっちから、村野光一、大野祐二、西畑久美、山崎美穂、後藤あかね・・ で、こっちが岸本早紀さんに、倉田翔子さん。文芸部の人たちでね、今日の練習試合を取材して新聞を作ってくれるっていうんだ。それで、おまえ達に協力してほしいんだけど」

「新聞! へぇー、そんなことになってるのか。驚いたな」

「いいだろ? インタビューされるなんて、いい経験になるぜ」

 

 と、微笑みながら言う水野くん。紹介が済むと、城南の選手たちの表情も、ずいぶんと柔らかくなった印象でした。でも、女子選手のうちの1人は、相変わらず厳しい目だったことを覚えています。そのことに早紀は気づいたでしょうか。

 

「その前に、1つだけ聞いておきたいんだけど、いいか?」

「なんだよ」

「おまえの転校した理由だよ。オレたちだって、聞かせてもらってもいいと思うんだ」

「その話か」

「ああ。なによりも重要な話だよ」

 

 いま話しているのは、城南の村野という人と、水野くん。他の城南の人たちも、発言こそしないものの、その気持ちは同じなのでしょう。水野くんは、すっと目をそらし、そばに転がっていたバスケットボールを手に取りました。

 

「あとにしてくれないか。話すと長くなる」

「後? きっとだな」

「ああ、いまは岸本さんたちに協力してやってくれよ」

 

 そう言うと、持っていたバスケットボールをシュッと投げたのです。そのボールは、まるで吸い込まれるように、バスケットのゴール、そのリングのなかに入ったのです。コートの外からでしたから、早紀はもちろん、翔子も驚きの声をあげたのですが、城南の選手たちは、当然といった感じでした。表情すら、変えないのです。それは、水野くんの実力をよく知っているから・・ それとも、彼らも同じことができるからなのでしょうか。

 そのシュートしたボールを、水野くんが走って取りに行きます。そしてまた、シュート。そのシュートも、きれいな弧を描いて、リングの中へ。

 

「あの、いいですか?」

「ああ、インタビューですよね。で、どんなことしゃべればいいのかな?」

「そうですね、えっと、私も、何を聞いていいか困っちゃうけど・・」

 

 なんだか、ぎくしゃくした感じでした。そうです、早紀が初対面の人やあまりよく知らない人としゃべるときは、こんなふうに、とまどい気味に少し目を伏せながら話をするのです。それを思うと、水野くんと始めてしゃべったときの早紀の雰囲気がいつもと違うように感じたのも、ムリはなかったなと、そう思う翔子だったのです。

 その訳を、浅川さんをはじめとした城南の人たちと水野くんとの間に、なにか問題があったみたいで、それが気になっていたからだと早紀はいうのですが、でも、翔子に言わせれば、これがいつもの早紀。

 とはいえ、あらかじめ聞いておきたいことをまとめていたこともあって、なんとか早紀は質問を始めました。その後はわりとスムーズに進んだと思うのですが、城南の人たちは、インタビューの間もずっと、水野くんのことを気にしていたのは確かだと思います。

 なかでも、西畑久美という人は、じっとその視線を、一人でシュート練習をしている水野くんに向けていたのでした。やがて、午後の試合の時間が近づき、コートにも両校の選手たちが集まってきました。

 

「あの、最後にもう1つ聞いてもいいですか?」

「どうぞ」

「ごめんなさい、やっぱり気になってしまって。あの、水野直樹くんは、どうして星城に転校してきたんでしょうか? どうしてだと思いますか?」

 

 そのとき、とっさに翔子は早紀を止めようとしたらしいのですが、その質問は相手にしっかり届いていました。そのとき、誰もが顔を見合わせていたことを覚えています。答えてくれたのは、山崎美穂さんでした。

 

「私たちもね、それが知りたいの。だから、彼が星城高校に転校したと聞いて、こうして来てみたの。来れば何かわかるかなって思ったから」

「そうだったんですか」

「いろいろと、理由は考えたんだぜ。もしかすると、星城ってとてもバスケットが強いんじゃないか、とかね。だってオレたちじゃ、直樹の相手には不足だったからな」

 

 これは、村野光一さん。これまでの話からすれば、水野くんと村野さんは、ちょうど早紀と翔子のように、仲の良い間柄だったことがうかがえるのですが、それでも、その理由はもちろん、転校することすら、相談を受けたことはなかったのだそうです。

 

「でも、あいつは後で話すと言ってくれた。それを待つしかないよ」

「そうですね」

 

 その理由を聞きたいと、そう思ってはいけないのだろうかと、このとき早紀は考えたといいます。私にも教えて下さいと、言いそうになるのをようやくおさえ、早紀は頭をさげました。

 

「どうもありがとうございました。午後からの試合も頑張ってください」

「どういたしまして。キミたちの役には立てたのかな?」

「はい。助かりました」

「それじゃ、これで」

 

 そろそろ、開始予定の2時。午後からは、どのような試合が行われるのでしょうか。午前中同様、一方的な試合になるのでしょうか。それでも、早紀と翔子は、試合を見ていくことに決めました。このインタビューを通し、城南の選手たちの気持ちがある程度は伝わってきたからでした。水野くんの言うように、単に力の差を見せつけにきたわけではなく、それは他に理由があったのですから。

 午後からの試合は、前半と同様、男女ともに城南の圧勝の結果となりましたが、午前中ほどの大きな差にはなりませんでした。水野くんの言葉を借りれば、星城は速攻を主体としたスピードのある早い試合展開を苦手としているらしいのですが、午後の試合ではあえてその逆、つまり星城が得意としているパターンで試合をしてくれたからだろうと思うのです。

 その試合後、城南側から、一言あいさつしたいとの申し入れがありました。もちろん、生徒会はそれを許可。コートのセンターラインを挟んで両校の人たちが向かい合うなかであいさつしたのは、女子部のキャプテンである浅川弥生さんでした。さっき、試合途中に水野くんがチラッと名前を出した、あの浅川さんです。

 

「星城高校バスケット部の皆さん、そして、お世話をしてくれた生徒会の皆さん。本日は、わたしたちのわがままに付き合ってくださり、ほんとうにありがとうございました」

 

 そして、ペコリとおじぎ。星城側から、拍手が起こります。

 

「今日、私たちがやってきたのは、夏休みを境として、突然転校してしまった元のチームメイトに会うためでした。そして同時に、彼があらたな仲間として選んだ星城高校という舞台が、いったいどんなところなんだろうかと、それを見ておきたかったんだと思います」

 

 このとき、浅川さんはじめ、城南側の人たちの視線が、いっせいに水野くんへと向けられました。城南の人たちは水野くんが城南にいたことを知っていますから、それも当然なのですが、星城側にはそのことを知る人は、ほとんどいません。

 でも、このあいさつと、その視線の動きで、元チームメイトが水野くんだということに誰もが気がついたのです。そして、驚きの表情で、彼を見つめていました。あいさつは、続きます。

 

「ただ時期が悪く、転校したばかりの彼は、まだ試合に出るには早過ぎたようです。これは、私たちのあせりすぎが原因であって、もちろん彼やあなたがたに責任はありません。そのことを、私たちは素直に反省し、深くお詫び申し上げます。どうもすみませんでした」

 

 最後は、城南の部員たちが声をそろえて、頭を下げていました。そのとき、何に感動したのか、早紀は思わず拍手をしていました。となれば、仕方がありません。翔子もつられて拍手を。その輪は、やがて生徒会の役員から、星城バスケット部員たちへと広がっていきました。

 

「どうも、ありがとう。それじゃ私たちはこれで。次は、大会で会いましょう」

 

 そして城南チームは帰ろうとしたのですが、そのときなぜか、早紀は大きな声で叫んでいました。あとで早紀と話したところでは、このまま帰してはいけないと、そんな気持ちになったのだそうです。村野さんたちとは、たぶん話をする約束ができているのでしょうが、他の、たとえばあいさつをしてくれた浅川さんたちとは、このまま別れることになるのです。

 村野さんから聞いた話によれば、水野くんは、突然転校を決め、誰にもそのことを告げずに転校したらしいのですから、このまま別れてはいけないと、そう思ったのでしょう。

 早紀らしいといえば、早紀らしいことではありました。そのおかげで水野くんと浅川さんとは、お互いの気まずい雰囲気、わだかまりといったものにケリをつけることができたのですから、よいことだったと思います。

 

「待ってください。せっかくなんですから、水野くんと試合して帰ってください」

「えっ!」

 

 この早紀の提案には、当然だと思いますが城南側と星城側の双方から、驚きの声があがりました。特に生徒会は、役員の誰かが早紀のところへ飛んできたほどだったのですが、早紀は言葉を続けました。

 

「5分でも10分でも。審判がいなくてもいいじゃないですか。コートとボールさえあればできるんでしょう」

「そうね、そのとおりだわ。ありがとう。でも、これ以上は迷惑をかけられないし」

「いいえ、そんなことはありません。ねえ、会長!」

 

 文芸部存続をめぐっての交渉と、その後の部員数の報告で、何度か話をしていることもあって、早紀は、生徒会長の顔を覚えています。星城側の生徒のなかからすぐさま生徒会長を見つけると、前に引っ張り出しました。

 その会長のところに、城南の浅川キャプテンが。

 

「ご迷惑ついでにお願いします。あと少しだけ、コートを貸してもらえませんか」

「ボクはかまわないよ。バスケット部がOKするのであればね」

「本当ですか!」

 

 早紀の喜びの声。とくに星城バスケット部から返事はなかったのですが、誰もが、コートの脇へと移動していきました。つまり、意思は伝わったというわけです。

 

「どうもありがとう。それじゃあと少しだけコートを借ります。水野くん、いいでしょう?」

 

 浅川キャプテンの声。でも、そんな声がかかる前に、水野くんはコートの中にいたような気がします。

 

「もちろんさ。でも浅川、おまえにばっかり責任押しつけたりして悪かったな」

「そのことは、もういいよ。キミがバスケやめてなければ、それでいいんだ」

「おまえのほうこそ、やめるなよ」

 

 そんな水野くんの声に、ニコッと笑った浅川さん。2人の会話はそれだけでした。2人のわだかまりを払拭するのは、それだけで、十分だったようです。そして。

 

 

「じゃ、水野くん側のメンバーですけど、星城さんの側で参加される方、どうぞ前へ」

 

 

 ちょっぴり雰囲気が変わった体育館でしたが、それも一瞬。この浅川さんの呼びかけで、すぐにもとに戻っていました。

 そしてこれは、他校の体育館で、あえて自分たちのわがままを通すことになるのですから、当然の呼びかけだったと思いますし、また、その申し出をやんわりと辞退するのも、いわゆるお約束というものだったのかもしれません。星城男子部のキャプテンは、その申し出を断っていました。

 

「ぼくたちは、見学させてもらいますよ。力の差がありすぎますからね。だから、そちらのメンバーでどうぞ」

「そうですか。じゃ、こちらでえらばせてもらいます。ご好意、感謝します」

「どうぞえんりょなく」

「はい。それじゃ、水野くん側として、黒木、大野、山崎、西畑。相手は、村野、芝原、倉田、佐伯、川原。審判は私がやります。いつもどおりの3ゴールでいくからね」

 

 だだだっと、人の動き。コート中央に、名前を呼ばれた選手たちがまたたくまに集まりました。そして、ジャンプボールで試合開始。

 でも、キャプテンの浅川さんは、どうして自分を指名しなかったのでしょう。水野くんと試合をしたいとは思わなかったのでしょうか。あの会話を思い出してみても、それはすこし不自然に気がしたのですが、でも、これがキャプテンとしての責任だと言われれば、納得できるような気もするのです。

 キャプテンといえば、城南には男子部のキャプテンだという人がいませんでした。単に休んでいただけなのか、それとも、背番号4をもらうはずだった水野くんが転校したためなのか、それは、わかりません。でもたぶん早紀も、同じことを思っていたはずです。

 試合のほうは、星城との練習試合のとき以上に、すごいものでした。早紀だけでなく、その場にいた誰もが、その試合に目を奪われていました。城南の選手のユニフォームが、汗でぬれています。両チームともに女子選手が2人ずつ含まれていたのですが、その女生徒も男子に混ざっていても、まったくひけをとっていません。身長なども含め、体力的には不利なはずなのに、それをカバーしてあまりあるスピードと正確さ。それは、素人の目にもあきらかでした。

 メンバーの人選は、たぶん実力が均衡するようにと考慮されていたんだろうと思います。ほとんど点差がつかないままに試合は進み、コート外から見ている他の部員たちが、さまざまに声援を送ります。ちょっとしたミスには、すぐさま叱咤の声が。それは、いつもの星城の体育館とはまったく違う雰囲気でした。これが名門と言われる城南の、普段の練習風景なのでしょう。

 早紀のみならず、星城バスケット部の面々も圧倒され、引き込まれていくなか、いったい、どれほどの時間が過ぎたのでしょうか。

 左45度、位置的にはスリーポイントのところにいた水野くんに、ボールが渡ります。水野くんのマークには、ずっと村野さんがついていたのですが、その防御がわずかに遅れたようでした。その位置からの水野くんのシュート。そのボールの軌跡を、誰もが目で追い、ほんのわずか、動きが止まっていました。きっと誰の声も、なんの音もしていなかったんだと思います。

 

ピピィーー

 

 一瞬の静寂を破るかのように、長めに吹かれたホイッスルの音が、その試合(?)の終わりを告げました。得点は、49対43。開始のとき城南の浅川キャプテンが言っていた、いわゆる3ゴール差でした。

 

 

  ※

 

 

 放課後の部室のなかに、早紀は、椅子に体をもたれさせるようにして座っていました。かなり疲れているのでしょう。でも、やるだけやったという満足感が、その疲れを心地よい脱力感といったものに変えているのも確かでした。横にいる翔子も、それは同じでした。

 

「ねえ、早紀。今日はもう帰ろうか」

「そうだね。壁新聞の掲示もしたし、とくにすることもないもんね」

「そういうこと。あーあ、眠いなぁ。今日は早く寝ようっと」

 

 土曜日は、バスケット部の練習試合のあとでその取材結果をまとめるのに費やし、翌日の日曜日は、一日中、壁新聞の作成に追われたのです。なれない仕事だったためか、その作業は丸一日かかっても終わらず、結局、早紀の母のアドバイスを受けるなどして、ほとんど徹夜までして、ようやくして仕上げたのでした。

 その壁新聞を、男女バスケット部のキャプテンに確認してもらい、生徒会の承諾も得て掲示したのが、昼休み。放課後のいま、やっと落ち着いたといったところなのでしょう。

 

「ところでさ、どうなったんだろうね」

 

 新聞の作業をしているときはそうでもなかったのですが、こうして落ちついてくると、やはり気になるのは、あのことでした。すなわち、水野くんの転校理由。でも早紀がまず気にしていたのは、試合の後、城南の人たちと水野くんがちゃんと話をしたのかどうかということでした。でも、そのことならきっと大丈夫だったろうと思うのです。もちろんどんな話をしたかまではわかりませんが、水野くんと彼らが、あの城南のスクールバスのところでしばらく一緒にいたのを見ていたからです。

 

「ちゃんと話はしたんじゃないかな。私、水野くんが城南のスクールバスのところにいるの、見たよ」

「え、そうなの?」

「うん。どんなこと話してたのかはわからないけどね」

「そうなんだ」

 

 少しだけ、早紀ががっかりしたような気がしました。やっぱり、水野くんの転校の理由は知りたかったのでしょう。それとも・・

 

「でもさ、すごかったよね、最後のあの試合」

「うん。だから、どうしてもあれがメインになっちゃったよね。うちのバスケット部の人たちには失礼だったかな」

 

 教えてくれるかどうかは別にして、転校理由は本人に聞くしかないことです。そのためか、急に早紀が話題を変えてきました。もちろん翔子も、あの試合には、かなり感動していたので、すぐにその話にのっていました。

 そんなことを話しながら出入り口のドアを開けたのです。と、そこにライトブルーの体操服姿の、水野くんがいました。きっとバスケットの練習着なのでしょう。その水野くんがドアをノックしようとしたのと、早紀たちが帰ろうとしたのが、ちょうど同じタイミングだったのです。水野くんは、にっこりと微笑んでいました。

 

「よう、お2人さん。新聞、見せてもらったよ。オレのこと、あんなふうに取り上げてくれてうれしかったよ。どうもありがとう」

「ううん、そんなことないよ。本当は、もっといろいろと書きたかったんだけど、星城の壁新聞だから、なにもかもってわけにもいかなくてさ」

 

 その返事をしたのは、早紀です。書きたかったこととは、試合の日の昼休みに、城南の村野さんをはじめとした5人からいろいろと聞いた、その話のことです。新聞には書ききれなかった、さまざまなエピソードがあったのです。

 

「それでさ、あの新聞を城南のやつらにも見せてやろうと思うんだ。で、1枚もらえないかと思ってきたんだけど。送ってやろうと思うんだ」

「え? でもあれは・・」

 

 チラと、翔子が早紀を横目にみました。だって、予備が何枚もあるわけではありません。というか、完成品は講堂への渡り廊下にある掲示板に貼りだしたあの1枚だけしかないのです。その1枚を作るのに、どれほどの時間がかかったことか。でも早紀は、さすがにちょっと考え込んだようでしたが、すぐにうなづきました。

 

「じゃあ、明日持ってくるよ。それでいい?」

「いいけど、家にあるのかい?」

「うん、昨日の日曜日に私のうちで翔子と作ったから。それで、何枚いる?」

「そうか、たくさんあるわけじゃないんだな。わざわざ作るんじゃ、申し訳ないな」

「気にしないで。元の版が残ってるから、すぐに作れると思うんだ。そんなに手間かかるわけじゃないから」

「でも、悪いよ。よし、じゃあお礼に何かおごらせてくれよ」

 

 そのとき、早紀は、そんなこととんでもないと、首を振ったのですが、翔子は、いたずらっぽい笑みを浮かべていました。水野くんがそう言うのなら、こんなチャンスはないと思ったからです。生徒会室で水野くんと始めて会ったときから感じていたのですが、早紀は、絶対に水野くんのことが好きなはずです。じっと見つめてみたり、楽しそうに話をしたり・・ そんな雰囲気から、彼を意識していることが伝わってきていました。少なくとも、翔子はそう感じていました。

 

「ね、水野くん。どうせなら、私は何もいらないから早紀に何かプレゼントしてあげてくれない。どうやら、まんざらでもないみたいなの、あなたのことが」

「こ、こら翔子! 急に何、言い出すのよ」

「いいじゃないの。せっかく彼がお礼したいって言ってくれてるんだから」

「けど、新聞作りに協力してもらったのは、私たちのほうなんだよ」

「だったら、」

「あ、あのさ」

 

 それは、早紀と翔子の会話がヒートアップしそうになるのを止める、ちょうどいいころあいでした。でもなければ、水野くんのまえでどんなことを言い合っていたのか、ちょっと想像がつきません。2人が、水野くんに顔をむけました。

 

「オレ、そろそろ練習に行かないとダメなんだ。手間かけさせて悪いけど、新聞のほうは頼むよ。もちろん1部でいいからさ」

「わ、わかった。でも、ほんと気にしないでね。すぐにできるんだから」

「ありがと。でも、ちゃんとお礼はするよ。ほんとに1人分でいいのかい?」

「ええ、私は何もいらない。早紀の分だけで大丈夫だからね」

「わかった。じゃあな」

「あ、水野くん。お礼なんて、いいんだってば」

 

 と、後を追いかけるようにした早紀の言葉は、ちゃんと水野くんに届いたのでしょうか。足早に去っていく水野くんの後姿は、あっというまに見えなくなっていました。さて、この後はどうなるのでしょう。

 早紀だって、口ではあんなことを言っていましたが、こうなれば、期待はしているはずです。そのことを翔子に悟られたくなかったのか、何も言わずに部室にカギをかけました。そんな早紀に翔子は、壁新聞をつくるのを手伝おうかと申し出たのですが、早紀は、大丈夫だからと、それを断りました。そして、そのまま家路についたのです。

 早紀が家に戻ってくると、母の紀子さんが、ニコニコ顔で出迎えてくれました。その手には、あの壁新聞がありました。

 紀子さんは、それをバッと広げたのです。

 

「お帰り。ねえ、早紀。ちょっとこれ、見てみなさいよ」

「お、お母さん、これって・・」

「へへ、ちょっとね、手を入れてみたのよ。どう、カッコよくなったと思わない?」

「そ、そりゃあ」

 

 確かに、見栄えが良くなっていました。基本的なレイアウトは変わっていないのですが、早紀の書いたイラストも目立っていましたし、見出しも読みやすくなっています。写真の配置は、少し変わっているかもしれません。全体的にスッキリとした印象でした。

 

「でも、お母さん、よくこんな時間あったわね」

「まあね、急に仕事がぽっかり空いちゃってさ」

「ふうん」

「で、どうよ。まあ、プロが仕上げると、ざっとこんなものよぉ」

 

 と、自慢げの紀子さんでしたが、なおも紙面をじっくりと見ている早紀に、紀子さんは、こんなことを言いだしたのです。

 

「早紀、写真だけど、他にはないの?」

「写真? いろいろあるけど、どうして?」

「あ、いや、あのね・・ ほら、名前も水野だし・・ それにさ、これだとわかりにくいじゃない。もっと顔とか、はっきり写ったのはないのかなって思って」

 

 紀子さんが指差したのは、試合中の1場面をとらえた写真でした。その壁新聞のメインの写真で、3ゴール差を付けることになった、最後の水野くんのシュートシーンでした。

 

「この写真は、これだけよ。だって、この試合、そりゃスゴクてさ。写真撮る余裕とか、あんまりなかったし」

「そう。じゃあ、仕方ないわね」

 

 なんとなく残念そうな紀子さんでしたが、急に、早紀のほうが、不機嫌顔へと変わっていきました。

 

「どうしたの、早紀」

「お母さん、ここの記事、差し替えたでしょ。これは、書いちゃダメなんだってば」

「あら、でもこれを学校に貼り出せって言ってるわけじゃないのよ。早紀への見本のつもりで作ってみただけだから。いいじゃない、ちょっとナゾっぽい記事も必要なのよ」

「だからって・・ あ、そうか。ね、お母さん、作ったのはこれだけ?」

「? たしか3枚くらいあるわよ。でも最終版はそれよ」

「いいわ。ね、その3枚を私にちょうだい。それで、この件はチャラにするから」

「なによ、変な子ねぇ」

 

 と、しきりに首をひねりながらでしたが、それでも紀子さんは、最終版の前の版だという3枚を早紀のもとへ持ってきました。3枚のうちの2枚は記事の差し替えはされていないようでした。早紀はそれを確認すると、自分の目で見て、出来映えがいいと思える方を、くるくると巻いていきました。この新聞を直樹に渡そうと考えたのでした。

 ちなみに、紀子さんによって差し替えられた記事の部分は、『水野くん、謎の転校』との小見出しをつけた、城南の村野くんたちとの会話の部分でした。一応、その記事は書いたものの、翔子とも相談うえ、掲載しない方がいいだろうと、ボツにしたものだったのです。

 そういえば、早紀たちとのインタビューの中で、彼らは水野くんが父親と2人暮らしをしていたことを教えてくれました。でも、その父親が転勤になったわけでも、引越しをしたわけでもないのだそうです。今も同じ家に住んでいるのにどうして転校なんかしたんだろうと、誰もが疑問に思い、その結果、もしかしたら星城はバスケットがすごく強いのかもしれないと言い出す人もいたらしく、星城に練習試合を申し込んだのも、そんな一因があったのだそうです。

 それは、さておき。

 水野くんに渡す新聞を作る必要がなくなった早紀は、前夜の徹夜のせいもあってか、その日はいつもよりも早い時間に、きっと翔子も寝ているだろうなと思いながら、部屋の電気を消したのでした。

 




 読んでいただき、ありがとうございます。
 続きも、よければ読んでやってくださいね。近いうちに書き込みしたいと思ってます。
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