始めは登場人物の紹介的な内容が続きますが、一人ずつズームしたお話も作っています。話が続いていくので、できるだけ1話からスタートして順に読んで頂きたいです。
放課後や休日、3人の少年はほとんどここにいる。
天井からハンモックチェアがつるされ、テーブルは白木。ソファの背もたれは高め。床は人工芝。カウンターも白木。店内の一角には、フランスから仕入れた雑貨がディスプレイされている。当然、客の大半が女性。店の名前はfeuille(フィユ)フランス語で葉っぱ。少年のうちのひとり、葉山悠哉(ユーヤ)の両親が営むカフェレストランだ。ユーヤの作る絶品まかないとお客の女性見たさに、中学1年の頃から入り浸りの後藤光太朗(コータロー)と川原哲(テツ)。ユーヤは大体カウンターの中で、コータローとテツはカウンターのスツールが指定席。タダ食いばかりしていても悪いので、フロアの片付けや掃除くらいは手伝う。何しろ、お店にいると女の人に話しかけられるのだ!健康的なうら若き男子にはたまらない。
今日のお客は常連のサクラさん。ショートカットでいつもモノトーンかベージュのスーツをカチッと着こなし、ハイヒールの脚がきれいな大人の女性。左の薬指にシルバーのリングがキラり、残念。サクラは休憩をハンモック、食事の時はカウンターと決めている。
「もう、おなかペコペコ。ユーヤ君、いつもの!」
と、店に入ってくるなりカウンターへへたり込む。
「いらっしゃい、サクラちゃん。今日は九州産のうまいトマト入ったんだよ。トマト好きでしょ」
キッチンからユーヤの父・悠造が日焼けした顔でキリっと冷えたトマトサラダの皿を持って現れる。悠造の趣味はサーフィン・愛読書はLEON。父親と息子はよく似ていて、顔も性格もチャラくて女好き。
「うわーっ!よく熟れてておいしそう、いっただっきまーす。甘いわーこれ。そういえば3人とも高校生になるんでしょ」
サクラは速いピッチでトマトをたいらげながら3人の顔を見る。
「高校生になるって言っても、俺たち一貫校だからあんまり代わり映えしないんだよなぁ」
ユーヤはつまらなそうに言いながらサクラに水を渡す。
「お前バカだなぁ。外部から何人か入ってくんの知らないの?」
と、テツがノートパソコンのディスプレイを見たままつぶやく。
「マジで!入ってくるかな?超楽しみじゃねぇ!なんか、ヤル気でてきた」
「お前いつだって、ヤル気満々だろ。この万年発情期」
「お前だって女の子好きなくせに、俺ばっかみたいに言うなよ。きのうだって青いワンピースのお客さんのこと妄想してたくせに」
「うるせー、黙ってろ。サクラさんに迷惑だろ」
「テツこそ黙れ。ここ俺んちだぞ」
「俺んちじゃなくて、お前のパパとママの店だろ」
「パパとママって言うな!ここではムッシュとマダムって言わないとしばかれるからな」
チャラ男のユーヤと天才のテツはいつもこんな調子で減らず口をたたきあう。
「はいはい、ほんとにサクラさんの邪魔になるからここらでやめとけ」
3人の中で一番背の高いコータローがなだめに入る。
「ねぇ、コータロー君また背が伸びたんじゃない?今何センチあるの?」
「多分183くらいだと思います」
「いいわねぇ・・・まだまだ伸びるでしょ男の子だから。もう少し筋肉がついたら、モデルの仕事やってみない?エージェント紹介してあげるよ。コータロー君雰囲気いいもん!」
サクラが空のグラスを持ち上げてユーヤに水の催促をする。
「サクラさん、なんでコイツなんすか?俺のが絶対イケメンっすよ」
ユーヤが水を注ぎながらしかめっ面をすると、
「あのね、顔だけじゃないの。モデルって体全体からでてくるオーラみたいなものが必要なのよ。残念だけど、ユーヤ君にもテツ君にもそのオーラが足りない。もう少し大人になれば出てくるのかもね」
「くそっ!俺、身長もオーラもないのか。そんなんじゃ女にもてねーじゃねえか」
天才だけど168cmテツが頭を抱える。
「テツ君安心して。それはモデルの話であって、日常は別よ。だってうちのダーリン、わたしより背低いしオーラなんて全然ないんだから。でも、かわいいの!あっ、そういえばマダムは?」
「フランスに買い付け行ってるんすよ。今がチャンスってオヤジが狙ってるから気をつけてくださいね」
「大丈夫よ、わたしダーリン大好きだから。どんなにムッシュがイケメンでも浮気はしない」
「マダムに何か用があるんすか?」
「うん。うちの社長が休憩室のイメチェンしたいらしくてね。マダムならいいアイデアがあるんじゃないかなぁ・・・って。帰ってきたら相談させてもらおう」
「サクラさんの会社って女性ばかりなんですか?」
と、コータロー。
「今年の春夏からメンズラインのブランドもスタートしたから男女比2対8だけど、男もいるよ。そうだ今度、ショップへ寄ってみてよ。それこそ、ユーヤ君とテツ君はオーラが漂うイイ男に変身するかもよ」
サクラは新進気鋭のファッションブランド<world conquestワールドコンクエスト=世界征服>の社長秘書をしている。
「はい、おまたせ。モンサンミッシェルとラタトゥイユね。なに、サクラちゃんは俺に興味ないの?」
悠造がふわふわのスフレオムレツと色とりどりの野菜煮込みを持って、キッチンから現れた。サクラはキラキラした笑顔で、
「そう!わたしはダーリンに夢中なんです。どんな魔法も効きませんよ」
「惨敗だなオヤジ、さっさとキッチンにスっ込んでろ」
ユーヤはなぜか勝ち誇った顔で言い、父親を追い払おうとする。
「ユーヤ、オヤジじゃなくてムッシュな。サクラちゃん、俺は1回ふられたくらいで諦めたりしないんだぜ。いつか、そのダーリンも連れてきなよ。ダーリン公認の仲になってやるから」
ウインクしながらキッチンへ消えていく。
「ムッシュってスゲーよな。挨拶と口説くの同時進行なんだぜ、憧れるよマジで。俺、早くあんな大人の男になりてー」
テツは悠造の背中を神様でも見るようにながめる。
「お前、息子の身にもなってみろ。かわいい子がいるっ!と思ったら先越されてんだぞ」
ユーヤは忌々しげにグラスを磨く。
作者の個人的なイメージとしては・・・
サクラさん=真木よう子さん
パパの悠造=暑苦しくない松岡修造さんか、ふざけてない高田純次さんを少し若くした感じ
3人の高校生=皆さんのご想像にお任せします
ってことで、皆さまの妄想ドラマ出演者も募集しています。(有名人に限る)
自分がプロデューサーなら、こんなキャスティングをするぞ!という、妄想をお聞かせください。小説の醍醐味ですよね、妄想キャスティングって!