トイレでパトリックに色々言われて、むしゃくしゃしたままベッドに転がった。
4月になって新しい先生が入ってきた。短大を出てすぐの、とっても若くてかわいい人。それまでおばちゃん先生しかいなかったから、おねえさんがきた!って、友達と喜んだ。ともか先生はみんなの人気者だった。みんな、先生と遊びたくて取り合いだった。ともか先生の気を引くためには何をしたらいいのか、4歳の俺は毎日必死で考えていた。先生のお手伝いをしたら『ありがとう』と笑ってくれるのがうれしくて、友達が遊んでいる隙を狙ってお手伝いにいそしんだ。お昼寝の時も先生の隣をゲットするために、いろんな小技を編み出した。
七夕祭りの短冊には『ともかせんせいとけっこんする』と書いた。先生は
「ゆうや君が大きくなるまで待ってるね、先生!」
といって、ぎゅーっと抱きしめてくれた。やわらかくていいにおい。
卒園式の時は、先生に会えなくなることが悲しくて号泣した。でも、その頃うちの店がオープンしたから、先生は常連さんになってくれて仕事の帰りに寄ってくれるようになった。
小3の時、先生が結婚するとママから聞いた。家族の前では泣かなかったけど、一人の時に泣いた。さすがにもうわかっていた、先生と結婚なんてできないことは・・・。でもやっぱりさびしかった。
うちの店で知り合った人と結婚したから、俺たち家族も式に呼ばれた。
・・・俺はタキシードを着て、フラワーボーイをしている。そばで見るウエディングドレスの先生は、メチャクチャ綺麗でかわいい。そして先生は、笑ってる・・・
また、ともか先生の夢をみた。好きな人のことで悩むと見る、ともか先生の夢。夢占いとか信じちゃいねぇけど、この夢どんな診断されるんだ?
俺の初恋は保育園の4歳のとき。そんときから優しくて包み込んでくれる、ともか先生みたいな年上の女の人が好きだった。身近な女の人は超強いママともっと強いねーちゃんだから、柔らかい人に憧れるのは無理もねぇよな。だけど不思議なことに、大人に近づくにつれて強い人も好きになってきた。自分の意見をきちんと言える大人の女性、いい女ってこういう人を指すんだよ、わかるか?
響子ちゃんは、今の俺には高嶺の花かもしんねぇよ。でも少しくらいイケメンのライバルが現れようと、そんなのは関係ねぇ。ともか先生の時と同じだけ歳は離れてるけど、もう俺だってガキじゃねえぞ!パトリックがなんだ!なんとなくだけど、響子ちゃんはあいつを警戒してる、言葉使い変だったし・・・。俺が学生でも、どこかに勝算がある。
それに、童貞がなんだってんだ!俺は響子ちゃんとエッチしたくて好きになったわけじゃねぇ。そりゃあ、超絶スタイルだからちょっとは想像するけど、今はエッチなんてどうでもいい。今の俺は、性欲の向こう側にいるんだ。男子高校生だからって、毎日エロい事で頭がいっぱいな訳じゃねえ。哲学的なこと考えたりもしてるんだぜ。どうやったら響子ちゃんを幸せにできるか・・・今はそのことで頭がいっぱいなんだ、俺は。離婚したばかりだし、少し人生に疲れてるかもしれねえだろ。とにかく今はプッシュの時期じゃねえと思うんだよ。きれいな結晶を作るみたいに、ゆっくり時間をかける。大切に育てるんだ。卒業までの3年間、俺が本当に大人になるまでちょうどいいくらいの時間がある。それまでに、絶対イイ男になってみせる!響子ちゃんに選んでもらえるだけのイイ男にだ!
とりあえず、コータローとテツに相談だ。テツは勉強できるだけじゃなくて、こういう事にもスゲー頼りになるんだ。コータローは地味に応援してくれるしな。
あっ、俺の初恋の人ともか先生は今も常連さんで、最近は子どもの幼稚園のママ友を連れてランチに来てる。その子どもは男の子で時々俺も遊んでやるけど、子どもってかわいいよな。変身ごっこの時は、俺の中2魂がうずいて本気になっちまうぜ!
「あぁぁぁぁ、むかつく~~~~~!」
スゲー音で、ドアの閉まる音が聞こえた!ねーちゃんが帰ってきたみてぇだ。確か、今日は彼氏とデートのはずだったけどなぁ・・・。たぶん、ケンカしたんだろ。今からビール開けて延々と愚痴聞かされるから、なるべく顔合わせねぇようにしよ。さっさと風呂入って、物理の勉強だ。やっぱ、響子ちゃんの科目だけはいい点取らなきゃな。俺と、響子ちゃんの幸せのためにな!
ユーヤはいい男だよ!早くいい大人になって、響子先生とうまくいくといいな・・・
妄想キャスティング・・・ねーちゃん、山田優さんがいい!強いお姉ちゃん、この方以外は考えられん!