遊戯王ARC-V 異世界転生の召喚指導官   作:神聖SmD

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practice2、答え

夕暮れのビル群。偶然エンカウントした《LDS》襲撃事件の犯人こと

黒咲隼と戦うことになってしまった。

彼の目的は《LDS》関係者を襲い、アカデミアのTOP赤羽レオの息子である

社長の赤羽零児を人質にとり、レオと交渉に臨むことである。

全てはアカデミアに捕らわれた彼の妹の為だ。

 

その辺のいざこざは全て本編の話だ!

 

(だから、この決闘俺にメリットの「メ」の字もないんだが……)

 

逃げようものならあの不思議な技術でカードにされてしまうだろう。

……アレホントヤバいよね? 拉致監禁の域超えてるもんな?

だからビビッてる俺がいる。

 

「俺は、俺は瑠璃を救うためならば何でもする! 来ないのであれば、

こちらから行くぞッ! 俺は《RR‐バニシング・レイニアス》を、召喚!」

 

《RR‐バニシング・レイニアス》

攻1300/守1600

このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度だけ

発動できる。

手札からレベル4以下の「RR」モンスター1体を特殊召喚する。

 

黒咲の場にグリーンカラーの鳥獣が現れる。彼のデッキは【RR】。

鳥獣族のテーマである。まるで鳥が群れを成す如くわらわらと展開して

くる極めて展開力のあるデッキだ。

 

「バニシング・レイニアスの効果発動! 手札から《RR‐シンギング・レイニアス》

を特殊召喚ッ! 俺は2体のモンスターでオーバレイッ!」

 

モンスター2体ってことはフォース・ストリクスか。

 

「冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実をあばき、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!

エクシーズ召喚! 飛来せよ、ランク4ッ! 《RR‐フォース・ストリクス》!」

 

《RR‐フォース・ストリクス》

攻100/守2000

レベル4モンスター×2

(1)このカードの攻撃力・守備力は、このカード以外の自分フィールドの鳥獣族

モンスターの数×500アップする。

(2)1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

デッキから鳥獣族・闇属性・レベル4モンスター1体を手札に加える。

 

「フォース・ストリクスの効果発動! ORUを1つ使い、デッキから

《RR‐バニシング・レイニアス》を手札に加える! 俺はカードを1枚

セットしてターン終了だ。さぁ、次は貴様のターンだ」

 

フォース・ストリクスの攻撃力はたったの100。

けど、あの伏せ……恐らく戦闘補助。ストリクスを除去するのは簡単では

無さそうだ。

 

「あんたが《LDS》を襲って回る理由は大体わかったよ。けどな。

こんなこと言えたもんじゃないかもしれないが、他に方法は無かったのか?」

「何、だと」

 

黒咲の眼光の鋭さがより一層増す。ぅわ……こえぇ。

 

「貴様に、安穏と生きている貴様に何が分かるッ俺たちは全てを奪われた!

仲間を……故郷をッ! 瑠璃を!」

「確かにそうかもしれない。毎日平和に暮らしている俺にはあんたの気持ちは

分からない。けど、別に方法だってあるんじゃないか?」

「方法だと。そんなものはありはしない」

「あるかもしれないじゃないか。例えば……俺達と一緒に戦う、とか」

「馬鹿げた話だ―――――」

 

「――――隼!」

 

ビルの上から人影が降ってくる。決闘者特有の身体能力か……すげぇ。

降ってきた人物は黒咲同様顔面を半分隠しているものの、独特のヘアスタイル

までは隠せていない。その男は黒咲の腕を掴む。

 

「これ以上、関係ない人を襲うのはやめるんだ!」

「離せ、ユート! これは、これは俺の戦いだッ! 瑠璃を取り返すためには

こうするしかない! 邪魔をするな!」

「そんなことをしても瑠璃は助からない!」

 

2人で言い争う不審者たち。あれ、俺放置? こうならば――――

 

「逃げるんだよぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

全力で逃げました。途中から割と酸欠で涙出た。

 

 

全速力、スタイリッシュ敵前逃亡を決め込んでから家の付近まで走った。

ユートが割り込んでくれて助かった。天は俺を見逃さなかったのだ!

 

「はぁッ……はッ……ここまでくれば安心だろ」

 

心臓がバクバクと早鐘を打つ。正直、相手と自分の戦力差は明らか。

あんなん主人公補正でもなきゃ戦えたもんじゃない。

事件に首を突っ込むのも得策とはいえない。いいことはない。

 

「はッ……はぁ」

 

面倒事は主人公らに任せておけばいい。俺には役割があるし、やる気もない。

なにより人類を超越したような決闘者達を相手取る実力もなにもない。

だからこうしてモブとして暮らすのが妥当だ。なのに……

玄関のドアノブにかけた手が止まり、震える。

 

「くそ……」

 

イイじゃないかモブでも。ここには本物じゃなくても家族がいる。

塾の仕事もある。それで十分だ。十分なはずだろう。

 

――――なのに、なんで後悔なんかしてんだよ。俺は……

変えられるわけないだろう俺なんかに。この先の展開を。

 

「……た、ただいま」

 

俺はドロドロとした思考を押しこめると、普段より重いドアくぐった。

 

「あれ、兄さん。今日は遅くなるって言って無かった?」

「あ、あぁ。なんか大丈夫みたいだった……ハハハ。悪い」

 

玄関に入ると、妹がリビングから出てきた。

俺はそれに取り繕いつつ応じる。

 

「どうしたの? 汗、すごいけど。先にお風呂入れば?」

「あ、あぁ……そうする、よ」

 

俺は言われた通りに無心で部屋に戻り、スーツを脱ぎ風呂に向かう。

そうだ。忘れてしまえばいい。今日あったことは忘れよう。

黒咲は後々《LDS》と協力関係になるはずだ。ならいいじゃないかそれで。

かわいそうだが、それまでにカードにされた人は……犠牲だ。

 

「俺の気にすることじゃない」

 

その呟きは、シャワーを流れる水の音にかき消される。

が、脳裏にはマルコ先生と講師室で談話したことやこの間の生徒同士の

決闘のときの彼の姿が浮かんでいた。

人は、関わった人との思い出をそう易々消せるものではないらしい。

 

「何か、俺にできることでもあれば……話は別なのかもな」

 

湯の上をゆらゆら揺れる湯気をぼーっと見ながらそう口に出ていた。

 

「兄さんまだー。ご飯冷めちゃうよ?」

 

風呂場の方から呼ぶ声が聞こえた。

 

「あぁ、今でるよ」

 

俺は無意識に風呂から出る。が、そこには妹がまだ居た。

つまりは、

 

「ななんな、なんで……」

「なんではこっちの台詞よッ! きゃぁああああああああ!!」

「ちょ、誤解だ!! ちょっと!! 洗濯籠で殴るのやめッ――――」

 

プラスチック製の洗濯籠が頭に容赦なく振り下ろされる。

 

「ちょっと! 帰って来た時からなんなの? ぼーっとしちゃって!!」

「説教は後で聞くから! 籠を置いて出てくれッ!!」

 

股間を手で隠しながら叫ぶ。なにこの光景新手のプレイか!

 

「痛ってぇ……」

 

 

「それで、何かあったの?」

 

風呂での一悶着のあと、夕食の席で鏡花が切り出す。

 

「あ、あぁ。ちょっとな……」

「言ってみた方が楽なこともあるんじゃないの?」

 

それもそうかもしれない。俺は、話してみることにした。

だが、言えないこともあるのでたとえ話でだ。

 

「そうだな。例えばの話だが……」

「うんうん」

「たとえば、白雪姫の内容は知ってるか?」

「まぁ、知ってるわよ。何回も読んだし」

 

まぁそれで例えればいいか。

 

「白雪姫ってさ、リンゴ食って姫が寝て、王子がキスして起きるって

ストーリーだろ?」

「適当……まぁ大体そんな感じよね」

「すまんな。童話はあんまり好きじゃ無かったんだよ。まぁ続けるぞ。

例えば、鏡花がさ白雪姫の世界に入ったとするだろ?」

「え、何それ……」

「まぁ聞いてくれよ。そんで白雪姫を助けられる可能性があるとしたら

どうする? 助けるか? それとも助けないか?」

「んー……話が見えないんだけど、要は私が白雪姫の世界に入ったと

して話を変えられるとしたらってこと?」

「まぁ大体そんな感じだ」

 

鏡花は「そうねー」と考え込む。そして、

 

「私だったら、助けるかな。やっぱり誰でも自分で言いように話を

つくりたいじゃない」

「けどさ、姫に意見できる立場になるとも限らないんだぞ?

平民が意見できるのか? 言ったとして、姫はいう事を聞くのか?」

 

俺は捲し立てるように質問をする。

 

「ちょっと、兄さん。落ち着いて」

「あ、……ごめん」

「何がなんだか分からないけど、やってみないと分からないって言うでしょ?」

「なるほど。やってみないと分からないか……」

 

鏡花は「それに」と継ぐ。

 

「物語って作者の作った一つの答え、でしょ?」

 

俺はその言葉にはっとなる。

 

「だったら私達一人一人の答えがあってもいいんじゃない?」

「そうか……そうだよな。ありがとう」

「ううん。さ、食べよう」

 

 

次の日、授業が休みなので一日フリーとなる。俺は午前中にすべての

用事を済ませると2階の自室。そのクローゼットと対峙していた。

みれば見るほどカードの山だ。けど、今のデッキは心もとない。

もし、あの時黒咲と決闘を続けていたら……俺は負けていただろう。

結局、俺はこの話の展開こそ知っているものの、彼らと同等に戦える

力は持ち合わせていないのだから。

 

「なら、もっともっと強いデッキを組むまでよ」

 

早速、カードを探す。こんな時に元の世界にある俺のカードがあれば……

多少なりともマシになるんだが。

 

「ん……このカード」

 

数あるカードの中、1枚のカードが気になった。そのカードは裏面がこすれ

ボロボロになったカードだ。形状から察するに随分前からあるものなのだろう。

けど、それ以上に気になったのは、

 

「これは! なんで、これがここにあるんだ!」

 

そのカードの裏面の右端にマジックで「ゆうすけ」と書いてある。

これは元の世界で俺が小さかった時に書いたもののはず。

なら表は、

 

「やっぱり! 《竜騎士ガイア》のカード!!」

 

母親にねだって買ってもらったパックで初めて当てたレアカード。

当時遊戯が使ってて憧れた俺がこのゲームにハマった思い出の1枚。

それがなんでここに……暫く見なかったからもう無くしたとばかり

思っていた。

 

「どうなってんだ。なんでこのカードがここに……」

 

目が回り、頭が痛くなる。一体何がどうなって……

 

「くッ……痛ってぇ―――――」

 

そのまま俺は床に倒れた。




遅れました。さて、黒咲さんとの決闘。主人公逃げましたけど、
絶対彼とは再戦するのであしからず……。
そして一言。

「何! GWなら休みがあるのではないのか!?」

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