遊戯王ARC-V 異世界転生の召喚指導官   作:神聖SmD

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practice3、崩落都市ハートランド

「――――すけ、遊介ったら!!」

 

声がする。そういえば部屋でカードを探していて、《竜騎士ガイア》

を見つけたと思ったら頭が痛くなって……起きないと。

 

「うぅ……今、何時だ鏡花」

「鏡花? 誰よそれ。あんたまたおかしくなったの?

早く起きて用意しないと学校に遅れるわよ!!」

 

学校? 今は学校には通ってないじゃないか。

何を言っているんだと、俺はそこで目を開く。

 

「母さん……母さんじゃないかッ! 母さんが何故ここに!」

「はぁ? あんた、何を言ってるの? なんでも何もここが家だからよ」

 

目の前には母さんがいた。どうなっているんだ……

俺はベッドから飛び起きて周りを見渡す。

 

「ここは俺の……部屋、か」

「そうよ! あんた昨日ここで寝てたんだから。全く」

「ここで?」

 

母さんがクローゼットの方を指さす。

 

「どういう事だ」

 

考えても考えても益々分からない。

 

「2ヵ月くらい前も分けわからないこと言ってたわよね?」

「2ヵ月前?」

 

2ヵ月っていうと丁度俺があちらへ行ったあたりか。

 

「そんでそのときどうしたんだ?」

「ケツひっぱたいて学校へ行かせたでしょう? 覚えてないの?」

「鬼だ!?」

 

ウチの母親はこんなにも鬼だったのか……暫く会ってないから驚きだ。

 

「その後も「俺は極東のチャンピオンになる男だぞ」とか「決闘なら……」

とか言ってたわよね? もう、頭おかしくなったと思って心配したんだから。

やっぱり病院へ行った方がいいんじゃない?」

 

きっとスタンダートの俺だろうか……何、あっちの俺中二病も発病してんの?

けどまずいぞ。つまり何らかの原因か、また入れ替わったってことだよな。

 

「兎に角、早く降りて来なさいよ?」

「あ、あぁ……分かったよ」

 

そう言うと母さんは下へ降りて行った。

 

「どうしようこれ……何とかしてあっちへ戻らねぇと」

 

こういう時はそのことが起きる前のことを再現するのがいいんだっけ。

あの時俺は、クローゼットでカードを――――

 

「そうだ! 《竜騎士ガイア》は! ……あったあった」

 

ガイアは俺のベッドの下に落ちていた。間違いない、これは俺のものだ。

あれがどうしてあっちにあったのか分からないけど。

これはきっと、何らかの関係がありそうだ。

 

「兎に角クローゼットを確かめてみるか」

 

俺はクローゼットを開ける。が、そこには衣類が上に掛けられ、下には

雑貨が入っているのみだった。

 

「こうしてみると俺の部屋綺麗じゃん――――ってそんな事言ってる場合じゃない」

 

クローゼットは何もない。ならやはり……

 

「“鍵”はこのカード、か」

 

《竜騎士ガイア》があっちにあったとすれば、このカードが次元転送装置の

役割があるに違いない。SFチックな話だが。

 

「ハハ……我ながらイタいな」

 

如何にも中二病的思考に我ながら笑えてくる。

けど、あちらでまだやり残していることがある以上戻らねばならない。

 

「あ、そうだ……」

 

こっちからカードを持って行ければいいんじゃないか?

そうすれば俺のデッキがあっちで使えるはずだ。俺は机の中のデッキを

見る。好んで使っている【スクラップ】を含め数個のデッキ。それから

強化用カード、エクストラデッキがそこにあった。

俺はそのほかに必用となるかもしれない物をまとめて近くにあったバッグに

ねじ込む。

 

「よっし。こんだけもってけば……いけるッ! 

さぁ! 《竜騎士ガイア》よ!! 頼むぜ! 俺をスタンダード次元へッ!」

 

「――――え、あんた何をやってるの……」

 

《竜騎士ガイア》を天上に掲げ固まる俺。

何も起こらず、母さんの引いた視線だけが突き刺さった。

 

 

 

「おかしい。なんで何も起こらないんだよ……アニメだったらピカーっと

いけるはずだろ。もしかして、なにか条件みたいなのがあるのか」

 

母さんに蔑むように送り出され学校へ。しかし、学校も久々だな。

少し前は嫌々通っていた通学路も今となっては懐かしいほどだ。

 

「よ、遊介」

「お、おぉ。里中」

 

里中はクラスメイトだ。趣味も合い、付き合いも長い友人の一人だ。

 

「ん……お前。また雰囲気変わった? いや、戻ったの方が正しいか」

「え?」

「この間話しかけたらさ。「俺様に話しかけるな」って言ったじゃんか?

いやぁ、俺ビビっちゃったぞ」

「……すまん」

 

なるほど。こういう弊害が出てくるのか。

その後、久々の学校では色々誤解を解くのが大変だった。

 

 

 

放課後。男子用トイレで一人思案する。

 

「さて、こうしちゃいられない。そろそろバイトの時間だ……

このままではバックれになっちまう」

 

結局1日学校で過ごしてしまった。何度か試したものの戻ることはできない。

 

「何かエネルギー的な物が必要、とか? 

と、言っても俺には童貞力くらいしか……あーもうそれでいいか」

 

はぁっと体に力を入れる。もう自分で何が何だか分からないけど、兎に角

スタンダートに戻ろうという気持ちだけが原動力足り得た。

あちらには俺の役割がある。戻れ……戻れ、俺ぇ!

 

「《竜騎士ガイア》ッ!! 頼むッ!」

 

だが何も起こらない。クソ、何が足りないんだ……ッ!

 

「頼むよ……俺はあっちでやりたいことがあるんだッ! アイツ等に決闘を

決闘の楽しさを教えてやれて無いんだ! まだ、まだ何も始まっちゃいない。

だから――――俺を飛ばせぇええええええええええ!!」

 

男子トイレに俺の叫びが木霊する。すると、あの時感じた頭痛が襲う。

 

「きた……これで、帰れ、る」

 

俺はそのまま床に崩れた。

 

 

 

「う……うぅ――――痛てぇ」

 

頭は依然として痛むが、身体を起こす。

 

「成功か……」

 

が、周りの景観は俺の知っている場所では無かった。

 

「な、なんだよ……ここッ!」

 

周りには見慣れたスタンダート次元の風景では無く、荒廃した都市が広がって

いた。そこはまるで戦場。崩れたビル、煤けたアスファルト。それらがここで

起きたなにか悲惨な戦いを連想させた。

 

「まさ、か……失敗したってのか。ならもう一度だ! 何度でも――――」

 

俺は再び《竜騎士ガイア》を握る。

 

「――――おい! 見ろ、エクシーズの生き残りだ!」

「何?」

 

そこへ、2人の兵士風の青い服を来た男たちが現れる。

その風貌はまるで中世の兵士のようだ。

 

「エクシーズだって!?」

「本当だ、残念だがお前も仲間と同じ様にカードになってもらうぜ」

 

そうか、道理で見たことあるような気がした。ここはエクシーズ次元という

ことか。俺はスタンダードへ戻るつもりが、ここへ……

ということは、アイツ等は――――

 

「お前等、もしかして“アカデミア”……融合かッ!」

「そうさ。悪いが、お前はここで狩らせてもらうぜぇ。ハハ、最後に

いい土産話が出来そうだ」

 

エクシーズと融合の間で起きた次元間戦争。その真っ只中に来ちまったのか……

 

「……ついてねぇ」

「ああ、そうだな。お前はついてない。なんたってこれから――――」

「うるせぇ! 狩らせてもらうだぁ? てめぇはゲームでもしてんのか?

そうやって無抵抗の人たちを下衆く笑いしながら降したのか! 答えろ!」

 

そう言うとアカデミアの兵士たちは「あたりまえだよなぁ」と笑う。

 

「当たり前だとッ……クソ、やってやるよ。決闘しろ、俺とッ!!」

 

俺は元の世界から持ってきたデッキをデュエル・ディスクにセットする。

 

「「デュエルッ!!」」

 

アカデミア兵:4000LP

末城 遊介:4000LP

 

こいつらがエクシーズを侵略したから全ていけないんだッ!

こんな奴ら……許しておけるか。ぶっ倒してやるッ!

 

「俺のターンだッ! 俺は魔法カード《おろかな埋葬》を発動!

デッキから《スクラップ・ビースト》を墓地へ送るッ!

《スクラップ・キマイラ》を召喚ッ!! 効果で墓地からビーストを

特殊召喚ッ! 俺は、レベル4のキマイラにレベル4のビーストをチューニングッ!」

「何! シンクロ召喚だとッ!?」

「ここの奴らはエクシーズを使うのではないのかッ!?」

「鉄翼を広げ、今ここに降臨しろぉおおお!! シンクロ召喚ッ!

レベル8ッ! 《スクラップ・ドラゴン》ッ!!!!」

 

荒廃した街の空に《スクラップ・ドラゴン》が現れる。

不謹慎だが、その姿は今のこの風景によく似合った。

 

「こいつ、まさかエクシーズの残党じゃないのかッ!?」

「そんなもんは関係ない! お前は俺がぶっ倒すッ! 

俺はこれでターンエンドだ! さぁ、早くしろ!」

 

こいつ等を負かしてこの煤けた地面に這い蹲らせてやるッ!

 

「俺のターンだ! 俺は、《古代の機械猟犬(アンティーク・ギア・ハウンドドッグ)》を召喚!」

 

《古代の機械猟犬》

攻1000/守1000 ☆3

①このカードが攻撃する場合のダメージステップ終了時まで、相手は魔法・罠カードを発動できない。

②1ターンに1度、相手フィールドにモンスターが存在する場合に発動できる。

相手に600ダメージを与える。

③自分フィールドにこのカード以外の「古代の機械」モンスターが存在する場合に発動できる。自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、

その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

「効果発動! 相手に600ダメージを与える!」

「くッ……この程度ッ」

 

末城 遊介:3400LP

 

「更に永続魔法《古代の破滅機械(アンティーク・ハルマゲドンギア)》を発動」

 

《古代の破滅機械》魔

①フィールドのモンスターが破壊された場合にこの効果を発動する。

破壊されたモンスターの攻撃力分のダメージをそのモンスターのコントローラーに

与える。

②このカードの発動後、次の自分のスタンバイフェイズにこのカードを破壊する。

 

「俺は、カードを一枚伏せターンエンド」

 

古代の破滅機械? アレの効果は……く、思い出せない。

 

「関係ねぇ! 俺のターン、ドロー!  

カードを一枚伏せ、《スクラップ・ドラゴン》の効果発動! 俺とお前の場の

カードを一枚づつ破壊する! 俺は、この伏せとお前の《古代の機械猟犬》を

破壊するッ! 砕けろッ――――Scrap destroyッ!!」

 

スクラップ・ドラゴンが上空からブレスを放つ。

 

「甘いんだよ! カウンター罠発動! 《古代の機械盾(アンティーク・ギア・シールド)》」

「カウンター罠、だとッ!?」

 

《古代の機械盾》罠 ☆オリジナル

自分のフィールド上の「古代の機械」と名の付いたモンスターが

相手のフィールドの効果の対象になった場合に発動できる。

その効果を無効にし破壊する。

 

「その効果を無効にし、《スクラップ・ドラゴン》を破壊する!」

「なんだとッ!?」

 

スクラップ・ドラゴンの効果を機械仕掛けの盾が防ぎ跳ね返す。

 

「さらに、古代の破滅機械の効果でお前はスクラップ・ドラゴンの攻撃力

2800分のダメージを受けろ!」

「ぐぁああああッ!!!」

 

破滅機械から放たれた砲撃を喰らい後方へ吹っ飛ぶ。

 

「いってぇ……」

 

これはソリッド・ヴィジョンの域を超えてやがる……

けどお陰で頭の血が下りた。

 

末城 遊介:600LP

 

「ハハッハハハ!!」

「……スクラップ・ドラゴンが相手の効果で破壊された時、墓地から

《スクラップ・キマイラ》を特殊召喚する!」

 

少し熱くなり過ぎたか。伏せカードの警戒すらしてなかった。

 

「ふぅ……」

「どうしたぁ。大人しくやられる覚悟ができたか?」

「いや、ちょっと熱くなり過ぎたってな。前に生徒が言ってた言葉を

思い出してなぁ。決闘は熱くなった方が負けるんだって、さ」

「なんだそれは、ハハ」

 

オベリスクの2人が笑いあう。まぁ笑ってればいいさ。

 

「落ち着いたところで――――反撃と行かせてもらうぞ」

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