遊戯王ARC-V 異世界転生の召喚指導官   作:神聖SmD

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practice4、選手権に向け

俺が遊戯王に触れ始めたのは、曖昧だが幼稚園くらいの時だった。

まだルールなんて分からず、ただただTVで見るかっこいいモンスター

達に、それを使いこなす登場人物達に憧れた。

そして年月は過ぎ、中学生辺りからだろうか。ルールを覚え、デッキを組み

友人達とデュエルするようになった。実力は中だったけど、デュエルもカード

も好きだった。高校生になった今もそれは変わらない。

そして、今俺は――――その世界にいた。

 

「反撃と行かせてもらうぞ」

「ハハ、たったLP600。攻撃力1700のモンスターで何ができる」

 

アカデミア兵:4000LP

 

確かに相手のLPは未だ4000。だが、この手札なら――――

こいつ等は遊戯王を、DMを戦争の道具として使う敵。

別に世界の敵を倒すとは言わないが……一介の決闘者として倒させてもらう。

 

「俺は、《スクラップ・キマイラ》をリリース! 《スクラップ・ソルジャー》

をアドバンス召喚ッ!」

 

《スクラップ・ソルジャー》☆5

攻2100/守700

フィールド上に表側守備表示で存在するこのカードが攻撃対象に選択された場合、

バトルフェイズ終了時にこのカードを破壊する。

このカードが「スクラップ」と名のついたカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、「スクラップ・ソルジャー」以外の自分の墓地に存在する「スクラップ」と名のついたモンスター1体を選択して手札に加える事ができる。

このカードをシンクロ素材とする場合、「スクラップ」と名のついたモンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。

 

「へ、上級モンスターを出したか」

「それだけじゃねぇ! 魔法カード《死者蘇生》を発動! 墓地のキマイラを

再び蘇生する! 行くぞ! レベル4のキマイラに、レベル5のソルジャーを

チューニングッ!」

「またシンクロだと!?」

「重なる鉄、今二頭の機械竜を呼び覚ますッ!

シンクロ召喚ッ!! レベル9ッ! 《スクラップ・ツイン・ドラゴン》ッ」

 

二頭がアカデミア兵に向けられる。

 

「攻撃力、3000だとッ!?」

「更に俺は魔法カード《ミラクルシンクロフュージョン》を発動ッ!

墓地のシンクロモンスター、《スクラップ・ドラゴン》と戦士族モンスター

《スクラップ・ソルジャー》を除外して融合する!」

 

「「融合だとッ!!」」

 

2人の声が重なる。

 

「烈槍携えし竜騎士、その力振りかざし絶望を突き破れッ!!

――――シンクロフュージョンッ! 《波動竜騎士 ドラゴエクィテス》ッ!」

 

「シンクロフュージョン……ッ シンクロモンスターを用いた融合だとッ!?」

 

兵士が驚愕する。

 

「さぁバトルだッ! ドラゴエクィテスで《古代の機械猟犬》を攻撃ッ!

――――スパイラル・ジャベリンッ!!!」

 

エクィテスの槍が古代の機械猟犬を貫き粉砕する。

 

「うぁああああッ!!」

「この時、《古代の破滅機械》の効果も発動する! 古代の機械猟犬の

攻撃力分のダメージも受けてもらうぞ!」

 

相手の場に発動している破滅機械の砲台が標的を変え、発射される。

 

「ぐぁあああああああああああああッ!!!」

 

アカデミア兵士:800LP

 

「これで終わりだッ! 《スクラップ・ツイン・ドラゴン》ッ!!」

 

ギギギ…と音を立て、ツインドラゴンの二頭が敵を捕捉する。

 

「や、やめ――――」

「噛み砕けッ! ――――Scrap Viseッ!!」

 

ツインドラゴンの顎が敵を噛み、飛ばす。アカデミアの兵士は

後方へ吹っ飛び、やがて気絶した。

これで決闘が終わる。俺はもう一人の方を睨む。

そいつは「ひッ」と声を上げる。

 

「さぁ、次はお前だ。――――俺と決闘しろ」

「ま、ま待て――――」

 

そいつは後ずさると尻餅をつく。本気でビビッてやがる……。

そういう風に怯えるここの人々をお前等は何人倒してきた?

そう言おうと思ったが、やめた。これ以上はやめておこう。

それにそれは俺なんかが言っていい台詞じゃない。

 

「ふぅ……そいつを連れてどっかいけ。俺はお前等みたいに決闘を戦争の

道具にはしたくない。仲間を連れてさっさと消えてくれ……」

 

俺がそう言うと、アカデミアの兵士は俺が倒した方を担ぐと消えて行った。

俺はその情けない後姿を消えるまで見ていた。そしてまた一人になる。

辺りには当然人など残っていない。

 

「さて、どうすっか……」

 

とりあえずもう一度試してみるかと、ガイアを取り出してみる。

するとカードが光っていた。できればこれまでのことが全て夢ならば。

そう思いながら今まで同様、頭痛に誘われるように目を閉じた。

 

 

 

「―――――ってぇ……」

 

頭痛を振り払うように首を振る。しっかし。なんでこうも毎回頭痛がするんだ。

バファリンでも飲んでおけばいいんだろうか? いや、それ以上にこんな不思議

体験はこれきりで勘弁願いたいものだ。

やっと慣れた頭で景色を見る。そこは、散歩で何度か訪れたことのある

川の土手だった。どうやら今回は成功のようだ。

 

「今、何時だ? ……あれッ」

 

着ていた制服のポケットからPADを出そうとして気が付く。

ガイアが無くなっている。おかしいな……ここに仕舞っておいたはず。

Yシャツ、上着とすべてのポケットを確認するがガイアは見当たらなかった。

 

「もしかして、落とした……」

 

始めて当てたレアカードだけに思い出もあったんだけどなぁ。

後ろ髪を引かれるが、時間が無いので急ぐことにする。幸い、ここから

本気走れば何とか着替えても間に合う。もしかしたら忘れたころに出てくる

かもしれないしな。俺は近くに転がっていたバッグを肩に引っかけると

家路を急いだ。

こういう時に不便だし、金を貯めて原付の免許でも取ろうかな……

しかし、今日の出来事は不思議な体験だった。が、それ以上にエクシーズ

次元の惨状は凄かった。アカデミアの目的は一体……? 今後の次元間戦争

はどのようになるのか?

色々謎が増えるが、今は足を動かすことに神経を集中させる。

 

 

 

もうダッシュで家に帰り、着ていた高校の制服を脱ぎ捨てスーツへ。

鏡花はまだ帰ってはいないようだ。仕事用の鞄に持ち替え《LDS》へと

急いだ。これでも今日は次元を移動するという何とも奇妙な体験をした上に

融合次元の決闘者との決闘もしているわけで……まるでトライアスロン。

だが、職務放棄だけはしたくないので足を動かす。

 

 

「揃ってるか! 授業を始めるぞ……」

「せ、先生……どうかしたのですか?」

 

シャツも髪も乱れ、さらに顔は汗だく。そんな俺を見て昌子が問う。

確かに酷い容姿だった。

 

「ちょっと、な」

 

未だ整わない息を整えつつ、テキストを開く。

 

「今日は16ページから進めていくぞ」

 

どうにかその日の授業をやりきった俺は、ふらふらの足取りで帰宅し

そのままベッドに倒れこんだのだった。

 

 

それから一週間が過ぎた。塾内には今だ襲撃事件という問題が残る。

上層部は今も調査に躍起になっている。その中、いよいよ選手権の準備が始まった。

この大会は、ジュニアユースの生徒は、ユースクラスへの昇格への一歩となる。

それは必然的にその先のプロへの一歩と同義となる。当然、俺のクラスも

その対策授業へとシフトしていた。

 

「選手権への出場資格は皆持ってる。けど、それはまだ遊園地で言えば

入場券を買ったに過ぎない。なら、どうすれば遊園地を楽しめる!

そう! アトラクションで遊ぶ!」

「いえ、あの意味が分からないのですが……」

「すまない。話が明後日の方向へ飛んだ」

 

俺は咳払いを1つして流れを変える。

 

「明後日ってレベルじゃないぜ……」

「さて、話を戻すが。もうすぐジュニアユース選手権が始まる。ジュニアクラスの

人はジュニア選手権か。で、今日からそれに勝つ方法を君らに教えていく」

 

生徒の目つきが変わった。流石は《LDS》の生徒と言うべきか、こういった

内容には真摯だ。

 

「では数々の相手を相手にどうすれば勝てるか? それはだな――――」

 

俺はホワイトボードに大きく書く。しかし、このホワイトボード俺が殴り書き

したりバンバン叩くから凹んできたかも……すまない白板さん。

 

「「自分にはこれだ」と言える戦略を見つけることだ」

 

皆は「意味不明」といった顔をする。あれ、何か間違ったかな。

 

「まぁ、平たく言えばだな……切り札っていうのか。そういうアレだ」

「先生。それはつまり、必勝パターンのようなものでしょうか?」

「そう! それだ! 流石、昌子だ!

んじゃ、このプリント配るから自分で考える必勝パターンを書くんだ。

野球でもなんでイメージすることは勝利への第一歩だ。どのカードで

自分はどう戦うか。そのイメージをこの紙に書いてみるんだ」

 

俺は前からプリントを配布する。どんな苦しい状況でも自分を助けてくれる

一枚とかって結構メンタル的にも助かったりするんだよな。

生徒は各自悩みながら、カードを見ながら色々考えている。

 

「出来た人いるか~?」

「先生! 俺は書けたぜッ!」

 

小学生の修也が手を上げる。

 

「おお、じゃあ前に来て、皆に紹介してみてくれ」

 

修也は前に出ると、プリントを掲げる。

 

「いいぜ。見ろッ! これが俺の必勝パターンだ!」

 

だが、それを前に皆困惑する他なかった。え、なにこれ?

 

「………なんですか、これは?」

「ふ、こいつを見ても分からないとは……昌子ねんちゃんも甘いな」

「いえ、勝ち誇られても……」

 

それはどう見ても何かが爆発している絵にしか見えない。これでは

ただの爆発事故か何かのイラストだ。

 

「修也、とりあえず説明してくれるか?」

「しょうがないなぁ。先生も分からないんじゃな~。

まぁ簡単に言えば、これはモンスターを破壊しているイラストだ。

要は相手のモンスターを破壊すりゃいいんだ」

 

全て壊すんだ!の原理であった。そんだそりゃわかるか!

 

「まぁ、よく分からないけど言わんとしていることはなんとなく伝わった……よ。

要は、相手のモンスターを破壊する戦術ってことでOK?」

「そうさ!」

「あぁ、そう……とりあえず席に戻りなさい」

 

この調子で授業を進め、終盤のまとめに入る。

 

「いいか。大会ともなれば、皆いつも以上に一枚、二枚上手の

決闘者と決闘をすることもあるだろう。決して楽な決闘ばかりでもない。

けど、忘れるな。相手は人間だ。君たちと同じくらいの歳の人間が相手だ。

つまり、何が言いたいかって言うとだな……決して勝てないわけじゃないんだ。

自分のデッキと、戦略。んで、今までやって来たことを信じるんだ。以上!」

 

そうして俺と生徒達の選手権に向けての挑戦が始まる。




レポートという名の螺旋にハマってました。つらたん。

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