「むぅ……講師殿と遊矢との決闘か、些か納得できん」
「もう、権ちゃんってばまだ言ってる~」
「権ちゃん!? その呼び方はやめんかッ」
「さて……どんな決闘になるかなぁ楽しみだなぁ。けど、柚子ってば
エクシーズ召喚が見たいなんて、融合の次はエクシーズに興味が出たの?」
「え、えぇまぁ……」
◆
「遊矢君。今回はリクエストがあったからエクシーズデッキで授業しよう」
「エクシーズ召喚……いいよ。
どんな召喚だろうと俺は俺のエンタメデュエルを貫くだけだ!」
流石は主人公だ。なら、全力でお相手させて頂こう。
「なら、俺のターンからだ! 俺は手札から《星因士 ベガ》を召喚。
ベガのモンスター効果発動! 手札からベガ以外の星因士を特殊召喚する。
《星因士 シャム》を特殊召喚!」
《星因士 ベガ》
攻1200/守1600
「星因士 ベガ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
手札から「星因士 ベガ」以外の「テラナイト」モンスター1体を特殊召喚する。
《星因士 シャム》
攻1400/守1800
効果モンスター
星4/光属性/戦士族/攻1400/守1800
「星因士 シャム」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
相手に1000ダメージを与える。
「一気にモンスターが、2体もッ!」
「驚くのはこれからだよ、シャムの効果発動! 召喚に成功したとき、
相手に1000ポイントのダメージを与える! “フォトン・アロー”!」
榊遊矢:3000LP
「うッ!」
「俺はカードを1枚伏せて、ターン終了だ」
このターンでエクシーズする必要もない、か。
【星因士】デッキ。最近組んだこのデッキ。
それぞれのモンスターでボードアドバンテージを
稼いでいくこのデッキならエクシーズに御誂え向きだろう。
「俺のターン! そっちが来ないなら俺からいくぞ!
俺は、手札のスケール1の《星読みの魔術師》とスケール8の《時読みの魔術師》
でペンデュラムスケールをセッティングッ!」
宙に2体のモンスターが現れ、その中心で振り子が揺れる。
きたか、ペンデュラム召喚が!
「きたぜ、遊矢兄ちゃんのペンデュラムだッ! しびれるぅ~!」
ガラス越しにシビレデブが痺れる。
なるほどなるほど、これは――――ウザい。
「これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能! いくぞ!」
「来い!」
「揺れろペンデュラム、天空に描け光のアークッ! 現れろ、俺のモンスター達ッ!
《EM ウィップ・バイパー》! そして、二色の眼の竜、
《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》ッ!」
オッドアイズ……遊矢のエースモンスターか。オッ素のことは忘れない。
この世界じゃ今はチート扱いのその召喚法。だが、その対策は出来ている。
「俺はその瞬間ッ! 罠発動ッ!! 《時空の落とし穴》ッ!」
「な、なんだ!」
ペンデュラム召喚された2体のモンスターが、突如現れた渦に飲まれる。
「このカードは、相手がエクストラデッキ、手札から特殊召喚したモンスター
をデッキに戻す!」
「何だってッ!」
《時空の落とし穴》罠
(1):相手が手札・エクストラデッキからモンスターを特殊召喚した時に発動できる。
手札・エクストラデッキから特殊召喚されたそのモンスターを持ち主のデッキに戻す。
その後、自分は戻したモンスターの数×1000LPを失う。
「そして俺は戻したモンスターの数×1000LPを失う」
末城遊介:2000LP
「遊矢兄ちゃんのペンデュラム召喚が……」
「ペンデュラム召喚も特殊召喚だからね。その裏をかかれたってことか」
「くッ、なら《EM ヘイタイガー》を召喚! 俺のデュエルはペンデュラム
だけじゃない! 行け、ヘイタイガー! ベガを攻撃!」
ヘイタイガーがベガを攻撃、撃破する。
末城遊介:1500LP
「ッ……やるね。ペンデュラムが挫かれたら、次の一手を出してきたか」
「ヘイタイガーの効果発動! モンスターを破壊して墓地に送った時、
デッキからEMのペンデュラムカードをを1枚手札に加える。
俺は、EMシルバークロウを手札に加える! これでターンエンドだ」
「俺のターン、ドロー! 今度は俺の番だ、俺は《星因士 アルタイル》
を召喚! 効果で、ベガを守備表示で特殊召喚!
俺はベガ、アルタイル、シャム3体でオーバレイネットワークを構築!」
3体が重なり、光の渦へ消える。
「来るか、エクシーズ召喚ッ……」
「夜空を照らす星々、重なり合って描け希望ッ! エクシーズ召喚!
光輝けッ! ランク4、終わりを冠する輝士、《星輝士 デルタテロス》ッ」
《星輝士 デルタテロス》エクシーズ
攻2500/守2100
レベル4モンスター×3
(1):X素材を持ったこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、
自分がモンスターの召喚・特殊召喚に成功した時には、
相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。
(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、
フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
(3):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。
手札・デッキから「テラナイト」モンスター1体を特殊召喚する。
「エクシーズ、モンスターッ!」
「デルタテロスのモンスター効果発動! ORUを1つ使い、相手のカードを
を1枚破壊する! ヘイタイガーを破壊する!」
デルタテロスの剣先から光が迸り、ヘイタイガーを焼く。
「ヘイタイガー!」
「まずい、今の遊矢は丸裸だッ!」
「遊矢!」
ガラス越しに権現坂と柚子ちゃんが叫ぶ。
「バトルだ! デルタテロスでダイレクトアタックッ!」
Aカードを探す隙を与えさせない。
デルタテロスが剣を構え、遊矢に迫る。
「う、うわぁあああああああああッ! くッ……」
そのまま一閃にして斬り裂く。
榊遊矢:500LP
「俺はこれでターンエンドだ」
「ってて……全く容赦ないな。けど、俺だって負けるわけにはいかない。
父さんのエンタメデュエルを、ユートとの約束を―――――守るんだッ!
俺の……ターン、ドロォオオオオッ!!」
その引きは今までと違い、光り輝く。
「来たッ!
俺は、セッティング済みの時読み、星読みでペンデュラム召喚ッ!
揺れろペンデュラム、天空に描け光のアークッ! ペンデュラム召喚!
来い、俺のモンスター! ――――《EM シルバークロウ》!」
1体をペンデュラム召喚……? しかも出したのは、先ほどヘイタイガーで
加えたシルバークロウ。なら、一体さっき何を引いた?
「更に俺は、《EM フレンドンキー》を召喚! フレンドンキーの効果発動!
墓地から、《EM ヘイタイガー》を特殊召喚!
俺は、レベル4のシルバークロウとレベル4のヘイタイガーでオーバーレイ!」
「もしかして! 遊矢が……」
「遊矢兄ちゃんもエクシーズ召喚を!?」
「漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う、反逆の牙! 今、降臨せよ!
――――エクシーズ召喚ッ!
現れろ! 《ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」
漆黒のドラゴンが現れる。ダークリべリオン……ここで出て来たかッ
「ダークリべリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果発動! ORUを使い、
相手のモンスターの攻撃力を半分にし、その数値をダークリべリオンに
加えるッ! “トリーズン・ディスチャージ”ッ!」
星輝士 デルタテロス:攻2500→1250
ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン:攻2500→3750
「まさか、君もエクシーズを使えるなんてね……」
「あぁ。これは、アイツに……ユートから託されて―――――」
「そうか。だからこそ、か。完敗だなぁ」
引き寄せる運命力、大切な物を守りたいという思い、そして強くなりたいと
願う思い。全て敵わない。――――完敗だ。
「行けッ! フレンドンキー! デルタテロスを攻撃!」
攻撃力の下がったデルタテロスには抗う術は無い。
「くッ」
末城遊介:1150LP
「これで終わりだッ! 行け、ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン!
“反逆のライトニング・ディスオベイ”ッ!!」
――――Aカードッ!
アレを取れば……もしかしたら――――。
「ッ!」
それを取ることなく、俺はその攻撃を受けた。
末城遊介:0LP
◆
「いやぁ、負けたよ。完敗だ」
「いや、俺も危なかったよ」
デュエルの後、互いに今のデュエルについて言い合う。
「凄いデュエルだったぞ遊矢ぁ! この男権現坂、感動したぞ!」
「うんうん! まさか遊矢がエクシーズ召喚するなんてねぇ。僕、ビックリだ!」
権現坂と素良が遊矢にそれぞれ声をかける。それを少し離れたところから
見ていると、塾長が寄って来た。
「あぁ、柊塾長。今回はスイマセンでした。なんか、授業になってなかったような
感じで……」
「いや、遊矢も一皮剥けたみたいだし、他の皆も貴重なデュエルが見れた。
それでいいじゃないか! 今回は、ありがとう」
「……そう言って下さると、幸いです」
ふぅと息を吐く。何とかなったかな。
「お兄さん!」
「あぁ、素良君か。どうかした?」
壁にもたれて休んでいると、素良が来た。
「一つ、聞いていいかな?」
「あぁ。どうぞ」
「……最後の遊矢の攻撃の時、なんで足元のAカードを取らなかったの?」
「ッ!?」
気付いていたとは……
「それ次第では、まだまだお兄さんの反撃の余地もあったよね?」
「まさか、気づかれていたなんてね。たまげたな。でもね、
今回のデュエル。手を抜いた気なんてさらさらないよ」
これは隠しようのない、嘘偽りの本音だ。
「けどね、最後の攻撃の時の彼の眼。そこに感じたんだ」
「何を?」
「そうだな……言葉じゃ言い表せないけど、闘気とかそういう類のものだ。
君も遊矢君にそういうものを感じたんじゃない? 素良君」
「そーかもねー」
そう言って素良は皆の元へ戻って行った。俺も、そちらへ行く。
それに今回はあくまで授業。俺との決闘で、相手が何かを掴んでくれれば
それが俺の勝利なのだから。きっと、あの素直で真っ直ぐな思い。
それこそ彼が、主人公足り得る証明なのだろう。
「遊介さん。今回はありがとうございました」
「あぁ、柚子ちゃん。こちらこそありがとう。今回は俺も色々学べたよ」
「講師殿。先刻は疑って済まなかった。この男権現坂――――」
「いや、いいよいいよ。それはもう、な?」
「なんと、懐の深い御仁だ。男権現坂、感服したぞ」
なんかゴツイ手で握手をされる。
「遊介」
「あぁ、遊矢君。どうかした?」
いきなり呼び捨てかぁ……
「俺、今回のデュエルで何かを掴めた気がするよ。ありがとう」
「そうか。なら良かったよ」
「また、デュエルしてくれるか?」
「あぁ、勿論だ。今度は俺の生徒も連れて来るさ」
こうして俺の1日講師は幕を閉じた。別の場所での授業。
今回は貴重な体験だった。
何ッ! ダークリベリオンを遊矢が使うのは勝鬨戦からではないのか!?
……はい、すみません。
Aカードは使いどころが無かったなぁ。