今回はことりちゃん暴走編。いつもとは違うR-17.9をお楽しみください(笑)
「皆さんよくお集まりになられました。南ことりです♪」
「いや、お集まりになられたって、お前が無理矢理呼んだんだろうが……」
「またくだらないことを……」
「かよちん、凛たちどうしてこんなことに巻き込まれてるの……?」
「さ、さぁ……?」
アイドル研究部部室。
俺たちはことりに無理矢理部室へ連れ込まれ、長机の前に座らされていた。そしてホワイトボードに書かれている文字を見てみると、早くもこれから起こるヤバさを予感させられる。早急に退出したいところだが、もう相変わらずとなっていることりの堕天使スマイルが俺たちを本能的に拘束して逃がさない。
俺の左隣には海未、凛、花陽の順番で座っているが、どいつもこいつもやる気がなさそうなのは俺と全く同じだ。こんなことばっかりしてるから、各所から"アイドル活動してんの?"とか"暇だなコイツら"とか言われんだよ……。各所がどことは言わないけども。
「はいそこ、私語は慎むよーに!これからお勉強会の時間なんだから♪」
ことりが講師役ってところで大体察しがつくと思うが、この勉強会はただの勉強会ではない。ホワイトボードの上部、お勉強会のタイトルにこう書かれていた。
《今更聞けない!?ことりの淫語講座》
どこをどう考えてもこれから俺たちがカオスに堕とされるのは火を見るよりも明らかだ。このために準備をしてきたであろう謎の資料がことりの隣に積み重ねられているし、まだ講義が始まってないにも関わらずことりの顔は微妙に赤く高陽している。既に興奮してんじゃねぇのかコイツ……。
「どうせ逃げられないのでこれ以上文句を言うつもりはありません。ですが1つだけ……」
「はい海未ちゃんどうぞ!」
「どうして参加しているのがこのメンバーなんです?は、破廉恥なことがしたいのであれば穂乃果やにこを誘えばいいでしょう」
「うん、いい質問だね!それではことりが答えてあげましょ~♪」
「完全に講師になりきってやがる……」
「ことりがこうなるとただ面倒なだけです。無理に触れるのはもうやめましょう……」
一年前のことりならばこうではなかっただろう。だが"恋"と"性"に塗れた片翼の堕天使は、穂乃果と海未の仲裁役という大義すらも投げ捨てて、常にラブホテルを建設して歩く猥褻物と化している。
「これも全て凛ちゃんたちのためなんだよ♪」
「凛たちの?」
「そう!淫語だろうがなんだろうが、知らないことは罪なんだよ!!もう今更淫語なんて人に聞けないから!!だからこれを機に勉強するの!!ドゥーユーアンダースタァンド?」
「「「え、えぇ……」」」
なるほど、だから性知識が疎そうな海未、凛、花陽を呼んだのか。穂乃果やにこ、希はある程度出来上がってるし、真姫や絵里ももうことりたちと同じラインに足を踏み入れてしまっているから、健全と言えるのはこの3人だけという訳だ。
だがことりの超理論により、海未たち3人もそのラインへ向けての第一歩を踏み出そうとしている(正確には踏み出させられようとしている)。正直、淫語の意味を知って羞恥に悶える3人の表情を見てみたいという気持ちもなくはないけど……。
「でも何故俺が参加させられているのか理由が未だに分からないが……。自分で言うのもアレだけど、性知識なんてお前に教えられなくても豊富なんだけど」
「なぁ~に言ってるの零くんは!零くんが聴いてくれていた方が、ことりが興奮できるからに決まってるじゃん!零くんに視姦プレイされながら海未ちゃんたちにエッチなことを教えるなんて……きゃぁ~♪」
「「「「…………」」」」
ことりは真っ赤に染めた頬に両手を当てながら、身体をクネクネとよじらせる。
もうコイツの妄想の飛躍っぷりには毎回呆れてため息すらも出ない。ことりがこのモードに入ったが最後、彼女の性欲を発散させる以外に元に戻すすべはないからな。このまま黙っていてもお勉強会が始まっちまうし、ことりを賢者モードにしようとしてもアレな行為に勤しむことになるし、結局コイツの得じゃねぇか……。
これ以上ことりに触れるとピンク色の妄想世界に連れ込まれ迷い込んでしまいそうなので、おとなしく彼女の講義を受講することにした。もう既にコイツの妄想に取り込まれているような気がしないでもないがな……。
~※~
~1限目のお題~
《フェ○チオ》
「ちょっと待てぇえええええええええええええええい!!」
「え、なになにどうしたの零くん?いきなり発情しちゃった?」
「んな訳ねぇだろ!!勉強するならもっとマイルドな言葉から入れよ!!いきなり飛ばしすぎだ!!」
「えぇ~じゃあ例えばどんな言葉?」
「え?そ、そりゃあお前アレだよ……アレ」
何故かことりだけじゃなくて、海未や凛、花陽の3人も俺へ一斉に注目する。
なんだろう……いつもだったら淫語の1つや2つくらい軽く言えるのに、こう女の子たちから一斉に注目されると一気に気恥かしさが増してくる。しかも相手はμ's内でまだ純情な心を持っているこの3人、俺がためらう気持ちも分かってもらえるだろう。
「ふふ~ん♪たまに見られる零くんのウブなところ、ことりは大好きだよ♪」
「喜んでいいのかソレ……」
この弄られ方は"どこぞ"の異星人の姉と妹を思い出す。ことりが俺を攻める時の攻め方が、段々とアイツら姉妹に似てきたと思うのは気のせいか……?
「海未ちゃん!凛ちゃん!花陽ちゃん!この言葉知ってる?」
「それ以前にさっきから全然喋っていないような……」
「喋ったら負けだと思っていますので……」
「下手に口を開くと、積極的に講義に参加しているように思われるし……」
「あ、あはは……」
「じゃあみんなが講義にもエッチにも積極的になれるように、ことりが詳しく解説するね!」
「相変わらず直球だなお前……」
ことりと海未たちでこのテンションの差、そりゃあ黙ってるのは賢明な判断だな。下手に出しゃばるとコイツに目を付けられて淫語録の嵐を吹き掛けられそうだし、適度に軽く反応しながら適当に聞き流す程度が精神的にも一番だと思う。
「《フェ○チオ》って言うのは略して《フ○ラ》とも呼ばれる、女の人が男の人にシてあげる行為のことなんだよ。具体的にはねぇ~……そうだ!零くんのアレを思い浮かべると分かりやすいかも!そしてことりたちが零くんのおっきなアレをね、舌を使ってペロッと舐めてあげるんだよ♪」
「あ、アレ……とは?」
「またまたぁ~海未ちゃんも知ってるくせにぃ~♪」
「うっ、そ、ソレを舐めるって、は、破廉恥な……うぅううううううう!!」
あっつ!!隣にいるだけでも海未の顔から漏れ出す熱気が伝わってくる。恐らく普段から妄想しない訳ではないだろうが、ことりに煽られている相乗効果で羞恥心は増し増しになっているのだろう。
ことりの思惑には乗りたくないのだが……うん、まぁ、女の子の恥じる表情は可愛いからもっと見てみたいと思ったりもする。決してことりに加担する気はないけど。
「にゃ……にゃにゃにゃ!!」
「ふわっ……あわわわ!!」
「ほら、凛ちゃんと花陽ちゃんは妄想できてるみたいだよ。これだけでショートしちゃうなんて、2人共純粋で可愛いねぇ~♪」
「これ講義じゃなくて、ただお前がコイツらで遊びたいだけじゃね……?」
「えぇ~、そんなことないよぉ~♪」
「その口調にその笑顔、完全に黒じゃねぇか!!」
結局お勉強会というのは茶番で、結局ことりのブレイクタイム、つまり"おやつ"の時間だったという訳だ。
しかし俺が海未たちをなだめようにも、何と声を掛けていいのか分からない。俺が出しゃばれば出しゃばるほどことりはそれに乗っかってくるし、かと言って黙ってるとことりが1人で暴走するし……あれ、これもしかして詰んでね?
「海未ちゃんも妄想できた?」
「み、見たこともないのに妄想なんてできるはずないでしょう!?」
「零くんのアレを見たことない?そうなんだぁ~へぇ~」
「な、なんですかその目は……」
「海未ちゃんはぁ~零くんのアレをペロペロしたことないんだぁ~♪だったらことりや穂乃果ちゃんたちが一歩リードだね♪」
「リードってなんですか!?男女交際は何事も早ければいいってものではありません!!不純異性交遊にならぬよう、お互いの愛をゆっくり時間を掛けて確かめ合ってから責任が持てるその時までですね――――」
「へぇ~つまり、いずれ零くんに《フェ○チオ》してあげるってことだよね♪」
「な゛ぁ!!は、破廉恥な!!そ、そんなこと……零はして欲しいのですか!?」
「ここで俺に振るのかよ!?」
そ、そりゃあ海未に舐めらたくないと言えば嘘になる。穂乃果、ことり、にこの3人とは違って懇切丁寧にアレを扱ってくれそうだし、舐めているその姿を妄想するだけで気品が溢れていて、もうそれだけでも興奮してしまいそう……。恍惚な表情で俺のアレの先っぽをパクッと……うん、イイ。
「俺はしたいと思う……いや、お前にして欲しい!!――――――って、あれ?海未?」
「………………」
「こ、コイツ、気絶してやがる!?」
「あーあ、零くん、海未ちゃんをショートさせちゃった~」
「オイ元凶、どの口が言っている……?」
「この口だよ。零くんとのキスと《フェ○チオ》専用のね♪」
「よくスラスラとそんな言葉が出てくるな……もう慣れたけど」
俺専用って言ってくれるのはもちろん嬉しいよ!?嬉しいけど、男女交遊には何事にもムードってものがあってだな……つまり常日頃から淫語を躊躇なく発しながら歩く猥褻物さんたちは許せない訳ですよ、えぇ!!
でも現実は非情で出来上がっているもの、穂乃果やことりのノリに流されてしまうと何故か男の俺が睨まれるはめに……女の子ってズルい!!
~※~
「海未が気絶したままだけど、いいのか?」
「まあ無理は禁物だから。それに……凛ちゃんと花陽ちゃんがいるもんね♪」
「このまま行くと、午後の授業中凛たちずっと保健室だにゃ……」
「あまり激しくしないようにお願いします……」
「激しくしないようにって、同性愛はちょっと……」
「そ、そんな意味で言ったんじゃないよ!!も、もう誰か助けてぇ~!!」
これはあれだ、周りの発言が全部意味深な言葉に変換される変態特有の能力だな。俺も穂乃果の『一緒にしようよ!』が『一緒にシようよ!』などに脳内変換させられることがよくある。しかも決まって女の子たちの発言の時に――――って、俺ってばなに解説してんだろ……。
あれから何とか復活した凛と花陽だが、顔は既に真っ赤だし、エロ耐性がほぼ皆無に等しいこの2人にとってことりの講義はどんな学校の授業よりも地獄だろう。ことりの笑顔がトラウマになりそうだな、この2人……。
そして、ことりが水性の黒ペンでホワイトボードに2限目のお題を書いた。
~2限目のお題~
《ク○ニリングス》
「もうね、いちいち反応するのが面倒になってくるよこれは」
「えぇ~!零くんのツッコミがあるから面白いのにぃ~!!あっ、ツッコミと言っても下半身同士の突っ込みじゃないからね♪」
「毎度毎度需要のない補足入れなくていいっての……」
普段は海未と一緒にいるためか、彼女に激しくツッコミを入れられるせいで発言に"ある程度"はセーブが掛かっている。だが幼馴染でもあり天敵でもある海未が気絶した今、ことりはここぞとばかりにラブホテルと化している脳をフルスロットルで回転させていた。
凛と花陽はまだお題の意味が分かっていないためキョトンとしているが、その意味を知ったら最後、ことりの"おやつ"は免れないだろう。
「《ク○ニリングス》は正式名称で、一般には《ク○ニ》と略されることが多いね。そしてこの《ク○ニ》って言うのは、さっき紹介した《フェ○チオ》の逆、つまり男の子が女の子の大切な部分を弄りまわして、気持ちよ~くすることをなんだよ♪」
「れ、零くんが私のを……!?」
「そうそう花陽ちゃん、いい妄想だね!この説明だけで自分の大切なところを零くんに弄られる妄想をするなんてぇ~♪」
「ち、違うよぉ~!!零くんは私の彼氏だし、やってもらえるなら零くんしかいないかなぁ~って……はっ!わ、私ってば何言ってるのぉ~!!!!」
「かよちんが暴走しちゃった!?こんなかよちん初めて見るよ!?」
手の込んだ自爆とはまさにこのこと……割と花陽は自爆率高いと思うけど。
もしかしたら花陽は、意外と性知識豊富な隠れむっつりなのかもしれない。春頃から恋愛に積極的になり始めた反動で、ことりたちと同じ領域に足を踏み込んでいる可能性は無きにしも非ず。《ク○ニ》って言葉を聞いただけで速攻で妄想できるくらいだし……まだ一応清純キャラだとは思っていたのだが、まさか?
「凛ちゃんもしっかりお勉強しないとダメだよ。淫語を覚えるには妄想が大切なんだから!ことりなんて零くんの妄想で毎日ヤってるよ♪」
「だからちょいちょい変な補足を入れるのやめい!!凛も妄想しづらいなら無理にやらなくてもいいからな――――って……」
「うにゃ~……れ、零くん!!そこはダメぇえええええええええええ♡」
「妄想するのはえぇよ!!」
「イクのも早いね♪」
「…………」
「やん♪そんなに見つめて……視姦プレイ?もしくは放置プレイかな?」
「黙っててもダメなのかよ!?」
花陽の暴走に凛の妄想の早さ、そしてことりの淫語録、もう横槍を入れる気力もなくなってきた。しかもことりからは、こうして黙っていても何かのプレイと勘違いされる始末……もうどうすりゃいいって言うんだよ!!俺も午後の授業バックれて、凛たちと一緒に保健室で休もうかな……。
「妄想してただけなのに汗かいてきちゃったよ……」
「凛も、動き回ってないのにこんなに暑くなることってあるんだね……」
「それはね花陽ちゃん、凛ちゃん。それだけ零くんへの想いがアツアツだってことなんだよ♪だからこれからも今日習った淫語と共に、毎日妄想しようね!毎日ヤれば、きっとことりと同じ境地に辿り着けるよ!『継続は力なり』ってね♪」
「ここまで模範したくない継続は初めてだな……」
それにみんながことりと同じ境地に達してしまったら、それはそれで俺が阿鼻叫喚の事態に陥ってしまう。ことり1人だけでも手を焼いているのに……もしμ'sの全員がそうなった場合、抵抗せず彼女たちに身を委ねる方が正解かもな。いや、悟りとかなじゃくてマジで。
「……ん?あれ、もう終わりましたか……?」
「おぉ海未、起きたか。ようやく終わりが見えてきたよ」
「凛と花陽はことりの魔の手から逃れられたのですね」
「凛ちゃんも花陽ちゃんも、海未ちゃんよりはエッチだったってことだね♪」
「えぇ!?何その解釈!?」
「その言い方は悪意があり過ぎるよぉ!?」
「もうそれ以上言うな、強制的に墓穴を掘らされるから」
ことりの奴、卑猥な妄想への変換といい解釈といい、もう身の回りのモノを手に取っただけで大人の玩具に変換できてしまいそうだな。俺が肘を付いているこの机も、座っている椅子も、ことりが持っている指し棒も、逐一それを使ってどんなプレイができるのか考えていそう。
「は~い!昼休みの時間も終わりが迫ってきているので、そろそろまとめに入りたいと思いま~す!」
「こういうところだけ本格的なのな……」
ことりは右手に持った指し棒で左手の手のひらをパンパン叩きながら、俺たちを自分へ注目させる。今までの話の中でこの場面だけを切り取ってみればマトモな講義に見えるのだが、よく考えてみてくれ、ここしかマトモなところがないってのが恐ろしいだろ?
「《フ○ラ》って言うのはことりたちが零くんのアレにご奉仕することで、《ク○ニ》って言うのは零くんがことりたちの大切なところを弄って気持ちよくしてくれることだよ♪」
「どうして例えに俺たちを使う……だけど分かりやすいまとめだけにちょっとムカつく」
「でしょ?ことりはどっちのプレイの妄想もするから、説明なら任せて!」
これほど任せたくない任せては初めてだ。頼りにならないのではなくて、頼りにしたくないという新ジャンルね。
「海未ちゃんはどっちが好き?」
「す、好き!?そ、そんなどっちもどっちと言うか……」
「どっちも好きなんだね!?ことりと一緒かぁ~♪」
「そんなこと言ってないですよね!?」
「凛ちゃんと花陽ちゃんは……攻められる方が好きそうだから《ク○ニ》かな?」
「どうして勝手に決められたの!?い、いや別に凛がそのく、く、《ク○ニ》嫌いって訳じゃないけど……」
「わ、私も零くんにご奉仕してあげたいというか、多分そっちの方が好き……って、また私自爆してる!?」
この2つに関してだったら、俺はやるよりやられる派かなぁ~。とは、ことりの前では口が裂けても言わねぇけどな。
はぁ~……疲れた!まだこの後に午後の授業があると思うと憂鬱になるわ。ここまで有意義ではない昼休みなんて、後にも先にも今日だけだと思いたい。
「それでは今日の講義はこれまで!次は《ことりの淫語講座・上級編》でお会いしましょう!それではまた♪」
「「「つ、次!?!?」」」
「おいおい……」
ことりの次回予告に部室が再びどよめきながらも、受講者の羞恥を晒し上げる悪魔の講座は幕を降ろした。
――――って、本当にまたやるの!?!?
まさかこの小説を読んでいる読者の方で、2つの言葉の意味を知らないなんて方はいらっしゃいませんよね?ねっ?(謎煽り)
今回こんなふざけたネタを持ち込んだ理由は、ズバリ淫乱ことりと羞恥に悶える海未、凛、花陽の3人が書きたかったからです。特に海未たち3人は穂乃果やことりなどの淫乱キャラより、エッチなことやその言葉で恥ずかしがっている姿の方が似合っていると思うんですよね。まさか私だけだったり!?共感を得られたことがないですが……
次回以降《ことりの淫語講座・上級編》をやるのか否かは、今回の読者様の反響によりますかねぇ……。恐らくもっとことりちゃんが荒れると思いますが(笑)
先日、ハーメルンのラブライブ!小説の作家様たちが執筆してくださった『ラブライブ!~μ'sとの新たなる日常 Anthology~』が完結しました!
あちらの小説ではこの小説では見られない個性的なお話ばかりなので、まだ見てないよという方は是非覗いてみてください!
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