純粋無垢な彼女が零くんに対して抱いていた想いが、全て今回で爆発します!
そして前回の雪穂編と同じく、本編の内容に以下の話の内容が引用されているので思い出しておくといいかもしれません。
『非日常』第四章 第一話‐妹たち‐
『新日常』第49話 私、ずっとあなたのことが好きでした
『新日常』第77話 ラブライブクエスト5~究極の選択~
"ラブライブ!"の開催まであと2日となりました。
日に日に迫る本番を前に、μ'sの皆さんは意気揚々としています。ですが意外にも一番テンションの上がっているのはお姉ちゃんたちだったり。大学生は"ラブライブ!"に出られないためか、今日も本番に向けて練習中の私たちのことを気遣ってばかりいました。お姉ちゃんも希ちゃんもにこちゃんも、みんな心配性なんですから♪
その理由の1つとして、今日の練習が本番までの最後の練習だったということもあると思います。
練習と言っても本番までに身体がなまらないよう軽めのストレッチと、当日の通しをざっとおさらいしただけでしたけど。
本番の段取りも終わって、遂に"ラブライブ!"当日を残すことになった私たち。当然皆さんのやる気は十分なのですが、まさか雪穂まで期待十分だとは思ってもみませんでした。昨日までは昼休みや掃除の時間すらも緊張していたのに、今日はやけに張り切っていたのです。雪穂のそんな姿を見るのは、ここ数年一緒にいた中でも初めてかも……。
それになにより、雪穂が零くんへ向ける態度が明らかに変わっていました。
いつもは憎まれ口を叩くような話し方をしているのに、なんていうのかな……こう、零くんに対して穏やかになったというか、とても気さくに話し掛けていたのです。
そして一番印象が強かったのは、雪穂のあの笑顔。
どうやら昨日、零くんと雪穂は一緒にどこかへ出かけていたみたいだし、恐らくその時に雪穂の心境が大きく変化したんだと思います。それは零くんも同じ、雪穂に対する態度が以前よりも優しくなっていました。もちろん今までもずっと優しかったけど、明らかに2人の心の距離が縮まって、まるで恋人のよう……。
「恋人……」
零くんとそのような関係になれたら、今まで楽しかった毎日が更に楽しくなるだろうなぁ~と、私はずっと夢見ています。
特の穂乃果ちゃんやことりちゃんは毎日が桃色のような学校生活をしているし、もしかしたら私も零くんとそんな生活が送れちゃったりするのかな!?そりゃあ恋人だもんね、ずっと一緒にいるなんて当たり前だもんね!あぁ、零くんに会う前から顔が熱くなってきちゃったよぉ~!!
そう、今日は放課後に零くんからお誘いがあったのです。
昨日の夜突然零くんから連絡があって、『今日の練習が終わったあとに2人きりになれないか』と。
思いがけない事態に私は部屋で飛び上がりそうにでした。
だって零くんの方からお誘いをしてくださるなんて、夢にも思っていませんでしたから。私の憧れで、そして私が初めて"恋"をしてしまったあなたに……。
もうこの際はっきりと言います、私は零くんのことが好きです!!
いつかこのことを伝えよう伝えようと思っているのですが、その機会が中々訪れず未だに言えずじまいになっています。
しかし、今日こそがその機会!零くんがどんな用事で私を呼び出したのかは分からないのですが、もし告白できるようなタイミングが訪れたら今度こそしっかりと零くんに思いを伝えないと。いや、タイミングが訪れたらじゃなくって、自分で作らなきゃ!!
機会が訪れないとか言っていましたが、それは単に私が零くんへ告白することに緊張して、意図的にその機会を避けてきたからだと思ってるんです。周りからは私は天然であまり物事を考えず突っ走るタイプだと見られていますが、割と緊張もするんですよ?想いを伝えたかったのに、笑顔で誤魔化すなんてことも何度かありましたから……。
だから今度こそ私の本当の笑顔を、零くんに見せてあげるんです!!
まだ零くんに会ってもないのにそんな想いを胸に抱きながら、私は部室で皆さんと別れて1人零くんとの待ち合わせ場所である屋上へと向かっています。
2人きりでの大事な話と聞いて、私は今日1日ずっと心が躍っていました。階段を駆け上がる足も、自然と軽くなっちゃいます。
私が音ノ木坂学院に入学してから零くんとの距離はより近しいものになりましたが、恐らく今日が零くんの心に一番近づける運命の日。今まで溜め込んできた零くんへの想いを、今日全てぶつける。もう誤魔化したりはしない。
私の本当の笑顔とこの想いを一途に、あなたの心へ届けます!!
~※~
扉を開けると、屋上全体が夕日によって茜色に染まっていました。
その中に立つ人影が1つ。零くんは、フェンス越しに学院のグラウンドを見下ろしていました。そして私が屋上にやって来たことに気が付くと、その場で後ろを振り返り私と向かい合います。
「よぉ、亜里沙。練習後に呼び出して悪いな」
「いえいえ!こちらこそ、わざわざ着替えが終わるまで待って頂いてありがとうございます!」
夕日に照らされた零くんの笑顔。しばらく私はその笑顔に見惚れてしまいました。
私の元気の源、常に前向きでいられた私の原動力。その笑顔に触れるだけで、私も自然と笑顔が溢れてしまうのです。
すると私は、自分でも気付かぬ間に零くんの隣へ向かって歩を進めていました。
トクン、トクンと、彼へ近づくたびに心臓の鼓動が段々大きくなってきているのが分かります。彼の側にいる時はいつもドキドキするのですが、ここまで明確に彼への恋心を意識して近付いたのはこれが初めてです。
そして、遂に零くんの隣にまでやって来ました。
自分から歩み寄ったのですが、今日はやけに零くんとの距離が近いような気がします。ちょっと指を動かせば、零くんの指に触れてしまいそうなくらいに……。
ちょっとだけ、ちょっとだけ触れても大丈夫かな?失礼……かな?
そうやって私が迷っていたその時でした。
突然私の右手が、暖かい温もりに包まれたのです。
そう、それは正しく零くんの手。
私の小さな手は、零くんの大きく暖かい手にギュッと握られていました。
手を握られているだけなのに、身体全体がポカポカしてくるのはやっぱり私の大好きな人の手、だからかな?好きな人と一緒に手を繋ぐって、ここまで暖かいものだったんだね。お姉ちゃんたちが零くんの虜になった理由が、また分かった気がします。
「なんかそわそわしてたからさ、緊張してるのか、単純に寒いのかなぁって思って。ビックリさせちまったか?」
「いえいえ!むしろありがとうございます♪おかげで落ち着きました」
「そっか、よかった」
まただ。
零くんの優しい笑顔を見るたびに、胸のドキドキが高鳴って止まらなくなる。こんな調子で告白なんてできるのかな……?いや、やるしかないんだ。
私が彼の手をギュッと握ると、彼も私の手をギュッと握り返してくれる。
秋本番の夕暮れ。日が落ちて気温も低下しているのにも関わらず、私の身体も心もポカポカでした。
ずっと握っていたい、この手を。そのためには零くんの隣にいないといけない。
零くんを"憧れ"の存在として遠くから見ているだけじゃもうダメ。ずっと手を握っていられるくらいに近く、彼の隣へと歩み寄らなければ。
私が零くんのことを気になり始めたのは、お姉ちゃんたちのことに関して雪穂と一緒に助けを求めに行った時でした。お姉ちゃんから幾度となく零くんの話を聞いていた私は、あれだけ堅物だったお姉ちゃんがμ'sに入るきっかけを作ってくれた彼のことを信じて、おかしくなっていたお姉ちゃんたちを救い出すよう彼にお願いをしに行ったのです。
そして零くんの答えは――――
『これだけは約束する。穂乃果も絵里も、絶対に取り戻す。だからもう少しだけ待っててくれ』
そう答えることに、零くんは一切迷いませんでした。わざわざそんなことを他人の口から言われなくても、初めからそう決心をしていたみたいに。この時、私は思ったんです。この人なら、絶対にμ'sを取り戻してくれる……と。
ですが一番印象に残ったのが、零くんの次の言葉でした。
私たちが零くんのことを信じますと言った時に、彼は――――
『ありがとう』
こう言ったのです。しかも、"笑顔"で。
この笑顔に私は救われ、そして恐らく雪穂も同じだったと思います。
お互いに姉が黒に染まっていく様を見て、私たちはただ見ていることだけしかできませんでした。そんな絶望と不安で塗り固められた私たちの心を、零くんの笑顔が全て希望に塗り替えてくれたのです。
あの時、あの事件の一番中心にいたのは自分だったはずなのに、どうしてあそこまで優しい笑顔ができるのか。そう考えた時に私は分かったんです、この笑顔こそがお姉ちゃんたちを1つに結びつけ、μ'sの絆を生まれさせたのだと。そんな零くんだからこそ、私たちは彼に安心と信頼を寄せることができたのです。私たちの心が希望に変わったのも、そのおかげ。
そして私も、いつの間にか彼の笑顔に惹かれていました。
その時はまだ、ただの"憧れ"だったんですけどね。
「亜里沙、折角だしもっと上へ行ってみないか?」
「上って給水塔があるところですよね?勝手に登っちゃっていいんですか?」
「いいんだよ別に。去年だって登ったことあるし。それに話をするなら、この学院の屋上を含めて全部を見渡しながら話したいからさ」
「零くん……はい、そういうことなら行きましょう!何気に初めてなんですよね、屋上より上へ行くなんて」
「足を滑らせて落ちないようにな」
「も、もうっ!!驚かせないでくださいよ!!」
こうして零くんと、冗談交じりで会話するだけでも楽しい。零くんと一緒ならどんなことでも楽しめる自信まで湧いてくるくらいですから♪
零くんは一旦私の手を離し、はしごをよじ登って給水塔の足元まで辿り着きました。
続いて私もはしごに手と足を掛けて上へと登り、最後は零くんの手を借りてはしごを完全に登りきろうとした、その時でした。
「きゃっ!!」
はしごの手すりに足を滑らせてしまい、私の身体が勢いよく前へ倒れようとしました。
地面に激突する。そう思い、目を閉じ受身を取ることすら諦めていましたが――――
「おっと!」
優しい温もり、暖かい感触。そしてなにより、全ての緊張と不安を消し飛ばしてくれる落ち着きと安心感。
気付くと私は、零くんの腕の中にいました。
「あ、ありがとうございます……」
「どういたしまして」
すぐに離れればいいものの、私はずっと零くんの腕に包まれていました。彼の胸に顔を押し付け、零くんの高鳴る鼓動を感じながら……。
もっと彼に抱きつかれたい。もっと彼に抱きつきたい。
ずっとこの時間が続けばいいのに……と、私の中で巡り巡る彼への想いは、留まることを知らず強くなっていきます。
「このまま、私も抱きついていいですか……?」
「あぁ、もちろん」
その言葉を聞いて私は零くんの背中に腕を回し、身体全体を零くんの身体に密着させました。
さっきまで微かに感じていた零くんの心臓の鼓動が、はっきりと私にも伝わってきます。そしてその鼓動が若干乱れているということは、少なからず私を意識してくれているってことですよね?
私は嬉しくなって、零くんを更に強く抱きしめます。そのたびに彼から伝わってくる優しい温もりもより一層強くなり、私と零くんがまるで一体になっているかのよう。大好きな人と1つになるのが、こんなにも気持ちのいいものだっただなんて……。
「俺が亜里沙と話す場所にここを選んだのは、この場所で一番お前の笑顔を見ることができたからなんだ」
「私の、笑顔を……?」
「うん。つまり練習の時だってことだな。亜里沙の笑顔はいつも輝いているけど、ここでダンスの練習をしている時のお前の笑顔が、俺にとって最高の笑顔なんだよ。いつもお前の練習姿を見ていて思うんだ。亜里沙って、本当にみんなで歌って踊るのが大好きなんだなって。そしてその時のお前の笑顔がとても眩しくて、心を奪われてた」
「そうですか?練習の最中はあまり意識したことないんですけど……」
「それはお前が心の底からスクールアイドルを楽しんでるってことだよ。その自然な笑顔に、俺はずっと惹かれてた」
「零くんが、私を!?」
れ、零くんが私のことをそこまで見てくれていたなんて!?いや、よく面倒を見てもらってはいたけど、まさか……ひ、惹かれているって、零くんが私のことを女性として見てるってことなんだよね!?と、突然すぎて頭がぐちゃぐちゃになってきちゃったよぉ~!!
「亜里沙のそのキラキラした笑顔、そして俺に一途な想いを寄せてくれていること。特に俺が悩み事を解決した時にお前が見せてくれた、笑顔と想いを受け止めてようやく分かったんだ。俺はお前に惹かれていて、お前のことが好きなんだって」
「わ、私のことが……す、好き、だったんですか!?」
「あれ?気付いてなかったか?俺は好きだよ、μ'sのみんなのこと。そして亜里沙、お前のことも。もちろん仲間や友達としても好きだけど、1人の女性としても大好きなんだ」
零くんの腕の中で、私の顔が急激に熱くなっているのが分かります。
だって!!まさか!!零くんが私のことを好きだっただなんて!?これって相思相愛なんだよね!?今まで零くんが私のことを気に掛けてくれたのは知っていました。だけどそれは後輩のためを思って、仲間や友達としての関係だと私はずっと勘違いしていたのです。
そう、かつて私が零くんに抱いていた"憧れ"だった頃みたいに……。
3ヶ月前、私には皆さんにずっと隠してきた悩み事がありました。
それは零くんに対する"憧れ"。その頃から私は零くんのことが大好きで、密かに想いを寄せていたのですが、私は気付いてしまったのです。私が好きな零くんは、お姉ちゃんたち9人と一緒にいる時の零くんだってことに。お姉ちゃんたちと一緒にいる零くんはいつも楽しそうで、その明るい笑顔を常に絶やすことはありません。そしてお姉ちゃんたちがピンチに陥った時は、まるでヒーローのように皆さんを救い出す。そんな零くんに、私は惚れていました。
ですが私の惹かれていた零くんは、お姉ちゃんたち9人と一緒にいる時の零くんでした。そこに私が興味本位で入ってしまったら、もしかすると零くんやお姉ちゃんたちの笑顔が壊れてしまうかもしれない。今まで続いてきた幸せが、私が原因で崩れ去ってしまうかもしれないと、ずっと危惧していたのです。私が入ったことでその笑顔が崩れてしまうのなら、いっそのこと零くんへの想いは胸に秘めたままにしておこうと、私は決心していました。
でも、その想いは抑えきれませんでした。
どうやら表情や気持ちに余裕がないことが表に出ていたみたいで、零くんに勘付かれてしまいました。そして零くんと2人きりで話した時に、私は彼にそのことを全てぶつけたのです。彼にも私が恋人になった場合の驚異を知ってもらって、私はこの恋心を永遠に封印しようとしました。
しかし、零くんはそれを否定した。
『自分やμ'sはそんなことで笑顔が崩れるほど絆は弱くない』と、零くんの言葉が私の胸に大きく響いたのです。『もし壊れてしまったら』という私の質問に対し、彼は一貫して『壊れない壊させない』の一点張りでした。どう考えても支離滅裂で根拠すらもない答えなのですが、零くんという人間から放たれたその言葉は、私を納得にまで結び付けられました。その時、私は思ったんです。彼だからその言葉を信じられる。理由や根拠がなくても、彼なら信頼できる。私が好きな彼だからこそ、私はあなたと共に人生を歩みたいと……。
そんな零くんのおかげで、私はようやく恋のスタートラインに立つことができました。
そして今、私はそのゴールの直前に立っています。途中で恋に迷走してしまい、ゲームの世界で無理矢理零くんにキスを求めてしまったこともあったけど、もう迷いません!彼の待つゴールに向かって、私の想いを彼に全て伝えます!!
私の想いをもう隠すことなく余すことなく、大好きなあなたに!!
「私も、零くんのことが好きです!!ずっと思い描いていました、あなたと一緒に笑顔で過ごせる日々を。しかしそんな未来を目指している途中、何度か挫折したこともありました。でもその度に私の心を優しく支えてくれたのが、あなたの言葉だったんです。そして今でも、あなたの言葉は私の希望となっています。もう私の心は零くん一色なんです!!ずっと、ずっとあなたの笑顔が私の心から消えることはない!!」
零くんの腕の中で、私は顔を上げて彼の瞳を真っ直ぐに見つめます。零くんもそれに応えるように、私の瞳、そして心と真剣に向き合ってくれているみたいです。
私の想いは、止まらない。
「そんな私はあなたのことを、いつも心の中で愛していました。ですがもう心の中だけでは満足できないんです!!憧れのままで終わらせたくない!!私も皆さんと同じ、この現実世界であなたの隣にいたい!!隣でずっとあなたの優しさを感じたい!!隣であなたの希望に満ち溢れた笑顔を見ていたい!!そして、私も一緒にあなたと笑顔でいたい!!」
胸に秘めた最後の想いが、今――――
「私は、あなたのことが好きです!!私と、付き合ってください!!!!」
やっと、自分の気持ちを素直に伝えることができた。今までは無我夢中で零くんにアピールをしていただけだったけど、ようやく想いの整理ができて、遂に私が抱いていた彼への恋心を言葉にして伝えることができたんだ。
零くんからも告白してもらったし、これで晴れて恋人同士ってことなんだよね?
これまでずっと待ちわびていた時がようやく訪れた。もう心いっぱいに幸せが膨らんで、零くんに抱きついていなかったらそこら中をスキップしながら走り回っちゃいそう♪
すると零くんは、私の身体を更に強く抱きしめました。
「なんかお前の告白に胸を打たれすぎて、俺の告白がしょぼく見えるな」
「全然そんなことないですよ!!むしろ零くんから告白してくれたからこそ、私も告白しようと決心がついたんですから!!」
「そっか、そう言ってもらえると嬉しいよ。ありがとな」
「はい、こちらこそありがとうございます♪」
零くんの頭を撫でられて、すっかりさっきまでの緊張が消えてなくなった私がいます。
秋本番の冷え込む夕方にも関わらず、私の身体も心も零くんの温もりでぽっかぽかです♪ずっとこうしていたいなぁ~。
「さっきの告白の返事だけどさ」
「は、はい!!そう言えば告白し終わった達成感と零くんの包容が気持ちよすぎて、すっかり返事を聞くこと忘れてました……」
「ははは!何ともどこか抜けてる亜里沙らしいな」
「むぅ~笑わないでくださいよぉ~!」
「わりぃわりぃ!そんなに頬っぺを膨らませなくてもいいだろ」
「わわっ!頬っぺたつつかないでください!!」
確かに皆さんからもよく天然だと言われますが、私ってそんなに天然かなぁ~?あまり納得ができない自分がいます。それにさっきみたいにお人形さん扱いされる時もあるし、主にことりちゃんから……。
とにかく今はそんなことよりも、零くんからの返事に集中しないと!!
「俺の気持ちもお前の気持ちと全く同じだ。ずっと亜里沙の隣にいたい。俺もお前から元気と希望を貰ってるんだ。こうして抱きしめ合ったりもしたい。だけど」
「だけど?」
「俺が本気の告白をするまで、付き合うのは待ってくれないか?お前の告白を聞いて、また俺の中で亜里沙に対する新しい感情が生まれたんだ。だから一旦その気持ちを整理してまとまった時、改めて俺からお前に告白させて欲しい。ダメかな?」
もう一度私に告白……ということは、あのドキドキをまた味わえるってことだよね!?さっき告白されたばかりなのに、もう次の告白に興奮しそうになってるよぉ~!!零くんに抱きしめられながら言われたっていうのもあるかもしれないけど、それでもまた零くんから告白してくれると思うとドキドキが止まらない!!
そして、私が零くんを想う気持ちも一生止まらない。だから答えは決まっていますよ♪
「私が零くんが好きだという気持ちは絶対に変わることはありません。だからもう一度聞かせてください、零くんの本気の告白を。それまで私は、ずっと変わらぬ愛であなたを待ってますから♪」
「ホントに、そんな心に来る言葉をストレートに言えるんだからすごいよお前は。よしっ、それじゃあ今回亜里沙に思いっきりドキドキさせられた分、今度は俺がお前の心臓を破裂しそうなくらいドキドキさせてやるからな!!」
「はい!楽しみにしています♪」
私は少し身体を起こして、再度零くんに抱きつきました。
さっきよりも顔と顔が近くなって、このまま勢いでキスができちゃいそう……。でもキスは愛の証、零くんが待ってくれって言ったのなら、残念だけどその時までお預けです。もうゲームの世界みたいに、先走る私じゃないんですよ?
だけど、これくらいなら――――――
私は零くんの唇の隣に自分の唇を素早く近づけます。
そして、零くんの唇と頬っぺとの間に――――――自分の唇を押し当てました。
「あ、亜里沙……」
「えへへ、我慢できませんでした♪でも唇ではないので安心してください♪今はこれくらいしかできませんけど、いつか本物のキスができる日を待ってますから!その時は、是非零くんからお願いしますね♪」
「もちろんそのつもりだよ。楽しみにしておけ!!」
「はい♪」
やっぱり零くんと一緒にいるのは楽しい!!毎日学院に行くのが楽しみになって、たくさんの笑顔を貰って、そしてこうして愛を確かめ合う……もう私の心は、これ以上にないってくらい幸福で満たされています。でもまだまだこれは序の口。今までよりももっと心が躍る出来事が待っているのかな?うぅ~楽しみぃ~♪そしてこれからは、零くんがすぐ隣にいてくれるから尚更楽しい日々になりそうだね♪
「日も暮れてきたし、そろそろ帰ろうか」
「そうですね。でもこうして零くんと抱き合うひと時が終わってしまうのは残念ですけど……」
「俺だって、亜里沙とずっとこのままでいたいよ。でもお互いに好きだってことを伝えたんだ。これからは毎日堂々とハグでもなんでもできるから、今日のところは……な?」
「むぅ~仕方ないです。でもこれからはもっとグイグイ行きますからね!!覚悟してください♪」
「俺だって伊達にたくさん彼女を持ってる訳じゃないから、どんとこの胸で受け止めてやるよ」
零くんは得意気な表情で胸に拳を当てました。
こうして彼の言葉に安心できるのも、私が彼のことを信頼して、そして大好きだからってことですよね!それに零くんの胸に顔を押し当てると、とても安心できますし♪これからももっともっと零くんに抱きしめられたいです!
「ほら亜里沙、手。またはしごで足を滑らせないようにな」
「あっ……はい!よろしくお願いします♪」
私は差し出された零くんの手を取って、そのまま一緒に屋上へと降り立ちました。
そしてその手をずっと握ったまま、私たちは2人並んで学院を去ります。
指と指を絡ませ合って、解けないようにしっかりと。
帰宅途中で別れてしまうので、いつかはこの手を離さないといけないのですが、私とあなたの心の距離はもう永遠に離れることはありません!私の恋心は、あなたのハートをガッチリ掴んで離しませんから♪
ずっと隣でお慕い申し上げます。これからもよろしくお願いしますね!
大好きですよ、零くん♪
今回はシスターズ編第二弾、亜里沙編でした。
亜里沙のことだから、もっとストレートに告白すると予想していた方も多かったのではないでしょうか?何気に今回の告白は前回の雪穂編とは違って、『零君からの告白⇒亜里沙からの告白』の順番となっています。それだけ恋に関しては、雪穂より亜里沙の方が冷静であったということですね。
前回同様まだ完全に結ばれてはいませんが、お互いをお互いに相思相愛だと認識したので、これからは亜里沙も穂乃果たちと同様の扱いにすることができます。
つまり――――亜里沙のR-17.9も解禁されたってことですよ!!
私はこの大天使を穢すことができるのだろうか……?(笑)
そして次回はシスターズ編のラスト、楓編となります。
前回の雪穂編を含め、ご感想や高評価を頂ければ次回の楓編の執筆意欲が急上昇するかもしれません!!
応援の声を頂ければその分、楓ちゃんがちょっぴりエッチになるかも!?
是非よろしくお願いします!
Twitter始めてみた。
https://twitter.com/CamelliaDahlia