雪穂と亜里沙と違うのは、何と言っても実妹だというところ。妹として、そして1人の女性として零君を想う乙女な楓ちゃんをたっぷり堪能してくれればと思います!
今回も以下の話の内容を思い出しておくとより楽しめます。
『新日常』第28話 浮気調査員:神崎楓
『新日常』第54話 私だって、"零くん"の彼女になりたかった!!
『新日常』第77話 ラブライブクエスト5~究極の選択~
ちなみに内容はエロくないです(笑)
"ラブライブ"の開催まであと1日。とうとう明日が本番当日となる。
今日は練習など一切なく、部室で数十分のミーティングだけでμ'sの活動は終わってしまった。ミーティングと言っても集合場所や時間の確認くらいで、あとは穂乃果先輩たちが無駄にテンションアゲアゲで騒いでただけだから、真面目な話はミーティング開始からほんの数分といったところ。まあ私もそれに便乗してたんだけどね♪
でも意外だったのが、雪穂と亜里沙のやる気が有頂天にまで達するかってくらい満ち溢れていたこと。
亜里沙はまだ分からなくもないけど、雪穂のテンションがこの2日だけ劇的に違っていた。普段は現実的でそれゆえ緊張しがちな性格をしてるのに、それこそ今の雪穂からは緊張の"き"の字も感じられない。それに亜里沙も亜里沙で今日はやけに穂乃果先輩たちと一緒にノリノリだったし……最近の子はよく分かんないや!
まぁ、大体の予想はついてるけどね。ミーティング中も2人がチラチラと目線を寄せるその先には、決まってお兄ちゃんがいた。
元々この2人がお兄ちゃんに好意を抱いてることも知ってたし、それが恋心であると薄々感じてはいたんだよ。だけど今日、2人がお兄ちゃんに浴びせていた視線は恋する乙女じゃなくて、紛れもなく恋が成就した恋人へ向ける目線!!
まさか2人共、お兄ちゃんに告白したりした……?
だってお兄ちゃんは一昨日も昨日も雪穂と亜里沙に会ってたみたいだし、2人がお兄ちゃんのことを好きならば、告白なんて暴挙に出てもおかしくない。それに今日のミーティングの時、2人とお兄ちゃんの関係がかなり柔和になってたし、その可能性が大だね。
あれ……?そうなると、μ'sの中でお兄ちゃんと恋人じゃないのって私だけなんじゃあ……。
「なんか行き遅れた感が半端ないんだけど……」
私は台所で夕飯を作りながら、アラフォーの独身女性のような愚痴を垂れ流す。
でもお兄ちゃんに告白せず残っているのが私だけというのは紛れもない事実。あの恋愛に奥手な雪穂も、天然純粋っ子の亜里沙も、2人共お兄ちゃんにその想いをぶつけたんだよね。勇気を出して、自分の心をお兄ちゃんの心にしっかりと向かい合わせて……。
「私もそろそろ動かないとダメかぁ~……」
お兄ちゃんに想いを伝えるのなんて普段からやっていること。だから告白なんてものに緊張もしないし躊躇もない。それに私は他の皆んなと違ってお兄ちゃんとは家でも一緒にいられるんだから、お兄ちゃんと2人きりで話すタイミングなんていくらでもある。
だったら何故そうしないのか、理由は簡単。
"兄妹"だから。
いくら私が近親相姦OKの異星人だとしても、その壁を乗り越えるのは結構臆してしまう。
気持ちではお兄ちゃんと交わることは全然いいんだけど、やはり心のどこかで周りの体裁を気にしている自分がいるのかもしれない。それか今のこんな兄妹関係で満足しちゃっているのかも……。
どちらにせよ、私は先輩たちや雪穂、亜里沙とは告白をする土台が全然違う。
恋に障害はつきものだって言うけれど、恋をする前から障害がある私にとって、まずはその障害から乗り越えなければならない。
じゃあその障害とは一体なにか?兄妹であること?でもそれは周りさえ認めてくれれば解決できる話。
私の周りと言えば、まずμ'sの先輩たち。この9人だったら私がお兄ちゃんの彼女になることなんてまず容認してくれるだろう。だって自分たちも9人で1人の男の彼女になってる訳だしね。
雪穂と亜里沙も、私がお兄ちゃんの妹とかお構いなしに祝福してくれそう。親友だからってこともあるだろうけど、それ以前に2人なら私とお兄ちゃんの想いをよく知ってるし。
あとはお姉ちゃんとお母さんくらいか。うん、この2人は近親相姦&ハーレム容認派だから全然問題ない。お父さんもまあ、大丈夫でしょ。
周りは私とお兄ちゃんの関係を祝福してくれそうな人ばかり。
結局考えは巡り巡って私とお兄ちゃんに行き着くってことか。こればっかりは、お兄ちゃんの本心に直接問いかけないと分からないな。
それに私も心のどこかで告白にブレーキを掛けているのなら、それを取り外さないとお兄ちゃんに私の想いは伝わらない。
「今日だ……今日の夜、お兄ちゃんにこの想いを伝えよう」
いつまでも先延ばしにしてはいられない。雪穂や亜里沙が先に告白したから焦っている訳じゃないけど、告白を決心した日に実行しなければ、この先もまた先延ばしにして自分の心から逃げてしまいそうな気がしたから。
「お~い楓、飯もうすぐできるか?」
「うん!もうちょっとだから待ってて!」
「ほ~い」
そう、こうしていつも2人きりでいられるからこそ、お兄ちゃんと向き合うのはまた今度でいいやと先延ばしにしてしまう。
近すぎる故の弊害。
でも先延ばしにするのはもう今日で終わり。いつか想いを打ち明ける、そのいつかを今日にする。
"ラブライブ!"本番に、こんな迷いに満ちた気持ちを引きずりたくない。
そして進みたい。お兄ちゃんと、更にもう一歩先の関係に!!
「お兄ちゃ~ん!もうすぐできるからお皿こっちに持ってきてぇ~!」
「おう、分かった!」
そう、ただの兄妹から、その先へと……。
~※~
夕飯もお風呂も済ませ、適当に学校の宿題も片付けた私は今、お兄ちゃんの部屋のドアの前に立っている。
1人でベッドに寝転がって色々考えをまとめていたら、いつの間にか夜もいい時間になっていた。明日のは早朝に集合だから、もう寝床に就かなければまともに寝る時間もなくなってしまう。
でも、お兄ちゃんへの想いを残したままでは寝られない。
今晩の私の目標は、
『お兄ちゃんに私の愛を伝える』
↓
『お兄ちゃんが受け入れてくれる』
↓
『恋人になる』
↓
『1つのベッドでお兄ちゃんに寄り添いながら寝る』
よしっ、完璧なシナリオ!
既にこの時点で私はマイ枕を持参している。なんだかんだ言って女の子には甘いお兄ちゃんのこと、強引に迫れば一緒にベッドインするなんて簡単なことだよ♪
だけどまぁ、告白の本番はベッドに入ったあとなんだけどね。
私は一旦大きく深呼吸をしてから、お兄ちゃんの部屋のドアをコンコンとノックした。
「お兄ちゃ~ん、まだ起きてる?」
『あ、あぁ起きてるぞ!ちょっと待ってくれ!!』
どうしたんだろう?やけに慌ててるような声だったけど、もしかして自分磨きの最中だったとか……?
私たちでよからぬことを想像して、たくさんせーえきを放出し明日に備えている最中だったと。なんかそう考えたら、私があれこれ1人で悩んでたのが馬鹿らしくなってきちゃったよ……。
そうだ、いつも通りに行こう。いつも通りにお兄ちゃんと接して、そこで想いを伝えればいいんだ。ようやくガチガチに固くなっていた心が柔らかくなった気がするよ。まさかお兄ちゃんの自分磨きに助けられるとはね♪
よしっ!落ち着いたところで、早速突撃だ!!
「もういーい?入るよ~?」
『ああ』
私はドアを開けてお兄ちゃんの部屋へ入る。
まず目に入ってきたのは、お兄ちゃんがベッドではなく椅子に座っていたこと。明日は朝早いっていうのに、まだ寝床に就いていなかったらしい。それは私も同じか。
でも布団が若干乱れているから、私が来るまでベッドに転がっていたんだと思う。
もしかして私と同じく何か考え事でもしてたのかな?明日の"ラブライブ!"のことなのか、それとも……。
「どうした枕なんて持って。まさかとは思うが……」
「そのまさかだよお兄ちゃん!一緒に寝よ♪」
「明日本番なんだから、ゆっくり寝ないとダメだろうが……」
「なにお兄ちゃん!?まさか今晩は寝かさないぞ的なノリなの!?本番に緊張している私のことを思って、遂に愛を注いでくれるんだね♪」
「ち、違う!!そういう意味じゃなくてだな!!」
あはは♪やっぱりお兄ちゃんと一緒にいると心が落ち着くよ!家だったら、いつでもお兄ちゃんの隣にいられるのは妹の特権だもんね。先輩たちには悪いけど、家にいるお兄ちゃんは私だけのものだから♪
だけど、こうしていつもと同じ日常に満足しているからお兄ちゃんに想いを伝える機会を逃しちゃうんだよね。今晩は妹でもあり、1人の女性としてお兄ちゃんに、"零くん"の心に近づかなくっちゃ!!
「もう夜も遅いし、明日も朝早いんだから寝なきゃダメだよ!ほらほら早く早くぅ~!!」
「はぁ~……分かったよ。今日くらいは明日の労いのために一緒に寝てやるか」
「やったぁ♪それじゃあ私が壁際ね!」
「その配置に意味はあるのか……?」
「えへへ♪お兄ちゃんと壁に挟まれてるから逃げ出すことができないんだ。つまり、襲われても抵抗できないってことだよ!」
「しねぇよ!!……多分」
「えっ!?今なんて言った!?」
「やべっ、咄嗟に出ちまった!聞き流してくれ」
なぁ~んだ、やっぱりお兄ちゃんもやる気満々じゃん♪
私としては変にシリアスな空気のまま告白するより、いつもの楽しい雰囲気でお兄ちゃんに愛を伝えたい、そう思ってる。ほら、私って辛気臭い雰囲気似合わないでしょ?
1人であーでもないこーでもないと悩んでたけど、お兄ちゃんと話したらそんな
そして私の心もカラダも虜にした、最愛の人……。
~※~
おいおいおいおいおいおい!!遂に来ちゃったよこの時が!!
何が来たって?お兄ちゃんと2人きりのベッドインに決まってるじゃん♪
しかももう電気も消して、カーテンの隙間から月明かりが薄らと差し込んでいるこのロマンチックなシチュエーション!!これはもう兄妹同士のラブラブエッチ……じゃなくって、いい告白の舞台だね♪
だけど、お兄ちゃんは私に背を向けてずっと黙りこくっていた。
「お兄ちゃぁ~ん!どうしてこっち向いてくれないのぉ~?」
「妹だからってやっぱり気になるだろ、一緒に寝るだなんて……」
「へぇ~気にしてくれてるんだ」
「あぁ。お前が俺の部屋に来なかったら、俺からお前の部屋に行くつもりだったからな」
「えっ……?」
お、お兄ちゃんから私の部屋に!?それってどんなご褒美!?
私からお兄ちゃんの部屋に行くことはよくあるけど、その逆は中々ない。こんなことなら自室でずっと待機しておくんだったぁ~!!でも、こうしてお兄ちゃんと一緒に寝られるんだから結果オーライだね♪
「お前も目的があって俺の部屋に来たんだろ?」
「分かってたんだ……」
「当たり前だ。俺はお前のお兄ちゃんだぞ、隠してても考えてることくらいすぐに分かるって」
「さっすが、私の大好きなお兄ちゃんだぁ……♪」
「楓……」
私は私に背を向けたままのお兄ちゃんを、後ろから抱きしめた。
布団の暖かさが霞むくらいに、お兄ちゃんの温もりを感じる。生まれた時からずっと見てきたお兄ちゃんの背中、抱きしめてみるとこんなに大きかったんだ……。近くにいたのに全然気が付かなかったよ。
もしかして、近くにいるだけでも分からないお兄ちゃんがまだまだたくさんいるのかな?これだけ近くにいても、気付かないお兄ちゃんが……。これも先輩たちみたいに恋人になってみないと分からないのかも……。
私がお兄ちゃんを1人の男性として好きになった理由は至極単純、生まれた時からずっと一緒にいたから。いや家族だから当然だろって言う人が大半だと思うけど、私にとってはお兄ちゃんとの思い出はただの家族だけでは語れない。
まず、私がまだ歩けないし言葉も
そして言葉を覚えた時も近くにいたのがお兄ちゃん、幼稚園もお兄ちゃんと一緒、小学校も中学校もぜ~んぶお兄ちゃんが近くにいた。高校になってお兄ちゃんが2年間1人暮らしをしていたからその期間だけは一緒ではなかったものの、今は私もお兄ちゃんと同じ高校に入学して再びお兄ちゃんの隣にいる。
2年間の空白はあったけれど、私の人生はほぼお兄ちゃん一色で塗り固められてきた。だからそこら辺にいる兄妹よりも仲がいいのは当然だし、私みたいに妹がお兄ちゃんに恋をしてしまう事態にもなってしまう。逆に2年間の空白も、お兄ちゃんへの想いを募らせるいいきっかけになったと思ってるしね。
そしてお兄ちゃんに想いを最大限に募らせたきっかけは、まだ記憶に新しい同棲生活の時の話。
妹という立場が故に、もうお兄ちゃんと恋人関係になるのは諦めて"今"の関係のままを保とうとしていた。だけど私は自分の本当の想いに嘘は付けず、お兄ちゃんと2人きりで話した時に今までずっと隠してきた感情を全てお兄ちゃんに吐き出してしまった。
兄妹同士の恋愛なんて反対される。
いくらシスコンのお兄ちゃんでも、妹との恋愛は御法度だと私も思っていた。
でもお兄ちゃんは、私の全てを受け入れてくれたんだ。
まだ妹としか見られないけど、内に秘めた愛は本物なんだって。この時私は思った。やっぱりこの人は私のお兄ちゃんで、私が好きになった唯一の男性だと。兄妹という壁をちゃんと考慮しつつも、しっかりと私の想いを一身に受け止めてくれた、優しいお兄ちゃん。
それが私がお兄ちゃんへの愛を更に深めることになった、一番の出来事だ。
それに私は、お兄ちゃんへの恋を捻じ曲がっているとは思うけど悪いことだとは一切思っていない。周りの体裁も少しは気になるけど、もう私にとって男性はお兄ちゃんしか考えられないよ。
だってこうして後ろから抱きついているだけなのに、こんなに胸がドキドキするんだもん。
心臓が鼓動するたびに、お兄ちゃんへの愛が私を支配していく。止まらない愛情がよりお兄ちゃんへの包容を強くして、更にお兄ちゃんからの温もりを求める。
ずっと、ずっとこうしていたい。妹という立場である私も、先輩や雪穂、亜里沙たちと同じく、お兄ちゃんへ愛を送りたい。"零くん"の恋人になりたい……。
すると突然、お兄ちゃんの身体が私の腕から抜け出したと思ったら、お兄ちゃんは寝転がったままクルリと回転して、なんと私と向かい合った。
そして私の身体に両腕を伸ばし、そのまま私を――――――ギュッと抱きしめた。
あまりにも突然のこと&お兄ちゃんから抱きしめてくるなんて思ってもなかったから、私は珍しく気が動転していた。
「えっ……えっ!?」
「やっぱりお前だけに愛を語らせるのは不公平だよな。こういう時は男がビシッと決めないといけないのに」
「わ、私、何か喋ってたっけ?」
「さっきお前に抱きつかれて思い出したんだよ。幼い頃からのお前との思い出を。そしてお前の想いが背中を通じて伝わってきたんだ。やっぱり俺たち、普通の兄弟よりも心が近いからお互いの想いが分かるんだろうな。お前の心臓の鼓動が高鳴るたびに俺のことを考えてくれていると思うと、なんだか居ても立ってもいられなくなったんだ」
「だからこうして私に……?」
「ああ。俺からこうして抱きしめるのって、一緒に住むようになってからは初めてかもな」
「そうだね。お兄ちゃんの身体って、こんなに暖かくて気持ちよかったんだぁ~♪」
お兄ちゃんの優しい包容に応え、私もお兄ちゃんに身体を擦り寄せて抱きついた。
まさかお兄ちゃんと抱き合える日が来るなんて。しかもお互いの愛を知ったうえで……。やっぱり安心するよ、お兄ちゃんに包まれるのは。こんな感覚久しぶりだなぁ~♪
いつもお兄ちゃんお兄ちゃんと言って無邪気になっていた時と比べると、明らかに違う胸の鼓動。これが本物の恋、お兄ちゃんへの愛の証なんだね。
「楓、俺はお前のことが好きだ。兄妹なんて関係なく、お前のことを1人の女性として。今までずっと一緒に人生を歩んできたからこそ、お前の魅力は俺が一番よく知っている。そして俺は、いつの間にかお前の魅力に惚れてしまっていた。いつも俺の側にいて俺の味方でいてくれるその優しさ。こんな俺のことをずっと変わらぬ愛で慕ってくれるその心。そして、いつも変わらず"お兄ちゃん"と微笑み掛けてくれるその笑顔。お前の魅力を言いだしたらキリがないってくらい、俺はお前のことが大好きなんだ!!」
「お兄ちゃん……」
お兄ちゃんからの告白。今まではこの愛をお兄ちゃんに伝えてきただけ、つまり一方通行だった。
でもたった今、お兄ちゃんは私への本気の愛を示してくれたんだ!
ずっと、ずっとこの時を夢見てきた。幼い時から抱いていた恋が、遂に成就したんだ!
嬉しすぎて今にも涙が出そう。ずっと待ってたから!お兄ちゃんと恋人同士になれるこの時を!!
「私も好き!大好き!!今までもずっと言ってきたことだけど、もう何度でも言うよ!好きだよ、お兄ちゃん♪お兄ちゃんの隣で育ってきた私にとって、人生の伴侶はもうお兄ちゃんしか有り得ない!!兄妹だからとか、もうそんなの関係ない!!私のことをずっと支えてくれたお兄ちゃんが好き!!私にこんなドキドキする恋をさせてくれた、"零くん"も大好き!!」
そして私の本当の想いもやっと伝えることができた。今までの想いが偽物だったって訳じゃないけど、これほどまでにお兄ちゃんの愛情に満ち溢れた告白は今回が初めて。
告白をして想いを全てさらけ出せたからか、私の心がスッと軽くなった。同時にお兄ちゃんからの返事にまた別のドキドキが生まれてきたり。ベッドで2人並んで寝転んで、抱きしめ合いながら愛の告白なんて、想像以上のシチュエーションで興奮が止まらないよ♪
「兄妹か。なぁ楓、俺ずっと思ってたんだ」
「何を?」
「このまま、兄妹の関係でもいいんじゃないかってな」
「え゛っ!?」
「勘違いするなよ。兄妹でもあり、恋人でもあるってことだ。そのなんだ、今更お前から"零くん"って呼ばれるよりも、"お兄ちゃん"呼びのままの方がしっくりくるというか、萌えるというか……だから、今はとりあえず兄妹の関係のままでいないか?また俺がお前に正式な告白をするまでさ」
「お兄ちゃん……」
「な、なんだ……?やっぱダメか?」
「お兄ちゃん、なんだか可愛いねぇ♪」
「はぁ!?!?」
お兄ちゃんは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして驚いた。
だってねぇ~♪お兄ちゃんと呼ばれることにそこまで執着していたなんて。だったからこれからはもっと"お兄ちゃん"って呼んであげなきゃダメかなぁ~フフッ♪
「そういやお兄ちゃん妹萌えだもんね♪じゃあいっぱい呼んであげるよ!」
「は、はい?」
私はお兄ちゃんを更に強く抱きしめながら、お兄ちゃんの顔へ自分の顔を近づける。
そして顔を真っ赤にしたお兄ちゃんに向かって、とびきりの笑顔を見せて――――――
「お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪お兄ちゃん♪」
「ぐはっ!!し、死ぬ……」
「えへへ、まさか私があのお兄ちゃんを萌殺しにできる日が来るなんてねぇ♪」
お兄ちゃんは私にしがみつきながら必死に苦しみに耐えている。
もう!そんなに抱きつかれたら、またお兄ちゃんへの愛を囁きたくなっちゃうじゃん!!好きなんだからお兄ちゃんも♪
「はぁ、はぁ……お前なぁ。そ、それで?さっきの返事は?」
「もちろんOKだよ!お兄ちゃんの恋人になれるって分かってるのなら、私はいくらでも待つからね!」
「楓……ありがとな」
「うぅん、お兄ちゃんこそありがとね。私の気持ちに答えてくれて」
「こちらこそ。お前への想いは、俺だってずっと満ち溢れてから」
「もうっ、すぐそうやってドキドキさせることばかり言うんだから!…………もっと、近付いていい?」
「もちろんだよ。今日はこのまま寝るか?」
「うん!」
お兄ちゃんに頭を撫でられ、心に広がっていた幸福感が全身に伝わったよ。
お兄ちゃんと両思いになることができた。それだけでも満足なのに、本番前日にお兄ちゃんとこうして抱き合いながら寝られるなんて……多分明日、私のテンションは誰よりも高いだろうなぁ♪
「遂に明日だな」
「うん……」
「頑張ってる奴に頑張れなんて言わない。全力で楽しんでこい」
「もちろんだよ♪舞台からお兄ちゃんに、私の最高の笑顔を届けるからね!」
「あぁ、ありがとう」
お兄ちゃんに分けてもらった勇気と元気で、お兄ちゃんがまた私に惚れ直すような姿を明日の舞台で見せてあげる!
「おやすみ、楓」
「おやすみ、お兄ちゃん」
私の大切な"お兄ちゃん"。これからも、ずぅ~と一緒だよ♪
今回はシスターズ編のラスト、楓の告白回でした。
楓の告白にスポットを当てたのはもちろんですが、今回は零君の告白も同様に光を当てました。これで彼の告白はまだ本気ではないので、もし零君が本気の告白をした場合、楓ちゃん気絶しちゃうかも……?
妹だからこそ、その心の近さを生かした恋人になると誓った楓。恋人になり妹でもあり続ける、敢えて兄妹という壁を取り払わずに結ばれることを決意した楓でした。零君も同じことを考えていたみたいですし、やはり兄妹といったところですね(笑)
そして、今回で一年生組の告白回はすべて終了したのですがいかがだったでしょうか?
それぞれが内に秘めていた想いを全部愛しの彼に打ち明け、恋が成就するという王道パターンでしたが、私は王道が大好きなのです!(笑)
本来は零君視点で3話共《零→一年生組》のような感じで書こうと思っていたのですが、一年生組視点での恋愛をあまり書いたことがなかったので、急遽視点変更が行われた次第です。そのせいで零君の告白より3人の告白の方が目立っちゃいましたが(笑)
1つこの小説の異端な点を挙げるなら、ラブライブの小説にも関わらずまさかのオリ主×オリキャラの恋愛も話の主軸にしているってことですかね。
よくよく考えてみれば物凄く異端なことなのですが、もう私の中では楓ちゃんも立派なヒロインなので穂乃果たちと同格の存在として扱っています。もしかしたら読者さんの中にも『言われてみればそうかも……』と納得された方も多いのでは?(笑)
それくらい楓ちゃんが好きな読者さんが多くて私も嬉しい限りです!
これからシスターズと零君の関係はμ's9人と零君の関係とほぼ同様になります。つまりR-17.9が……!?
次回は最近本編の話題になっていた"ラブライブ!"の後日談を投稿予定です。今回連続で投稿したシスターズ編のまとめでもあります。
雪穂回、亜里沙回、そして今回の楓回を含め、ご感想・評価お待ちしています!
特に前回の感想と評価は、今回の楓回を執筆するいい活力となりました!
高評価を入れてくださった、yoshi4128さん、☆コウキ☆さん、たまドラさん、豚汁さん、yuto555さん
ありがとうございました!
Twitter始めてみた。
https://twitter.com/CamelliaDahlia
最後に、タグにご注目あれ!!