ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回はタイトル通り、矢澤姉妹であるこころとここあとの掛け合いがメインとなっています。

 果たして今回も零君は、ロリコンの境地に辿り着くことなく無事に話を終えることができるのでしょうか?(笑)


こころとここあ、妖精と天使の誘惑

 そもそもの話、俺がロリコンというのは間違っている。

 ロリコンとは『幼女・少女への性的嗜好や恋愛感情のこと』を指すのだが、俺は特段幼女や少女に何の興味もなければ性的欲求などもってのほかだ。確かに可愛いと思う時はあるけども、それだけでロリコン扱いされていたら世の中のお父さん方はどうなってしまうんだって話だろ?そう、俺が幼女を可愛いと思う感情は、赤ちゃんを可愛いと思う親と同じ類なのだ。

 

 

 だからもう一度言おう。俺がロリコンというのは間違っている。

 

 

「何やってるんですか零さん!サボらないでください!!」

「サボってねぇよ!!そもそも、何故客人の俺が他人の家の掃除を手伝わなきゃならんのだ!!」

「まぁまぁ落ち着いて、ロリコンのお兄さん♪」

「…………」

 

 

 またこのガキ、俺のことをロリコンロリコンって……ブチ犯して、じゃなかった、ちょっと仕付けしてあげようか。

 

 俺は今、矢澤家族の部屋の掃除を無理矢理手伝わされているところである。

 何故こんな事態に陥ってしまったかというと、にことにこのお母さんが虎太郎を幼稚園に体験入園させるため家を離れているから、代わりに俺がこのガキたちのお守りをするためにここへ呼ばれたという訳だ。

そこでこころとここあの3人と、何をしようかと話し合っていると、どんな流れでこうなったのかは分からないが、いつの間にか部屋の掃除をしようということになり俺も巻き込まれていた。

 

 俺の説明を聞いてもどんな脈略でこんな事態になったのか意味分かんないだろ?俺も意味分かんないから。

 

 

「ぼぉ~っとしてないで、テキパキ働いてください」

「いやこれ、バイト代出んの?」

「私たちと一緒にいられることがご褒美でしょ?ロリコンのお兄さん♪」

「ここあ……ちょっと表出ろ。男の怖さを思い知らせてやる」

「きゃぁ~♪誘拐される~!!」

「お前間違ってもそれ外で叫ぶなよ!?」

 

 

 こころもここあも、俺のことを玩具か何かと勘違いしてないか……?もっと俺は頼れるカッコいいお兄さんだということを、にこの奴が教えておいてくれればこんなことにはならなかったのに。アイツ、妹たちにどんな教育してんだよ……。

 

 でもこれ以上大きな声で叫ばれて、近所の住民にここあの叫び声が聞こえてしまったら、俺は一発でお縄となってしまうので、渋々部屋掃除に従事することにした。コイツらは一回叫ぶだけで俺たち大人を監獄にブチ込むことができるもんなぁ……幼女ってズルい。

 

 

「でも掃除って言われても、他人の部屋を勝手に触ったりするのはちょっとな……」

「大丈夫ですよ。お姉様もお母様も、零さんにならOKって言ってましたから」

「なにその妙な信頼は……」

「それにね!お姉ちゃんが私たちに言ってたよ、『零はあなたたちのお兄ちゃんなの。どうせ将来にこのお婿さんになる男なんだから、今のうちからアイツの妹になっておきなさい』って」

「アイツ何言ってんの!?」

 

 

 相変わらず気がお早いことで……既にちゃんと将来設計について考えてるからなぁにこは。逆にまだほとんど考えていない俺の方が問題なのかもしれないけど。いやまだ高校生だし!!

 

 だけど、μ'sのみんなと将来こういうプレイをしてみたい!という妄想だけは無数にあるがな。

 

 

「ということで、今日からはロリコンのお兄さんのことを"お兄ちゃん"って呼ぶね♪」

「えっ?」

「なに?もしかして嬉しかったり?やっぱりお兄ちゃんロリコンだったんだね!」

「違うわ!!やっと"ロリコンのお兄さん"と呼ばれなくなってホッとしてたんだよ!!」

「だよねぇ~。それにいちいち"ロリコンのお兄さん"って呼ぶの、長くて面倒だし!」

「お前、わざと無理して呼んでたのかよ……」

 

 

 自分が楽しむためだけに、わざと無理をしてでも相手を貶めようとするその精神、本当に姉のにこにそっくりだ。最近アイツの小悪魔要素はあまり見られないが、腹黒いところは何も変わっちゃいない。その性格が妹たちにもしっかり受け継がれているようだ。特にここあには……。

 

 

「へへっ、お兄ちゃん♪」

「うおっ!!」

「こ、ここあ!?」

 

 

 何の前触れもなく、いきなりここあが俺に抱きついてきた!?

 ここあはその小さい身体全身を使って、俺の腰辺りに腕を回してギュッと抱きつく。さっきまで俺のことをロリコン扱いして馬鹿にしていた奴が急にデレるなんて……まさかこの年で男心を揺さぶる術を会得しているのか!?普通に愛らしくて可愛いんだけど……マ、マズイ、俺の中で動いてはいけない何かが動き出そうとしている!!

 

 

「私、一度でいいからお兄ちゃんが欲しかったんだぁ~♪それにね、お兄ちゃんができたらこうしてぎゅ~って抱きつきたいと思ってたんだよ!」

「そ、そうなのか……」

「周りにいるお兄ちゃんって呼べる人はお兄さんくらいしかいなかったし、いつかお兄さんに思いっきり抱きつかせてもらうのが夢だったんだよ♪」

「ここあ……」

 

 

 何とも小学生が考えそうな安直な夢だ。でもよくよく考えたら『お兄ちゃんが欲しい』なんて夢、どう足掻いても叶うはずがない。初めはコイツのお兄ちゃんになるなんて面倒なことになりそうだと思ってたけど、ここはここあの夢のため、そしてこの可愛い笑顔のためにも、1日くらいはコイツのお兄ちゃんになってやってもいいかな?

 

 あぁ……ホント女の子の笑顔に弱いよな俺って……。

 

 

「ねぇねぇ!お兄ちゃんからも抱きしめて!!」

「えっ、いいのか?」

「いいに決まってるじゃ~ん♪だって、お兄ちゃんは私のお兄ちゃんなんだから!!」

「分かったよ。可愛い妹のお願いだ、お兄ちゃんが聞き入れてあげよう!」

「やったぁ♪」

 

 

 ここあは俺の腹に顔を擦り付けながら、更に俺を強く抱きしめた。

 この甘えっぷりを見るに、本当にお兄ちゃんが欲しかったんだな。こんな純粋無垢な笑顔を見せられたら、俺がそれに答えないはずないじゃないか!今だけは"ロリコン"という言葉を俺の世界から全て消そう。そうでないと変に自制してしまってここあの気持ちに答えられないからな。

 

 

 そうだ、俺は断じてロリコンなんかじゃない。ただ妹を可愛がる、それだけのこと。

 

 

 俺たちの間には身長差があるため、俺からは上手く抱きつくことはできない。だから彼女の小さな背中に自分の腕を回して、優しく俺の身体へと抱き寄せる。

 

 するとここあは頬を染めながら、目を瞑って俺の身体にもたれ掛かった。俺の身体がよっぽど暖かいのか、彼女はそのまま眠ってしまうかのような心地よい表情をしている。今までは人のことをロリコン呼ばわりする生意気なガキだと思ってたけど、案外可愛い面もあるじゃん。小学生ながらも、その天使のような笑顔に惹かれてしまいそうだ。

 

 

 ようやく夢が叶って良かったなと彼女の気持ちに答えることができて満足した反面、傍から見たら小学生を抱きしめる危険な奴だという邪念はやはり消えて亡くならない。逆に考えれば誰にも見られない今なら、ここあとずっとこうしていられるということ――――――ん?誰にも見られてない……?

 

 

 あっ……!!

 

 

 俺はここで、この部屋にはもう1人の幼女がいたことを今思い出した。

 

 

「…………」

「こ、こころ……?ずっと黙ってるけど……どうした?」

「私も……」

「へ?」

「私も"お兄様"に甘えたいです!!」

「ええっ!?」

「うえっ!?こ、こころ!?」

 

 

 さっきまでずっと俺たちの包容を眺めていたこころだったが、何かの糸がプッツリ切れたのか、耐え切れず俺に抱きついてきた。ここあの身体を少しばかり横へ押しのけ、その勢いで俺の腰に腕を巻きつけて抱き掛かる。俺のお腹ちょっと上辺りに顔を埋め、自分の表情を俺に見せようとはしない。だがチラッと見える頬が赤くなっている辺り、ここあにやきもちを焼いていたのだろう。

 

 

 そしてこの、幼女2人に抱きつかれている男の図である。

 俺の意思だけでこうなった訳ではないので、絶対に通報しないように。

 

 

 しばらく俺に抱きついて気持ちが落ち着いたのか、こころは顔を上げてようやく俺にその表情を見せてくれた――――――目に涙を溜め、少し寂しげ表情で。

 

 

「私も"お兄様"って、呼んでいいですか?」

 

 

 ぐぁあっ!!!!

 ちょ、ちょっと待ってくれ!?何故今吐血しそうになった!?俺は既に9人もの彼女を持っていて、加えて彼女候補が3人もいるこの状況、どうしてまた別の女の子にトキメかなければならない!?しかも相手はまだ中学一年生だぞ!?待った待った待った!!

 

 

「ダメ……ですか?」

 

 

 涙目になりながらそんな弱々しい声で話し掛けないでくれ!!今まで必死に押さえ込んでいた鋼のハートが揺れ動いちまうだろ!!こんな中学生になりたての子相手にそんな……そんな……。

 

 とりあえず一旦落ち着くんだ。この状況を脱却するには、こころが流している妖精の涙を止めればいい。例え幼女でも、涙を流す女の子を俺が放っておくはずがないだろ!!だったら答えはもちろん――――――

 

 

「あぁ、いいよ」

「本当ですか!?ありがとうございます♪」

 

 

 ダメだ、今度はこの妖精の笑顔にしてやられてしまった。このままだとここあだけでなくこころにまでハートキャッチされかねない。まさか……まさかこの俺がこんな小さな女の子に(たぶら)かされるなんて!!可愛ければ誰でもいいのかよ、俺!!

 

 

「ぶぅ~!お兄ちゃん私のことも構ってよぉ~!!」

「こ、ここあ!?」

 

 

 さっきからこころに気を散らされて、ここあのこと忘れてた。その結果がこの膨れっ面なんだけど……正直小さな頬を頑張って膨らませているその表情が可愛過ぎて、軽く胸を打たれてしまう。俺、とうとう脱出できない領域にまでどっぷり浸かってしまったのかもしれない。

 

 

 こころに構っているとここあがやきもちを焼き、ここあに構っているとこころがやきもちを焼く。

 だったらどうすればいいのか?それを彼女9人持ちの俺に聞くこと自体が愚行だ。

 

 

 こうするんだよ!!

 

 

「わわっ!お兄様!?」

「うわっ!お、お兄ちゃん!?」

「なんだよその反応……頭を撫でてるだけだろ」

 

 

 答えは簡単、両方可愛がってやるだけだ。

 俺はこころとここあ、2人の頭に手を当ててゆっくりと撫で回した。身長差もあって手を置きやすい位置に2人の頭があるため、疲れることなくずっと撫で回してやることができそうだ。もちろん永遠にって訳にはいかないけど、2人が満足するまではこうしていてやろう。

 

 

「お姉ちゃんの言う通りだよぉ~♪お兄ちゃんのなでなでは気持ちいいねぇ~♪」

「これはお姉様が惚気たくなる気持ちも分かりますぅ~♪」

 

 

 2人はさっきとは打って変わって、うっとりとした表情を浮かべている。

 そしてこころとここあが新しい表情を見せるたびに、俺の鋼の心が溶かされていくまでが1つのテンプレと化していた。こんな小さな女の子に見蕩れてしまうのは、彼女たちがそれだけ魅力的だからだろう。

 こころが大人しい妖精なら、ここあの表情は元気いっぱいの天使だ。こんな例えをしてしまう時点で、俺は既にロリコンへの道を開拓しているのかもしれない。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 その後、俺はこころとここあが満足するまで2人の頭を撫で続けさせられた。詳しい時間は測ってないが、相当な時間俺は彼女たちを抱きしめ合ったりなでなでしていた気がする。この字面だけ見れば、もうただの犯罪者だな……。

 

 そうやってあらかた幼女2人組とじゃれあった後、もうすっかり記憶の彼方に消し飛ばされていた部屋の掃除をすることになった。

 掃除の途中、妙にやる気となったこころとここあがまるで大掃除かの如く部屋の隅々まで掃除をし出したので、それに付き合わされた俺はもうヘトヘトに……。

 

 

「子供は元気だなぁ……」

「だらしないですよ!しかもお兄様はまだ高校生ではありませんか!」

「インドア派の体力舐めんなよ。そこら辺のコンビニに行くだけでも過呼吸になるから」

「それ自慢じゃないでしょお兄ちゃん……」

 

 

 逆にあれだけ騒ぎながら掃除をしていたのに、どうしてこの2人はこんなに元気なんだよ……。やはり年を取ってしまうと若い者の勢いにはついていけなくなる、というのは本当らしい。まさか高校生の時代からそれを感じることになるとは……。

 

 それもこれも掃除の途中で、にこの部屋から俺の私物が大量に見つかったせいだ。見つかったのはいいことなんだけど、見つけるたびにいちいち大声でツッコミを入れていたら体力をごっそり奪われてしまった。

 

 にこにはいずれ制裁を加えなければ……それすらも悦びそうだけど。

 

 

「あっ、ここあ!顔こんなに汚しちゃって!」

「ホントだ。頬とか鼻とか黒く汚れちまってるな」

「そういうこころもおでことか手とか、たくさん汚れてるよ!」

「えっ、そうなんですか!?」

「気付いてなかったのかよ……遊びながら掃除してるからだろ」

 

 

 あれだけキャッキャとはしゃぎながら掃除をしていたらそうなるわな……現に俺だってコイツらの遊びに巻き込まれて、顔や腕とか汚れてるし。

 一度ここあに床を拭きたての雑巾を押し当てられた時は、マジでコイツに大人というものを分からせてやろうと思ったぞ。なにが『変態さんの顔はここあが綺麗にしてあげるね♪』だよ。さっきお前にトキメいた心を返せこの野郎!!

 

 

「よしっ!じゃあお風呂に入ろうよ!!」

「そっか。なら早く入ってこい」

「え?何言ってるの?お兄ちゃんも一緒に入ろうよ♪」

 

 

 なにィいいいぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?!?

 

 い、一緒にお風呂に入る!?ここあと一緒に!?そんなことをしたら今度こそ務所行き確定じゃねぇか!?

 

 断るか?で、でもここあの期待の篭ったこの笑顔は……。さっき雑巾を顔に押し当ててきた時とは違う、純粋無垢な明るい笑顔。ここで俺が断れば、この天使の笑顔を崩してしまうことになるだろう。かと言って、一緒に入りでもしたら俺の社会的立場が……。つ、詰んでる!!

 

 

 そ、そうだこころだ!矢澤の家系で珍しく聡明なこころなら、男と一緒に風呂に入るなんて暴挙を止めてくれるはずだ!!こころが止められるならここあもそこまで悲しむことはないだろう。さぁこころ!!こんな獣みたいな変態男と一緒に風呂に入りたがっているここあを止めてくれ!!

 

 

「それはいい考えだねここあ!お兄様、私たちと一緒に入りましょう♪」

 

 

 詰んだァあああぁぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

 

 お、俺の最後の砦が……今まで俺のことを警戒してきたこころが、どうして俺なんかと一緒に風呂へ入ろうとする!?お前はもう少し賢い判断ができる子のはずだ!!1年前は知らない男(つまり俺)に声を掛けられたら、即警察に通報するくらい警戒心が強かったのに……。

 

 

 過去を振り返っていても仕方がない!今は犯罪者になってしまうこの瀬戸際を切り抜けるのが先決だ!!

 だけど断ったことによって、彼女たちの落ち込む表情は見たくない。いくら幼女だからって、彼女たちは俺を慕ってくれる妹のような存在だ。そんな2人に悲しい表情をさせてたまるか!!

 

 

 じゃあ……だったらどうするの!?

 

 

「一緒に入りましょう、お兄様♪」

「身体洗いっこしよ、お兄ちゃん♪」

「ぐあっ……!」

 

 

 

 

 幼女の笑顔には……勝てなかったよ。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 矢澤ホーム、脱衣所にて……。

 

 

「あっ!ここあこんなところまで汚れてる!」

「腕を捲ってたから、肘のところまで汚れが付いちゃったんだよ」

「これは湯船に入る前に、まず全身をしっかり洗った方がいいね」

「だね~♪」

 

 

 どうすればいい……?中学に進級したての女の子と、現役の女子小学生と一緒に脱衣所に押し込められているんだが!?2人は何のためらいもなく服を脱いでるし、俺はそっぽを向いて2人の脱衣シーンを見ないようにするのが精一杯だ。

 

 正直に言おう、こころとここあの生まれたままの姿を見たい気持ちがないことはない。服が肌に擦れる音がするたびに、俺の心臓の鼓動が1オクターブ高くなる。俺の心の奥底から真っ黒な欲望が湧き上がり、理性を侵食してしまいそうだ……。

 

 だがもし欲に駆られて見てしまった場合、俺は色々なものを失うだろう。例えば社会的立場とか、今後皆さんから向けられる目線とか……。

 

 

「どうしたのお兄ちゃん?脱がないとお風呂に入れないよ?」

「分かってる。分かってるけどさぁ……」

「もしかして私たちを気遣ってくれているのですか?それだったら大丈夫ですよ、ちゃんとタオルは巻きますし」

 

 

 いや、タオルを巻く巻かない以前に、お前らと一緒に風呂というシチュエーション自体が俺を犯罪者に仕立て上げるんだよ!!どうすんの!?2人に『俺と一緒に風呂に入ったことは黙ってて』と念を押しておけば一応解決するかもしれないが、やんちゃガールのここあが口を滑らしそうだからなぁ……。

 

 でもここまで来て入らないなんて言えないし、ここあが黙ってくれることを信じてここは覚悟を決めるしかない!!

 

 

「分かったよ。入ればいいんだろ入れば……って、う゛えぇっ!?」

「お、お兄様!?」

「お兄ちゃん!?ど、どうしたの……?」

 

 

 いざ覚悟を決めて2人の方を振り向いてみたら、2人は既に生まれたままの姿にタオルを巻いていた。思わず真姫のような驚き方をしてしまったじゃねぇか……。

 

 妄想の中では平気だったのに、こうして現実世界で2人のタオル1枚姿を見てみると、穂乃果たちとは違った破壊力がある。この姿だけで世界のロリコンが全員死滅するくらいには……。

 

 

「な、なんでもない。そうだよな、脱がないと風呂には入れないよな」

「そうだよ早くぅ~!」

 

 

 ここあの奴、俺の気も知らないで……。というかコイツらは俺と風呂に入ることに関して何の抵抗もないのだろうか。抵抗がないからこうして誘っているんだろうけども、流石に無防備や過ぎないか?やはりまだ小学生と中学一年生か。

 

 

 しかしコイツら、何故か俺のことをジーッと見つめてきやがる。そんなに見つめられたら服脱ぎにくいだろうが!!ただでさえ焦ってんのに、更に焦燥を煽るのはやめてもらいたい。

 

 くそぉ~……変に感情が高ぶっているせいで、段々息が荒くなってきやがった。

 コイツらにまだ性的な知識はないだろうが、社会の目から見たら幼女のタオル1枚姿を見て興奮するただのロリコン野郎にしか見えねぇ――――――

 

 

 

 

 その時だった。

 突然、俺の後ろにある脱衣所の扉が開いたのだ!

 

 

 あまりにも唐突過ぎて心臓が止まりそうになる。もしかしたら一瞬止まってしまったかもしれない。

 俺は壊れたロボットのように、身体を震わせながら後ろを振り向く。

 

 

「あら?」

「に、にこ!?帰ってきてたのか!?」

「え、えぇ。お母さんたちは帰宅ついでに買い物に行ったけど」

 

 

 脱衣所に入ってきたのはにこだった!

 遂に、遂に俺たち以外の誰かにこの現場を見られてしまった!!マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ……。

 

 

「部屋にいないと思ったらここにいたのね――――って、な゛っ!?な゛、ななななななななななななななななななな!?」

「ちょっ、ちょっと待て!!これには深い事情が……!!」

「なにやってんのよアンタ!!人の妹、しかも小学生とまだ中学に上がりたての女の子連れ込んでお風呂!?いい身分じゃない!!」

「だから違うって!!違わないけど違うんだ!!」

「意味分かんないわよ!!いーい?正直に言いなさい、どうしてこんなことしたの?返答次第では、彼氏だからって容赦しないわよ!!」

「うぐっ……」

 

 

 とりあえず話は聞いてくれそうなので、俺は幼女2人と風呂に入ることになった経緯をにこに説明した。

 2人のお兄ちゃんになったこと、抱きつきあったこと、馬鹿騒ぎしながら掃除をしたこと、つまり今日コイツらと一緒にしたこと全部だ。それを聞いたにこは怒るというよりかは、むしろ羨ましそうな表情で俺の説明を聞いていた。その小さな頬っぺを膨らませながら――――

 

 にこのこの表情は……そうだ、こころとここあの嫉妬している表情と全く一緒だ。にこも完全に嫉妬モードに入っているようだった。

 

 

「そう、それなら許してあげるわよ。零が悪い訳ではないみたいだし。お風呂もこころとここあの2人だけで入らせるわ」

「助かるよ……」

「でもねぇ♪」

「な、なんだ!?」

 

 

 にこは俺の顔をにんまりとした顔で覗き込むと、お得意の小悪魔スマイルで俺を嘲笑うかのように見つめてきた。

 

 

「2人がお風呂を上がった後に、にこと2人きりで一緒にお風呂へ入ること!もし拒否した場合、このことお母さんやμ'sのみんなに喋っちゃうから♪」

「うっ、ちゃっかりしてるなお前……分かった。それならいいよ」

「やった♪」

 

 

 こういったあざといやり方は、まさに矢澤姉妹と言ったところだ。こころもここあも笑顔で俺を誑かしてくるし……アイツらの笑顔はまだ天然だと思うけど、いつかにこに仕込まれて小悪魔のようなあざとさを覚えそう。

 

 

「さぁアンタたち、2人でサッサとお風呂に入っちゃいなさい。零はにこと大切なお話があるから」

「そうなの?じゃあお兄ちゃん!今度は一緒に入ろうね!!」

「お兄様!次は私とも是非ご一緒に!!絶対ですよ!!」

「あ、あぁ……」

「零……」

「何故睨む!?」

 

 

 こうしてにこのおかげで、幼女たちと一緒にお風呂に入るという最悪(最高?)の事態を避けることができた。同時に、ロリコンの烙印を押されずに済んだな……。

 

 でも今日だけで、俺の人生一生分の精神を使い果たしたかもしれない……。

 

 

「さぁ零。こころたちがお風呂から上がったら、次はにこたちの番よ♪」

 

 

 そして悟った。俺は一生矢澤姉妹に振り回されるのだと……。

 




 もうロリコンでいいよ……


 ということで、今回はこころとここあ回でした!
 彼女たちをメインとするのはかなり久々で、そもそもこの2人をメインにした話を書く予定など一切なかったのですが、同じラ!小説の作家仲間の1人に超絶ロリコンな野郎がいまして、その人に焚きつけられたせいで今回の話を執筆することとなりました。
結果的には私もノリノリで執筆していたので、やっぱり私もロリコン……いや、穂乃果たちだけでなく小さな女の子にも愛を注げるハーレム小説作家の鏡だったという訳ですね!(笑)

 ちなみに12股を超えた14股という展開には"恐らく"ならないと思うので、期待するだけ無駄ですよ?


 今年の『新日常』の投稿は次回でラストとなります。
 今年最後にメインを飾るのは――――海未ちゃんです!

 タイトルは『海未ちゃん、巨乳になる』

 ということで、今年最後の投稿もよろしくお願いします!


新たに高評価をくださった方

雨月の夜さん、be-yanさん

ありがとうございました!


Twitter始めてみた
 https://twitter.com/CamelliaDahlia

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