ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 2日遅れですが、海未ちゃん誕生日おめでとう!ということで、今回は海未回です。

 ちなみに先に言っておきますと、エロなしのほのぼのを目指そうとした結果がこれです(笑)


猥談をするお話

 

「あのさ、お前って性知識どんだけあんの?」

「は……?」

 

 

 あまりにも突拍子もない質問に、海未は鳩が豆鉄砲を食らった表情をする。

 

 俺たちはいつも通りアイドル研究部の部室……ではなく、海未の家にいた。海未と2人きりというのはかなり珍しいが、穂乃果は店番、ことりは衣装作りで受験勉強ができない日に彼女から俺を誘ってきたのだ。まさか2人が忙しい時を狙ったのではなかろうか……?

 

 まあそんなことはいいとして、さっきまでは一緒に受験勉強をしていたのだが、今は休憩がてら2人で作詞をしている最中だ。だが作詞の知識がない俺はぼぉ~っと見てるだけなのですぐに飽きる。だから暇つぶしがてらにさっきのような質問をしてみたのだが、ここまで場が凍りつくとは……。

 

 

「わ、猥談って……は、破廉恥な話題ってことですよね!?急に何を言い出すんですか!!」

「お前顔赤いぞ。やっぱりむっつりなのか?」

「違います!!突然変な話を振られたので驚いただけです!!」

「変な話?思春期の高校生なら普通するだろ」

「花陽や亜里沙がこんな話すると思います?」

「……いや」

「すぐに折れるならそんな話題振らないでください」

「うっせ……」

 

 

 あれぇ~?俺が話の主導権を握ろうと思ったら、あっという間に逆転されちまったぞ!?流石俺の彼女!俺の扱いも一級品ってか?最近はこうしてサラッとあしらわれることが多くなってきたような気がするぞ……。

 

 

「ていうか話題変えんな!俺はお前の性知識について知りたいんだよ」

「そんなものを知ってどうしようというのですか!まさか、私の弱みを知りたいとか?相変わらず下心丸出しですね」

「お前のツッコミはいつも以上にキレっキレだな。鋭すぎて俺の心が傷ついちゃうぞ」

「そんなことで傷が付くような弱小メンタルの人が、恋人9人同時に告白して付き合う度胸があるとは思えないので心配しなくてもいいですよ」

「それって褒めてる!?今日俺に辛辣すぎない!?」

「いつものことですよ。いつものです♪」

 

 

 うわぁ~すげぇいい顔してるよ。日頃俺たちのツッコミ役に徹していたそのストレスを、今存分に吐き出そうとしてね?海未がここまで饒舌に煽ってくるなんて珍しいもん。

 

 

「話を戻すぞ。議題はお前の性事情についてだ」

「勝手に人の夜を探ろうとしないでください」

「えっ、夜?」

「あっ……」

「あるれぇ~海未ちゃ~ん。誰も夜の性事情について聞いてないんだけどぉ~。夜な夜な何をしてるのかなぁ~?」

「くっ……!!」

 

 

 海未は顔を真っ赤にしながらそっぽを向いた。

 穂乃果やことりは淫乱が似合うと思うけど、海未はどちらかといえばエロに対して恥じている姿の方が可愛いよな。だからこそ彼女に猥談を持ちかけたんだけども。

 

 

「分かってる分かってる!俺たちは思春期真っ盛りの高校生だ、1日に2、3回はしてもおかしくないから」

「どんな擁護の仕方ですか!!それにあなたじゃあるまいし、1日に複数回なんてしませんよ!!」

「え、じゃあ1日1回はすると。なるほどなるほど」

「うっ、また墓穴を……もうこの話は終わりです!!ほら、黙って早く次の曲に使えそうなフレーズを考えてください!!」

「夜の自分磨き、とか?ロマンチックじゃね?」

「張り倒しますよ」

「自分が上になるのが好きなのか。俺もその体位は好きだぞ」

「…………」

 

 

 あぁ、海未の目から光が消えていく。このままでは張り倒された勢いで昇天させられそうだ。

 でもあの海未が、あの清楚な大和撫子の彼女が1日1回ペースでやっているとは……その妄想だけで自分磨きが捗りそう。しかし春に秋葉に掛けさせられた妙なメガネの計測では、彼女は確か週一でやってたはずなんだが……なるほど、俺の知らないところで淫乱化が始まっているということか。良きかな良きかな。

 

 

 そんな謎の感心をしていると、さっきから海未が黙ったままなことに気が付いた。

 "つーん"という効果音が似合うような不貞腐れっぷりで、目を閉じたまま俺から顔を逸している。うん、可愛いなオイ。だが無視は寂しいのよ!!

 

 

「…………」

「う、海未?海未さ~ん?」

「…………」

「ちょ、ちょっと!何か言ってくれよ!!」

「…………」

「悪かった!悪かったって!!お前の性事情に興味がない訳じゃなかったけどさ……でもこうして2人きりの時にしか聞けないというか、むしろエロというのは人間共通の話題であって――――って、え゛っ!?」

「…………」

 

 

 海未様が未だかつて見たことのないツリ目で俺を睨みつけてくる。あと少しでも彼女のリミッターを外したら、俺は粗大ゴミとして破棄されてしまうだろう。

 

 しかしエロとは追求するもの。女の子の好きなプレイ、好きな体位、感じやすいスポット、その全てを知ることで初めてその子を知ったことになるのだ。彼女が9人もいれば、それだけ行為の仕方も変えなきゃいけないから苦労するんだよ。

 

 

 でもまあ、この無視されている状況をいつまでも耐えきれるはずもなく……さてはてどうしたものかな。

 

 

 そうだ、どうせならいっそのこと――――

 

 

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「………………」

「っ………………」

 

 

 海未は痺れを切らしたのか、作詞をしながらもチラチラと見ながらそわそわしている。

 俺はその仕草が見たかったんだよね!だって仕掛けた俺自信、その仕草にドキドキしっぱなしだし!思ったより破壊力でかかったな……。

 

 

「どうして黙っているのです?」

「だってお前が黙ってろって言ったからさ、それに従ったまでだ」

「なぜ急にそんな聞き分けのいい人になってるんですか。折角の2人きりなんですし、やっぱりお互いに黙ったままは勿体無いというか、あなたと喋っていた方が作詞も捗るというか……」

 

 

 海未は頬を染めながら、当たり障りのない理由をボソボソと呟く。俺と目線を合わさないようにしているのは、自分の恥ずかしさを紛らわすためだろう。

 

 それにしても、逐一仕草が可愛い奴だ。普段は誠実で落ち着いた態度だからこそ、取り乱した彼女の姿をより愛おしく感じるんだと思う。幼気があると言ったら多少語弊があるかもしれないが、やっぱり彼女も俺に恋をしている乙女の1人なんだと思うと、どっぷりと幸福感に浸れそうだよ。

 

 

「なぁ~んだ、やっぱり俺と喋りたかったんじゃねぇか。お前も寂しがりやだな」

「ズルいですよあなたは……。毎回毎回ずる賢くて意地悪で、悪魔で自分勝手で――――」

「お、おい!よくそんなポンポンと人の悪口を……」

「そして、いつもドキドキさせられてばかり……」

「え……もしかして、嫌だった?」

「違います、その逆です。好きですよ、この胸の高鳴りは。今でも結構緊張しちゃいますけどね」

「海未……」

 

 

 コイツ、さっき俺のことをズルいと言ったか。だけど俺からしてみればお前も十分ズルいんだよ。いきなりそんなこと言われたら気恥ずかしいじゃねぇか……。相手をドキドキさせてその反応を見ようと思っていたのが、逆にドキドキさせられたパターンだわこれ。

 

 

「じゃあさ、今日はたくさん話をしよう!お前のことを隅から隅までたくさん話してみろ!」

「うっ、また変なことを考えているでしょう?」

「は……?い、いやそんなことは一切考えてなかったって!確かに初めは狙ってたけど、今のは別に変な意味はないからな!!」

「本当ですか……?」

「本当だって!!それに、すぐにそんな発想をしてしまうお前もお前だ!やっぱりお前むっつりだったんじゃねぇか!!折角いい雰囲気だったのにさぁ!」

「零が意味深な言葉遣いをするのがいけないんです」

「そんな理不尽な……」

 

 

 『隅から隅まで』のどこがエロいっていうんだよ。そのセリフの前に『女の子のカラダ』って付け加えればまだ分かるけどさぁ……。もうただ単にコイツ自身が変態に染まってるだけじゃねぇのか。まあ、この俺と一年半以上も一緒にいるから、俺の言うこと1つ1つが自然と意味深に聞こえるのは無理もない。あれ、結局俺のせいじゃね?

 

 

「この際だ、自分磨きをする時にどんなネタでやってるのか言ってみたらどうだ?」

「またそんな話題を!言いませんからね!」

「そうか。言ったら言ったであとのお楽しみが増えると思うんだけどなぁ」

「お楽しみ?」

「そうそう。お前の好みのスポットを教えてくれれば、俺が優しくそこを攻めて上げるぞ。将来子作りする時に、もしかしたら役に立つかもしれないぞ」

「こ、ここ、子作りって!!」

 

 

 今日の海未は顔が沸騰しっぱなしだな。まあ俺がコイツのそんな反応が好きだから、意図的に猥談攻めを仕掛けているんだが、相変わらず俺の思惑に簡単に引っかかってくれて嬉しいぞ。純粋な女の子って取り乱した顔がより可愛く見えるんだよね。花陽然り、凛然り。

 

 

「エロいことがイヤイヤ言ってるお前だけど、いずれは俺と子作りをするはめになるんだ。だから今の内に慣れておいた方がいいんじゃねぇの?」

「そんなに子作り子作り言わないでください!!恥ずかしいです……」

「お前ってさ、そういった漫画とか動画って見たりしないの?流石に純情すぎるぞ反応は」

「だって純情ですから。もう手遅れなあなたと一緒にしないでください」

「うっそだぁ~。さっきだって俺の言葉で勝手に意味深な妄想してたくせに」

「してないです」

 

 

 顔を真っ赤にしながら否定されても全然説得力ないんだが……。

 

 しかし海未が意固地なせいで全く話が進まない。上手く話の流れを掴んで彼女の性事情を知ろ画策をしていたっていうのに、ただ話してるだけなんて、こんなんじゃただそこら辺のカップルとやってること変わらねぇじゃねぇか。女の子の上っ面だけでなく、自分の恋人の悦ぶポイント、いわゆるGスポットまで熟知しようとしている俺を見習いたまえ諸君。

 

 

 このまま話していても埒が明かない。ここは大きく一歩踏み込んで、コイツの心に揺さぶりを掛けてみるか。受験勉強?作詞?そんなものより海未のGスポットの方が知りたくないか?あの清楚な大和撫子が淫らに塗れてイクポイントを、知りたくないやつなんていないよなぁ!!

 

 

「海未」

「なんです?またさっきみたいな猥談をするのなら、今度こそ本気で黙りますからね」

「もしお前のGスポットを教えてくれたら、今度俺の使用済み体操服あげるよ」

「……そう、ですか」

 

 

 あら、俺の渾身の一撃だったのに、意外と反応薄い……?

 そうかそうか、流石に海未は穂乃果やことりとは違って俺の匂いフェチではなかったのか。揺さぶりを掛けられなかったのは残念だが、それはそれで安心したよ。海未まであの2人と同じ色に染まってしまったら、誰が俺たちを止めるんだよって話だからな。

 

 それにしても興味がないのはいいことだが、ここまで反応が希薄だとなんだか負けた気がする。海未には純情でいて欲しい気もするが、どこかもっと俺のことを貪欲に求めて欲しい、そう思ってしまう俺がいる。妙に変なジレンマが俺の中で渦巻いてるぞ。

 

 

 そこでふと海未の顔を見てみると、何故だかは知らないが僅かに汗をかいていることに気が付いた。

 この部屋が暑い?今日は暑くもなければ暖かくもない、どちらかといえば涼しいくらいだ。だけど別に暖房も掛かってないし……。

 

 でもどうして急に汗なんて……俺が体操服の話をしてからだよな。どうも気になるから、()()()から聞いたあの話でもう少し揺さぶりを掛けてみるか。

 

 

「あのさ海未。この前、鬼のような形相で部室に入ってきたことがあるって、花陽が言ってたんだけど……」

「!?!?」

「その驚きようは、マジなのか?」

「さて、なんのことやら」

「花陽言ってたぞ。お前が俺の体操服を探してたって」

「…………」

「一応確認するけど、お前は俺の体操服を奪われないように守ろうとしてくれてたんだよな?」

「……はい」

 

 

 イマイチ歯切れが悪いな。本当に鬼の形相になってまで、必死に体操服を死守しようとしてくれたのか?なぁ~んか怪しいんだよなぁ~。さっきから作詞の作業も進んでないし、そわそわして落ち着きもない。もしかしてコイツ……。

 

 

 頭の中に1つの結論が出た瞬間、俺はその場で飛び上がり、机の反対側にいた海未の目の前に着地した。突然の俺の奇行に、海未は目を丸くして驚く。

 

 そして俺は彼女の両肩に手を置いて、その琥珀色の瞳を真っ直ぐと見つめる。

 

 

「正直に言えよ。お前――――――俺の体操服、持ってるよな?」

「え゛……!!」

「俺が体操服をやるって言った時、お前は大した反応をしなかった。でも花陽の話ではお前は俺の体操服を求めていた。つまりだ、お前は最近俺の体操服を手に入れた……違うか?」

「そ、それは……」

「言え」

「きゃっ!」

 

 

 俺は海未の肩に置いていた手に力を入れ、そのまま彼女を押し倒した。

 そして彼女の上に覆い被さり、自分の顔を彼女の顔に至近距離まで近付ける。

 

 

「れ、零……」

「正直に言え。言ったら淫らな行為だけは避けてやる」

「…………」

「言わないのか、それとも言えないのか。どちらのせよ、俺にカラダを好きにされるのがお望みらしいな。お前もとんだ変態ちゃんだった訳だ」

「そ、そんなことは……」

「素直に吐いてお前の痴態を晒すか、俺のカラダを弄られて痴態を晒すか、どちらかを選べ。後者は今なら絶頂にまで導いてやるオプション付きだ」

「うぅ……」

 

 

 おっ、迷ってる迷ってる!やはりこうして女の子を俺の手のひらで自由に動かして支配している感じが堪らなく大好きだ。性に関して迷っている女の子ならなおさらな。

 

 

「さあ、どうする?」

「ひゃっ!!急に胸を触らないでください!!」

「このままだと家族にお前の嬌声が聞こえるくらいに興奮させてやるぞ」

「そ、それだけは!!」

「ならどうする?」

「ひゃっ!はぁ、あぁ……」

 

 

 俺は海未の服の下から右手を入れ、彼女の左胸をギュッと鷲掴みにする。

 そのたびに彼女から淫猥な声が部屋中に響き渡るため、もしかしたら彼女の家族にまで聞こえる可能性があるのだが、そんなもの俺には関係ない。とにかく彼女の乱れる姿が見られればあとはどうなったっていい。

 

 

「はぅ……んっ……」

「どうした?このままだと素直になる前にお前がイっちまうのが先かもな」

「~~~~っ!言います!!言いますから!!」

「早く!!」

「ひぐ……うぅ……貰ったんです、ことりから。『海未ちゃんも一度使ってみなよ、捗るから。色々とね♪』と言われ、つい魔が差したというか……気付いたら毎日使っていたのです」

「なるほど。だから俺が体操服を提示した時に、そこまで反応しなかったのか。もう既に持ってたから」

「はい……あっ!んっ、あんっ!や、約束が違います!!」

「おっ、そうだったな。触るのはやめるって約束だった」

 

 

 俺は海未の言いつけ通り、彼女の服の中から右手を抜き出した。

 海未の息遣いは非常に荒く、胸を弄っている間に彼女のカラダがどんどん熱くなっていることが分かった。目の焦点も十分に定まっていないようだけど、まさか胸を弄っただけでここまでとは……これはもっと教育が必要かな?教育というよりかは躾と言った方がいいか。ま、どちらにせよやることは変わらないが。

 

 

 そして俺は身体を起こし、海未の身体から離れる。

 彼女の愛おしそうな表情を眺めながら……。

 

 

「どうしたそんな顔をして。俺は約束に従って、触るのをやめただけだぞ」

「やっぱり、あなたはズルいです……あんなことされて、我慢できる訳ないじゃないですか」

 

 

 焦らされ続けて寸止めされたら、どんな女の子も自分の欲望に忠実にならざるを得ないんだよな。どれだけ元が純情でも、心の内から湧き上がる性欲には勝てっこない。

 

 

「だったら、どうして欲しい?」

「うぅ……」

「言わないと分からないぞ。どこをどうして欲しいのか、具体的に」

「…………し、して欲しいです。あなたの手で、私を満足させて欲しいのです!!」

「ま、及第点か」

 

 

 そして俺は再び海未の身体に覆い被さった。

 しかし今度は海未が声を上げることはなく、むしろ俺を受け入れるように身体を抱きしめてくれた。耳や頬をほんのり赤くした、彼女の優しい笑顔と共に――――

 




 もう一度言いますと、エロなしのほのぼのを目指した結果がこれです(笑)

 今回は海未回でした!
 海未には一度でいいからガッツリとしたエロを執筆してみたいと思ったのですが、既に媚薬を盛られた回で書いていたことを思い出したので、今回は思い切ってほのぼの回を目指すぞ!!と意気込んでいた結果……まあ、ね(笑)

 言っても今回は日常会話がメインだったので、その中で海未の可愛さが少しでも伝わっていたら嬉しいです!


 次回は以前の予告通りこの章のラストにしようと思っていたのですが、一周年記念を投稿したあとの方が区切りがいいので、3月いっぱいはこの章を続行します。

 改めて次回は凛回か希回になるかもです。


新たに高評価をくださった

ユウアラウンドさん、小鳥遊 未来さん

ありがとうございます!


Twitter始めてみた。
 https://twitter.com/CamelliaDahlia

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