"ラブライブ!"と"ご注文はうさぎですか?"のクロス回、今回はその後半戦となります。
前半はかなりドタバタした雰囲気で、どちらかといえば"ラブライブ!"寄りでしたが、今回はかなりほのぼのとした日常モノですので"ごちうさ"寄りな回となっています。
なんとか海未の制裁を逃れた俺は、彼女たちと共に"ラビットハウス"と呼ばれる喫茶店へ向かうことになった。闇雲に探すよりも、穂乃果が俺たちの連絡に気付いて電話をしてくるまで待った方がいいという千夜の判断だ。それにその喫茶店には彼女の友達が働いているらしく、情報共有する場でも便利だと言う。
そして俺たちは、そのラビットハウスとやらの前までやって来たのだが――――
「えらくボロ……いや、年季の入った建物だな」
「祖父の代からずっと営んでいる喫茶店だもの。それに私は風情があって好きよ、この店の雰囲気」
確かに年代モノのシャレオツな喫茶店なのだが、周りが綺麗な西洋風の建物ばかりなので、この店だけ若干浮いて見える。でも派手な装飾を付けて常連さん以外お断りの店よりも遥かに入りやすか。
「いつまでも外で喋り込んでいるのもアレだし、そろそろ入りましょうか」
千夜の号令で、俺たちはラビットハウスへと入店する。
ドアに付いていた大きな鈴の音が店内に響き渡ると、入口とカウンター付近から2人の女の子の声が聞こえてきた。
「いらっしゃいませ!」
「いらっしゃいませ」
入口の近くに立っていたのは、濃い紫色の髪をツインテールにしている女の子だ。歳は俺たちと同じくらいだろうか。でも声は女の子にしてかなりのイケメンボイスで、演劇でもやってそうないい声をしている。そして何より目立つのは、千夜よりも大きなあの胸だろう。制服に包まれはしているが、あの大きさは絵里や希並じゃないか?
そしてカウンター席でコーヒー豆を挽いているのは、薄水色のストレートロングヘアの少女だ。年齢は……中学生っぽい?矢澤のチビ姉妹たちより少し大きいくらいだ。"いらっしゃいませ"の声に覇気がなかったり、表情が一切変化していないのは気になるが、一番特徴的なのは頭に乗っている……あの毛玉みたいなのはなんだ?アンゴラウサギ??
「あれ、千夜じゃないか。一緒に来店してきたその人たちは、千夜の友達?」
「ええ。そうは言っても、さっき知り合ったばかりだけど」
「まあお友達だろうが何だろうが、ここへ来た人はみんなお客様だ。お待たせしてすみません、こちらのお席にどうぞ!」
俺たちは紫ツインテールの女の子の導きにより、テーブル席へと案内された。
この子、やけに接客慣れしてるな。見ているだけで気持ちが良くなるというか、この店の雰囲気が明るく感じる。まあ俺の目はその大きな胸に行っちゃうんだけども……男だからしょうがない。
「ご注文はどうなさいますか?」
「そうだなぁ。それじゃあコーヒーで」
「では私は紅茶を」
「ことりはホットココアにしようかな」
「かしこまりました。チノ!コーヒー、紅茶、ホットココア、それぞれ1つずつ頼む」
「はい」
なんていうか、普通に喫茶店に来てお茶をしに来たみたいになってるな。もう穂乃果が行方不明になっていることなんて忘れてしまいそうだ。まあアイツもそこまで馬鹿じゃないから、そこら辺の人に道を聞いてこっちに戻ってくることくらいはできるだろ。そもそもアイツ自身が、自分が迷子になってるってことに気付かないといけないけど。
「紹介するわね。注文を取ってくれたのが
「アイドル!?す、すごい……」
「そ、そんな大層な者ではないですよ!!ですよねことり!?」
「ん~?それでも一応大きな大会では優勝したけどね♪」
「大会で優勝!?この店にサインを飾る時が来たのかもしれないな……」
「いいけど、俺たちのサインは高いぞ?」
「あなたはスクールアイドルでも何でもないでしょう……」
一時期スクールアイドルをやっていた頃は、それはそれは女の子にモテモテだったんだけどなぁ。まあ、今でもμ'sのみんなからの恋愛光線は常に浴びまくってるけどね。
「取り乱して申し訳ない。改めて、天々座理世だ。年齢も近いみたいだし、気軽に名前で呼んでくれ」
「南ことりです♪よろしくね、リゼちゃん!」
「園田海未です。よろしくお願いします」
「神崎零だ。勝手にこの喫茶店を会議の場所に使わせてもらって悪いな」
「よろしく!会議というのはよく分からないけど……」
「そうそう!ことりたちのお友達にもう1人穂乃果ちゃんっていう女の子がいたんだけど、途中で迷子になっちゃって……」
「高校生で迷子って……携帯とかで連絡は取れないのか?」
「取れてたらこんなに苦労してねぇよ」
俺たちがラビットハウスへ向かっている途中にでも連絡が来ると思ってたのに、今この瞬間になっても携帯に音沙汰はない。まだウサギを追いかけているのか、それともアイツの性格のことだ、街の人と意気投合して話しにうつつを抜かしているかのどちらかだろう。
「リゼさん、お仕事してください」
「あっ、悪い!わざわざ持って来させてしまって」
「いいですよもう……。お待たせしました、コーヒーと紅茶、ホットココアになります」
「ありがとうございます」
「ありがと~♪」
今更気付いたんだけど、中学生なのに喫茶店で働いているんだな。中学生ながらに苦学生だったりするのか?そもそも中学生ってバイトできんの?
しかし中学生と言っても、ただ可愛いだけじゃなくて大人びた可愛さまで秘めている。率直に言ってしまえば、うん、物凄く抱きつきたい。背丈的に俺の身体にすっぽりと収まるだろうから、抱き枕として俺の家に来て欲しいものだ。
「ほら、チノも自己紹介」
「今仕事中なんですけど……」
「別にいいだろ。ほら、零たち以外にお客さんいないし」
「しょうがないですね……」
確かに真昼間なのに、喫茶店の中には俺たち以外人っ子一人いない。もしかして、そこまで流行ってないのか?この街のガイドマップを見る限り、かなり喫茶店が多かったから客を取り合っているのかもしれない。
そしてチノと呼ばれた女の子が一歩前へ出る。
何故だろうか、近くで見れば見るほど抱きしめたくなる。でもどうせまたロリコンとか言われるんだろ?知ってるから!!
「香風智乃です。よろしくお願いします。ちなみに皆さんの名前は、さっきリゼさんに紹介している時に聞いていました」
「チノはここのマスターの娘さんなんだ。料理も上手いし、バリスタとしても一流なんだよ」
「は、恥ずかしいですリゼさん!!」
「チノちゃんすご~い!ことりの妹にならない?歓迎するよ~♪」
「こ、ことりさん!?抱きつかないでください!!」
ことりはチノを自分の席に引きずり込んで強く抱きしめる。そしてチノの頬っぺに自分の頬っぺを擦り付けて……くそぅ、俺もやりてぇよ!!矢澤の生意気姉妹を抱きしめようとすると、十中八九ロリコン呼ばわりされるからな。いや、別に小さい女の子に愛があるとかじゃなくて、単純に可愛いからだよ!!そう人形を抱きしめるみたいな感じだから!!
「チノちゃんも頭の上の毛玉ちゃんも、モフモフして気持ちいい~!!」
「おいおい、いつの間にかティッピーまで巻き込まれてるぞ」
「ティッピー?」
「あぁ、このアンゴラウサギの名前だよ。この喫茶店のマスコットなんだ」
「私、初めて見ました。一目見た時は、ただの太っているウサギかと……」
「誰が太っているじゃ!!ワシのボディはスマートでパーフェクトじゃわい!!」
「「「「「………………?」」」」」
な、なんなんださっきの野太いおじいちゃん声は!?ここにいる男って俺しかいないんだけど……まさかこの中の誰かが女の子と見せかけて男の子だったり!?
まあそんな冗談はさて置き、女の子たちがあんな声を出せる訳がない。だからと言って唯一の男である俺は喋っていない。だとすればだ、残っているのはこのアンゴラウサギだけとなるが……本当にそうか?俺は今世紀最大のおバカなことを考えているのではなかろうか。動物が喋るなんて……一応確かめるか。
「なあチノ、さっき喋ったのって……コイツか?」
「腹話術です」
「いや、どう足掻いてもお前じゃさっきの声は――――」
「腹話術です」
「でもさっきコイツから声が聞こえたような――――」
「腹話術です」
「はい……」
ここまで追い詰めても返答内容一辺倒を貫き通すとは、やるなこの中学生。この俺を自ら折らせるとは……。
でもこのウサギ野郎が喋っていると思うんだけどなぁ~。何故かは知らないけど、彼女はさっきからコーヒーを運んできたトレイを自分の口を隠すように当ててるし……本当に腹話術だったのか?謎は深まる。
「でもことりってココアみたいだな。チノやティッピーへの抱きつき方がまるで一緒だ」
「ココア……さん?お友達ですか?」
「そうだ。この喫茶店で一緒にバイトもやってる。やってるんだけど、アイツ買い出しに時間掛かり過ぎだろ……」
「その子、いつもそうなのか?」
「可愛いウサギを見掛けたら、道を外れてまで追いかける。興味の惹かれる物が店に並んでいたら始まる、唐突なウインドウショッピング。甘い匂いがしたら、一目散に匂いのする方へ駆け出して買い食い――――まだあるぞ」
「なんだろう、もうアイツしか頭に浮かばねぇ……」
「でも今日は時間が掛かり過ぎです!全く、ココアさんは本当にココアさんなんですから」
「なんだよその超理論は……」
そのココアって子、ますます穂乃果に似てるかもな。興味を持ったものにはとことん惹かれ、外出の際には道草を食い、そして遅刻癖ときた。どこの街にも似たようなお騒がせちゃんがいたものだ。
「なんにせよ、私たちは穂乃果自身から連絡があるまで待つしかないようですね。下手に探し回ってすれ違いでもしたら、余計に時間を取られますし」
「そのココアって子と意気投合して話し込んでいる可能性があるな。俺の見解ではその2人、相性抜群だから」
「もしそうだとしたら、ココアにはあとでたっぷり説教をしてやる……」
「本来はここで作戦会議をしようと思ってたけど、どうやらやる必要はなさそうだな」
「作戦会議!?!?」
「おおぅ……どうしたリゼ?」
さっきまで冷静に俺たちと情報交換をしていたリゼが、突然机に手を付いて顔を俺の間近にまで近づけてきた。そんなに接近されると、女の子特有の甘い匂いで俺の欲求が唆られるからやめろって!俺ってほら、女の子限定の匂いフェチだからさ。
「リゼちゃん、ワイルドなことが好きだものね♪」
「作戦会議がワイルドなのかよ……ん?リゼ、お前何か落としたぞ――――って!?」
「あっ、悪い」
「「!?!?」」
リゼのポケットから何やら黒い物体が落下し、床との衝突と同時に謎の金属音が鳴り響いた。その造形は、さながら銃器そのもので――――
「なっ、お、お前……」
「リゼさん……」
「リゼちゃん、まさか強盗さん!?この喫茶店のスパイだったり!?」
「えぇ!?り、リゼさん、本当ですか……?」
「あらあら、面白いことになってきたわね♪」
「違う何言ってるんだよことり!!ただのモデルガンだ、よく見ろ!!それにチノまでどうして間に受けてるんだ!?お前は知ってるだろ!?」
「いや、いつかモデルガンと間違えて本物を持ってきそうで……」
「そんなに私を犯罪者に仕立てあげたいのか……」
リゼってミリオタだったんだな。どうりで男勝りな口調な訳だ。
それにしても、さっきから出会う人出会う人みんなが個性的なんだが……。まだ姿を見ぬココアって子も穂乃果の写身のような性格らしいし、街の穏やかでほのぼのとした雰囲気とは真逆のようだ。
ここで、誰かの携帯が鳴る。どうやらポケットをゴソゴソとしている千夜の携帯みたいだ。
「あっ、シャロちゃんから電話だわ。恐らく穂乃果ちゃんを見つけたのね――――もしもし、シャロちゃん?」
『見つけたわよ、アンタから頼まれてた穂乃果って子。今からラビットハウスに向かうわね』
「ありがとうシャロちゃん♪」
『それに、余計な子も1人釣れたしね』
「え……?」
電話越しから『シャロちゃん変わって変わって~!』と声が聞こえてきた。なんか亜里沙の声に似ているような気もするが、まさかな……。
『お電話変わりました~!!』
「ココア!?」
「ココアさん!?全然帰ってこないと思っていたら……」
『そうなのよ。私が駆けつけた時には、既に穂乃果と2人で仲良く談笑してたわ。それも自分たちが迷子であり、寄り道をしているとも気付かずにね』
「お疲れ様、シャロちゃん……」
やっぱりな、完全に俺の予想通りだったんじゃねぇか。俺たちが心配していた時間と労力を返して欲しいよ……。
「全くアイツは……おい穂乃果、どうせそこで聞いてんだろ。早く帰って来い!」
『怒らない……?』
「子供かお前は!!多分怒らないから安心しろ」
『多分ってなに!?絶対に土下座会見させる気じゃん!!』
「そこまで読めてるんだったら、覚悟はしておけ」
『まあまあ。零くん、だよね?既に千夜ちゃんたちか聞いてるかもしれないけど、この私がココアです!よろしくね♪』
「あ、あぁ、よろしく」
いやいや自己紹介する前に、まずラビットハウスに帰って来ようぜ?という質問は野暮なのだろうか……?でも声とテンションだけで分かる、やはりこの子は穂乃果と同類だったのだと。
『あまり穂乃果ちゃんを怒らないであげて!お話をしようって言ったのは私なんだから』
『ココアちゃん、私のためにそんな……』
『お友達だもん!もちろんだよ!』
『やっぱりココアちゃんは天使、いや神様だよ~!!』
「電話越しでなにやってんだ!!ネタはいいから早く帰って来い!!」
『『は、は~い……』』
なるほど、2人してこの調子だったら、俺たちの連絡にも気付かずに話し込んでしまう訳だ。これは奇跡的にでも2人を見つけ出してくれたシャロって子に、ちゃんと後からお礼を言っておこう。
『それじゃあ穂乃果ちゃんは、私が責任を持って送り届けてあげるからね!』
「それはいいですけど、買い出しの荷物が重いからって、人様に持たせるのだけはやめてくださいね」
『あっ……』
「どうしたココア?ま、まさかとは思うけどお前……」
『あ、あははは……買い出しの途中だってこと、すっかり忘れちゃってたぁ~……』
「ココアさん!!」
『ごめ~んチノちゃん!!今すぐ行ってくるから、シャロちゃんと穂乃果ちゃんは先に戻ってて!!μ'sの皆さんもまたあとで!!』
どいつもこいつも忙しねぇな……。トラブルメーカーが2人になった途端、こんなにツッコミが疲れるものだと思ってもいなかったぞ。まあ今のμ'sは、半数近くがトラブルメーカーな気もするけど。顧問の
「苦労してんだな、お前らも」
「分かってくれるか?ココアがいると賑やかにはなるんだけど」
「それ以上に騒がしいです」
「あの娘はもっと落ち着きを持たんといかんな」
「またそのウサギ喋った?」
「腹話術です」
~※~
「いやぁ~一時はどうなるかと思ったよ!しかもあのワイルドなウサギさん、シャロちゃんの家に住んでいるって知って、更にみんなとの運命を感じちゃった♪」
「穂乃果……お前、反省してる?」
「してるよぉ~。これからは一言掛けてからウサギさんを追いかけるから」
「そういう意味じゃねぇよ!!」
俺たちはラビットハウスで無事に穂乃果と合流、そのあと買い出しに行っていたココアも戻ってきた。
しかし穂乃果もココアも、さっきまでの行いを反省しているのかしていないのか、海未やチノにみっちり怒られたあともハイテンションは相変わらずだ。
「ねぇねぇチノちゃん!その頭の上のウサギさん、モフモフさせてくれない?」
「コーヒー1杯で1回です」
「じゃあ3杯!!」
「初めてここへ来た私と同じやり取りしてる!懐かしいなぁ~♪」
「お前らが同じ性格で同じ思考回路なのがよく分かったよ……」
「でも穂乃果ちゃん、コーヒー飲めないんじゃなかったっけ?」
「あっ……」
飲み物がいつもジュースである穂乃果のおこちゃま舌には、コーヒーの苦味が良くも悪くも染みるだろう。まあ斯く言う俺も無糖のままだと一切飲めない人種だから、そこまで馬鹿にはできねぇけど。
「それにしてもラビットハウスの制服って可愛いよね!穂乃果、働くならここで働こっかなぁ~」
「現役のスクールアイドルさんが働いてくれれば、それだけでラビットハウスは大繁盛だよ!二号店への進出も夢じゃない!!」
「それはいいんだけど、ココアと穂乃果の2人を相手にするのは大変そうだな」
「そうですね。私とリゼさんの精神が持つかどうか……」
「「そこまで!?」」
なになに?いつも穂乃果やことり、楓といった暴走機関車の対応を、まとめて一手に引き受けている俺の勇士の話でもすればいいの?そして絶えることのない淫語攻めに、沸き立つ興奮を抑えながら毎日を過ごす俺の話もする?俺がここ1年半で鍛えられた精神力を舐めてもらっちゃ困る!
「それじゃあ私は海未ちゃんを貰おうかしら?」
「えっ、どうして私なんですか!?」
「だって話に聞けば、海未ちゃん普段から日舞や武道を嗜む、根っからの和風女子でしょ?しかも海未ちゃんから漂う並々ならぬ淑女の雰囲気は、まさに甘兎庵にピッタリだもの♪」
「そこまで褒められると嬉しいですね。着物を着て接客するのは、恥ずかしいですが楽しそうでもあります」
「でも甘兎庵で働くには、まずメニューを覚えるところから始めなきゃいけないわよ。それも千夜の中二病が尽く発揮された謎のメニューを……」
「シャロちゃん!!中二病はヒドイわ!!」
「あのメニューを100人見たら100人全員同じこと言うわよ、絶対に……」
中二病……以前穂乃果と凛に巻き込まれて、自ら中二病を演じてしまった黒歴史が蘇ってきやがった。あの時の真姫の冷たい目線は今でも忘れられない。
しかし高校生にして現役中二病とは、千夜もやるな。一体どんなメニューなのか、実際に見てみたくはある。
「確か携帯のメモ帳にメニューがメモしてあるはずだったけど――――あっ、あったわ!」
「どれどれ。えぇと、煌めく三宝珠、雪原の赤宝石、海に映る月と星々、フローズン・エバーグリーン――――って、分かるかぁあああああああああああああああ!!」
「………………」
「海未が煙を上げてショートしている……お~い、大丈夫か~?」
「穂乃果、このクリームあんみつ白玉ぜんざいがいいなぁ~」
「お前分かるのかよ!?」
流石、一時期中二病にハマっていただけのことはある。同じ電波少女同士惹かれあうものがあるのだろう。俺はもう絶対に黒歴史量産機にはなりたくない!
「それじゃあ、ことりはシャロちゃんのお店に行こうかな?さっき千夜ちゃんにシャロちゃんのお店の制服を見せてもらったんだけど、その服に一目惚れしちゃったぁ~♪」
「えぇっ!?あの制服そんなにいいの?ロップイヤーとか付いてるけど……」
「それが可愛いんだよ!!普通のメイド服とは違う、ミニスカとウサ耳なんて、あぁ~羨ましいなぁ~♪」
「そこまでウチの店の制服が褒められたのは初めてね……」
「それに……ちょっとエッチな制服だしね♪」
「ん……?んっ!?」
「えへへ……」
どうしてこっちを見るんだあの脳内ラブホちゃんは……。この街に来てからはかなり大人しかったのに、急に淫乱バードになるからシャロが言葉を失ってるだろ。普段からことりの淫語録を聞きなれている俺たちならともかく、シャロたちがそれを聞いたら羞恥に悶えて卒倒しそうだな。それで平静を保っていられる俺たちも相当訓練されているが……。
「ことりはメイド喫茶でアルバイトしてるの?」
「うんっ!だからあんなエッ……可愛い制服を着ているシャロちゃんに、メイドのいろはを教えて欲しいな♪」
「さっき"エッチ"って言い掛けたでしょ!?それにメイドじゃなくて、普通の従業員だから!!」
「えぇ~あんなに太もも出してるのに?」
「人を露出狂みたいに言わないで!ああいうデザインなんだから仕方ないでしょ!!」
「ことりちゃんとシャロちゃん息ピッタリ……なんだか私、嫉妬しちゃうわ」
「もうっ!更に面倒になること言わないでよ!!」
マズイぞ、このままだとシャロがツッコミ死してしまいそうだ。しかもことりの奴が段々本性を現してきているし。ことりが暴走したら、俺が例え会話の蚊帳の外にいたとしても、無理矢理巻き込んできやがるから困ったもんだ。しかも初対面の人たちの前で……。
だがしかし、ことりの言わんとしていることは分からなくもない。さっき俺も千夜にシャロの制服写真を見せてもらったのだが、ミニスカートからスラリと伸びる脚にしか目が行かなかったし。胸に関してはかなり控えめだし背もそこまで高くないが、引き締まった足腰でいいくびれを持っていることには間違いない。
なぁ~んて初対面のこにそんな劣情を抱く辺り、俺もいつも通り過ぎて穂乃果のこと言えないな。
「へぇ~ことりちゃんって大人しい人だと思ってたけど、案外賑やかな子だったんだねぇ~。チノちゃんみたい♪」
「私、そんなに騒いでますか!?」
「まあココアに対抗してムキになることはよくあるよな」
「私からしてみればそれが意外です。かなり落ち着いている子だと思っていたんですけど……」
「いくら大人びていると言っても中学生だしな。ココアみたいに騒がしい奴と一緒にいれば自然とそうなるだろ」
「むむ、なんか馬鹿にされているような気がします……」
「右に同じだよ、チノちゃん……」
「客観的に見ても……うん、事実だ」
「リゼちゃん!!」「リゼさん!?」
なんとなく、ラビットハウスの慌ただしい光景が目に浮かぶよ。俺たちのようなお騒がせ集団っていうのはどこにでもいるんだな。しかもこの喫茶店も街もすごく落ち着いた雰囲気だから、騒がしいと余計に目立ちそう。
「そうだ!穂乃果ちゃんたちスクールアイドルなんでしょ?だったら一曲踊って見せてくれない?」
「どうしたんですか急に!?」
「ウチの裏庭を使うといいですよ。結構広いので」
「おぉ!意外とチノちゃんも本気だ!!」
「最近スクールアイドルは有名なので、興味はあります」
「穂乃果はさんせーい!!」
「みんなにはお世話になったし、やろ、海未ちゃん!」
「う~ん……そうですね、やりましょうか。折角お友達になれて、皆さんのことを色々と教えてもらいましたから、今度は私たちの番ですね」
「よーし!それじゃあ早速裏庭へレッツゴー!!」
そんな訳で、唐突に穂乃果たちのミニライブの開催が決定した。
旅行初っ端から穂乃果が迷子になった時はどうなることかと思ったが、そのおかげで新しい友達もできたし、これはこれでよかったのかな。しかもその友達の前でライブを披露することになったし、この旅行中はココアたちともいい思い出が作れそうだ。この話をμ'sの他の奴らにしたら、絶対に羨ましがるだろうなぁ。
ここで穂乃果やココアたちが裏庭へ向かい、必然的に残された俺と毛玉ことアンゴラウサギ。
そうだ、俺には思い出以前に1つだけ解決しておかなければならないことが――――
「ココアたちまだ仕事中だってのに……アンタも大変だな」
「まあ、賑やかなのは嫌いではないがの」
「オイ、確実に喋ったよな今」
「…………」
すると、部屋の遠方から。
「腹話術です!!」
「そんな遠くから言っても説得力ねぇからな!!」
結論、この街の住民は人もウサギもイロモノ揃いだった。
ラブライブとごちうさのクロスワールド、いかがだったでしょうか?
今回のクロス回では、基本的にラブライブ側のキャラとごちうさ側のキャラの絡みをなるべく多くしようと心掛けていました。折角のクロスオーバーなので、それぞれのグループ同士だけで物語が進んでいくと勿体無いですしね。それゆえに、零君の出番が終始控えめとなってしまいました。この作品の主人公なのに……。ですがそうは言っても地の文はすべて彼なので、あまりその印象はなかったかもしれません(笑)
本日4月2日は『新日常』の連載が開始した日、つまり一歳の誕生日記念ですね!
前作の『日常』や『非日常』と比べると、読んでくださっている方の数が圧倒的に増え、お気に入り数や感想数、評価もハーメルンのラブライブ小説の中でトップクラスになるなど、今でも驚きが隠せません。それだけラブライブのハーレム小説を読みたいと思ってくださる方が多いということなので、ハーレム好きの私としてもとても嬉しいです!しかしハーメルンのラブライブ小説を代表する作品となったことに関しては、未だに若干ビビっていますけど(笑)
完結の目標はサンシャインのアニメが始まるまでには……と思っていたのですが、このペースを考えるにそれは無理です!!できるだけ長続きして欲しい皆さんにとっては朗報なんですかね??
最近は以前よりも投稿ペースが落ちてしまいましたが、また変わらぬ応援をしていただけると幸いです。そして、先日行われたラストライブの飢えをこの小説で凌いでもらえればと(笑)
次回はまたしても一周年記念の特別編で、ガチハーレム回の予定です。これが私のハーレムの真髄だ!
新しく高評価を下さった
雄斧クミンさん、ペンギン#913さん、Taiga1109さん
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