ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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 今回は凛ちゃん中心のまきりんぱな回です!
 そして今回こそ本当のほのぼの回に……なっているはず。猫になった凛ちゃん(?)凛になった猫ちゃん(?)をお楽しみください!


猫になった凛、凛になった猫

 12月に入り、日が昇っている昼間でも寒さがかなり極まってきた。暑いのも寒いのも大嫌いな俺にとっては真夏や真冬は迷惑極まりない。この俺がいくら天才超人であったとしても、唯一自然サマには逆らえねぇ。人間というのはつくづくちっぽけな生き物だと、柄でもないことを考えるほどには自然サマの寒さにしてやられている。自然サマも俺のハーレムの取り込んで、地球の気温を俺の意のままにしてやろうか……。

 

 

「って、な~にくだらねぇこと考えてんだ俺……」

 

 

 これは頭の方も相当参ってるな。暑すぎたり寒すぎたりするのは、本能的に俺の身体が外に出るのを躊躇ってしまう。そうは言っても今は掃除へ行く途中、しかもその場所が屋上だから更に憂鬱になる。学院の一番高いところだから当然学院のどこよりも寒いだろうし、主な仕事内容が冷たい水をそこら辺に撒き散らしてブラシで擦るという、かき氷を食べてる最中にシャーベットを飲まされるような極寒の地獄である。

 

 

 こんな時こそ穂乃果やことりに抱きつかれて、彼女たちを湯たんぽ代わりにしたいもんだ。その2人以外にも俺の周りにはたくさんの女の子がいるというのに、どうして俺がこんなに寒い思いをしなくてはならない?冬の間はμ'sの中から1人、常に俺に抱きついておかなければいけない指令でも出してやろうか。1日ごとに交代する感じでさ。あれ、これ結構名案じゃね?

 

 

「もう学院内だからとか、海未に制裁されるからとかいちいち気にしてられるか!!むしろ海未の方が俺の身体から離れられなくしてやる!!」

 

 

 とにかくこの寒さをなんとかしないと、俺の生命活動が凍結して止まってしまう。そしてやはり俺の身も心も暖めてくれるのは、女の子の温もりを直に感じるしかない。

 

 こうなったら初めのターゲットはことりか花陽が適切だろう。2人共おっぱいも大きいし、なにより肉付きがエロい。そのエロさがあれば身体的な温もりはもちろん、心に湧き上がる興奮的な温もりも同時に感じられるな。ここまで画期的な湯たんぽがこれまであっただろうか?いや、ない。

 

 

「となれば早速……」

 

 

 ことりか花陽を探しに行こうと、元来た道を引き返すためその場で180度回転する、その時だった。

 

 

「にゃぁああああああああああああああああああああああああああああ!!」

「うぐぁっ!!」

 

 

 突然後ろから何者かが俺の首に腕を巻きつけ、さながらチョークスリーパーを掛けている体勢となった。

 姿は見えずとも女の子を熟知している俺なら分かる!この小柄な体型、エネルギッシュなテンション、元気の良い声、そして何より、その特徴的な叫び方は――――――

 

 

「凛!?」

「にゃんにゃんにゃ~ん♪」

「いやいや"にゃんにゃん"じゃなくてさ!そんなに首を絞められると……うぐぐっ、苦しいって!!」

「にゃにゃ~ん♪」

「俺に会えて嬉しいのは分かるけど、そろそろ普通に喋ってもらえませんかねぇ!?」

「にゃぁ~♪」

「お、おい……凛?」

 

 

 おかしい。凛がハイテンションになって猫語になることはよくあるのだが、それはあくまでもノリに任せて言っている訳で、ここまで聞き分けの悪い子ではない。何とかチョークスリーパーが緩まって平静を保つことはできたので、俺は彼女を一旦引き剥がしお互いに正面を向き合う。

 

 

「いいか凛、真面目に答えてくれ」

「にゃ……?」

「お前、本当に猫になってたり――――」

「にゃーーーっ!!」

「オイッ!!だから首絞めるように抱きつくなって!!」

 

 

 抱きつかれたいと言ったり抱きつくなと言ったり、俺も相当なツンデレだな……男のツンデレなんて興味ねぇか。

 

 そんなことよりも凛だ。彼女がおふざけで猫真似やっているようには思えない。彼女は嘘をついても顔や行動に現れすぐに露呈するから、ここまで動揺もなしに演技をするとは考えづらいのだ。

 

 でもだとしたらどうしてこんなことに……?普段から猫語ばかり使ってるから、とうとう精神まで猫に侵食されてしまったのか。その役に成りきっていると、日常生活でもその仕草や行動が伝染ってしまうと言うしな。

 

 

「にゃ~ゴロゴロ」

 

 

 凛は背伸びをして、俺の頬に自分の頬っぺを擦り付けてくる。

 何この子、全身を撫で回したくなるくらい可愛いんですけど!?いつもの凛もかなり甘えてくる方なのだが、こうして人目が付くところで堂々と俺に密着してくるのは中々に珍しい。普段の彼女は恥ずかしがり屋な部分も多いので、穂乃果やことりみたいにオープンに俺へ抱きついてくることはあまりしないのだ。

 

 だけど今は違う!!凛が元々持っている妹のような可愛さと、子猫の抱きしめたくなる愛くるしさが同時に感じられる。つまりは最高、最強、マキシマム!!よしっ、このまま俺のペットにしてあげよう。まさに猫人間かのごとく猫耳も付いてるし――――

 

 

 

 

 ………………えっ!?

 

 

 

 

 ね、猫耳ィイイイイイイイイイイイイイイイイ!?

 

 

 

 

「その猫耳いつ生えてきた!?さっきまでなかっただろ!?」

「にゃん?」

「がはっ!!俺が妹とメイド以外で血を吐きそうになるとは……」

 

 

 猫耳を付けたまま、不思議そうな表情で首を横にへ傾げる仕草をやめようか。その仕草だけで、自分の彼氏が心と一緒に心臓まで打ち抜かれて死にそうになってんだぞ。

 

 このまま凛と2人きりでいたら、あと数分後には口から血を流した男の遺体がこの穏やかな学院の真ん中に転がるハメになるだろう。まさか猫に殺されたなんて誰も思わないだろうから、そんなことになったら永遠の迷宮入りだ。

 

 

 とにかく、凛は俺の言葉が分からないみたいだし、ここは早急に原因を究明して変死体になるのだけは防がないと。萌え死という、男にとって本望かつ情けない死に方はない。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「ということで、お前らの助言を聞きに来た」

「にゃ~ん♪」

「「…………」」

 

 

 とりあえず生徒会役員である花陽と真姫がいる生徒会室へと訪れ、事のあらましを探ることにした。

 2人は俺の膝の上に座って身体を密着させてくる凛を見て、目を丸くして驚いている。それもそのはず、凛が恥ずかしがらずここまで積極的になること自体も珍しいのに、ましてやモノホンの猫耳まで付いているんだからな……。

 

 

「本当に凛ちゃん?凛ちゃんなんだよね!?」

「落ち着け。このスレンダーな身体にフレッシュな匂い、そして妹のような愛くるしさ。コイツが凛じゃなかったら誰が凛だって言うんだ」

「あなたは私たちのどこを見て判断しているのよ……」

「そりゃあ女の子なんだから、身体のくびれとか胸に決まってるだろ?」

「女の子の前でもそんなことがいえる、その図太い精神を見習いたいわ」

「恥ずかしがることはない。俺はμ'sのおっぱいなら誰のでも好きだぞ」

「別に見せることが恥ずかしいとは言ってないでしょ!!」

 

 

 まだ俺に裸を見せることに羞恥を感じているのか。でもこんな俺のことをμ'sは決して見限らないから、このグループは尽くツンデレの集まりだと思う。

 

 

「今はそんなことより凛ちゃんだよ!凛ちゃんを元に戻す方法を考えてあげようよぉ~」

「俺は確かにその方法を求めてお前らを呼んだ。だけどな」

「だけど……?」

「最悪元に戻らなくても、俺がご主人様として凛を飼ってやれば済む話じゃね?ご主人様か……いい響きだ」

「じゃあ何しにここへ来たのよ……」

「にゃ~ん♪」

「よしよし、俺が一生世話をしてやるからな。そう、一生……」

 

 

 凛の顎に手を当ててくすぐってやると、彼女の口から気持ちよさそうな嬌声が漏れ出す。この声だけを聞くとなんかエロいな……。それに俺のことを完全にご主人様と思っているみたいだし、こんなに俺に従順な子猫ちゃんを手放すのは勿体無い。やっぱもうこのままでもいいんじゃねぇか?

 

 

 それにしても、凛の猫気質がさっきよりも格段に極まってきたような気がする。さっきまで垂れていた猫耳がピンと立ってきてるし、スカートの中からは毛むくじゃらで細長いしっぽが――――

 

 

 

 

「し、しっぽォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?」

 

 

 

 

 またしてもいつの間にか、凛の身体から猫の象徴の1つがぴこぴこと揺れていた。まるで生まれてきた時から生えていて慣れ親しんでいるかの如く、彼女はしっぽを自在に動かしている。

 

 

「凛ちゃんがどんどん猫になっていっちゃうよ!?一体どうしたらいいの!?誰か助けてぇ~!!」

「ちょっと待ってろ。俺がその原因を今確かめてやるからさ」

「さっきまで凛のご主人様になってやるとか言ってたのはどこの誰だっけ……?」

「過去を振り返るな、常に未来を見据えろ。という訳だ、ちょっくら身体を調べさせてもらうぞ」

 

 

 俺は身体にずっと抱きついてきていた凛を一旦引き剥がす。そしてその軽い身体を持ち上げると同時にこちらを向いていた彼女を180度回転させ、俺に背中を向けた状態で目の前に立たせた。

 

 

「いいか凛?そのまま動くなよ」

「にゃん?」

 

 

 凛は首だけ振り返って軽く首を傾げる。なんだろうか、俺はその仕草に弱いのか?さっきからこのちょっととぼけた表情と仕草に俺の鋼のメンタルがしてやられている。

 

 だが愛くるくキュート(死語)な誘惑に惑わされている場合じゃない。凛が猫になった原因を究明するためには、どう考えても()()()()()()()()()が必要なのだ。

 

 

 俺は再び凛に前を向かせるとその場でしゃがみ込み、左手で彼女の太もも、右手はパンツに手を掛けた。柔らかい……猫になっているというのに、この肉厚な感触はまさに女の子の太ももそのものだ!!

 

 俺が凛の太ももを撫で回すたびに、凛の身体がビクッと大きく垂直に揺れる。まさか太ももだけで感じているのか?相変わらず相当ウブだな。まあそんなところが凛らしいチャームポイントでもあるんだけどさ。

 

 

「にゃっ!?ぎにゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!」

「お、おい凛!逃げるなって!!」

 

 

 凛は顔を真っ赤にしたまま走り出し、花陽の胸へと飛び込んだ。怯えているのか、花陽の胸に顔を擦り寄せて弱々しく泣いている。

 

 くっそぉ俺だって花陽のおっぱいに顔をうずめてぇよ……そうか、俺も猫になれば――――

 

 

「零、あなた……」

「とりあえず落ち着け。俺はただ、凛のしっぽがどのように生えているのかが知りたかったんだ。もしかしたらこのしっぽが玩具かもしれない。その可能性さえ確実に潰せれば、この事態の解決へ一歩前進するだろ?」

「最もらしいことばかり言ってるけど、要するにセクハラしたかったって訳ね」

「それは流石に要約しすぎだろ……。俺の発言を何でもかんでもセクハラに帰結させておけばOKみたいな風潮やめろ」

 

 

 まぁ、『凛のパンツが見たい:真面目に問題解決したい』の割合は8:2くらいだったけどね。だって気になるじゃん!スカートの中からしっぽが伸びてんだぞ!?そのしっぽが動くたびにスカートがめくれて、パンツがチラチラと顔を見せようとしているんだぞ!?そんなもの、スカートの中身を見たくなるのが男の常だろ!!

 

 

「みゃ~お……」

「よしよし凛ちゃん。怖かったね~」

「にゃふぅ~♪」

「あはは!くすぐったいよぉ~♪」

 

 

 凛は花陽に頬に自分の頬を擦り合わせ、花陽は凛の頭を優しく撫でていた。

 信頼を築き上げるのは大変だ。だけどそれが崩れ去ってしまうことはいとも簡単である。今がまさにその構図。たった一瞬でご主人様が入れ替わった瞬間。猫のご機嫌を取るのは難しいな……。

 

 

 しょうがねぇ。そろそろ真面目に凛を元に戻す方法でも考えるか

 

 

「花陽、真姫、教室での凛の様子はどうだった?」

「ようやくまともに考える気になったのね。教室ではいつも通り、元気が漏れ出すくらいいっぱいの凛だったわ」

「うん、いつもと特に変わった様子はなかったよ。だから凛ちゃんが猫になったって聞いた時には驚いちゃったけど」

「日中に変わったところはなしか……」

 

 

 少なくとも、2人と一緒にいた時に凛の状態が変わってしまったということはなさそうだ。だとしたら考えられるのは、2人と別行動をした時だけど……。

 

 

「お前らが凛と別れたのはいつだ?」

「私たちは掃除当番じゃなかったから、先に生徒会室へ来たのよ。別れたのはその時ね」

「でも別れる時はいつもの凛ちゃんだったよ。掃除当番だから嫌な顔はしてたけど……」

「それはいつもだろ。でもこれではっきりしたな、凛に何かがあったのは2人と別れたあとだ」

 

 

 そうは言っても結局そのあとのことが重要な訳で、そこの部分を知らないと根本的な解決にはならない。凛を目撃した人の証言でも聞きに行くか?しかしそれは流石に骨が折れる。そもそも誰がどの掃除場所で掃除をしていたかも分からないこの状況、更に言えばもう掃除が終わって下校、部活に行っている生徒もいるだろうから、聞いて回るのは不可能に近い。

 

 

「おい凛。ちょっとくらいは日本語喋れねぇのか?」

「フシャー!!」

「すげぇ警戒されてる……。ちょっと太ももを触ってパンツを見ようとしてただけだろ、どうしてそこまで怒るんだ……」

「そりゃあ猫だってセクハラされたら怒るでしょ」

「でも猫だぞ?そんなことが分かるのか……?」

「シュー!!」

「零君を威嚇していることだけは確かみたいだね。ほら、猫って身体の後ろを触られるのが嫌いって聞くし」

「それを先に言ってくれませんかねぇ花陽さん」

 

 

 凛は花陽の腕の中で、髪の毛やしっぽを逆立てて俺を警戒している。俺たちの間にリアルファイトが始まりそうな淀めく雰囲気が流れた。ここで襲われたら、全ての思考を停止して凛を助けることをやめてやる。凛が悪い訳ではないけどやめてやる。

 

 

「結局、どうすれば凛ちゃんが元に戻るのか分からないね……」

「せめてお前らと別れた凛がどこで何をやっていたのかが分かればなぁ~」

 

 

 行き詰まって意気消沈する俺たち。

 しかしそこで、生徒会室の扉がノックされた。ただしそのノックは規則的なものではなく、言ってしまえば異常に下品。コンコンの音の間にタイムラグがあったりなかったり、そもそも手で扉を叩いているのか怪しい鈍い音だった。

 

 

「ど、どうぞ」

 

 

 花陽が若干怖気づいたような小さい声で、生徒会室の外にいるだろう人物に入室を促す。

 だがしかし、その人物は一向に入ってくる気配がない。それ以前に誰かがいる気配すら感じないのは俺の気のせいか?ノックの音が変だったことも気になるし……。

 

 

 俺は扉に近付くと、一向に開け放たれない扉を自らの手で開放した。

 

 

 そこにいたのは――――――

 

 

「やっぱ誰もいねぇじゃねぇか。新手のピンポンダッシュか何かか?」

「「…………」」

「ん?どうした2人共?」

「下……零、あなたの足元に……」

「えっ……うおっ!?」

 

 

 真姫に促されて足元を見てみると、そこには黒、白、茶色の和風チックなカラーリングの小さな三毛猫が佇んでいた。何故校内に猫がいるのかは甚だ疑問ではあるが、そもそも今の凛自体も猫みたいなものなのでそこは言及しないでおく。

 

 

 俺たちはしばらくの間その猫を見つめ様子を伺っていたが、肝心の猫の方はというと、俺たちの顔を見て喜んでいるようだった。

 

 

 そして――――――

 

 

 

 

「よかったぁ~!やっと零くんたちに会えたにゃ~!!」

 

 

 

 これは凛の声、凛の口調だ。でもその声が発せられたのは花陽が抱えている凛からではない。紛うことなきこの猫から発せられたものだ!

 

 

「…………」

「…………」

「…………」

「ど、どうしてみんな黙ってるの!?」

「ああ、これは夢か。化け猫に化かされてんだ」

「違うにゃ!!とにかく凛の話を聞いてぇえええええええええええええ!!」

 

 

 そりゃあいきなり猫が喋りだしたら唖然とするだろ。それも三毛猫が凛の口調で――――ってあれ?凛が猫になっていて、猫が凛になっているのか?

 

 

 あぁ、ようやく何が起こったのかが分かってきたような気がするぞ。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

 焦っているのか、それとも俺たちに会えた嬉しさで歓喜しているのか、凛の説明が非常にたどたどしかったので代わりに俺が要点を絞って話そう。

 

 

 凛は花陽と真姫の2人と別れたあと、真っ直ぐ掃除場所に向かって早急に掃除を終わらせたらしい。そしてゴミ袋を校舎裏のゴミ捨て場へ捨てに行こうとしていた途中、今凛の憑依元となっているこの三毛猫に遭遇。猫アレルギーな彼女だが同時に猫を愛でたいとも思っている凛は、その猫に近づいたんだと。

 

 しかしそこで足を滑らせてすってんころりん。なんとその際に自分の頭と猫の頭がごっつんこ、まるで漫画みたいな要領で身体はそのままで中身が入れ替わってしまったんだってさ。

 

 

「本来ならあり得ない話だが、現にそうなっているんだから信じざるを得ないな」

「まさかまた猫になっちゃうなんて思ってもいなかったよ……」

 

 

 そういや凛は一年前も猫になっちまったことがあった。あの時は秋葉の策略にハマってたし、もしかしたら今回もとか考えていなくはなかったのだが、蓋を開けるとなんともオマヌケな話だったな。

 

 

「本当はもっと早く零くんたちに会いたかったんだけど、誰にも見つからずにここへ来るのが難しくて……」

「でもまあちゃんと元に戻れそうだからよかったじゃん」

「えっ、どうやって凛ちゃんを元に戻すの?」

「そりゃあもう一度同じ手順を巻き戻せばいいに決まってるだろ」

「えぇっ!?また頭ぶつけるの?あれ結構痛かったんだにゃ……」

「元に戻りたくないのかよ?それとも他の手があるとでも?」

「うぅ……」

「痛みは一瞬だ。我慢しろよ」

「にゃにゃっ!!れ、零くん!?」

 

 

 俺は猫となった凛の下腹部を両手で抱え込む。そして手の甲で顔を洗っている凛となった猫に標準を定め、凛(猫)の頭を目掛けて猫(凛)を頭から振り下ろした。

 

 

 ゴチーーーン!!と、鈍い音が生徒会室に大きく響き渡る。

 

 

「いったぁあああああああああああ!!」

「にゃぁああああああああああああ!!」

 

 

 凛は頭を抱えてクラクラと目を回し、猫も身体をゆらゆらと揺らす。

 こういうのは勢いが肝心だからな、躊躇していたらいつまで経っても実行に移せなくなる。男の仕事の8割は決断だ、覚えておくように。

 

 

「もうっ!もっと優しくしてよ零くん!!」

「おっ!」

「凛ちゃん……!!」

「凛、あなた!!」

「へ……あっ、も、戻ってる!!凛、元の身体に戻ってるよ!!」

「やったね凛ちゃん!」

「やったよかよちん!!」

 

 

 花陽と凛は歓喜に満ち溢れ、お互いに熱い抱擁を交わす。いつもどこでも抱き合ってんなコイツら……。

 ともかく無事に凛は凛の、猫は猫の身体を取り戻したって訳だ。猫も自分の精神が元の宿主に戻ってきたおかげで、動きがさっきより機敏になっているような気がする。

 

 

「あ~あ、今日はもう疲れたよぉ~。外は寒いし、色んな人に抱きしめられそうになるし、餌を与えられそうにもなるし、先生には見つかりそうになるし、扉のノックはできないし……あぁもうっ!!今日の生徒会はおやすみ!!」

 

 

 凛は椅子に深く腰を掛け、口を尖らせながら自らの苦行の愚痴を漏らす。ここへ来る道のりは中々の修羅だったらしい。それにしてもこのたるみ具合、あまり猫の行動と変わっていないような……。

 

 

「ふわぁ~。生徒会室って、日の光が差し込んできてとても気持ちがいいにゃぁ~♪」

「にゃ~♪」

 

 

 凛と猫は同時に仲良くあくびをした。

 そして凛は机に寝そべり、猫は凛の隣の椅子の上で丸くなる。

 

 

「ちょっ、ちょっと!凛ちゃん寝ちゃうの!?これから練習もあるんだよ!?」

「それに猫も……これじゃあ結局どっちもどっちね」

「凛と猫は似た者同士ってことなのか?やっぱ凛の奴、あのまま猫のままでも対して変わらなかったんじゃあ……」

 

 

「「にゃ~♪」」

 

 

 そして凛も猫は、2人(正確には1人と1匹)仲良く昼寝をしてしまった。

 

 そんなこんなで、最後は冬の寒さを忘れさせるようなほっこり具合で幕を閉じた。

 

 

 

 

 そのあとすぐに気付いたことなのだが、俺は掃除場所に行く途中だったんだ。そして今日掃除を共にする相手は海未。そうか、遅刻してしまったか……どうりでさっきからポケットの携帯が震えて――――

 

 

 こんなオチいらねぇって!!

 




 凛ちゃんを飼いたい(超願望)

 今回は凛ちゃん猫になるの回でした!
 実は前作でも同じようなネタで執筆はしたのですが、今回はネタも織り交ぜつつ、本当の猫になった凛の可愛さも前面に押し出してみました。私も零君と同じく「もう元の姿に戻らなくてもいいんじゃね?」と思うくらいには、猫の凛に心が揺さぶられていました(笑)

 次回からはまたいくつかリクエスト小説を執筆していこうと思います。
 実は活動報告でひっそりと募集しているところがあるので、この機会に是非!かといって時系列が冬なので、その点はご留意を。


 そしてここからはいつもの宣伝を――――

 ハーメルンで"ラブライブ!"そして"ラブライブ!サンシャイン!!"の小説を執筆なさっている鍵のすけさんの企画で、サンシャインの短編小説を執筆することになりました。
この企画は以前私が主催した企画と似たようなもので、ハーメルンのラブライブ作家、また普段はラブライブ以外の小説を投稿している作家さんも多数参加予定です。

 まだ投稿日時は決まっていませんが、私のサンシャイン小説が投稿された際には、是非そちらにも感想をくださると嬉しいです!

 企画についての情報は入り次第、今後の後書きにて掲載していきます。



Twitter始めてみた。
 https://twitter.com/CamelliaDahlia
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