ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回は告白編のラスト、楓回です。
 実妹でもあり、何より二次創作なのにオリキャラ同士の恋愛をするという謎の暴挙。でもここまで読んでくださった読者さんなら受け入れられるはず(?)

 毎度ながら、以前の楓の告白回を思い出しておくといいかもです。


告白の時:最愛の妹

 12月25日、クリスマス。昨日の激動の夜とは裏腹に、今晩は家で楓とまったり2人だけのプチクリスマスパーティを決行しようとしている。そうは言っても、飾り付けなどは昨晩μ'sで行ったパーティのものをそのまま流用しているだけだが。楓が作る料理も昨日豪勢なご馳走を振舞ったので、今日はいつも通りの夕食メニューとなる。まあ、俺からしたら楓の料理はなんでもご馳走だがな。

 

 

 現在、楓はお手製であるフリルの付いたピンク色のエプロンを装着し、キッチンで楽しそうに料理をしている。昨日にこやことりと料理している時も和気あいあいとしていたが、今日は昨日とは違った雰囲気だ。なんかこう、友達同士での楽しみというより、夫の仕事帰りを楽しみに待つ妻のような感じ。一言で言えば"優しさ"が伝わってくる。

 

 そんな吞気に妹の分析をしている俺は、リビングで昨日のパーティのゴミ処理や片付けをしながら楓のエプロン姿を後ろから眺めていた。エプロンを装備してキッチンで料理をしている女の子の後ろ姿、唆られない?思わず後ろからギュッと抱きしめたくなってくる。そして女の子に『今料理中だから……』と言われ、その言葉を無視して襲いかかりたい――――――

 

 あっ、ダメだダメだ。今日まではそんなエロい妄想は捨てようと決めたじゃないか。そう、今日も俺にとって大切な日であり、そしてこの今日こそがその大切な日のラストなんだ。最後の最後も今まで通りにビシッと決めないと。

 

 

「お兄ちゃーん!そろそろお皿の準備してー!」

「うーい、分かった~」

 

 

 こうして見ると、ただの夫婦にしか見えねぇな。亜里沙の時もそうだったけど、もはや俺たちは結ばれているんじゃないかと傍から見たら勘違いされそうだ。そもそも俺たち兄妹は秋葉を含め、一緒にいると芸能人やモデルのカップル同士かと誤認されることもままあるから、勘違いされるのは特に珍しいことでもない。

 

 

 

 

 俺は食器棚から皿を取り出しながら考える。そう、もちろん告白のことだ。

 これまで雪穂と亜里沙、2人に告白をしてお互いの愛を確かめ合った。結ばれるのは必然だったのだが、互いに互いの想いを心で受け止めることで愛を共有し合ったのだ。以前の告白でそのまま相手の告白を受け入れて結ばれる流れでも全然ありだったのかもしれないが、その点改めて俺から告白をして良かったと思っている。

 

 

そして今回は、俺と楓がその想いを確かめ合う番。

 

 

 昨日までの2人と違うのは、楓が俺の実の妹であること。しかし、もはや兄妹同士で恋人になるのは変だとか、想像も絶する障害が立ちはだかっているだとか、そんなことはとっくの昔から知っているし、覚悟も出来ている。同棲生活で彼女の悩みを聞いた時、そして秋の初旬に彼女から告白された際に、俺たちはそんなもの既に乗り越えていたのだ。

 

 俺は楓を妹しても見ているし、1人の女性としても見ている。だから俺の告白が雪穂や亜里沙と違うことなんて全くない。妹だからと言って(はばか)るものもないし、一切の躊躇もしてない。いくら実妹であろうとも、俺は楓に全力で想いを伝えるだけだ。

 

 

「そういや、結局お母さんもお父さんも帰ってこなかったね~」

「仕事が忙しいみたいだし、それに向こうは向こうで2人でいちゃらぶしてんだろ」

「じゃあ私もお兄ちゃんと、今晩ずっといちゃらぶして身体を交わらせたりしよかな♪」

「唐突に秋葉が帰ってくるかもしれないぞ」

「うわぁ……思い出したくない顔を思い出させないでよ」

 

 

 楓は背中に怖気が走ったかのように身体を震わせる。認めたくはないが、あの偏屈な秋葉(あね)も一応兄妹だからな。あんなのでも俺の後押しをしてくれたこともあるし、憎めに憎めないのが腹立つ。俺の姉妹や母はみんなそうなのだ。

 

 ちなみに秋葉は研究や仕事やらでいつ帰ってくるのかは分からない。もしかしたら一緒にクリスマスを過ごせるかもとは言っていたが、何の連絡もない辺り残念ながらクリスマスには間に合わなかったようだ。まあ俺としては告白の機会が訪れるいいチャンスだから、秋葉には申し訳ないけど助かったよ。

 

 

「おっ、すげぇいい匂いしてきた」

「もう少しで出来るから、しっかり手を洗って待っててね!」

「ガキ扱いすんなよ……」

「そんな後片付けをした泥沼のような手で、私の神聖な料理をいただく気?」

「へいへい、それじゃあ石鹸でちゃんと清めてくるよ」

「よろしい♪」

 

 

 いつもは外であろうが人の目があろうが構わず俺にくっついて、意味深発言ばかり連発する彼女だが、家の中では普通に家庭的な妹だ。俺の世話もよく焼いてくれるし、この前も言ったがもう俺は楓がいない日常生活には絶対に戻れなくなっている。これも楓の刷り込みなのか……ま、心地よい生活が送れるならそれでも全然いいけども。

 

 ここまで俺のために尽くしてくれる女の子は、μ'sの中でも楓がトップだろう。俺を第一に率先して動き、掃除も料理も俺のために心が籠っていて、俺の毎日を自然と充実させてくれる。それだけ聞くと大人びてしっかりとした女の子に思えるが、実は嫉妬深い甘えん坊さんでもあるのだ。寂しいからという理由だけで俺のベッドに潜り込んでくることもあるし、俺が可愛い女の子に目移りすると、あからさまに嫉妬を含んだ目線をグサグサ突き刺してくる。そんな彼女を見ると、今度は子供を愛でるかのように可愛がってやりたくなるんだよな。

 

 

 大人っぽい楓と子供っぽい楓。2つの顔を持っているが、俺が言いたいことはただ1つ。どちらの顔も魅力的だということだ。大人な彼女は俺の心を射抜き、子供の彼女は俺の心をくすぐる。μ'sの他のメンバーとは違い彼女とは毎日一緒にいるため、その心の刺激はどの女の子よりも多く味わっている。

 

 

 そしてなにより、楓は俺のことを兄としても慕い、1人の男性としても見ている。彼女の想いは本気だ。兄妹という垣根を乗り越えて、俺に愛の詰まった告白をしてくれたんだから。そして俺も、あの時から楓のことをずっと――――――

 

 

「お兄ちゃん!なにさっきからぼぉ~っとしてるの?料理できたから早く運んだ運んだ」

「あ、あぁ……」

 

 

 楓に耳元で叫ばれ、俺は軽くフラつきながらも料理をせっせとテーブルに運び始めた。今日のメインは楓が得意なデミグラスハンバーグ。早速その香ばしい匂いが俺の口内に唾液を分泌させる。もうこの匂いだけで味も肉の感触も思い出せるくらいには、楓に胃袋を掴まれていた。

 

 

 楓が俺に込める想いは口や行動だけではなく、料理、掃除、洗濯――――挙げていけばキリがない。彼女の世界には、もう俺と自分しかいないのかと思ってしまう。これほど俺のことを真っ直ぐ愛してくれている女の子なんて、世界各地を探し回ったとしても彼女だけだろう。

 

 

 そして、俺もそうだ。だから、伝える。

 

 

「楓」

「なぁに?」

「飯食い終わって風呂に入って、今日やることが全て終わってからでいい、ちょっと話をしないか?」

「…………珍しいね、お兄ちゃんから誘ってくるのって」

 

 

 最初の方に少し間があったが、もしかして俺がどんな用事で自分を呼び出したのか察したのかもしれない。彼女ならクリスマスパーティの時に、雪穂のテンションがいつもより高かったことに気付いていてもおかしくないし、俺と亜里沙が2人でこっそりリビングを抜け出していたことも知っているのかも。洞察力はピカイチだからな。

 

 

 しかしどちらにせよ、俺がやることは変わらない。

 

 

 するとここで、楓は優しく微笑んだ。

 

 

「うん、いいよ。お兄ちゃんからのお誘いなんだもん、断る訳ないじゃん♪」

「そっか、ありがとな」

「いえいえ。さ、早く食べよ!」

 

 

 そして楓は、わざわざ俺の座る椅子を引いて着席を促してくれた。こんな何気ない気遣いも、俺の妹としてこれまで生きてきた故なのだろう。

 

 

 

 

 今日が俺の最後の告白となる。最後は最後らしく、だけど今までと変わらぬよう、しっかりと俺の想いを楓に伝えるんだ。兄として、そして1人の異性として。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「お待たせ、お兄ちゃん」

「もう風呂上がったのか?別に急がなくたってよかったんだぞ?」

「だってお兄ちゃんからのお誘いだもん!もう食事中からウキウキして待ちきれなかったんだよ!お風呂に入るのも面倒なくらいにね♪」

 

 

 楓はソファに座っている俺の元に駆け寄ると、嬉しそうに俺の隣に腰を下ろした。

 さっきの会話の通り、楓は少し前に風呂から出たばかりである。つまり、彼女の髪からシャンプーのいい匂いが俺の鼻をくすぐってきやがる。しかも身体同士がほぼ密着している上に楓の全身が火照っているためか、俺の身体もみるみる内に熱くなっていく。今から告白するって時に、変な誘惑してんじゃねぇよ!本人はそのつもり――――はないだろうと思ったけど、楓のことだからあるかもしれない……。

 

 

「あ~!今、私のシャンプーの香りと体温でドキドキしてるでしょ?」

「お、お前……!?」

「あははっ!やっぱりそうなんだぁ~!お兄ちゃんまだ童貞だもんねぇ~仕方ないよねぇ~」

「お前だってまだ処女だろうが」

「違うよ。実はね、私の処女もお兄ちゃんの童貞も、この前お兄ちゃんが寝ている間に……フフッ♪」

「え……まさか……?」

「うっそ~♪」

 

 

 これぞ小悪魔と化した楓の姿だ。世界の万物全てを見下すかのような黒く悪い笑顔を作り、俺の鼻をツンと突っついてくる。人をからかい嘲笑い、そして煽ることに全力を尽くすのが神崎楓。どうやら人を弄ることで愉悦を感じるのが堪らなく楽しいらしい。

 

 

 だがしかし、そんな小悪魔な彼女も、こう上手く切り返してやれば――――――

 

 

「それじゃあ今からそれを現実にするか?」

「へ……えっ!?ウソ!?」

「はい、うっそ~」

「はぁ!?!?ちょっとお兄ちゃん!!私の期待返してくれない!?ねぇねぇねぇ!!」

「お前が最初にやり始めたんだろうが……」

 

 

 こうやって案外簡単にボロを出し、慌てふためく可愛い表情が見られる。楓は性格的にドSだが、何だかんだ言って心をくすぐる攻めには弱いのが、彼女の微笑ましいところでもあり、そして俺の好きなところでもある。

 

 

 

 

 そう、好きなんだ。

 

 

 

 

「楓」

「お兄ちゃん……」

 

 

 俺の名前の呼ぶ声が真剣だったからか、楓もさっきのおふざけモードは解除して俺と向き合う。

 改めて楓を見てみると、相変わらず整った容姿で妹でなかったら即座に手を出している自信がある。身体も高校一年生とは思えないくらいスタイルがよく、パジャマの胸部を押し上げる豊満な膨らみを、思わず両手で鷲掴みにしたくなる。

 

 実妹ながらに襲ってしまいそうだが、その理由は可愛いから、身体付きがいいからだけではない。単純に彼女を愛しているからだ。でなきゃ、こんなに胸が激しく鼓動するはずがない。

 

 

 俺はゆっくりと楓の肩に手を伸ばし、若干後ろに仰け反らせる形で彼女に迫る。

 未来を変える一言。この言葉を伝えたら最後、俺たちはもう今の関係には戻れない。だがそれでもいい。楓も以前の告白でそれを受け入れた。だから、俺も――――――

 

 

 

 

「妹として、1人の異性として、楓――――――お前が好きだ」

 

 

 

 

 その時、楓の頬が一瞬の内に赤みがかかる。身体も僅かに縮こませているから、予想していたよりも彼女の心を強く射抜いてしまったようだ。楓は軽く息を吐くと、微笑しながら口を開く。

 

 

「やっと……やっとお兄ちゃんから告白してもらえたよ」

「意外と冷静なんだな。もっと取り乱すものとばかり思ってた」

「そりゃあ心が踊りに踊りまくって、今にも床をゴロゴロのたうち回りたいくらい悶絶してるよ。でもなんだろ、どこか安心してるんだよね。もしかしたら心のどこかで不安に思っていたのかも。でもお兄ちゃんから直接告白してもらえたことで、そんな不安も消えて安心したってことかな」

 

 

 実は俺も楓と同じ気持ちだった。実妹、家族、そんな大きな障害に囚われず告白ができたからだろうか。

 

 俺は一度、彼女のことを1人の女性とだけ見て、兄妹の垣根など飛び越えてしまおうとも思っていた。しかし、それはできなかった。やはり楓は俺の唯一の妹であり、大切な家族だ。告白の時はその(しがらみ)を切り離したとしても、俺はずっと楓の兄でいたいし、楓も俺の妹であり続けて欲しい。こうして2人で生活を始めてまだ1年も経っていないが、俺にはもう彼女が必要なのだ。

 

 

「俺はもうお前のいない生活なんて考えられない。お前を他の誰にも渡したくない。お前を俺だけのモノにしたい。そんな独占欲が湧き上がってくるくらい、俺はお前の愛にどっぷりと浸かっていたんだ。だからこれからは俺も負けない。お前が俺に捧げてくれる愛に負けないくらい、俺もお前を寵愛してやる」

「結構上から目線の告白だね。でも私はそんなお兄ちゃんが大好き。いつも自信満々なお兄ちゃん、カッコよくていつも惚れちゃうもん。そんなお兄ちゃんだからこそ、私は一生を共にしようと思ったんだ。兄妹なんて関係なく、でも兄妹として……ね」

 

 

 兄妹なんて関係ない、だけど兄妹として。この矛盾。兄妹の枠を逸脱してでも俺たちは男女として愛し合う、だけど兄妹として共に手を取り合って今までと同じように生きていく。

 

 

 それでいい。誰にも俺と楓の邪魔はさせない。

 

 

 俺は同棲生活中に楓から悩み相談を受けた時、彼女の流した涙を見て覚悟を決めた。楓を妹と異性、両方として見て生きていくことを。そして彼女からの告白を聞いて、その決心はより強固なものとなった。もうあんな涙は流させない。例え実の兄妹であったとしても、2人で笑い合えるような道を築いていく。できるはずだ、俺たちなら。楓もそれを覚悟で俺に告白をしてきた。もう兄妹だからって、家族だからって、道に迷うことなんてない。

 

 

「俺はずっとお前のお世話になっていたいな。一度お前からの奉仕を受けたら、もう二度と元の生活には戻れない。俺はそんな身体にされてしまったんだよ」

「フフッ、お兄ちゃんダメ人間みたい」

「それくらい、お前の存在が俺の中で大きいってことだ。妹依存症になっちゃってるんだよ、俺は」

 

 

 もちろんただの妹依存症ではない。妹が楓だからだ。それに楓の魅力の1つは、年下で妹だけどとても甘えやすいこと。妹ながらにそんな母性まで持ち合わせている。それに信用もできるし頼りにもなる。親や秋葉が仕事などで忙しかった関係上、子供の頃から2人で一緒に遊んでいた俺たちは、既に心をお互いに補完し合っていたのかもしれない。告白する以前に結ばれていた、今思えばそう解釈してもおかしくないくらい、俺たちは常に隣同士だった。

 

 優しくて甘えやすくて、そしてなにより俺のために誰よりも一途に尽くしてくれる。そんな女の子に、俺の心が揺れ動かないはずがない。もう俺たちがお互いに恋心を抱く以前から、知らず知らずの間に相手のことを好きになっていたのかもな。

 

 

 俺は小さく深呼吸をして、楓との距離をほぼゼロ距離になるまで詰める。彼女の胸の鼓動が俺に伝わってくるくらい、そして今の俺たちの仲のように身体を急接近させた。必然的に楓は俺を見上げる形になる。その上目遣いを含んだ表情に心を打たれ、俺は遂に最後の言葉を言い放つ。

 

 

 

 

「これからもずっと、俺のために尽くしてくれ。付き合おう――――――楓」

 

 

 

 

 そして、楓は待ってましたと言わんばかりの満面の笑みを浮かべた。その笑顔には、これまでの俺との人生を振り返った様々な感情が込められているのだろう。俺だけの想像では余りあるに違いない。

 

 

 これまでの雪穂や亜里沙と同じく、彼女の返答は分かっている。分かっているけども、実際に直接口に出して聞くまでは少し緊張してしまうものだ。

 

 

 楓は改めて俺の目を見つめ直し、ゆっくり口を開いた。

 

 

 

 

「これからもよろしくお願いします。"零くん"」

 

 

 

 

 呼び方が、お兄ちゃんから名前呼びに変わった。これは楓が俺のことを1人の男性として見ている証拠だ。今の彼女は俺を兄ではなく、異性として意識しているのだろう。突然の不意打ちに思わず心が飛び上がってしまう。楓に笑顔名前を言われるのはここまでドキドキするものなのか……。

 

 

 もう我慢ができなくなった。俺は楓の肩に置いていた手に力を入れ、彼女の身体を少し上へと持ち上げる。楓も今から何をされるのかわかっているのだろう、彼女は目を閉じ、唇を半開きにして準備を整えた。頬は最高潮に染まっており、見ているだけでも柔らかそうな唇は、先程まで風呂に入っていた影響か非常に艶やかだ。

 

 

「楓……」

「うん、お兄ちゃん……私、ずっと待ってたの。貰って、私のファーストキス」

 

 

 

 

 俺はその鮮やかに輝く唇に吸い込まれるように、自分の唇と彼女の唇を――――――強く重ねた。

 

 

 

 

 俺たちの唇は磁石のようにお互いの唇を引き合い、吸い寄せ合う。驚くほど柔らかい唇の感触に、俺は彼女を攻めるように唇に吸い付いてしまう。唇が溶接するかのように密着しやっているせいか、火花が飛び散るかの如く熱い。だがそれでもなお俺たちは求め合う。この熱さこそが愛の証。熱くなればなるほど、俺たちの愛は高まっていく。リビングにいやらしい音を立てながら、俺たちはお互いの唇を貪りあった。

 

 

 しかし段々と息も続かなくなってきたので、名残を惜しみながらもそっと顔を離す。楓はキスする前よりも蕩けた表情をしており、流し込まれた愛情を全身で感じているようだった。

 

 憧れだった妹とのキス。俺も楓のように蕩けた顔になっているのだろうか?男のそんな表情なんて情けないのだが、本来実妹や家族だという理由で叶うはずのない恋を叶えさせることができたという、その事実が俺に幸福感を満たさせる。もう俺たちは兄妹であり兄妹ではない、これからもそんな不思議な関係を続けていくだろう。それでいいじゃないか、俺たちが幸せならば。

 

 

「えへへ、もうさっきから私の願いが叶いすぎて夢かと思っちゃうよ」

「確かにそうだがこれは夢じゃない、現実だ。もう俺とお前は兄妹でもあり恋人同士でもある」

「いいね、そういう関係って。ただの恋人だったらそこら中にたくさんいるけど、兄妹で恋人同士って特別感あるもん」

「μ'sの中でもお前だけだからな、こんな特別な関係は。ていうか兄妹で恋人なんて普通ならありえねぇよ。でもだからと言って、お前に捧げる想いは変わらない。愛してるよ、楓」

「うん!私も愛してるよ、お兄ちゃん♪」

 

 

 そこで俺たちは抱き合って、2回目の口付けをした。

 一生消えることのない兄妹と家族の壁。それを乗り越え、そして受け入れてお互いの愛を掴み合った。もうこれから兄妹だからって我慢することは何もない。これからは兄妹として、そして恋人として、ずっと俺の隣にいてくれ――――――楓、好きだよ。

 




 今回でめでたくシスターズの告白編は全て終了です。私はハッピーエンド派なので、どの展開も純愛全開のあまあま展開になってしまいました。普段純愛を執筆しない私としても、どの展開も上手く恋模様を描写できたと内心でガッツポーズしています(笑)

 楓との恋愛は本編で腐る程できたように、兄妹と家族であることが一番の壁となっていました。そのせいで2人の関係は『兄妹であり兄妹ではない』という、言葉だけでは何とも矛盾した関係になってしまいました。しかしこれから楓のアプローチがより一層強くなるような気がして、零君の身体が心配に……


 そして先程述べた通り、告白編はこれにて終了です。
 元々シスターズの恋愛がこの小説の一大テーマだったので、その目標を無事に達成できました。これでタグの『12股』も本気が出せそうです!

雪穂と亜里沙の告白回の評判がかなり良かったは非常に嬉しかったです!特にいつもは書かない純愛回に感想や高評価が入ると、いつも以上に執筆と投稿が捗ってしまう現金な性格なので。今回で告白編が終わったので、読者の皆さんが今回の告白回を通じてどう思ったのか、感想をくださると嬉しいです。

 零君とシスターズが無事にゴールインし、この小説も目標を達成して何やら終わる雰囲気ですが、もちろんまだまだ続きます!むしろ恋人同士になったこれからが本番ですから!(笑)



 次回以降はクリスマス終了~大晦日に掛けての期間、つまり冬休み編を何話か投稿するつもりです。



新たに高評価をくださった

雪乃せんりさん

ありがとうございます!



Twitter始めてみた。
 https://twitter.com/CamelliaDahlia










最後に……
 折角クリスマスの時期に告白させたのに、全くその要素を活かせてないという罠()

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