ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

18 / 588
 前回までがかなりR-17.9路線になっていたので今回で軌道修正。今回は元気いっぱいの穂乃果と凛と一緒にわちゃわちゃするだけのお話。ですが見所はほのりんではなくて、零君のツッコミスキルの方かもしれません。


ほのりんはウザカワイイ!?

 

「いい天気だなぁ~~……」

 

 

 今日は太陽さんが陽気なお陰か、最近の冷えが嘘かのように暖かい。もう4月も終わりに近づき、これから段々と夏に向けて太陽さんも頑張ろうとしている頃だろう。俺としては頑張らずにこの程よい暖かさを保っていて欲しいのだが、人間が太陽様に指図するなんてもってのほかだ。仕方がないから黙っておいてやろう。

 

 そんな冗談はさて置き、俺は今木陰でポカポカ陽気を堪能している最中だ。可愛く言えば日向ぼっこってやつだな。学院にはお昼寝してくださいと言わんばかりの緑がいっぱいの場所、通称グリーンエリアがあるのだが、この暖かい時期はそこが気持ちいいのなんのって、俺はそこでぼぉ~っと寝そべっているわけだ。

 

 

「静かだ……たまにはこういうのもいいな」

 

 

 今思い返せば、この4月はかなり暴走していたような気がする。新入生歓迎会や生徒会業務、その他色々――最上級生は面倒事が多い。でもそんなことも大体が片付き、今はこうしてお昼寝できるぐらいの時間が取れるようになった。このまま静かなこの場所で気持ちよく寝てしまおうかなぁ~。

 

 

 

 

「いたいた!!お~い零く~ん!!」

「またそんなところで寝っ転がってるにゃ~!!」

 

 

 

 

「穂乃果、凛……」

 

 

 μ's内でも特にうるさいコンビがこちらに向かってやって来る。

 俺の至福の時間が音を立てて崩れていく……どちらか1人いるだけでもうるさいのに、それが2人になるともはや騒音レベルだ。元気いっぱいなのは結構なことだが、今まさに寝ようとしていた俺を妨害しないで欲しい。

 

 

「お前ら……どうしてここに?」

「海未ちゃんが生徒会仕事をやれやれってうるさいんだよ!!穂乃果のお昼寝タイムまで邪魔してさ!!」

「凛もお昼寝しようとしたら、真姫ちゃんに叩き起されたんだにゃ!!『あなた、英語の宿題してないでしょ?』ってね!!」

 

 

 オイ……これってツッコミ待ちか?これは俺のツッコミスキルを試されているに違いない!!

 それにしても、どうしてコイツらは白昼堂々と自分がサボっていることを暴露できるんだ?俺もその類に当てはまりはするが、流石の俺でも堂々とはしていないぞ。多少の罪悪感はある、多少な。

 

 

「確かに昼寝は至高だが、後々メンドーだから素直に従っとけ」

「えぇ~だって穂乃果、零君と一緒にお昼寝したいもん!!」

「凛も凛も!!さっき穂乃果ちゃんと話し合って、喧嘩しないように零くんを半分ずつねって決めたんだ!!」

「半分ってなんだ!?半分って!?人体切断とかやるつもりですか!?」

「おぉ~!!今日は零くんツッコミ冴えてるにゃ~」

「誰のせいだ!!誰の!!」

「おぉ~!!被せてきたね!!」

 

 

 ヤバイヤバイ……穂乃果と凛のテンションに付き合っていたら、俺が先に干からびて死んでしまう。μ'sの太陽と言われたこの2人にカッピカピに枯らされてしまう!!早急にコイツらを海未と真姫の元へ返さなければ!!

 

 

「どうせ怒られるぐらいならサッサと片付ければいいじゃねぇか」

「零君は穂乃果たちがサッサと片付けられる人だと思ってるの?それが無理だからここにいるんだよ」

「零くんも凛たちを見る目がないにゃ~。ねー穂乃果ちゃん♪」

「ねー凛ちゃん♪」

 

 

 ウゼェえええええええええええええええええええええええええええええええ!!

 マッハ!!ストレスがマッハ!!ウザカワイイとはまさにこのことだが、今まさにお昼寝をしたい俺にとっては可愛いなんてどうだっていい!!もう完全にウザイところだけが前面に押し出されてやがる!!

 

 

「あっ!!折角だし穂乃果が買ってきたパン、3人で食べようよ!!この店のメロンパン美味しいんだよ~」

「さんせーーい!!ちょうどお腹がペコペコだったし!!」

「なーーーんでそうなるの!?早く戻れよ!!どうせアイツら怒ってんだろ!?」

 

 

 どうしてこの流れで飯を食う流れになった?相変わらずこの2人の頭はブッ飛んでんな。もしかして俺がおかしいのか?今周りには俺たち3人しかいないため、2:1で俺が異端に思えてくる不思議。

 

 

「じゃあ零君はいらないということでOK?」

「待て、食べないとは言ってないだろ」

「これはアレだね、ツンデレさんってやつだね!!」

「零くんも真姫ちゃんのこと言えないにゃ~」

「お前らなぁ……」

 

 

 ボケ2:ツッコミ1の比率は明らかにおかしい。ツッコミ側の精神が破綻するだろこれは……今までツッコミ役を任せてきた海未や真姫、絵里が本当にすごいとたった今分かったよ。アイツらはすごい、今までボケ倒してきて悪かった!!ここまで大変だとは思ってなかったんだ。

 

 

「じゃあ穂乃果が食べさせてあげるよ!はい、あ~ん♪」

「穂乃果ちゃんズル~い、凛もやる!!はい、あ~ん♪」

「ちょっと2つ同時には無理だって――むごっ!!」

 

 

 ここで『あ~ん』について解説しよう。『あ~ん』とは食べさせる側があま~い言葉で男を誘い、その男の口が完全に開かれてから食べ物を投与するのが普通だ。だけどコイツらはあろうことか、俺の口が開いてもないのに無理矢理ねじ込んで来やがった!!

 

 ねじ込むってなんかアレな響きだよな…………分かってる、分かってるんだ!!こういうところで変態ネタを入れないとこの先絶対にチャンスがないことぐらいな!!

 

 

「どう?美味しかった穂乃果のパンは?」

「お前が作ったんじゃねぇだろ……」

「どう?美味しかった凛のパンは?」

「同じツッコミさせるんじゃねぇよ!!しかもお前は買ってすらないだろうが!!それ穂乃果が買ったやつだろ!!」

 

 

 コイツら、わざと俺を殺しに来てるだろ……日頃俺から馬鹿にされている恨みを、自分たちのボケというボールに込めて俺へ向かって全力投球してきやがる。左右から来る剛速球を受け止めるなんて芸当できるわけないだろ!!

 

 

「おぉ~~ここまでツッコまれると逆に気持ちがいいにゃ~」

「ダイヤの原石とはまさにこのことだね♪」

「だ・か・ら!!お前らがやらせてるんだろうがぁあああああああああああ!!」

 

 

 ちょっと誰か助けてくれ……ただいまここでグループ内イジメが発生しています。だから早く誰か止めてくださいお願いします。このままだと太陽2人に焼き殺されてしまう!!

 

 

「でもいつも零君のツッコミには助けてもらってるしね。穂乃果たち、とっても感謝してるんだよ?」

「雪穂ちゃんがマトモなツッコミ役に成長するまで、零くんで我慢してあげるよ!!」

「助けられているのはツッコミだけかよ!!しかも俺で我慢するってどういうことだ!?ゲホッゲホッ!!」

「わっ!!零くんがツッコミすぎてむせたにゃ!!」

「いや~ゴメンゴメン!!」

「軽すぎだろお前ら!!もっと労われよ!!ゲホッゲホッ!!」

「ゴメンゴメン!!」

 

 

 そのうちツッコミすぎて血を吐きそうだな。イヤだよ俺!!ツッコミ死なんて意味不明な死に方するの!!女の子と一緒に快楽に溺れて死ぬならまだしも、ただツッコんだ挙句死ぬとかこの2人しか得しないじゃん!!

 

 ちなみに俺は、一度でいいからハーレムを作り上げたいと思っている。なぜここで自分の夢を言うのかって?そりゃあここでツッコミ死するかもしれないに決まってるだろ。まさに遺書を書いているみたいだ。

 

 

「くっそぉ~完全に目覚めちまった……」

「ドンマイドンマイ、まぁ凛たちに目を付けられた時点で諦めた方がいいよ」

「零君も運がなかったねぇ~~」

 

 

 あのぉ~~質問があるのですが、今すぐコイツらをパンチしていいですか?

 え?女の子?スクールアイドル?自分の彼女?もうそんなことは関係ありませんよ。今はこの憤りを収めるのが先決だ。

 

 

「それじゃあ零君が気持ちよくお昼寝できるように応援してあげるね♪」

「そ、そうか……じゃあ頼む」

 

「ファイトだよ!!」

「ファイトだにゃ!!」

「ファイトだよ!!」

「ファイトだにゃ!!」

「ファイトだよ!!」

 

「うるせぇえええええええええええええええええええええ!!もう寝かせる気ないだろ!!」

 

 

 いつも聞けば元気づけられる穂乃果の『ファイトだよ!!』に、まさかこれまでの憎しみを抱くとは思っていなかったぞ。俺はてっきり子守唄とか膝枕とかを期待していたのだが、これは全面的に俺が馬鹿だった。

 

 

「もういい……帰る」

「待って待って!!今零君に帰られると代わりに怒られてくれる人が……」

「凛たちの遊び相手がいなくなっちゃうよぉ~」

「お前ら本音ダダ漏れだぞ!!それが目的か!!」

 

 

 もう叫びすぎて喉が潰れそうなんだがどうしたらいい……?最悪、いつも俺を罵ってくる真姫や雪穂に潰されるならまだいい。だけど穂乃果と凛だけには絶対に屈したくはない。こんないつもボけぇ~として頭カラッポで馬鹿騒ぎしている奴らに屈したら、俺のプライドに傷がつくからな。

 

 

「折角気持ちよく眠れると思ったのによぉ~~」

「じゃあ穂乃果が膝枕してあげるよ♪一度やってみたかったんだぁ~」

「マジで!?」

「穂乃果ちゃんズルいにゃ~凛もしたい!!」

「順番だよ凛ちゃん!!」

 

 

 この2人、テンションやノリが尽く似ているためかどことなく姉妹に見えなくもない。もしこの2人が姉妹で俺が兄だったら、毎日が騒がしくて楽しい反面疲れが取れないだろうな。

 でも俺にはコイツら2人が束になっても勝てないぐらいの最凶の妹がいるから、何とか2人のテンションについて行くことだけはできる。そしてもしアイツがこの集団に入ってしまったら、もう俺は死を覚悟するだろう。

 

 

「さぁ零君!!穂乃果の膝に飛び込んできて!!」

「そのセリフは膝じゃなくて胸だ……」

「早く早くぅ~」

「それじゃあご好意に甘えるとしますか」

 

 

 女の子座りをしている穂乃果の膝に、俺はそっと頭を乗せる。膝枕って膝を枕にするというよりかは太もも近くに頭を乗せるため、『太もも枕』に改名した方がいいのではと毎回思う。一気に卑猥な名前になったけど……

 

 正直な感想を言えば、穂乃果の膝枕はふわっとしていてまるで本物の枕みたいだ。彼女の肌に直接顔を近づけているためか、穂乃果の匂いが一気に俺を支配する。しかももう少しでスカートの中が除けそうであり、少し上を向けば穂乃果の程よく成長した胸が制服を押し上げているのが眼前にして分かる。もう少し上を見上げれば、彼女の明るい笑顔が映って心が和む。

 

 ここがヘブンか……

 

 

「零君、穂乃果に何かして欲しいことある?子守唄?それにチューとかチューとかチューとか?」

「なぜ3回言った……それに学院でキスするとまた海未に怒られるぞ」

「むしろ海未ちゃんに行動を縛られているからこそ、背徳感があっていいと思うんだにゃ!!零くんもこーふんするの好きでしょ?」

「おい待て!!俺を万年発情期みたいな言い方をするな!!俺だって時と場所ぐらいわきまえるって!!」

 

 

 そうは言ったものの、この前真姫と公園で危ない行為をしたばっかりなんだけどな。もしかして凛の言う通り、意外と俺って万年発情期なのかもしれない。こうやって自分自身に気づいていくことで自己が確立していくのだろう。これで面接での自己アピールは完璧だな!!

 

 

「ねぇねぇ膝枕以外にやって欲しいことは~?」

「う~ん……あっ、そうだ。膝枕をされながら耳かきっていうのが定番だな。でもこんなところに耳かきなんて――」

「あるよ!!なぜかポケットに入ってたにゃ」

「あるのかよ!!今日一番ビックリしたわ!!」

 

 

 そしてご都合展開お疲れ様です!!なんで女の子のポケットに耳かきなんてモノが入っているんですかねぇ~?ある意味で女子力を試されるモノだけどさ。

 

 

「じゃあ次は凛が膝枕をする番だよ!!」

「名残惜しいけど仕方ないか。また膝枕させてくれる?その時は耳かきもしてあげる♪」

「いつでもどうぞ。むしろ俺から頼みたいぐらいだよ」

 

 

 さっきまではとことんウザかったのに、ここだけ可愛らしくなるのは反則だよな。やっぱり女の子ってズルい!!名残惜しそうな顔をされるだけで断れなくなるんだもん!!

 

 そして次に俺は凛の膝に頭を乗せた。凛はμ's内ではかなり小柄な方であるが、小柄だろうが何だろうが膝枕が柔らかくて心地よいことには変わりはない。むしろ彼女はどちらかといえば妹キャラだから、お姉さんキャラのように膝枕をしてもらうこと自体がかなり珍しいことだ。凛が姉か……ダメだ、全然想像つかねぇや。やっぱりコイツには妹キャラが似合う。

 

 

「じゃあ耳かき始めるよ!!いや~初めてだから緊張するにゃ~」

 

 

 

 

「り、凛ちゃん?今なんて……?」

「今さっき聞き捨てならない言葉が聞こえたような気がしたが……俺の気のせいか?」

「いや、穂乃果も聞こえたよ……」

 

 

 俺の膝枕+耳かきのイメージといえば、途中で気持ちよくなって彼女の膝の上で寝ちゃうみたいな微笑ましい光景を想像していた。だけど今の凛のセリフで、俺のイメージが音を立てて崩れだしている。

 

 

「おい凛、もう1回同じセリフを言ってみろ」

「耳かき始めるよ!!」

「そのあと!!」

「初めてだから緊張するにゃ~」

 

 

「初めてなのかよ!!やめろやめろ!!耳かきは中止だ!!」

「えぇーーー!!どうして!?」

「どうしてもこうしてもあるか!!お前に任せると、確実に鼓膜を貫通させるだろ!!怖すぎるって!!」

「大丈夫大丈夫!!」

「その意味不明な自信はどこから来る!?」

 

 

 たまに穂乃果も凛も、俺みたいに意味不明な訳のわからない自信を発揮することがある。そういう時って大抵上手くいかないんだよな。いつも空回りして失敗する。そして今回は俺の耳の命がかかっているから尚更怖い。

 

 

「でも誰かが実験台にならないと上手くならないにゃ~」

「実験台言うな!!実験って失敗すること前提だからな!!俺の鼓膜は1つしかねぇから!!」

「両耳があるから2回実験できるよ?」

「こえぇよお前!!人の耳を潰すことがそんなに楽しいか!?」

 

 

 まるで我が最凶にして最狂の姉のような発想だ。もしかしてアイツのせいで、μ'sのみんなが別の意味で汚されているのかもしれない。そんな危ない思考を、こんな純粋で隠れ乙女チックな凛に持たせるなんて……

 

 

「さぁ、覚悟するにゃ!!」

「や、やめろぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

 

 

 

 

「見つけたわよ凛!!」

「ここにいたんですね穂乃果!!」

 

 

 

 

「真姫ちゃん!?」

「海未ちゃん!?」

 

 

 まるで彗星のごとく現れたのは俺の救世主、真姫と海未だった。2人とも穏やかではない顔をして穂乃果と凛を睨んでいる。これは……ご愁傷様だ。

 

 

「まだ生徒会長としての自覚が足りないようですね……今日一日ずっと生徒会業務です!!あなたの腐った根性を叩き直してあげますよ!!」

「まだ英語漬けし足りないのかしら……今日と明日を使ってずっと英語のレッスンよ!!そうだ、公用語を英語にしようかしら……」

 

「ちょっと待って!!話せば分かるよ海未ちゃん!!」

「そうだよ真姫ちゃん!!そんな地獄耐えられないにゃ!!」

 

 

「「問答無用!!」」

 

 

 そして穂乃果と凛は、海未と真姫に襟を掴まれそれぞれの持ち場に連行された。サボるとそのツケが何倍にもなって返ってくるから、特にそういうことに厳しいアイツらの場合はな。まさに自業自得という言葉を具現化した話だ。

 

 

「「零くーーん!!助けてーーー!!」」

 

 

 おーおーいい悲鳴が聞こるなぁ~。じゃあそれを子守唄にしてお昼寝でもしますかね。

 

 

 




 危うく零君がツッコミ死してしまうところでした。いつもボケ役や変態役に回っている彼が終始ツッコミに走る回は、意外と珍しかったりもします。

 でもほのりんの2人はやっぱりテンションが高くて、小説を書いているこっちも元気をたくさんもらえたような気がします。作中にもありましたが、妹にするととても大変そうですね(笑)
 この小説ではもっと大変な妹がいるというのは放っておきましょう。あの子に触れてもいいことはないです。むしろ巻き込まれないように逃げましょう。


 ではまた次回!!明日に投稿できるといいなぁ(願望)


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。