「なあ穂乃果」
「ん~?な~に?」
「歩きにくいんだけど……」
「我慢我慢♪」
俺は穂乃果から左腕に抱きつかれ、というより絡みつかれながら下校していた。学院を出る前から彼女は屈託のないニコニコとした表情を絶やさず、調子のいい鼻歌も止まることはない。ほんのりと染まった赤い頬から、子供のような無垢なものが感じられる。いつもは頭の中が淫乱お花畑ちゃんな穂乃果だが、今の彼女に邪な心はない。いくらコイツが淫乱組であってもそこはあの穂乃果、表情を見るだけで考えていることくらい大体分かる。
「そんなに嬉しいのか、俺と一緒に帰れるのが」
「もちろん!」
「いつも一緒に帰ってるだろうが」
「違うの!今日は2人きりなんだよ!いつもみんなと一緒に帰ってるから、零君と2人きりなのが嬉しくって♪もちろんみんなと帰るのが嫌って訳じゃないけど、たまにはこうして零君を1人占めするのもいいね♪」
まあつまりそういうことだ。今日はみんなの都合が狙ったかのように重なって、暇になって取り残された俺たち2人。確かに周りに女の子がたくさんいると、誰かと2人きりになること自体が珍しい。特にほぼ毎日μ'sの練習がある最近では、下校もみんなと一緒になるのはもはや必然である。
μ'sの中で誰よりも穂乃果と一緒にいる時間が多いが、放課後に2人きりだと改めて新鮮味を感じる。女の子に囲まれた生活の中でも、まだまだ俺の未開拓なシチュエーションがあると思うと胸が踊ってくるな。
「零君♪」
穂乃果が俺の肩に頭を置く。なんだろう、ありきたりな行動をされているのに妙に胸がざわつくこの感覚。テンプレの行動は男の心を確実にくすぐるからこそのテンプレである。もちろんそんなことは分かっているはずなのに、やはり俺は女の子から直球で愛を伝えられるのには弱い。吃ることすらできず、ただのコミュ障人間にまで成り下がってしまうくらいには。
穂乃果の頬は肩越しでも伝わってくるほど艶があり、思わず触りたくなって人差し指が立ってしまう。しかし、朱に染まった可憐極まる彼女の頬へ夕日が重なっている神秘的なその光景に、俺は目を奪われるしかなかった。
「零君?さっきから穂乃果の顔ばかり見てる……ちょっと恥ずかしいかも」
「別にいつも見てるだろ。どうしていきなり乙女になるんだよ……」
「穂乃果はいつだって乙女だよ!!」
「そうかぁ~?毎日毎日誘われている気しかしねぇぞ」
「嘘だぁ~!零君はもっと女心を勉強した方がいいよ」
確かに女心に疎いのは認めるが、日常的に身体を求められているのは確実に本当だ。だが穂乃果はあのことりと違って天然でこの性格だから、本人は全くと言っていいほど自分が淫乱だという自覚はない。ある意味で恐ろしい存在かもしれないぞ、俺の身体への負担的な意味でも……。
そんな
「ここで練習し続けて2年かぁ~。時が流れるのは早いねぇ~」
「そうだなぁ~。バイトの巫女さんたちに手を出し続けて2年になるなぁ~」
「零君あとでお説教ね」
「嘘だよ嘘……」
一瞬だけ、いつもより低いマジトーンになった穂乃果の声に、俺は若干背筋を伸ばしながら誤魔化す。
そんな冗談はさて置き、この神社には足を踏み入れたら反射的に蘇るほどの思い出が詰まっている。μ's結成時はここでよく練習をしていたし、ファーストライブへの祈祷やラブライブ本戦直前祈願など、重要な局面では毎回ここを訪れていた。μ'sを語る上では、もはや切っても切れない場所になっているだろう。もしμ'sが伝説になったら、いつか聖地として観光客が押し寄せる事態になるかもな。
「そんなに巫女さんが好きなんだったら、穂乃果が着てあげるのに。ふ~んだ」
「拗ねるなよ……まあ、着て欲しいけどさぁ」
そっぽを向く穂乃果を宥めようとしたその時、後ろから静かに謎の影が近寄ってきていることに気付く。そしてその影の主から、まるで純粋無垢な子供のような声色が聞こえてきた。
「その後は、どんなプレイをするのぉ~??」
「そりゃあお前、女の子にコスプレさせたらやることなんて1つだろ――――って、えっ?」
声のした後方を振り向いてみると、そこには栗色の髪をした高校生くらいの少女が興味津々に俺たちの話を聞いていた。眼は見惚れるくらいの綺麗なサファイア色で、顔は丸みを帯びている。胸は女子高校生の平均よりちょっと大きいくらい。そして特徴的なのが、髪をポニテにまとめて左側にぶら下げる――――つまりサイドポニーにしていることだ。そう、どことなく俺の隣りにいるコイツと似てるような気が……。
「う~ん……」
「零君、誰この子?知り合い?」
「さ、さぁ……」
その子は品定めするように、俺と穂乃果の周りをぐるりと一周する。出会って早々意味不明な行動をする奴なんて無視するのが当然だが、何故だか不思議と警戒心は薄い。むしろこの子のことが気になる。俺は自分でもどうしてこんな気持になっているのか理解できなかった。
「やっぱり!わぁ~今と全然変わってないなぁ~!」
「はぁ?」
「おと……じゃなかった、神崎零さんと高坂穂乃果さんですよね?」
「えっ、穂乃果たちを知ってるの?」
「はいっ、それはそれは知りすぎているってほど知ってます♪」
μ'sとして大活躍している穂乃果ならともかく、ほぼ裏方作業の俺の名前が世間に知れ渡っているとは思えない。この子が着ている服は私服だが高校生には間違いないだろうから、その高校のスクールアイドルを経由して俺の情報を得ていたのだろうか。ということは……俺のファン!?なわけねーだろなぁ……。
「それじゃあ改めまして、高坂穂乃果ですっ!えぇと、あなたは?」
「えへへ、それは秘密です♪」
「えぇっ!?どうして!?」
「女の子は秘密が多い方が綺麗になれるんですよ!」
「いやいや、名前を秘密にしたら逆に何を教えてくれるんだよ!一番重要だろそこ!?」
「女性で一番重要なのは……ここですよ」
「お、お前……」
目の前にいる謎の少女は、突然スカートをゆっくりとたくし上げた。この行動が暗示していること、つまりコイツが一番大切にしているのって……。
「なるほど、君もそっち系って訳ね」
「どうして穂乃果も見るの!?この子だけでいいよね!?」
「似てるんだよ。お前とこの子の性格がな」
もちろん容姿が似ているなんて言うまでもない。世界には自分のそっくりさんが3人いると言われているが、ここまで似ている2人を実際に見るのは始めてだ。サイドポニーの位置が逆なだけで、あとはほとんど同じ。まあケチを付ければ目元とか顔のパーツとかが微妙に違って見えるが、正直誤差の範囲内。サイドポニーの位置さえ入れ替えれば、いつも穂乃果と顔を合わせている俺やμ's以外なら簡単に騙せるかもしれない。
それにしても、μ's以外にもリアルで淫乱な女の子っているもんだなぁ。まあ俺はそんな性格の子が大好きだから、必然的に周りに淫乱っ子集まってきちゃうのかもしれない。さながら淫乱ホイホイと言ったところか。嬉しくねぇなこの異名……。
「そんなことよりさっきの話の続きなんですけど、おか……じゃなかった、穂乃果さんが巫女服を着たら、零さんはどうする気ですか?」
「そこまで率直に質問されると逆に答えづらいわ!むしろどんな解答を期待してんだ!?」
「零さんの頭のなかでどんな妄想プレイが行われているのかなぁと思って♪」
「零君、妄想でも穂乃果をたくさん愛してくれてるんだね……嬉しい♪」
「そこ喜ぶところ!?」
穂乃果が2人いるとツッコミもいつもの2倍になるから、俺の精神的負担が半端ない。もう謎の少女が穂乃果のドッペルゲンガーだと勝手に解釈しているが、容姿だけでなく性格も話し方も似ているものだから仕方ない。それ以前に、俺は気になっていることがあって微妙に会話に集中できないでいた。
謎の少女、穂乃果モドキ。彼女の話し方が時たまぎこちないことがある。俺の名前を呼ぶ時に「おと……」と言いかけたし、穂乃果を呼ぶ時には「おか……」だった。それに俺たちを品定めするように見回していたのも気になる。もしかして……本来なら有り得ない話だけどもしかしてこの子って――――
「なぁ、君ってまさか――――」
俺が確信を突く、その時に事件は起こった。
「んっ……」
「んんっ!?」
突然目の前の視界が暗くなったらと思ったら、その直後、唇にほんのりと暖かく柔らかい肉厚を感じた。
そう、俺は名前も知らぬ少女に――――――キスをされたのだ。
「な゛ぁ!?あ゛ぁ!?あ゛ぁぁぁぁあああ……!?」
穂乃果は目と鼻と口を大きく開き、スクールアイドルにあるまじき顔をしながら後ずさりする。
なんだなんだ!?急に何が起こった!?いきなりスカートを捲り上げたと思ったら、今度は唐突な口付け。唇と唇が軽く触れ合うようなフレンチなキスだが、美少女がお相手ということも相まって心臓がバクバクと激しく鼓動する。だけどこのキスの仕方、どこか既視感を覚えるような……。
謎の少女はハッとした顔をすると、自分の唇を俺の唇から素早く離してその場で一歩後退する。
「アハハ……ゴメンなさい。ちょっといつもの癖が出ちゃいました♪」
「い、いつもの癖だと……?」
「気にしたら負けですよ」
「いや名も知らぬ女の子からいきなりキスされて、気にするなって方が無理あるだろ……」
「あぁ……あぁ……あ゛ぁ……」
「いい加減帰ってこい、穂乃果」
俺は温もりの残る唇を手で抑えながら、未だに発狂している穂乃果を軽く叩いて正気に戻してやる。でも目の前で愛する恋人が突然見ず知らずの女にキスされたら、そりゃあこうもなるわな。もし逆の立場だったらその相手を殺すまである。
だが出会ったばかりの相手にいきなりキスだなんて、随分とアメリカンな性格をしていらっしゃる。しかし俺の予想では、恐らくこの子に海外の血は混じっていない。それは見た目でも分かるし、穂乃果似の容姿と性格からでも伺える。何故頑なに自分の正体を明かさないのかは分からないが、言わないってことは言ってはならない事情があるのだろう。だったら俺も妙な詮索をしなくてもいいか。
そこでようやく穂乃果が我を取り戻した。そして頬をぷくぅ~っと含まらせて、謎の少女に詰め寄る。
「もうっ!あなた一体どういうつもり!?まさか、零君に気があるとか……?」
「そりゃあありまくりですよ!こんなにカッコよくて優しくて変態な男の人を見つけるなんて、1000年あっても足りませんって!」
「最後のは褒め言葉じゃねぇだろ……合ってるけどさぁ」
「まあ、私よりいい女性を見つけるのはもっと不可能ですけどね♪」
この無駄に自信満々な性格は、穂乃果じゃなくて俺だよな……?まだ確固たる証拠はないけど、やっぱりこの子は――――
「しっーーですよ!次また口走りそうになったら、舌を入れちゃう濃密なちゅーしちゃいますから♪」
「だ、ダメダメダメ!!零君は穂乃果のものなんだから!!」
「あはは!可愛いですね穂乃果さん!」
「むぅ~。自分にバカにされてるようで釈然としない……」
妙に煽りレベルが高いのは俺の性格に似てるな。俺の予想が当たっているとすれば、彼女がスカートを捲ることに抵抗がなかったのも、突然キスをしてきたのも頷ける。ということは、やはり穂乃果の淫乱化はこれから先誰も止められなかったのか……。
「まあちゅーの話は置いておいて」
「置いておくの!?穂乃果はそのことで日が暮れるまで話がしたいんだけど!!」
「もう暮れかかってるけどな」
「まあまあ落ち着いてください。そろそろ私の質問に答えてもらわないと」
「質問?あぁ、さっきの巫女服がどうのこうのってやつ?」
「そうです!やっぱり巫女さんを襲うなら境内ですか?零さんはシチュエーションを完璧にする人だとお聞きしましたから!」
「どこ情報だよそれ!?あぁ、でもお前なら知っていて当然か……」
「はいっ♪」
笑顔で返事をする辺り、俺が相手の正体を察していることに向こうも気付いてるみたいだ。口に出して詮索さえしなければ、また突然襲いかかってくることはしないらしい。正直なところ、次はどんなキスをされるのか気になってはいるけど、相手の正体が把握できた以上どうもやりづらい。
それ以前に、さっきからどうしてコイツは俺たちの営みについてここまで言及してくるのだろうか。しかも嬉しそうに……。他人のエッチな話も興味津々に聞くタイプだな。それって、やっぱ丸っきり穂乃果じゃん!
「気になりません?親がどんなシチュエーションでどんなプレイでセックスをしたから自分が生まれたのかって」
「気にならん!ていうか、気にしたくもねぇよ!!」
「そうですかぁ~♪」
コイツ……白々しい笑顔しやがって!!まさかこのガキ、その話を聞きに来るためだけに俺たちの目の前に現れたんじゃねぇだろうな?もしそうだとしたら、これから穂乃果をもっと真っ当な人間に更生させてやる必要があるぞ。あっ、俺自身もか……。
「零君、穂乃果に巫女服着させてヤってみたいの?」
「そりゃあお前とはどんなシチュエーションでもやってみたいと思ってるけど」
「へ、へぇ~……」
穂乃果は真姫みたいに髪をくるくると回しながら、前髪で表情を隠すように俯いた。でも顔面が真っ赤になっているのは見なくても丸分かりだ。普段は猥談だろうが俺の身体を求めてこようがグイグイ攻めてくる穂乃果だが、いざ実際にやる流れになると年頃の思春期女子と同等になるのが彼女の可愛い一面でもある。身体を求めはするけど本番では俺に任せるタイプだな。ことりや楓のような肉食系とは違う、素人淫乱とでも名付けておいてやろう。
「それなら実際に巫女服を着てヤってみてくださいよ!ほら、カバンの中に用意してありますから」
「どうして巫女服なんて持ち歩いてんだ……」
「この状況を想定してたからですよ!はい、穂乃果さん!」
「えぇっ!?ここで着替えるの……?」
「面倒なので服の上からでもいいんじゃないですか?」
「いや、巫女服の下は何も着ちゃダメだ。ちなみに下着の装着も認めない。それが俺の好きな巫女さんとのシチュエーションなんだ」
「だそうですよ?」
「えぇ~……でも零君が好きなら……。ちょ、ちょっとだけだからね!」
「そうこなくっちゃ♪」
さっきから上手いことこの子の口車に乗せられているような気がするぞ俺たち。しかしコイツの立場上、俺たちのことを熟知しているのは必然か。この子の背後に俺か穂乃果の面影しか見えないのは、それだけ俺たちが凄まじい影響力を与えているのだろう。
穂乃果もこの子の言いなりになっているようで気が気ではないのか、そわそわとしながら建物の陰へ移動しようとする。だがそこで、少女に手首をガシッと強く握り締められ引き戻された。
「な、なに!?」
「穂乃果さんはいつもいつも零さんの前で脱いでるでしょ?今更恥ずかしがることなんてないじゃないですか!」
「い、いつも!?そんな頻繁には脱いでないよ!!」
「えっ、じゃあたまには脱いでヤってるんですね。この歳からねぇ……なるほどなるほど」
「ちょっとなに納得してるの!?あ、あれは流れに身を任せていたら零君が勝手に脱がしてきただけで……」
「あれっていつの話だよ!?俺を巻き込むな!!」
「ほうほう、心当たりがありすぎるほどお二人は盛ってるんですねぇ~♪」
「「……」」
人の言葉に揚げ足を取ったりするのは俺で、グイグイと強引に攻めてくるのは穂乃果の性格からだろう。俺たちの負の面をいいとこ取りして最強に見える。小生意気なところも憎たらしいが、まさに
「あっ!?もうこんな時間だ。早く戻らないと……」
「戻る?」
「はい。残念ながら、あまり長い時間ここにはいられないので」
「そうなのか。じゃあさ、帰る前に1つだけ聞いていい?」
「私に答えられる範囲だったらどうぞ」
「お前がここへ来たのは、やっぱ
「近からずも遠からずって感じです。確かに私がここへ来られたのはあの人のおかげですけど、2人に会いに来たのは私の意志ですから」
「なるほど、やっぱりアイツか……」
この子からの返答で全てを理解した。俺の予想は間違っていなかったんだ。こんなSFっぽい出来事が起こり得るのかと思っていたのだが、秋葉ならやりかねない。アイツが本気を出せば
「あ~あ、穂乃果さんが零さんの手でイキ狂うところを見に来たのになぁ~」
「なんかとっても陰湿だよあなた!!そんな穂乃果を見てどうする気!?」
「決まってるじゃないですか、観察ですよ観察。私の出生の秘密を探るためにね♪」
「お前、本気でそれを見に来たんだな」
「はい♪」
「ん~2人の会話がよく分かんない。もしかして、いやもしかしなくても仲間外れ!?」
「お前もこの日を思い出す時がきっとくるさ」
「そうですね!その時になったら、穂乃果さんが驚く顔を見にまた来ますよ!」
「えぇ~どういうことぉ~!!」
今までの会話から察せない辺り、穂乃果もまだまだ甘いな。でもまあそっちの方が将来面白くなりそうだから、敢えてこのままネタばらしはしないでおこう。
「それでは私はここでお暇させてもらいます」
「あぁ、じゃあな」
「はいっ、さようなら零さん!穂乃果さんも!また会いましょう!」
「う、うんっ。でも、今度会っても脱がないからね!!」
「う~ん、脱がないと私には会えないんだよねぇ……」
「何か言った?」
「いえいえ!それではまた!」
名を名乗らなかった少女は神社前の長い石段を駆け下りて、その場で消えてしまった。まるでタイムスリップしたかのように……いや、まるでではないか。
穂乃果は突然少女が消えたのが目の錯覚だと信じたかったのか、何度も目を擦って階段先を眺める。だがそのあと夕日を見つめていたので、その明かりのせいで幻覚を見たのだと勘違いして納得したようだ。果てさて、その表情が驚愕に変わるのは何年後になるのだろうか。
「結局、最後まで不思議な子だったねあの子。なんとなくだけど、心当たりがあるような気がするんだよねぇ~」
「ほう、そこまでは悟ったか。流石、いつも感覚だけで生きているだけのことはある」
「馬鹿にしてるでしょそれ……。でも一体誰だったんだろ、あの女の子」
「未来だよ、俺たちの」
「未来……」
あの子を見ていたら穂乃果を、そしてμ'sのみんなを今よりももっともっと大切にしなければいけない、そんな決心が生まれてきた。あの子が名前を名乗らず、自分の情報を一切開示しなかったのは、恐らくそれを知った俺たちのせいで未来が歪むかもしれないからだろう。ま、そんなことで未来が変わっちまうと思うあの子もあの子でまだまだ甘いな。やっぱりあの子は穂乃果の――――いや、なんでもない。今日起こったことは、俺たちの中だけに閉まっておこう。
会いに行ってやるよ、また絶対に。穂乃果と、みんなと、今以上に幸せとなったその時に――――
謎の少女については本編で明らかにしませんでしたが、皆さんもちろん分かってますよね……?
SFっぽい描写はRPG編以来でした。そもそもそのようなシチュエーションは日常モノには合わなかったので今まで執筆してこなかったのですが、もう最終回も近いのでここで敢えて解禁。それにしても秋葉さんが便利すぎて思わず笑いが溢れてしまいます(笑)
そして今回で1月~2月編の章は終了で、次回から3月に突入します。「なんだあと1章あるじゃん」と思うかもしれませんが、高校では3月初めに卒業式を迎えることが多いので、本作もそれにあやかります。つまり――――あと2話!
次回は最終回の前編となります。また投稿遅れるかも……
新たに☆10評価をくださった
しょうぷーさん、鹿子様~!さん、お砂糖!さん
ありがとうございます!
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