「山登りに行きますわよ!!」
「「「「「「「「は……?」」」」」」」」
ダイヤの突拍子もない発言に、他のメンバーたちが疑問の声を上げる。
部室でのミーティングを終え、各々帰宅の用意をしている間に新たなる話題が舞い込んできた。今日はミーティングだけで練習もないため、みんな口々にどこかに遊びに行く予定を立てていた矢先の出来事だ。
「突然どうしたのダイヤ? また特訓? 流石に山登りは慣れてないとキツイと思うけど」
「違いますわ果南さん。私は最近浦の星女学院に広がっている噂の真実を確かめに行きたいのです」
「噂?」
「あっ、それ私も聞いたことがあります! 学内SNSでも話題になってますよね!」
「千歌ちゃん、その噂って……」
「梨子ちゃん知らないの?? 近くの裏山で夜、女性の笑い声が聞こえてくるって噂」
どうやら話題は夏恒例の心霊現象のことらしい。そういえば今日女の子たちとお昼ご飯を食べていた時にもそんな話題になってたな。職員室でもその噂について話している先生もいたし、噂の伝達スピードも然ることながら1つの話題でもちきりなのも流石地方の学校と言ったところか。
「じょ、女性の声……?」
「そう。山を登っていた人たちが聞いたんだって、どこからともなく響いてくる女性の笑い声をね……」
「ひぃ~~~~!!!!」
「おっと! 大丈夫かルビィ?」
「は、はぃぃ……」
あまり大丈夫そうに見えないんだがそれは……。
千歌が心霊番組のごとく暗いトーンで話すものだから、ルビィが怖がって隣にいた俺に抱きついてきた。見た目からビビリな子だとは思っていたが、たったあれだけの話で怖がるとは相当小心者らしい。まあ心霊モノは苦手な人は苦手だからな。某金髪クォーターのスクールアイドルみたいに。
「ふんっ、全くそんなことで怖がるなんてルビィも臆病ものね」
「そんなこと言って善子ちゃん、ちょっと身体が震えてるずら!」
「え゛っ……」
「Oh! 堕天使なのに幽霊が怖いとか驚きぃ~」
「ち、違うから!! ちょっと部室の冷房が効きすぎてるだけよ!!」
言い訳が苦しすぎるだろ……。鞠莉の言う通り、自ら堕天使を名乗っておきながら人間界のオカルト話(しかも噂)ごときで身体まで震えるとは善子も案外可愛いところがある。生放送でもかなり部屋を暗くしていたからその辺は平気だと思ってたよ。多分あれだな、堕天使の最中は平気なのだろう。だから素に戻ったあと夜中1人でトイレに行けない性格だと見た。
「とにかく! ここまで噂が大きくなってしまった以上、我々生徒会が噂の真実を確かめる必要があるということですわ!」
「なるほど、それで山登りを……面白そうですね!! 山の中で不気味に笑う声の正体を暴くために冒険に出掛ける。一度やってみたかったんだぁ~」
「曜ちゃん!? どうしてそんなやる気なの……?」
「梨子ちゃん、これが曜ちゃんの無駄な好奇心だよ……」
「無駄ってなに!? みんなは気にならないの声の正体。自らの力で正体を暴いて犯人を白日の元に晒す快感を味わいたくない?」
「珍しく曜ちゃんの血が滾ってる……」
曜はオカルト話が好きだと思っていたのだが、ただ怪しい声の正体を暴く快感を求めていただけなのね……。真実を突き止めた私カッコいい~みたいな。普段の2年生組は千歌がバカやってるイメージがあるから、曜がここまでハイテンションなのは始めてみた。今日だけでもAqoursの今までと違う一面を見られて面白いな。
「それでは皆さん、夜に裏山のふもとに集合ですわ!! 私たちAqoursが怪しい噂から浦の星を救うのです!!」
「えぇ~どうしてルビィもぉ~!? 生徒会のお姉ちゃんたちだけが行けばいいんじゃあ……」
「ルビィ、この程度のホラーすらも恐れていてはスクールアイドルは務まりませんわ!!」
「お前らバラエティ番組にでも進出するつもりかよ……」
「先生、あなたもサボらず集合してください!」
「はぁ!? どうして俺まで!!」
「顧問なのですから、私たちに引率するのが合理的ではありません?」
「俺はそんな理に縛られないんでね」
なんだよなんだよ!! 俺に時間外労働を申し渡すってか!? 冗談じゃねぇ!! 昼間は働いて夜は家でのびのびするのが俺のスタイルだ。ただでさえ教育実習は給料が出ないっていうのに、加えて夜までガキのお守りをしろだなんてめんどくさ過ぎる。例えその相手が女の子たちだったとしても、労働基準法という国家権力に反する気はさらさらない。
「まあまあいいじゃないですか先生! 教師としてもこの問題は放っておけないでしょ? それに私もちょっと興味ありますし♪」
「千歌……でもなぁ、俺は教育実習生であってマジモノの教師じゃないからその理屈は当てはまらないんだよ」
「しかしAqoursの顧問をやってる以上、もし私たちに何かあったら例え教育実習生であろうが責任は先生が背負わされますよ?」
「ぐっ、そ、それは……」
「それに引率してくれないと、色々とバラしちゃいますよ?
「お、お前なぁ……」
正直その脅しをされると俺からは一切反抗できない。しかも脅しの掛け方が以前よりもよりダイレクトになっているというか、もう容赦の欠片もないなコイツ。本当に俺に一目惚れして告白してきた奴なのかと疑ってしまうくらいだ。どうも俺に惚れる女の子はみんな一クセも二クセもある奴ばかりでいい意味で面倒だよ。
「まあそこまで言うなら行ってやるけど、果南や鞠莉たちはいいのか?」
「私は別にいいですよ。近隣住民の人たちが困っているなら見過ごせませんし」
「私も全然OK! 可愛い女の子の幽霊だとしたら一度見てみたいから♪」
「相変わらず神経図太いよなお前ら。それで曜は……聞かなくてもいいか、梨子は?」
「みんなが一緒に行くなら行きますけど……」
「なんだ? 怖いのか?」
「そりゃあさっきの話を聞く限りだと不気味ですし、気味が悪いですよ」
「だったらお留守番でもいいんだぞ。俺としてもお守りをする生徒の人数は少ない方がいい」
「1人でお留守番していても気になるだけですから行きますけどね!!」
どうしてそんなにツンデレ口調なのかは知らないが、この話を聞いた以上謎の声の正体を暴いて安心しないと1人で部屋にいられないのだろう。その証拠に梨子は若干冷汗をかいている。この調子で本当に大丈夫なんだか。どこぞの赤毛お嬢様でないにしろ、ツンデレ意識で変な意地を張って身を滅ぼすのだけはやめてくれよ。
そして果南と鞠莉は見た目だけでなく精神も大人なのか、余裕満々やる気上々のご様子。確かにコイツらがお化けにビビる姿は想像できない。お化け屋敷のお化けを怖らがらず逆に興味を持ってしまい、お化け役の人を困惑させるパターンの奴らだな。
「あとは1年組だが……花丸はいいとしても、ルビィと善子はアウトっぽいな」
「はぁ!? よ、ヨハネはお化けなんて別に怖いことなんて……」
「善子ちゃんさっきよりも身体の震えが激しくなってるずら……」
「善子って言うな!! ヨハネはヨハネ!! 地上の怪奇現象ごとき、堕天使ヨハネの力をもってすればすぐに収められるんだから」
「じゃあ善子は参加な」
「どうしてそうなるのよ!?」
「だってお前がいれば全部解決できるんだろ? 参加させない手はないだろ」
「アンタさっき参加人数は少ない方がいいって言ってなかったっけ……」
「お前が怪現象にビビる姿が見たいだけだ」
「本ッッッッッ当に陰険な野郎ね!!」
なんだろうな。本来はここまでチクチク攻める意地悪はしないタチなんだけど、善子だけは例外的に意地悪をしたくなってくる。これは小学生の男子が気になる女の子に意地悪をするあの感覚と多分一緒だ。反応が可愛いくて俺に反発的な女の子ほど逆にこっちから弄りたくなってくる。言うなれば抵抗してくる子ほど調教したくなってくるのと同じだ。
「ルビィはどうする? 大人しくお留守番してるか?」
「み、皆さんが行くのならルビィも勇気を出して行きます!!」
「おっ、偉いぞ! よしよし~」
「あっ……えへへ♪」
「なんか私の時とは対応違わない!?」
「そりゃあ虚勢や意地を張ってる奴とは扱いが違うに決まってんだろ」
「こんのエコひいき野郎ぉ……」
ルビィってどう見てもおどおどしている妹キャラにしか見えないから、妹キャラ好きにとっては無性に可愛がりたくなってくる。しかも普段から献身的に可愛がっていたためか、こうして頭を撫でてやるだけで笑顔になるくらいには懐かれていた。教育実習1日目にパンツを脱がしてしまった過去などもうとっくに忘れ去られているようだ。それにルビィを手懐けておけばダイヤに近づく口実もできるしね。よく言うだろ? 攻める時はまず外壁からって。
「それでは改めて、皆さん今日の19時に裏山のふもとに集合です! 各自時間までに夕食を済ませて万全な耐性で望むように!!」
そんな訳でAqours全員参加の山登り+怪現象調査が計画された。噂は所詮ただの噂、夜の山の中で女性の笑い声が聞こえるなんて有り得ねぇし、多分最初に聞いた人の空耳だとは思う。それよりも女子高生が夜に山登りする方がよっぽど危険なので、みんなをしっかり見張っておかなきゃいけねぇな。
~※~
「子供の頃に曜ちゃんと何度も登った山だけど、夜に来ると何だか景色が全然違うね……」
「千歌ちゃん、もしかして怖いの?」
「みんなと一緒にいれば大丈夫かな多分……アハハ」
ちゃんと指定通りの時間にふもとへ集合した俺たちは、現在絶賛山登りの最中だ。RPGのパーティのように縦に隊列を組みながら練り歩く。懐中電灯を持ったダイヤを先頭、俺を最後尾に置いて夜のダンジョンをズンズン突き進んでいた。俺たちの頭上は木々が邪魔して月明かりがあまり入り込んでいないので周りはかなり薄暗く、ここが心霊スポットと言われてもおかしくないくらいのムードは漂っている。
ちなみにここまでは特に変わった現象は起きておらず、むしろ鳥の声や風が木を揺らす音にビビるルビィや善子をなだめたりからかったりするのが精一杯で怪現象の解明については一切気が回っていなかった。
「ルビィちゃん大丈夫……?」
「うん、花丸ちゃんの背中にひっついていれば平気……」
「ちょっと歩きづらいずら……」
「離れちゃダメだよぉ~!! 花丸ちゃんが離れたらルビィ、この山の中で一生女性の怪しい声に頭をうなされて死んじゃうからぁ~!!」
「ちょっ!? ルビィ変なこと言わないでよ!!」
「だ、だってぇ~……」
1年生組は山の中に入って数十秒後からずっとこの調子である。いつもは落ち着いていて物静かな雰囲気の花丸が相対的にとても頼もしく見える。彼女はいつも通りにしているのに妙に貫禄を感じるのも、同級生2人のルビィと善子が情けないせいだからだろうか。
「梨子、顔が硬くなってるけど大丈夫か?」
「み、みんなが近くにいれば大丈夫です!!」
「まぁ、なんかあったら俺が守ってやるから」
「先生……ありがとうございます! 頼りにしてます♪」
「お、おぅ……」
強ばった表情からいきなり笑顔になったから驚いちまった。
そういや梨子の秘密を共有して以来、彼女との距離がグッと近くなった気がする。俺を威嚇してばかりだった彼女が嘘のように丸くなり、今や好意的に接してくれている。向こうから話しかけてくれることの方が多くなったり、作曲作業に誘ってくれるなど、心の扉をほぼ全開に開いてくれたみたいで良かったよ。それでも教育実習生とは言え一応教師の俺に対して結構積極的なような気もするけどな。
「「…………」」
「千歌、曜? なんだその目は……?」
「なんか梨子ちゃんと仲良くなってません? 最初はあんなに
「まあ色々あったんだよ、色々とな」
「ふ~ん……」
「何なんだよ一体……」
千歌と曜は俺と梨子を半ば睨みつける形で交互に見つめる。何を怒っているのかは知らないが、だからと言って梨子の秘密を喋ってしまう訳にもいかない。そもそも千歌と曜は旅館やプールでの一件以来、俺が他の女の子と仲良くしていると何故か機嫌を悪くする。もしかしてあれか、嫉妬って奴か? だとしたら急に2人の仕草が子供っぽく見えて微笑ましくなってきたぞ。
そんな中、先頭を歩いていた3年生組が後ろを振り向いて声を掛けてきた。
「先生。あまり騒がれると女性の笑い声とやらが聞こえないので静かにしてくれません?」
「いやいや騒いでるのは他の連中だから。俺はその対処をしているだけだから」
「先生ったら、みんなにモテモテだもんね! 私ジェラシー感じちゃう♪」
「お前本当にそう思ってんのか鞠莉……」
「私だってもっと先生と話したいけど、最近は千歌っちたちに邪魔されてちょっと激おこプンプン――――だって言ったら、先生はどう思う?」
「少しヤンデレっぽいなぁって。まあお前が本気でそう考えてるのなら、俺ももっとお前と仲良くなりたいと思わなくもない」
「そっかぁ……フフフ♪」
「そこまで嬉しいか……?」
なんか今日は幽霊騒動とか関係なく様子が読めない子たちが何人かいる。千歌たち2年生組とかその筆頭だし、鞠莉も幽霊退治に向かう表情とは思えないくらいの笑顔だ。やはり女心ってのは分からん。特に思春期の女の子の心なんて繊細すぎて、もう科学的にも論理的にも解明不可能だろう。
「ブレねぇのは花丸とお前くらいだよな、果南」
「そう見えますか? これでも緊張はしているんですけどね」
「さっきからダイヤよりも先頭に立って歩いてるじゃねぇか。それでよく言えたもんだ」
「この山は体力作りがてらに何度か登ったことがありますから。見慣れた風景だと少しは気持ちが楽になります」
「頼もしすぎるよ、このお姉さん……」
一応Aqoursのリーダーは千歌、ミーティングなどの仕切り役はダイヤが中心なのだが、実質的な権力は果南にあると言っても差支えない。特にダイヤの考える練習メニューはどこぞの大和撫子ちゃんを模倣したかのような過酷っぷりで、それに毎回メスを入れるのが果南。彼女のおかげでAqoursの基礎トレーニングや練習メニューが成り立っていると言ってもいい。まあ彼女はドライで目立ちたがりではない性格なゆえ、自分がリーダーになる気なんてないだろうけど。
そんなこんなで薄暗い山道を歩き続けていた俺たちは、夜空が満開に見えるほどの開けた場所に辿り着いた。夏なのに心地よいそよ風が吹き込んできてかなり涼しい。夜空には星が各々競うように輝き、もう幽霊の噂とかどうでもよくこの景色を見るためにここへ来たと言っても良さそうなくらいだ。
「それでは一旦ここで休憩にしましょう。慣れない山道で皆さんお疲れのようですし」
「山道っていうか、本当かどうかすらも分からない幽霊にビビって精神的に疲れてるだけだろうがな」
「でもここまで登っても何もないということは、やはり噂は所詮噂だったのかもしれませんわね」
もしかしたら俺たちがギャーギャーと賑やかなせいで幽霊さんの方から逃げ出してしまったのかもしれない。まあどちらにせよ、サッサと帰ってゆっくりできるのならそれに越したことはないな。まだ明日も授業があるのに、これ以上山登りで体力を削られるなんてまっぴらゴメンだ。
さっきまで震えていた善子やルビィも同じことを考えて落ち着いてきたのか、もう花丸に抱きついてなくても大丈夫っぽいし、梨子も普通のテンションで千歌や曜と喋っている。みんなはもう安心しきって完全に帰宅モードになっていた。
しかし、その安堵な雰囲気は一瞬の内に消え去ることとなる。
どこからともなく、不意に女性の声が聞こえてきた。
『あっ、良さそうな人発見! ウフフフ……♪』
ルビィや善子だけではない、さっきまで平然としていたダイヤたちの背中もビクリと跳ねる。誰がどう聞いてもさっきの声がAqoursのメンバーではないと分かったからだ。しかもその声は上空から聞こえてきた。そこで改めて俺たちが何を目的でここへ訪れたのかを思い知らされる。
幽霊騒動。
元凶の声が全員の耳に聞こえていたという事実が空耳でないと確信させ、Aqoursのみんなに更なる恐怖を与える。声を聞いてしまった以上、いかに相手が幽霊だろうと正体を確かめざるを得ない。このまま逃げてもいいが、結局その後も幽霊の正体という"謎"に振り回されるだけなので逃げるに逃げられない。それが人間の本能である。
もし本当の幽霊だったら正体を見た瞬間にどうなるのか分かったものじゃない。でもこのまま見過ごせない恐怖に満ちた興味が襲いかかる。
俺を含め、みんなは反射的に首を上げた。
「ひぃっ!?!?」
「え……?」
咄嗟に声を上げそうになったのはルビィだ。上空には俺たちの想像通り女性の幽霊が漂っていた。半透明で足はなく、下半身が一反木綿のような絵本に描かれているみたいな幽霊だ。ソイツがこちらを見下げながら、笑顔でふわふわと旋回しながら飛んでいる。何をそんなに嬉しそうなのかは知らないが、どこか俺たちに会えて嬉しそうな感じではある。謎の光景に全く声も出ず唖然とする俺たちだが、それ以上に俺は思うところがあった。
この幽霊、超エロ可愛いんだけど!!
見た目は千歌たちと同じ高校生くらいの女の子で、背中まである藍色の髪+三つ編みで幽霊らしく白の三角巾を付けている。目はぱっちりとしていて幼さを感じさせ、服は絵本の幽霊が着ているような白い着物だ。そして何より目を惹くのは、鞠莉にも匹敵する大ボリュームの胸だ。ていうか目測は鞠莉よりも大きく、下手をしたら高校時代のあのスピリチュアルガールよりもデカイ。しかも着ているのが薄い着物だから余計にその乳袋が強調されている。だからもう俺は相手が幽霊と認識する以前にその女の子の身体にしか興味を唆られていなかった。
『ありゃりゃ? みんな石像みたいに固まっちゃってる……』
幽霊ちゃんが首を傾げながら呟く。
みんなを見てみると唖然としたまま石像のように動かないため、ここは顧問として俺が幽霊少女に問いかけるべきだろう。とは言っても、聞きたいことが山積みだからなんて声を掛ければいいのかも疑問だが。とりあえず日本語を喋っているみたいなので意思疎通ぐらいはできるだろう。
てか、幽霊見ても取り乱さないとは俺って相当訓練されてるなぁ。主に
「おいお前、巷で噂の幽霊ちゃんか?」
『噂かどうかは分かりませんけど、この山で残留思念として残っている幽霊なら私のことですよ!』
「幽霊のくせにやけに雰囲気明るいな……」
『生前は明るいのが取り柄でしたから♪』
「幽霊のイメージが崩れそうだ……」
最強に大きいおっぱいをぷるんと揺らしながら胸を張って自慢をする幽霊ちゃん。生前ってことはやはり死んでいるのだろうが、生きていた頃はその胸で幾多の男の欲情を唆ったに違いない。相手が幽霊だろうとおっぱいばかりに注目している辺り、いかに俺が救いようのない人間かも分かってもらえただろう。
まあ今はそんなことより幽霊ちゃんだ。さっきも言ったけど雰囲気がとことん明るすぎて、幽霊を相手にしている感じがしないんだよな。
『その幽霊って呼び方はやめてください! ちゃんと
「何故上から目線? それに自分の名前を自画自賛する奴なんて初めて見たぞ……。まぁいいや、じゃあ愛莉」
『はいっ! なんでしょうか!!』
「いちいちテンション高いなオイ……。お前さ、噂だと笑い声で山登りに来た人を驚かせているって聞いてるんだけど本当か?」
『嫌だなぁ人聞きの悪い! 私はただ素敵な男性を探していただけですよ♪ 私に見合う男性を』
「はぁ?」
この幽霊ちゃん、もとい愛莉はかなり痛い子のようだ。まだ出会って数秒だけど俺の直感がそう語っている。これ以上コイツに関わったらロクなことにならないことも俺の勘が告げてるし、もう帰りたくなってきたんだけど……。もう幾度となく面倒事に巻き込まれた俺なら分かる、コイツに関わるとマズイ!!
『でも山に登ってくる男性はみんな年配の人や顔が微妙な人ばかりで、全然イケメンさんが登ってこないんですもん。そりゃあ腹が立って驚かしちゃいますよ♪』
「何やってんだよ全く……」
『でも待ちに待ってようやく現れたんです!! 私が求め続けてきた完璧な男性が!! これ以上にないってくらいの逸材が!!』
「も、もしかしてそれって俺!?」
『はいっ♪ ようやく私が成仏できる日が来たんですよ!!』
「成仏……?」
『あっ、そう言えば私が成仏する条件を言ってませんでしたね。それは――――』
またしても俺の直感が震えだす。
その条件を聞いてはダメだ。だがもう彼女の口は止まらない。
『セックスですよ! セックス!!』
そこで俺とAqoursの9人の空気は、更に凍りついた……。
To Be Continued……
今回は初めてAqoursが9人全員揃ったということで、もしかしたら会話中に誰が喋っているのか分かりづらかったかも……。一応分かるように努力はしたつもりなので、あとは皆さんの鍛えられた妄想力を活かして脳内補完してください(笑)
次回の後編は――――
幽霊である本城愛莉が成仏する条件。それは愛莉が気に入った男性とセックスすることだった! しかし愛莉は幽霊、実体がなければヤることはできない。そこで愛莉は幽霊の憑依能力を活かして、Aqoursのメンバーの1人に取り憑くことでその条件を達成しようとする。つまり彼女を成仏させるためには、Aqoursの誰かが零とセックスをしなければならないことに……!?
ちなみに今年の投稿はこれにて終了です。μ's編が終了しAqours編に移行しましたが、Aqoursのキャラもμ'sのキャラに負けないくらい濃く、そしてエロ可愛く描いていくので来年も引き続きご愛読いただければ幸いです。
新たに☆10評価をくださった
sinこうのとりさん、西木野琉衛さん
ありがとうございます!
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