ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~   作:薮椿

216 / 395
 今回からμ's襲来編に突入します!
 その記念すべき一発目はやっぱりこの子から!


μ's&Aqoursとの日常
穂乃果と千歌、本妻と現地妻!?(前編)


 俺が浦の星女学院へ教育実習に来てから1週間が経過した。生まれも育ちもずっと東京だったので最初はこの田舎臭い雰囲気の内浦に慣れなかったのだが、住めば都という言葉の如く、1週間も経てばもう長年住居を構えているご老人かのようにここに馴染んでいた。近所の人たちの優しさも暖かく、環境が変わって戸惑っている俺に率先してあれこれ教えてくれたことは感謝している。Aqoursのみんなが地元を愛し、その学校に活気を取り戻そうとする理由も分かった気がするな。

 

 そう、俺の周りの環境が劇的に変わった大きな要因はAqoursだ。教育実習でまさかスクールアイドルの顧問をやらされることになるとは思ってもなかったけど、μ'sとの平凡は日々に少し刺激が欲しかったところではあるので、彼女たちとの出会いは平和ボケしていた自分へのいい清涼剤になったと思う。もちろんμ'sとの日々が退屈だってことではなく、単純にもっとこう女の子との出会いが欲しかったわけだよ。男ならば20歳を過ぎてから恋しくなるJKのピチピチさが分かるだろ?

 

 そしてμ'sとは適度に連絡を取り合って、電話で声も聞かせつつみんなが寂しくならないように一応心がけてはいる。そうでもしないとまた連絡用アプリに千単位で通知が送りつけられてくるからなぁ……。一体どんな顔をして1000件も連絡を送りつけてくるのか、想像するだけで背筋が凍る。しっかりご機嫌を取っておかないと何をされるのか分かったものじゃねぇから。

 

 そんな訳で俺はμ'sの相手もしつつAqoursの相手もしながら毎日を過ごしている。もう両手に花どころか全身に花レベルなのだが、たくさんの可愛い女の子に囲まれたり求められたりするのは悪くない。むしろご主人様気質の俺にとっては非常に気持ちがいい。でも考えてみれば20人以上を股に掛けてるって相当、いや光源氏と同等の畜生なのでは……? ま、いっか。

 

 

 ちなみに俺がブラついているのは駅前のショッピングモール……と言っていいのかは分からないが、とにかく店が軒を連ねているところだ。都会出身だからついつい東京の街並みと比べてしまうのが悪い癖だが、この街の人たちにとっては休日の遊び場に最適な場所だろう。まあ俺は遊びに来たんじゃなくて、ただこの先数日分の飯の食材を買いに来ただけだけどね。

 

 そんな中、唐突に後ろからドタドタと足音が聞こえてきた。

 

 

「せんせ~~ドーーーンッ!!」

「がぁっ!? な、なんだなんだ!?」

 

 

 道を歩いていたら突然背中を刺され――――突撃される事案が発生! 俺はその衝撃で身体が逆"くの字"になりながら吹き飛ばされる。どうやら誰かがラグビー選手並のパワーで俺の腰に突撃してきたようだが、そんなことを明るい声+笑顔でやりそうな奴は自分の知っている中で1人だけだ。

 

 

「いってぇ!! 何すんだ、千歌!!」

「えへへ、たまたま先生に会えたのが嬉しくなっちゃって♪」

「愛情の伝え方が激しすぎるんだよ……」

 

 

 予想通り、俺をひき殺す勢いで突撃してきたのは千歌だった。彼女は満面の笑みで腰をさする俺を眺め、全然申し訳なさそうにしていない。あの告白以来好意の伝え方が目に見えて分かるようになってきたのだが、段々とスキンシップが激しくなってきたので流石に身体がもたなくなってきたぞ……。

 

 

「こんなところで何をしてるんですか?」

「ただの買い物だよ。お前は?」

「私も漫画とか服とか見ようかなぁと思って。でもまさか先生に会えるなんて本当にラッキー♪」

「1つ言っておくけど、1円も奢る気はないからな」

「私がそんながめつい人間だと思いますぅ? こんなに純粋な女の子なのに!」

「お前、俺に幾度となく脅迫してきた事実を忘れてるだろ……」

 

 

 都合のいいように過去を改竄しやがってコイツ。俺だって痴漢やセクハラの事実が消せるなら消したいっつうの。でもあの痴漢がなかったらここまで仲良くなっていなかったのかもしれないし、それ以前に出会ってすらなかったかもな。そう考えるとたまには犯罪もアリだなって思うよ。そう、痴漢がバレても相手を懐柔して自分に惚れさせてしまえば無罪なんだ!!

 

 

「せっかくなので、一緒に買い物しませんか? あっ、でもこれってデートなのかな……」

「ん? どうしたブツブツ言って?」

「い、いえ!! 先生のお時間があるなら一緒にお店とか回りたいなぁ~って」

「別にいいぞ。むしろ内浦では買い物処女だから案内とか頼みたい」

「ありがとうございます♪ では行きましょう!!」

 

 

 いつもテンションの高い千歌だが、今日はその数倍も張り切っているように見える。俺に会えて嬉しいのは分かるけど、Aqoursは内浦ではもう名の知れたスクールアイドルだ。だからそのリーダーと顧問がデート紛いなことをしていると周りに知られたら、ファンから背中を刺されてしまうかもしれない。地方の情報伝達網は光よりも早いからな、注意しないと……。

 

 そしてしばらく2人並んで歩いているが、さっきからずっと千歌が何か言いたげにそわそわしている。頬を染めながらこちらの顔を覗き込んでくるので俺も見つめ返してやったら、今度は身体をビクッと震わせてそっぽを向いてしまう。何もないのかよと思って彼女から目を離すと、その機会を狙ってかまた俺のことを見つめて――――と、さっきからこの繰り返しなのだ。俺は彼女の絵に描いたような思春期少女の様子にどこか愛おしさを覚えた。μ'sに変態が多くなってしまったせいだろう、こうした純情な立ち振る舞いは新鮮すぎる。

 

 

「可愛いな……」

「えっ!? い、今なんて言いました!?」

「あっ、もしかして声に出てたか……」

「~~~ッッ!!!!」

 

 

 千歌の顔が燃え上がるように赤くなる。心の中で呟いていたことが直接口に出てしまうのは俺の悪い癖だ。妄想癖からのコンボで女の子に己の変態思考回路がダダ漏れとなる。特にキザっぽい発言を狙った訳はないのだが、無自覚にこう言ってしまう辺り俺ってラノベやエロゲの主人公みたいだな……。もちろんそんな気は一切ないのだが。

 

 そこで千歌は覚悟を決めたような表情でこちらに向き直る。あの時の告白とほぼ似た表情なのだが、流石にここは街中だぞ!? 無理矢理大人数の前で告白して、周りの雰囲気で断れないようにする策略か……!? Aqoursの小悪魔であるコイツのことだ、有り得なくもない。

 

 しかし、今後起こる展開は俺の予想を遥かに上回っていた。告白の話なんてものの一瞬で忘れ去ってしまうくらいには……。

 

 

「先生!! て、手を繋ぎ――――」

 

 

 

 

「あぁあああああああああああああああっ!!!! いたぁああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 

 

「えっ?」

「へ……?」

 

 

 ムードを完膚なきまでにブチ壊す大声が響く。あまりに都合よく割り込んできた声に、俺と千歌は目を丸くして声の発生源を確かめた。

 

 その声は、今まで何年もの発声練習で鍛えられたようなよく透き通る声。声色だけでも美しい歌唱力を秘めていると感じられるが、声調が大きく元気なため幼気も入り混じっている。そしてなにより姿を見なくても伝わってくる、ほのぼのとしながらも太陽のように明るいオーラ。俺はこの声とオーラの持ち主を知りすぎるほど知っている。知っているというか、俺の隣で共に人生を歩んでいる女の子の1人だ。

 

 ソイツの正体はもう誰もがご存知――――

 

 

「ほ、穂乃果!?」

「うんっ! 数日ぶりだね、零君♪」

 

 

 千歌に負けない満面の笑顔でこちらに駆け寄ってきたのは、我らがμ'sのリーダーである高坂穂乃果だ。髪は高校時代と比べれば少し長髪となり、サイドポニーは解かれストレートにしているため大人の女性の気質が増している。しかしその中でもくりくりとした目で子供っぽさを感じさせているのは変わらず、無邪気な性格もそのままなのでこんなことを言うのは本人に申し訳ないが、高校時代と比べて成長したとは言いづらい。子供がそのまま大人になったと言えば分かるだろうか。もちろん全く変わってない訳ではなく、胸とかスタイルは明らかに男を惑わす蠱惑的なアダルトボディに進化していた。

 

 

「お前、どうしてここにいるんだよ!?」

「どうしてって、零君に会いたかったからに決まってるじゃん♪」

「それはそれでいいけどさ、事前にアポ取れよな。いきなり現れたからビックリしたぞ……」

「だってビックリさせるために来たんだもん。念には念を入れてみんなにも内緒にしてね」

「えっ、誰にも言ってないのかよ!?」

「うんっ! 抜け駆けした気分だけど、みんなより一足先に零君に会えて嬉しいなぁ♪」

「お、おい穂乃果……」

 

 

 穂乃果は()()()()()()()俺の腕に絡みつき、周りに見せつけるようにいちゃついてくる。俺が教育実習でしばらく自分の元を離れていたから相当寂しかったのだろう。ここへ来た当初はみんなからの連絡が凄まじかったが、最近はかなり落ち着いてきた。それでも穂乃果やことり、楓からはまだまだ1日1回に電話するほどである。だからこそなおさら俺と再会できたことが嬉しいに違いない。穂乃果は頬を俺の肩に摺り寄せ、まるで小動物かのようにじゃれてくる。

 

 そんな経緯があるからこそたっぷり穂乃果の相手をしてやりたいのだが、ここで呆然と立ち尽くしている少女が1人いる。千歌は目の前で一体何が起こったのか、躊躇なく俺に抱きついている女性は誰なのか、"穂乃果"と言っていたが自分の憧れのあの"穂乃果"なのか。とにかく頭にハテナマークをたくさん浮かべていた。

 

 

「あ、あのぉ~その方は?」

「ん? あなたは……?」

 

 

 ここで初めてμ'sのリーダーである穂乃果と、Aqoursのリーダーである千歌が対面した。2人はじっと見つめあったまま相手の存在を認識する。お互いに相手に何か運命的なものでも感じたのだろうか? 俺もこの2人の邂逅は、言葉では言い表せないくらい特別なものだと思う。

 

 

「おい穂乃果、あの頃の髪型に戻してみろ」

「う、うん、いいけど……どうして?」

「いいから早く。それで千歌とも仲良くなれるだろうからさ」

 

 

 穂乃果はポケットからリボンを取り出すと、髪の右側を整えてリボンで結びポニーテールを作る。そう、このサイドポニーの髪型はまさに高校生時代の彼女と同じだ。スクールアイドルをやめた影響と大学の進学を機にサイドポニーを外したのだが、やっぱりこの髪型の方が穂乃果らしいな。

 

 そしてそんな穂乃果の髪型を見た千歌は、先程まで丸くしていた目に更に仰天の色を加えて身体まで震わせていた。何かを言いたそうにしているが、憧れの的を目の前に様々な感情が湧き上がってきて逆に何を喋っていいのか分からないのだろう。

 

 少し間を置いたあと、千歌は大声を上げた。

 

 

「えっ……あっ……いっ……え……え、え゛ぇ゛ぇ゛ぇえ゛ええええええええええええええええええええ!?!? こ、高坂穂乃果さん!?」

「驚くの遅いな。やっぱ今まで混乱してたのか」

「だ、だってあの穂乃果さんですよ!? め、目の前にあの穂乃果さん!? ほ、本物!? 夢だよこれはきっと夢だ!!」

「穂乃果には何が何だかさっぱりだけど、とりあえず穂乃果もあなたもちゃんと現実で生きてるよ……」

「最近はバーチャルリアリティという技術もありますから、これは巧妙に仕組まれた私へのドッキリなんですよね!? まだスクールアイドルになりたてなのに、もうこんなバラエティみたいな企画をやっちゃってるんですか!? 分かった、仕掛け人は曜ちゃんだな?? こんなこと面白がってやるの曜ちゃんくらいだもん!!」

「お前さっきから目が回ってるぞ落ち着け!! それにサラッと曜の悪態を晒してんじゃねぇ!!」

 

 

 穂乃果の大ファンである千歌だ、突然目の前に憧れのスクールアイドルが現れたらそんな反応をしてしまうのも分からなくもない。だが流石に大袈裟過ぎるというか、ドッキリっていう発想に至る辺り本当に現実逃避してしまうほど驚いているのだろう。

 

 千歌もそうだが穂乃果もかなり混乱しているようなので、ここはまず俺が落ち着いて1人ずつ順番に相手のことについて説明してやろう。穂乃果を目の当たりにした千歌をこのまま放っておけば、発情したサル同士の性交渉のように体力が尽きてもなお暴走し続けるだろうからな。

 

 しかしだ、お互いをどう説明しようか迷いどころではある。穂乃果に千歌を説明したら、まずAqoursのことについて洗いざらい尋問され、俺がまた不用意に女の子たちと関わっていることがバレてしまう。そうなればその情報がμ's全員に伝達され、また勝手に女の子を惚れ込ませていることに罵倒、軽蔑、嫉妬等々あらゆる非難轟々の言葉を浴びせられるに違いない。

 そして千歌に穂乃果を説明する場合、まず恋人同士だってことを悟れないようにしないといけない。一応まだ隠してるからな、俺が12股をしてるって事実は。

 

 でも逃げていてもいずれは俺が彼女たちを紹介しなければならない。ここは隠すべきところだけは隠して素直に言っちゃうか。

 

 

「穂乃果、この子は高海千歌。この街でスクールアイドルをやっているんだ」

「スクールアイドル!? へぇ~だからさっき穂乃果と近いものを感じたんだね!」

「わ、私も同じです!! まさか穂乃果さんと同じものを感じられるなんて……感動です!!」

「もう穂乃果関連なら何でも感動するんだろお前……」

「よしっ、穂乃果のモットーは出会って3秒でお友達! よろしくね千歌ちゃん♪」

「よ、よろしくお願いします!!」

 

 

 差し出された穂乃果の手を、千歌がギュッと握り締めて握手を交わす。

 千歌の奴、さっきまで震えていたと思ったら今度はガチガチに緊張してやがる。まあ夢の人だと思ってた穂乃果が突然現れたんだから無理もないか。千歌は誰とでもすぐに打ち解けるほどコミュ力が高いが、ここまで相手に一歩引いた姿勢を取る彼女は珍しい。しかし握手を交わしたことで少しは緊張の糸も解れたのか、さっきよりも表情は柔らかくなっていた。

 

 

「私はAqoursってグループでスクールアイドルをやっているんですけど、知ってますかね……?」

「う~ん……ゴメン!! 最近スクールアイドルが多すぎて全然把握しきれてないんだ……」

「デスヨネ~……」

「でも友達になったこれを機にPVとかライブ映像とか見てみるよ! えぇと、アクア……だっけ?」

「はい、英字で綴りがちょっと難しいんですけど」

「じゃあ穂乃果が千歌たちのライブ映像を拝むのは無理だな。英語能力が死んでるせいでネットで検索すらできないから」

「そこっ、失礼だよ!!」

 

 

 失礼も何も事実なんだから仕方ないだろうよ。いくら受験勉強でことりや海未とほぼ同じ学力まで賢くなったとはいえ、数学と英語だけはまだまだ苦手な部類である。まずあの穂乃果が賢くなったって時点で世界崩壊の次に衝撃的なことなんだけど。

 

 だがしかし、そんなことよりももっと衝撃的な展開が訪れようとしていた。

 

 

「そう言えば、先生と穂乃果さんはどのような関係なんですか?」

「あっ、それ穂乃果も聞きたかったんだ! 千歌ちゃんとはどういう関係なの零君?」

「え゛っ、そ、それはぁ……」

「先生!!」

「零君!!」

「ちょっ……近い!!」

 

 

 穂乃果と千歌は並んで俺へと詰め寄ってきた。その勢いに圧倒された俺は後ずさりをするが、背中が電柱にぶつかってしまいとうとう逃げ道がなくなってしまう。さっきまでの和やかなムードが一転、2人の表情に少々嫉妬の色が見え始め空気が淀んできた。

 

 こ、これっていわゆる修羅場展開ってやつなのか!? いやでもまだ2人の嫉妬メーターはそれほど伸びきってはいないから、女心を上手く汲み取って穏便に落ち着かせればこの場を切り抜けられるチャンスはある。女心に疎い俺にとっては地獄の試練なのだが、過去に何度も修羅場展開を経験して解決してきたことからやってやれないことはない。まあ最終的に胃に穴が空きそうで死にかけるんだけどな……。

 

 

「千歌とは教師と生徒の関係だよ……それだけ」

「えっ、顧問と教え子の関係でもありますよね? 副担任だけじゃなくAqoursの顧問もしてくれているのに」

「こ、顧問!? その情報初耳なんだけど!! どういうこと零君!!」

「べ、別に隠すつもりはなかったんだ! でも言うタイミングがなくてな……」

「そんなの電話でも何でも言えるじゃん!!」

「ごもっともで……」

 

 

 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!! 本格的に俺の立場が危うくなってきた。穂乃果も俺にじゃれついていた時とは違って若干口調がヤンデレ調になってるし、その雰囲気が明らかに怒りと嫉妬のオーラに満ちている。命をかけて挑んだ試練だが、開始数秒で脱落してしまいそうだ。

 

 

「先生、穂乃果さんとの関係は?」

「穂乃果とはあれだよ、友達だよ友達。そう友達」

「なに友達って!? 穂乃果たち恋人――――」

「あ゛ぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああ!! 熱くなりすぎだぞ穂乃果!!」

「あっ……ご、ゴメン」

 

 

 μ'sの12人を恋人にしてイキっているのはいいが、世間体から見れば最低最悪なことをしているのには変わりない。だから俺と穂乃果たちが恋人同士であるという情報は長年ずっと封印し続けているのだ。まあ仲のいい友達には雰囲気からバレているのだが、だからといってこちらからバラす必要はない。千歌なら信用できるし話してもいいかもしれないが、例外を認めると情報管理が難しくなるから誰であっても特別視するのはなしだ。まあ今回のように穂乃果たちが熱くなってバレてしまいそうになったことは何回もあったがな……。

 

 

「さっき耳障りな言葉が聞こえた気がしましたが、それは気のせいですよね? ですよね??」

「どうして2回言った……。そして目が据わってるんだけど千歌さん……」

「別に怒ってもないですし嫉妬もしていません。だって先生が毎日私たちに手取り足取りスクールアイドルとして、そして女性としてのノウハウを教えてくださっているんですから」

「はぁ!? それって一体どういうこと零君!!」

「千歌が勝手に話を誇張しているだけだ!! 俺は至って真面目に指導してるから!!」

「ふんっ! 零君ってば可愛い女の子が相手だったらす~ぐ手を出しちゃうんだから!!」

「言い返せないのがキツイ……」

 

 

 明らかに怒ってるし嫉妬もしている千歌が放った事実無根の言葉に、穂乃果がまんまと乗せられてしまった。もう終息不可能な殺伐とした雰囲気となってしまい、俺の胃がキリキリと痛みを発し始める。穂乃果はジト目で俺を睨み、千歌は憧れの穂乃果を挑発する言葉を選ぶほどに病み成分が浸透している。あぁ、自分自身が元凶なんだけど誰か助けて……。

 

 

「千歌ちゃん、ちなみに聞くけどAqoursは何人グループなの?」

「9人ですよ。みんな先生からの手解きをねっとりと受けてますから。毎日毎日休まずに……」

「おい千歌、さっきからどうした!? 目が怖いんだけど!?」

「9人……ふ~ん、零君ってば毎日可愛いスクールアイドルたちといちゃいちゃしてるんだぁ~。零君がいなくてずっと寂しがってる穂乃果を差し置いて、毎日淫らなことばっかりしてるんだぁ~ふ~ん……」

「そこまでは断じてやってない!!」

 

 

 最悪他の事実は揉み消されてもいいけど、Aqoursのみんなと淫行をしているって無実の罪だけは訴え続けるぞ。そんな虚偽の情報が広まって教師生活だけでなく人生も終了させられたらたまったものではない。ただでさえ12股っていう最悪なことをしてんのに……。

 

 そして穂乃果もヤンデレ成分が色濃くなってきた。光彩が徐々に消えかけているのがその証拠だ。もうヤンデレの相手は5年前のあの時を経験してるから懲り懲りなんだよ!!

 

 だが俺の胃の痛みが更に激しくなる事態が起きる。

 左腕が急に人肌に包まれた。そう、千歌が俺の左腕に絡みついてきたのだ。それはもう全身を密着させる勢いでベッタリと。

 

 

「ち、千歌さん……?」

「自分でもよく分からないですけど、こうしたくなりました」

「千歌ちゃんズルいよ!! じゃあ穂乃果も!!」

「お、おい穂乃果!?」

 

 

 そして千歌に対抗するように穂乃果が俺の右腕へと絡みついてきた。2人共自分の胸を俺の腕に押し当てるように絡み付いてくるため、振りほどこうと思ってもその柔らかさと気持ちよさで力が抜けてしまう。穂乃果の胸が成長していることは知っているが、千歌も高校生にしてはかなり大きい部類だったと初めて知った。あぁ、2人と世間の目が許せばこの場で揉み比べをしたい……。

 

 いやいや、今はそんなことよりもこの修羅場だろう!?

 2人は再び見つめ合っているが、その目線はファーストコンタクトとは全く違う火花を散らした目線。バチバチという効果音が本当に聞こえてきそうなくらいお互いは目線を衝突させている。もうその目線だけで相手の目を焼き殺せそうなくらいだ。

 

 

「穂乃果さん、今は夏なんです。2人も抱きついたら先生が暑いと思います!!」

「穂乃果は季節関係なく毎日こうしてるもん!!」

「私だって毎日こうしてますよ!!」

「あれ、そうだっけ??」

「「う゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」」

 

 

 穂乃果と千歌は獣のように唸りながら、更に相手を威嚇する。

 そして俺はまだ気付かなかった。この修羅場はまだまだ序の口だという事実を――――

 

 

To Be Continued……




 いやぁ女の子の嫉妬は怖いですね。皆さんも安易にハーレムを作らないようにしましょう()

 μ'sとAqoursの絡みがある小説はハーメルンでも少ないので、これを機にμ's&Aqoursのコラボと言えば『新日常』と言われるくらいに頑張って執筆していこうと思います。


 次回は怒涛の後半戦。穂乃果と千歌の旦那奪い合い合戦が更にヒートアップする予感!?



新たに☆10評価をくださった

雨之雀さん、synchroさん、Re:ラムレムは正義、須坂徹さん

ありがとうございます!新年からたくさんの高評価嬉しいです!


Twitter
https://twitter.com/CamelliaDahlia

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。