ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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穂乃果と千歌のドロドロ修羅修羅したお話の後半戦。
両者の熱気は更にヒートアップし、あることないことの爆弾発言まで……?


穂乃果と千歌、本妻と現地妻!?(後編)

 

 穂乃果と千歌の啀み合いは今なお続いている。

 結局俺たちは3人で買い物をすることになったのだが、歩いている途中も相変わらず右腕に穂乃果、左腕に千歌という両手に花状態だ。一般男性からしてみればμ'sとAqoursの両リーダーと同時にデート紛いなことができるなんて夢のような光景なんだけど、雰囲気はどんよりとした修羅場で胃がキリキリとして体調に良くない。愛をたっぷりと向けられるのは嫌いじゃないしむしろ大好きな部類だが、こうも空気が悪いと素直に喜べないのが俺である。さてはてどうしたものかなぁ~……。

 

 

「お前ら、同じスクールアイドルなんだしもっと仲良くしたらどうだ?」

「穂乃果さんが先生から離れてくれたら仲良くします」

「千歌ちゃんが零君から離れてくれたら仲良くするよ」

「全く同じセリフ……似た者同士だな」

「「どこがっ!?」」

 

 

 何だかんだで息ピッタリじゃねぇか……。元々この2人の性格は似ているところがあって、例えばいつも元気で明るいところや何も考えず猪突猛進で突き進むところ、リーダーを務めるだけのカリスマ性など挙げていけばキリがない。類は友を呼ぶという言葉がある通り、この2人が巡り合うのは必然だったのかもしれない。しかし同族嫌悪という言葉もあるように、出会ってしまったが故の惨事が俺を巻き込んで行われているのだが……。

 

 穂乃果も千歌も俺の腕に抱きつくパワーが歩を進めるたびに上がっている。俺の身体が右側、つまり穂乃果側に傾いたら千歌の抱きつく力が増し、左側である千歌側に倒れたら穂乃果の抱きつく力が増す。お互いに少しでも俺をこっちに引き寄せようと無言のバトルが繰り広げられていた。そこまで好意を抱かれていることは非常に嬉しいのだが、この板挟みはやはり体調に悪い。

 

 

「穂乃果の方が零君のことたくさん知ってるもん!」

「それは長い付き合いの穂乃果さんが有利ですけど、私だってこの数日ずっと先生と一緒にいて先生のあることないことたくさん知りましたから!!」

「ずっと一緒!? 零君、もしかして千歌ちゃんと一緒に暮らしてたりとか……?」

「暮らしてねぇから!! てかお前、俺が秋葉と一緒に暮らしてること知ってるだろ!? それにその光を失った目をやめてくれ心臓に悪いから……」

「ウチ旅館ですから部屋もたくさんありますし、先生とお姉さんがよければ私と一緒に暮らしませんか? 海の旅館ならではの新鮮な料理も振る舞えます。それに先生がよろしければ、私が夜のお相手なんかも……」

「残念でした! 零君がそんな単調な色仕掛けで釣られる訳ないよ!!」

「…………」

 

 

 いや、一瞬どころかかなり千歌に靡きそうになったとは恋人の前で言い出せまい……。だって旅館の部屋で女の子と浴衣を着ながら身体を暖め合うなんて男のロマンじゃねぇか! しかも現役JKでスクールアイドルの超絶美少女が、自分の腕に胸を擦り付けながら誘ってくるんだぞ? そんなの恋人持ちでも浮気しそうになるだろ許してくれよ!!

 

 

「零君また気持ち悪い顔してる……このことみんなに言うからね」

「ちょっ、待て!! なんでもするからそれだけはやめろ!!」

「今しっかり言質取ったよ!! だったら今晩は零君の家でずっこんばっこんと……」

「はぁ!? 先生と穂乃果さんって、もしかしてそんな関係だったんですか!?」

 

 

 やべぇ!? また穂乃果がデッドヒートして俺たちの関係を漏らそうとしてやがる!? おバカで察しのよくない千歌でも顔を赤くして追求してくるくらいだし、もう隠そうにも頭隠して尻隠さず状態になっちまってる。

 

 

「た、ただちょっとお互いの家に泊まったりしてるだけだよ。そんなエロいことなんてしてる訳が……なぁ?」

「…………」

「お、おい否定しろよ!!」

「…………してるって言ったら、千歌ちゃんはどうする?」

「えっ……そ、そうですね、とりあえず私にも手を出してもらいます」

「なんでそうなるんだよ!?」

 

 

 穂乃果のもう隠す気のない発言にも驚いたが、千歌が至って真顔で答えたことにも目が飛び出しそうになった。もうヤケクソになっているのかは知らないが、以前告白してきた時の乙女チックな彼女はどこへ行ったのか……。幽霊騒動の時も自ら俺との性交渉を買って出てたし、この子も穂乃果と同じく段々淫乱思考に染まりつつあるようだ。俺の周りの女の子って淫乱しかいような気がしてきた。いや、むしろ俺が無自覚の間に染めてしまっているのか……。

 

 

「ダメダメ!! 零君の身体は穂乃果のモノなんだから!! 零君は穂乃果の性欲処理専用だよ!!」

「人をダッチワイフみたいな言い方すんな!! それに男なのにダッチワイフってもう意味分かんねぇな!!」

「だったら私は先生の性欲処理のお人形さんでも全然大丈夫ですから!! だから一緒に暮らしましょう先生!!」

「そんなこと許される訳ないでしょ!! 零君の性欲処理は穂乃果だけで十分だから!!」

「そっちかよ!?なんの争いしてんだ!!」

 

 

 もう周りの目なんて気にせず大声でオナホ宣言をする2人。俺くらいは周りを気にしたいと思っているがそんなこと言っていられる状況でないことは分かっていた。俺が気にしたところで2人の謎の奴隷宣言合戦は止まらないだろう。どっちが性欲処理係として上なのか決めてるって、周りの人から女の子に変態プレイを強要させてる外道彼氏だと俺が疑われてしまいそうだ。

 

 

「私なんて……私なんてバスの中で先生に痴漢されるくらいなんですから!!」

「は……?」

「ちょっと千歌!? そ、それはぁ……」

「これって先生が私の身体を気に入ったから痴漢してきたってことですよね!? ね、先生??」

「気に入ったって言われても……まぁそうでないと触ろうとは思わないだろ」

「れ~い~く~ん!!」

「つい出来心だったんだ……」

「犯罪者はみんなそう言うよ!!」

 

 

 だって犯罪者だもん……。

 それはそれでいいとして、千歌は俺との条約を無視してあっさりと痴漢のことをバラシやがった。本来は痴漢を黙っている代わりに顧問をやってやる約束だったのに、コイツも頭が回らないくらいに熱くなってるのか。バラされたからと言って顧問をやめる気はないのだが、ここまでストレートに己の罪を突きつけられるともう冷汗が止まらない。このことだけは絶対にμ'sにバレちゃいけないと思っていたので、こんなにも簡単に穂乃果の耳に入っちまって今後俺の人生どうなっちゃう訳!? しかもこのままAqoursのみんなにも洗いざらい暴露されそう……。

 

 

「先生は女子高生のピチピチの身体と、20歳を超えて老いを感じる身体のどちらがいいんですか!?」

「ぜっっっんぜん老いなんて感じてないよ!! むしろ大人になって更に魅力的になったんだからね!! おっぱいも大きくなったから、零君の太いアレだって全部挟み込めるもん!!」

「全部挟み込むよりちょっとはみ出した頭をしゃぶってあげるのが一番いいんですぅ~!!」

「むむむ、まさかそこまでの知識を会得してるなんて……イマドキJKは手強いよ」

「今の高校生を舐めない方がいいですよ。全国の女子高生はいつ好きな相手と身体を交じり合うことになってもいいように、性知識をふんだんに蓄えているものなんです!」

「これ全国じゃなくて地球上の女子高生全員に謝った方がいいな……」

 

 

 コイツら一体何の話をしてんだよ……。俺のような性に塗れた変態野郎が話しているならまだしも、一方は伝説スクールアイドルとして名を刻んだ名誉ある存在、もう一方はまだスクールアイドルのタマゴでありながらも将来有望な現役JKだ。もしファンにこんな姿を見られたら幻滅されるぞ……。もしかしたら俺みたいに淫乱な子が好きって人が中にはいるかもしれないけど。

 

 とにかくこのままでは両者共にイメージがガタ落ちするのは目に見えている上に、そろそろ2人には仲良くなってもらいたいのでここらで仲介してやるか。

 

 

「俺ちょっと飲み物買ってくるから、お前らはあそこのベンチで座ってろ」

「えぇっ!? 零君いなくなっちゃうのぉ……?」

「今先生がいなくなったら私たち……」

「そんな悲しい顔すんなよ離れづらいだろ……。俺のことよりも、せっかくスクールアイドル同士こうして出会えたんだし、啀み合ってるだけじゃなく色々話したいことがあるんじゃないのか?」

「それは、まぁ……」

「決まりだな。それじゃあ行ってくるわ!」

「あっ、零君!! って、行っちゃった……」

 

 

 申し訳ないけど俺はここで離脱だ――――と思わせて、ベンチの裏にある植木の裏まで遠回りをしながら回り込む。そう、飲み物を買いに行くふりをして2人の会話を盗み聞きしようという魂胆だ。あまりいい趣味ではないが、2人がどんな話をするのか気になるじゃん? それに万が一また仲が拗れそうだったら止めに入らないといけないしな。まあ今までの会話のテンポからして2人の相性は抜群なので、心配する必要は皆無だろうが一応ね。

 

 そして俺がポジションに着くまで黙ったままの2人だったが、とうとうこの微妙な空気に耐えられなくなったのか穂乃果が口を開いた。

 

 

「す、座ろうか?」

「そ、そうですね……」

 

 

 おっ、ぎこちないながらもようやく2人の意見が一致した瞬間だな。さっきまでお互いを煽り合っていた手前中々素直になれないのだろう、まだまだお互いに牽制し合っている感じだ。

 

 2人は並んでベンチに腰を掛ける。また少し沈黙が続いたが、今度は千歌から穂乃果に話しかけた。

 

 

「あのぉ……さっきはゴメンなさい。ついつい熱くなっちゃって……」

「そんなことないよ、こっちこそゴメンね。穂乃果って零君のことになると周りが見えなくなっちゃうんだ……」

「あ、それは分かります! 私も先生の前だとドキドキしちゃって、いつもよりテンションが上がっちゃうといいますか……そんな感じです」

「アハハ! 穂乃果と一緒だね♪」

「先生の言っていた通り、私たちに似た者同士かもです♪」

 

 

 ほら見ろ、やっぱりあっという間に仲良くなっただろ? 俺の見る目に狂いはなかったってことだ。

 それにしても、これだけ女の子に好かれているってのも嬉しいねぇ。俺自身はただ欲望に従って普通に振舞っているだけなのに、いつの間にかハーレムと言っていいくらいの女の子が周りに集まっている。もういっそのことどこまでハーレムが拡大できるかギネス記録に挑戦してやってもいいかもな。そして将来はハーレムの女の子を全員メイドさんにして奉仕させてみたり、毎晩女の子を代わる代わる抱いたり――――もう妄想が止まらない。でもそれが実現できそうなので余計に興奮してしまう。結構いいんじゃない? μ's&Aqoursのハーレムって。

 

 そして俺が淫らな妄想を繰り広げている中、穂乃果と千歌は更に交流を深めていた。どうやら今はスクールアイドルの話題らしい。穂乃果が携帯を横にして何やら動画を見ているようだ。

 

 

「わぁ~Aqoursのみんな可愛ね!! それに衣装も素敵だよ♪」

「そ、そんなことないですよ!! 穂乃果さんたちに比べれば全然ですから」

「比べる必要なんてないよ。穂乃果たちは穂乃果たち、千歌ちゃんたちは千歌ちゃんたちだよ。それにもうμ'sは解散してるから、比べようにも比べられないけどね」

「解散していたとしても、μ'sは私がスクールアイドルになるきっかけをくれた一生思い出に残るスクールアイドルなんです。それに梨子ちゃんたちと出会うきっかけをくれたのも穂乃果さんたちμ'sのおかげですし、とても感謝してるんですから!」

「えへへ、そう言われると照れちゃうね♪ 穂乃果たちがたくさんの人たちに笑顔が届けられていたみたいで安心しちゃった!」

 

 

 千歌はもう緊張をすることもなく、穂乃果に素直な気持ちを伝えている。千歌が梨子たちと出会えたのもAqoursがあってこそ、つまり彼女の原動力であるμ'sのおかげってことか。音ノ木坂の廃校を救ってからはなんとなしに楽しいから続けていたスクールアイドルだけど、こうして他の誰かの希望になってるのを目の前で実感できて穂乃果はとても嬉しそうだ。俺もこの会話を聞いて、ただ漠然とAqoursの顧問をするのではなく千歌たちが今までよりももっと輝けるように指導していかなければならないな。

 

 

「それになにより、先生と出会えたことが一番大きいです♪」

「あっ、そうだ。聞きたかったんだけど、千歌ちゃんってやっぱり零君のことが好きなの?」

「はいっ! あまり言いふらしたくはないのですが、一応告白っぽいことはしたつもりです」

「はぁ……零君は本当に零君だよ。すぐ女の子を惚れさせちゃうんだから……」

「梨子ちゃんと曜ちゃん、私の友達なんですけど、その2人も先生を特別な目で見てるんですよね。それにルビィちゃん、私の後輩にも懐かれてますし。先生って意外とタラシなんですか?」

「意外どころじゃないよ。高校の時も可愛い女の子は大体零君のことが気になってたみたいだし、大学だって女の子の友達多いもん。もう慣れたけど、いい加減穂乃果たちの知らないところで女の子を引っ掛ける癖はやめて欲しいよ!」

「あ、あはは……」

 

 

 俺がいないのをいいことに、ここぞとばかりに文句を垂れやがるな穂乃果の奴。でも言ってることは全てが事実なので否定できない。ちなみに他の女の子に唾を付けるのは、別にμ'sが飽きたからとかではないことを念頭に置いて欲しい。μ'sのみんなが魅力的な女の子であることは間違いないが、μ's以外にも魅力的な子は高校にも大学にもたくさんいるのだ。俺は色んな女の子と仲良くなりたい。そしてあわよくばあ~んなことやこ~んなことをしてみたい。だから穂乃果たちにはない毛色の女の子を誘っているのである。異論は認めない。もちろんμ'sが第一なのはずっと変わらないから。

 

 

「零君が好きならもっとアタックした方がいいよ。ああ見えて零君、恋愛に関しては強情なところがあるから」

「承知の上です! 女心が全く分からない先生をもっと私に振り向かせてみせます!」

「その意気だよ千歌ちゃん! デリカシーのカケラもない男をギャフンと言わせる魅力で堕としちゃえ!!」

「もちろん! 練習中に変質者みたいな目線を送ってくる変態さんを頑張って堕としてみせます!」

「零君の変態魂はもう末期で治らないからね。だからその変態魂も泣いて唸るような魅惑で虜にしちゃえ!!」

 

 

 コイツら、さっきから俺のことをバカにしてんだろ……。怒りで思わず植木の陰から飛び出しそうになったぞ。

 しかしこれで千歌のアプローチが更に過激になりそうだ。ただでさえ梨子や曜の目があるってのに、これ以上アイツのスキンシップが増えたら……。そう思ってる最中にまた新たな修羅場の予感が過ぎったので頭から振り払った。

 

 

「それと零君は案外容赦なく手を出してくることもあるから、下着はいつもお気に入りのモノを着けておくといいよ♪」

「そうなんですか!? まあ痴漢をするくらいの変態さんですからねぇ~」

「穂乃果のスタイルは零君が作ってくれたと言っても過言じゃないんだよ。おっぱいもおしりも全身も、もう何度触られたことか……」

「先生って想像以上に肉食系なんですね……」

 

 

 またこんな話題になるのかよ!? しかも穂乃果が何度触られたことかって言ってるけど、高校時代から俺が触るより向こうから求めてきたことの方が多いからな!! 今の穂乃果は千歌に対してかなり人生の先輩を気取っているが、その中身はただの淫乱少女だ。しかもことりやにこのような計算された淫乱ではなく、天然モノの淫乱だから余計にタチが悪い。つまり本人が無自覚に淫語を放ったり身体を差し出そうとしてくるってことだ。過去に何度その無自覚さのせいで性欲を滾らせたことか……。

 

 さっきからいい話をしているようでツッコミどころしかないから、もう俺の身体は植木の陰に隠れておらず、自分でも気付かない間にいつでも飛び出せる体勢となっていた。

 

 

「先生と一緒にいると胸も大きくなるしスタイルも良くなるのかぁ~」

「零君はおっぱい魔人だからね。しかも転んだ拍子に女の子のおっぱいに突撃するとかよくある話だよ」

「あぁ~一度だけあります。廊下で転んだ時に後輩たちの胸を揉んだりパンツを脱がしていたことが――――」

 

 

 そこで俺の身体が反射的に動いた。

 もう耐え切れなかったんだ。千歌が痴漢だけでなくセクハラまでバラしてしまった約束破りの行動に、声よりも先に身体が反応した。素早く穂乃果と千歌の後ろに立ち、あとから追いかけてきた己の声が響く。

 

 

「お前あっさりバラシてんじゃねぇぇぇえええええええええええええええええええええええええええ!!!!」

 

 

「わぁっ!? 零君!?」

「先生!? いつからそこに!?」

 

 

 2人は身体をビクッとさせ、目を大きく広げてこちらに振り向いた。そりゃあいきなり後ろから大声を出されたらその反応で間違いないが、今はそんなことどうでもいい。千歌の奴が条約を破り捨てて俺の痴態を晒したことの方が問題なのだ。ただでさえ痴漢だけでもμ'sにバレたら波紋を呼ぶのに加えて生徒に対してセクハラ行為までしたとなれば、μ'sのヤンデレ力をもって張り付けの刑にされて一生監禁生活を余儀なくされるかもしれない。それだけは嫌だァああああああああああああああああああああ!!

 

 

「千歌、お前なぁ……」

「先生、まさかとは思いますが盗み聞きですか?」

「はい……?」

 

 

 さっきまで驚いていたのも束の間、千歌はジト目でこちらを睨みつけてくる。しかも隣にいる穂乃果までもが同じ表情でこちらに冷たい目線を送ってきやがる。なんだろう、このアウェイ感。俺なんにも悪いことしてないよね!?

 

 

「零君、ガールズトークを盗み聞きするなんて痴漢よりもセクハラよりも万死に値する行動だよ!!」

「罪が重すぎるだろ!? 俺はお前らがまた暴走しないようにだな……」

「そんなことしないよ。ねぇ~千歌ちゃん♪」

「ねぇ~穂乃果さん♪」

「ぐっ、都合のいい時だけ結託しやがって……」

 

 

 ここで俺は悟った。だってこの2人の笑顔の裏に潜む悪魔が見えたんだから……。

 似た者同士とは言ったが、そう言えば意地の悪さも相当似通っているんだった。機転は効かないくせに悪知恵だけは働くコイツらの悪い癖。今2人の脳内でその極悪思考が巡りに巡っているのだろう、どんどん笑顔が黒くなっている。

 

 

「先生♪ 今日のお買い物は先生の奢りでお願いします! ていうか奢りです、断定です」

「な゛っ!? どうして俺が!?」

「穂乃果も賛成! 言うことを聞いてくれないと、もうさっきの話全部μ'sのみんなに喋っちゃうよ?? それでもいいのぉ~??」

「お、お前……」

「私もAqoursのみんなの前で思わず口が滑っちゃうかもしれませ~ん」

 

 

 あれ!? これって俺が悪いの!? さっきから2人の黒い笑顔と脅迫にビビって言い返せないけど、よくよく考えてみれば俺が被害者だよね!? でもバラされるとμ'sからもAqoursからも酷い仕打ちを受けるのは目に見えているので素直に従わざるを得ない。ハーレムを作るとはなんだったのか……尻に敷かれる生活だけは勘弁だぞ!!

 

 

「あぁもう分かったよ奢ればいんだろ奢れば!! デートなんだから男の俺が全部出してやるよ!!」

「おぉっ、零君だぁ~いすき♪」

「私も先生のこと大好きです♪」

「都合のいい奴らめ……」

「零君いこっ! 久しぶりのデートなんだから楽しまないとね♪ もちろん千歌ちゃんも!」

「はいっ! 今日は穂乃果さんといっぱいアプローチするので覚悟しておいてくださいね、先生♪」

「ひ、引っ張んなって! 自分で歩けるから!!」

 

 

 穂乃果は俺の右手を、千歌が左手を掴んで全速力で走り始めた。

 2人が仲良くなったみたいだし、実質3Pデートだからこれはこれで……まぁ良かったのかな? なんか上手いこと丸め込まれた気もするけど、2人の笑顔を見ていると嫌な気分も全て吹っ飛んでしまう。そういや笑顔も似た者同士だな、穂乃果と千歌。だから俺もこの2人の邂逅に運命を感じたのかもしれない。

 

 

 ちなみにこの2人は容赦のない性格だから、財布をたっぷり減量されたのは言うまでもない。

 




ようやく穂乃果と千歌のコラボを描くことができました!実はμ's編の時からずっとこの2人を絡ませたくて、むしろこの回を描くためにAqours編を始めたまであります(笑)
読者さんの中にもμ'sとAqoursのコラボを心待ちにしていた人が多かったと思うのですが、ご期待に添えましたでしょうか?
今回はμ's&Aqoursの初コラボだったので、是非感想でお声を聞かせてもらえればと思います。この先もちょくちょくコラボ回を執筆するので、穂乃果と千歌以外のカップリングを予想してみるのも面白いかと(笑)


次回は絵里が登場!


新たに☆10評価をくださった

フレアisさん、真紅眼さん、Rinにっしーさん

ありがとうございます!
評価をつけてくださった方の中で、応援コメントを送ってくれているのに☆5〜9などの人がいらっしゃるので、もう一度☆10評価で付け直してくださると嬉しいです!

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