やはり幼気な女の子を落とすには、弱ったところをつけ狙うのが一番……?
堕天使から巫女へとジョブチェンジをした善子は、俺の腕の中で嘆いていた。そりゃそうだ、ゲームの属性で例えるなら堕天使は"闇"で巫女は"聖"、全くの真反対なんだから。今まで堕天使ヨハネとしてこの地に君臨していた(という設定)彼女にとっては耐え難い屈辱なのだろう。
それに対し希は久々に幼気な女の子をいびることができて楽しいのか、ニコニコと不気味な笑顔を浮かべている。Aqoursのメンバーにも弄られ、こうしてスクールアイドルの先輩にも弄られるとは、もう同情するのも可哀想になってくるな……。
「袖口がひらひらして落ち着かないし、生地も薄くて真っ白だから透けちゃいそう……って、先生! あまりこっち見ないでよね!!」
「見ないでよねって言われても、抱きつきてきてるのはお前だろ。それなのに見るなってのは無理ねぇか?」
「あっ……うぅ~~~~っ!!」
善子は顔だけでなく耳まで真っ赤に染め上げ俺から退く。俺は希に引っ張られて勢いが余ったお前の身体を支えてあげただけなのに、怒られるなんて理不尽じゃねぇかよ。
そんなことよりも、善子の巫女服姿が意外に似合っていてビックリした。彼女の私服は堕天使を意識してか黒系統が多いので、こうして明るさを基調とした衣装を見るのはライブ以外では初めてだったりする。そもそも彼女は肌がかなり白い方なので、純白の巫女服が一際輝いて見える。薄着のせいか善子のそこそこの胸でもその形が程よく体現され、男としては非常に眼福だ。
そういやさっき透けちゃいそうで恥ずかしがってたけど、あの痛々しい堕天使衣装は恥ずかしいと思わないのか……? イマイチコイツの感性が分からん。
「女の子の巫女さん姿を見ていると、こうして袖口に手を入れたくなっちゃうなぁ♪」
「ひゃぅ!! ちょ、ちょっと勝手にそんなところぉ~!!」
「やっぱ善子ちゃんいい声で鳴くやん♪ どう? ウチのお人形さんになってみない?」
「はぁ!? な、なる訳でしょ!? あっ、だから触るなぁ~!!」
セリフだけ聞けばただの痴漢現場だろこれ……。
最近では希もμ'sにすっかり手出しをしなくなったというか、もう手を出し尽くしているからこそセクハラは減っていた。だがこうしてラブドール代わりの女の子を見つけて、高校時代のセクハラ欲が蘇ってきたみたいだ。やっぱ大人になると女子高校生がいかに稀少かが分かる上に、欲望の捌け口とした最適だと再認識できる。まあ男の俺と女の希では意味が大きく変わってくるのだが。
あれ? そういや今日の目的ってなんだっけ……?
「こ、こんなことで運気が上がる訳!?」
「もちろん! 神様も可愛い女の子のえっちな喘ぎ声を聞けば、きっと善子ちゃんにも運気を分けてくれるから♪」
「そんなものなのぉ……ひゃっ、手入れすぎよぉ~……」
神様は変態オヤジか何かかよ!? でもゲームで神様と言えばおっさんの姿で描かれていることも多いし、それはそれで理にかなっているのかもしれない。神様にとっては風評被害も甚だしいが……。
にしても善子の奴、希の魔の手に侵食され暴れてはいるがそこまで強く抵抗しないんだな。それどころか希の神様変態オヤジ説を間に受けて、同じく変態女神の触手のように絡みつく魔の手を淫声を上げながら受け入れている。これはあれだ、マッサージモノのAVで整体師のオヤジに胸や性器とかを触られ困惑するも、『治療ですから』という言葉を受けて泣く泣く信じざるを得ない、それと一緒だ。
つうか希は女の子に巫女服を着させて襲いたかったから内浦に来たんじゃないだろうな? さっきからずと善子の身体を触っているような気がするからさ。
「はぁはぁ……巫女さんは神聖な職業じゃないの? どうしてこんなことを……」
「ここまでは前座。本番はこれからや!」
「ほ、本番!?」
「お前、今
「ち、違うに決まってるでしょ!? 先生みたいなド畜生の変態セクハラ教師と一緒にしないでくれる!?」
「言うなぁお前……」
"ド畜生"で"変態"で"セクハラ"。こんな最低な名札を3つも着けている男なんて中々いないぞ。本来なら傷付く場面なのだが、もう逆に開き直って清々しいわ。
まあ俺のことはいいとして、善子も相当むっつりちゃんのようだ。明らかに動揺を隠しきれてないし、希に胸を揉まれている時も軽く感じてたっぽいからその手の感覚には敏感なのだろう。なんか俺の知らないところでどんどんAqoursのμ's化が進んでいるような気がするぞ……。
「零君がド畜生の変態セクハラヤリチン教師だってことは置いておいて」
「置いておくな! 1つ増えてんだけど!?」
「善子ちゃんには不幸体質改善のために、巫女さん姿で奉仕活動をしてもらうからね!」
「無視かよ……まあいいや」
「奉仕活動?」
「そう。巫女さんになって善行をすれば、絶対に運気アップするよ!」
希が言うに、善子に足りないのは人を愛する気持ちらしい。妙な宗教団体の謳い文句みたいだが、堕天使のままでいるよりかは巫女さん姿でご奉仕した方がよっぽどご利益があるだろう。
「ご奉仕って、誰に……?」
「それはいつもお世話になってるAqoursのみんなに決まってるやん? それにほら、ここにも……」
「お、俺??」
「いやっ! 先生だけには絶対に感謝したくない!! 先生に媚を売るならテキトーなおじさんに売春した方がまだマシよ!!」
「それ人生の中でトップクラスに傷付く言葉だわ……」
さっき抱きついてきたから好感度が高くなったのかなぁと思えば、ここでまさかの直下型暴落。コイツの中で俺がどういう評価なのか全然分からん!!
「でも堕天使のヨハネが下々の人間ごときに自らご奉仕をするなんて……」
「そう……ならまずはその厨二な心から浄化しないとダメっぽいねぇ♪」
「わ、分かったから指をわきわきさせるのやめてぇええええあ゛ぁあああああああああああああああああああああああ!!」
「うん、いいおっぱい!」
いやぁ羨ましい! 自分は特に百合属性ではないが、女の子同士が胸を弄り合っている姿はいい絵だよなぁ。もうね、さっきからそうだけど端々に性欲を助長させる行為は謹んでもらいたい。だってほら、変態回じゃないと結局この溜まった性欲をぶっぱなせないじゃん?
とにかく、堕天使から巫女に転生した善子のご奉仕活動が始まろうとしていた。
~※~
そして巫女善子は奉仕活動のため、とある大きな公園へとやって来た。
まずそこでエンカウントしたのがAqoursのリーダーである千歌。俺たちは物陰から2人の様子を観察しつつ、善子がしっかり善行できるのか期待するところではあるが――――
「まさか巫女服の善子ちゃんが見られるとは、眼福ですなぁ~」
「あまりジロジロ見ないで! ていうか、アイスクリームを食べるのに付き合うだけでよかったの?」
「うんっ! 一度でいいからこの移動アイスクリーム屋のアイスを食べてみたかったんだ。美味しいって評判だけど、1人で食べるのは寂しくって」
「だから私を見つけて駆け寄ってきたのね」
「そうそう。いやでも本当に可愛いよ善子ちゃん! 見蕩れちゃってアイスクリーム溶けちゃうくらい!」
「だからジロジロ見過ぎ!!」
やっぱ巫女善子の前では誰しもがエロオヤジになってしまうものなのか。特に彼女のような容姿が抜群な子が巫女だからこそ千歌のように精神がエロオヤジ化してしまうのだろう。
「わぁ~この巫女服手触りいいね本物みたい! 曜ちゃんが見たら絶対に羨ましがるよ!」
「別に私のじゃないんだけどね――――って、くっつきすぎぃ!!」
「そういえば善子ちゃんに抱きついたことなかったかも……」
「何よその目は……? や、やめなさい!!」
千歌が獲物を見つけた獣のように少しずつ接近してくるので、善子は自然と身体が仰け反ってしまう。
善子が何かワンアクションするたびにまた不幸が舞い降りると思うとこっちまでドキドキするのだが、今は巫女姿で善行の途中。しかも友達とアイスを食ってるだけだし、不幸になる要素など1つもなさそうだ。
「へっへっへ、お嬢ちゃんいい格好しますなぁ~」
「本当にオヤジみたいになってるわよ!? こ、こっち来るなぁぁああああああああああああ!!」
その時だった。エロオヤジと化した千歌から逃げようとした善子だが、自らの脚が絡まってしまい身体がよろけ、顔から地面に叩きつけられそうになる。だがしかし、聞こえてきたのは"べちょ"という鈍い液体音のようなものだった。
「善子ちゃん!? 大丈夫……?」
善子は脚が絡まった衝撃でアイスを地面にぶちまけてしまい、その現場へ向かって綺麗に顔が突っ込んでいったのだ。しばらくの間アイスに顔を密着させたまま動かなかったのだが、いざ顔を上げてみると案の定いちごアイスが顔面パックのようになっていた。
「もうっ! どうしてこうなるのよぉおおおおおおおおおおおおお!!」
~※~
次に善子が向かったのは果南の家でもあるダイビングショップだ。夏だから観光客が増えているらしく、最近人手が足りないと果南がぼやいていたのを思い出したらしい。果南も最初は巫女姿の善子に驚きはしたが、運気を上げるためだと説明されたら一瞬で納得した。もう善子の運の悪さはそれほどまでに認知されているのだ。
そして今回も俺たちは遠目で彼女の様子を観察しているのだが――――
「善子、このバケツを店の入口まで運んでくれる?」
「はいはい」
「どうしてそんなにやる気なさそうなの……? そっちが手伝ってくれるって言ったのに」
「この格好でせっせと働かせるなんて、どうも見世物にされてる気がするのよね」
「誰に?」
「先生」
「あぁ~納得」
俺が働く女の子ですら怪しい目で見ていることも既に認知されているみたいだ……。でも仕方ないだろ、巫女服を着た女の子が汗水垂す姿に目を惹かれない男はいない。
「でもこのバケツの中って海水しか入ってないけど、一体なんなの?」
「水質調査のためだよ。ダイビングショップを経営している以上、自分たちで海を清潔さを保たないといけないしね」
「へぇ~インストラクター以外にもそんな仕事があるのね」
「もしかしたらクラゲがいるかもしれないから、一応毎日水質チェックはしてるんだよ」
「く、クラゲ!?」
「そうそう。もしかしたらバケツの中にいるかもね」
「え゛……!?」
「そうだ。最近砂浜にヒトデがよく打ち上げられているから、踏んで滑らないように気を付けて」
「はぁ!?」
無自覚フラグ乱立ウーマン松浦果南により、善子にも俺たちにも悪寒が走る。
果南も善子の体質を分かっていてフラグを立てているのかそうでないのか……。アイツは『もし~だったら』とか『~に気を付けて』なんて言葉は余すことなく全て回収してしまう。それだけ不幸に愛された人間であり、そしてエンターテイナーでもあるのだ。
まさしくその直後に運命が傾いた。善子は予定調和かのように砂浜に打ち上げられていたヒトデを踏むと、今度は後頭部から倒れ込んだ。そうなればもちろん持っていたバケツもひっくり返る訳で……。
「きゃあっ!!」
「善子!?」
バケツがひっくり返り、中の海水が砂浜へとぶちまけられる。
水も滴るいい巫女さんと言うべきか、善子はなんとか尻餅をついて後頭部挫傷は逃れられたが頭から海水を被ってしまい、どう見ても素人企画モノのビデオ撮影の現場にしか見えない。ここまで綺麗にフラグを回収してくれると、企画モノとしては最高の女優になれると思うぞ。
「大丈夫? だから注意してって言ったのに」
「言うのが遅いのよ!! まあ早くてもこうなってたんでしょうけど――――ひゃぅっ!!」
「ど、どうしたの?」
「む、胸元ににゅるにゅるした何かが……!!」
彼女に降りかかる災厄はまだ終わっていなかった。透明のジェル状のようなものが巫女服の隙間に侵入していたのだ。さっきの騒動で巫女服が少し脱げかけている都合上、そのジェル状の物体は簡単に善子の胸に寄生してしまった。
「それって……クラゲ?」
「はぁ、あぁんっ! どこ入ってるのよコイツ!! んっ、あぁっ、は、早く取って!!」
これは運命的だ! 今すっげぇいい現場に遭遇した気がする! 俺は無意識に携帯で善子がクラゲに
既に胸の先端から谷間までクラゲに侵食され、抜き取ろうにも快感のある刺激にすっかり力が抜け落ちている善子は手も足も出なかった。砂浜にペタンと座り込んだまま、クラゲの触手で胸の先端に絡みつかれるその快楽は今まで味わったことのないものだろう。海水とクラゲの粘液をローションのようにたっぷりと練りこまれ、滑らかに胸を刺激され続けている。頬が真っ赤に染め上がり、口からも吐息と淫声がいやらしく漏れ出す。ここまでの快感でねっとりと攻められたら、もうクラゲ以外ではイけなくなる身体になっちまうぞ。
「あっ、んっ……取って! もう素手でもいいからぁ~!!」
「滑るから素手で取れるわけないでしょ! 手袋持ってくるからもう少し待ってて!」
「もうっ、またこんなことにぃ~……んっ、はぁああんっ!!」
~※~
「おい、魂抜けてるけど大丈夫か?」
「どこをどう解釈したら大丈夫そうに見える訳……?」
結論、巫女さんに転職して善行をしても神には愛されなかった。
結局その後も花丸やルビィに接触して奉仕活動に従事したのだが、どこへ行ってもどう注意しても最終的には全て善子が割を食う結果に終わってしまった。善子だけが世界から切り離されているような光景を見て、俺も希も最後の方なんて苦笑いすらできなかったからな……。
「こんなに恥ずかしい格好までしてみんなに媚まで売ったのに、全然運気上がってないじゃない!」
「これはもう善子ちゃんがただの人間ではないと考察するにほかならないかも」
「やっぱりヨハネは堕天使だったのよ。そう結論付けないとやってられないわもう……」
善子の目はもう俺たちを捉えていない。ていうかこの世界を映し出しているのかすら怪しいくらい遠い目をしていた。今まで幾度となく自分は堕天使ヨハネだと名乗り、今回自分は人間離れした体質だということが分かったのにも関わらず、さっきからずっとこのどんよりムードである。
「あっ!!」
「どうした?」
「100円……見つけた。これで私の奉仕活動も報われたってことね」
「もう運に対する価値観が死んでるぞ!? そんなちっぽけな幸せでいいのかお前!?」
道行く人が気付かずに踏んだせいか、その100円玉は土でボロボロになっていた。だが善子はその100円を空に掲げ、まるで荒廃した土地に咲く一輪の花を見つけたかの如く感動している。そんな姿を見ていると、ツッコミを入れたくなるが感傷に浸らせてやりたいと思っちまう。まあ本人が幸せに感じるならそれでもいいけどさぁ。
「それじゃあ善子ちゃん、最後の奉仕活動してみよっか」
「最後……? もういいわよ、どうせロクな目に遭わないんだし」
「大丈夫。絶対にご利益あるから♪」
「だったら最初にそれを教えなさいよ……」
「好きなものは最後に食べる、主役は後からやってくる、その理論と同じや♪」
「なによそれ……まあいいわ、この際だから最後まで付き合ってあげるわよ。で? 何をすればいいの?」
「零君にご奉仕た~いむ!」
「「は……?」」
俺も善子もきょとんとした顔で希を見る。
そして善子の表情が段々と曇り、やがてこちらに自慢のツリ目を更に鋭くさせて睨みつけてきた。
「さっきも言ったでしょ先生だけには奉仕したくないって! 何をされるのか分かったものじゃないわ!!」
「でも零君にご利益があるのは本当だと思うんよ。だってウチの運が良くなったのは、零君と知り合ってからやしね」
「えっ、そうなのか?」
「うん。小さい頃から自分はツイてるなぁとは思ってたけど、それを顕著に感じるようになったのは高校で零君と出会ってからやから」
「こんなド畜生の変態セクハラ教師が?」
「もうやめてくれそのあだ名……」
せっかくいい話になりそうだったのに、不名誉なあだ名のせいで一気にテンションダダ落ちなんだけど。それに今後そのあだ名が浸透しそうで戦慄するんだが……。
「ほらっ! 零君にご奉仕しておいで!」
「うわぁっ!!」
「おっと!」
希に背中を押された善子は、その勢いを抑えきれず俺の胸へと飛び込んできた。
そして再びお互いに抱きつく形になるこの構図。巫女服がしっとりと濡れているのはさっき海水を浴びたからだろうが、頬や首元に付着している水滴は恐らく汗だろう。やはり口では強がりを言っていても、心の中では自身の不幸体質に相当焦っているに違いない。もしかしたら俺と密着していることでまた何かしら不運が舞い込むのではないかと緊張しているんだろう。頬もほんのりと染まってるし、そりゃ今までの仕打ちを考えたら警戒もするか。
「離れないんだな。さっきはすぐ俺から逃げたのに」
「変態の先生は女の子にこうされるだけでも嬉しいでしょ……? だから抱きつくことがご奉仕の一貫なのよ……」
「そうか。まあ嬉しいのは事実だけど。俺さ、お前に嫌われてるかと思ってたから」
「別に嫌いでもないし好きでもないから、変な勘違いしないで。それに嫌いだったらこんなことしないわよ」
確かにそうだわ。でも嫌われていないって事実を知れただけでも俺にとっては大収穫だ。今の今でずっと好感度メーターが底辺を辿ってると思ってたから。
「お前が俺に相談を持ちかけてきた時、ちょっと嬉しかったんだ。俺を教師として頼ってきてくれたことがな」
「た、たまたまよ! たまたま先生が教室にいて、たまたま私がその教室に入って、たまたま会話の流れでそうなっただけだから」
「はいはい、たまたまだなたまたま」
「う、うるさい!!」
俺が頭を撫でてやると、善子は俺に表情を悟られぬよう胸に顔を完全に埋めてしまう。そして腕にも力が入り、抱きつく力も強くなる。
彼女は他人を放っておけない優しい性格だから、自分の不幸体質で誰かを巻き込むことを危惧して誰にも相談できなかったのかもしれない。そして今回やっとその思いをぶちまけられて気持ちが軽くなった、というのが抱きしめているとなんとなく分かる。もしかしたら俺だったら自分の不幸体質に巻き込ませてもいいと考えてるかもしれないが、その時はその時だ。一緒に巻き込まれてやる覚悟くらい相談された時からある。それで彼女の不運を少しでも和らげられればいくらでも。
「もしお前が一生神に愛されなかったとしても、俺は一生お前を愛するから。だから心配すんな」
「あ、ありがと……」
俺からは善子の顔は見えない。だが身体がみるみる熱くなってきているのは分かる。そんな変なこと言ったかな……?
そして俺たちの隣では、希が満足そうな笑顔でこちらを眺めていた。
「お前まさか、この展開狙ってた?」
「さぁ~?」
希は笑顔を崩すことなくそう答えた。
やっぱ敵わねぇなコイツには。
~※~
翌日。またしても善子が教卓でレポートを書いている俺の横を陣取っていた。
「今日も朝からトーストを落としてジャムを塗った面が床に密着するわ、登校中に2度も子供が蹴ったサッカーボールがこっちに飛んでくるわ、国語も数学も英語もどの授業でも私が先生に当てられるわ、さっきも掃除が終わって帰ってくる時に屋上掃除をしていた班のバケツが上から降ってきてびしょ濡れになるわで散々だったのよ。もうこの体質改善してよ先生!」
「いや無理だわ……」
愛するとは言ったが改善してやるとは言ってない!!
たまにちょっぴりイケメンな彼を描写したくなる定期。それにしても毎回セリフが告白みたいになっているのでAqoursのみんなも勘違いしちゃいそう(笑)
次回は秋葉さんとAqoursのターン!