ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 いよいよμ's襲来編もラストの1人、我が軍の最強妹様の登場です!


思い出させてあげるよ、妹の味を……

 

「ふぁぁ……いい天気だなぁ~」

 

 

 夏でも冬でもそうだけど、普段は極端に暑かったり寒かったりするのに、ある1日だけ突然涼しくなったり暖かくなる日ってない? 今まで自分たちに試練を与えてきたお天道様が、試練を耐え抜いたご褒美として人類に1日だけ休息を作ってくれているのかもしれない。まさにツンデレそのものだ。そう考えれば最近暑い日差しをギラギラと鬱陶しく照り付けいることも、まあ少しは許してやってもいいのかもしれない。これがお天道様式のアメとムチなのかもしれないが……ま、まさか、調教されてる!?

 

 そんな訳で今日はそれほど暑くもなく涼しくもないが、これまでの熱帯気候に比べれば全然マシな気温である。適度に風も吹いて心地よく、こうして学院の中庭でゴロンと寝転がって日向ぼっこをするのには最適だ。別に不当にサボっているのではなく、この時間に俺の担当する授業がないだけだから勘違いするなよ。学生時代は堂々と不当にサボって中庭で寝ていたが、教師になった俺は一味も二味も違うぞ。誰にも反抗されない理由を用意してから、つまり正当な理由でサボっているのだ。

 

 しかし、昼飯を食った後に寝転がっていると眠気がこれでもかというくらいに襲ってくる。今の授業が終わるまであと30分以上もあるが、この心地よさの中で眠ったら確実に次の授業に間に合わなくなってしまう。流石にゆっくりとはできないが、襲い来る睡眠の魔の手に抗えるとも思えない。仕方ねぇ、ちょっとだけ……ちょっとだけだから!!

 

 屈強な心を持っている俺でも性欲と睡眠欲には弱いので、こうしてあっさりと眠気に屈服する。

 意識も段々と遠くなり、このまま気持ちよく夢世界へ旅立とうとしたその時だった。ぷりっとして柔らかく、それでいて少ししっとりとした暖かいモノに口を塞がれる。単刀直入に言おう、突然何者かに唇を奪われたのだ。

 

 

「んぐっ!!」

「んっ……はぁ……んっ、ちゅ……」

 

 

 いきなりの激しい口付けに、口から一気に息が漏れ出し呼吸が困難になった。そんなことはお構いなしに、目の前の女の子は唾液の音を卑しく立てながら小さくも肉厚な唇を押し付けてくる。一瞬の内にここまで濃密に絡みついてくるなんて相当の手練に違いない。唇と唇が溶接されているかのように密着し、接続面がじりじりと熱くなってくる。

 

 

「はぁ……ちゅ……んっ」

 

 

 俺を激しく求めてくる濃厚なキス。それほどまでに自分を俺に感じさせたいのか。

 しかしあまりのねっとりとした口付けに頭がぼぉ~っとしてきた。キスなんて行為はこれまで死ぬほどやってきたが、そんな百戦錬磨の俺の脳を溶かそうとしてくる奴がいるとはな……。もしこれが浦の星の生徒だったりしたら、スキャンダルどころか速攻で教師はクビ、ニュース報道やらSNSの拡散やらで社会的にも抹殺されてしまうだろう。そうなっちまう前にこの子を止めないと!!

 

 俺は女の子のキスの虜にされそうになるも、両手で彼女の肩を掴んで無理矢理唇を離す。

 するとお互いの唇の間に粘っこい唾液の糸が引き、その糸を目で辿っていくと遂に女の子の正体が明らかとなる。鮮やかな茶髪のロングヘアー、強い意思を感じさせる瞳に少し釣り上がった目。そして誰が見ても美少女だと言わせるほどの美貌を持つこの子は――――

 

 

「か、楓!?」

「おはようお兄ちゃん♪ 久々のモーニング妹はど~お?」

「モーニングって、今昼過ぎなんだけど……ていうか、どうしてここにいるんだよ?」

「そりゃお兄ちゃんに会いたいからに決まってるじゃん! 妹は兄の傍にいるのが普通なんだよ。ほら、"兄妹"って単語は兄と妹が隣り合わせにいるでしょ? つまりそういうこと」

「意味が分からんが、とにかくまたアポなしで来たってことは把握したよ……」

 

 

 神崎楓、19歳。俺の妹であり恋人でもあるから世間的にヤバイ関係でもある美少女。

 元μ'sのメンバーでもあり、その容姿端麗さからメンバー内ではファンレターを貰った数が一番多いことで知られている。しかしブラコンなのが災いして、兄である俺以外の男はゴミ以下どころか存在を認識すらされておらず、男ファンから貰ったファンレターは焼却処分するのが日課である。見た目とは裏腹に性格は姉の秋葉に似て悪魔っぽいのだ。

 ちなみにスタイルは抜群で、詳しい数値は知らないが推定Fカップ。外を歩いているだけで周りの男の性欲が掻き立てられるくらいの身体付き。その美貌も相まってか、男女問わず彼女に憧れている人は多いと聞く。彼女もそのことは理解しており、そのような人たちを徹底的に見下す傲慢さがウリでもある。しかし自分よりスタイル、というより胸が大きい女性に対しては敵意を剥き出しにするのが可愛いところだ。

 家事スキルはカンストしているかってくらいに高く、料理、掃除、洗濯etc……あらゆる面でパーフェクトで、何かと俺の身の回りの世話も焼いてくれる。本人曰く、『私はお兄ちゃんのために生きている』らしい。

 

 そんな最強の妹がいきなり襲来した挙句、唇まで奪ってくるなんて一体どういうつもりだコイツ……。

 

 

「お兄ちゃん私ね、ずぅ~~っと我慢してたんだよ!」

「なにを?」

「穂乃果先輩たちがどんどんお兄ちゃんに会いにいく中、私は迷惑かもと思って必死に我慢してたんだから! お兄ちゃんがいなくなった寂しい家の中で、ずっとお兄ちゃんをオカズにオナニーしながら毎日を過ごしていたんだからね! 寂しいよぉ寂しいよぉって」

「ツッコミどころが色々あるから1つずつ。まず必死に我慢してた割には毎日何百回も連絡してきてるよな!? しかも普通に元気いっぱいの声を聞いてるんだけど!? そしてお前1人では寂しいからって、俺の教育実習期間は穂乃果の家に居候させてもらってるだろ!! 誰でも分かる嘘をついて同情を誘おうとしてんじゃねぇ!!」

「ぶぅ~! 正論つまんない!!」

「嘘の方がよっぽどつまんねぇわ……」

 

 

 楓は仰向けの俺の身体に跨ったまま不服を漏らす。

 まあ何百件の連絡に関しては寂しい思いをさせているこちらも悪いのだが、お前のオナニー事情は俺の知ったこっちゃない。しかもさっきも言った通り、俺が教育実習をしている期間はコイツが家に1人でいて寂しくならないように高坂家に身を預けさせて貰っている。どう考えても穂乃果と雪穂がいる前でオナニーなんてできるはずもないが……。でもコイツのことだ、2人を巻き込んで卑しいことをしている可能性も否めない。どちらにせよ学院の中でする話ではないな。

 

 

「そういや毎日のご飯は大丈夫? お姉ちゃんの料理はどう?」

「秋葉の料理はお前仕込みだからな、全然問題ないよ。家事も心配せずとも2人で協力してやってるから」

「よかったぁお姉ちゃんがお兄ちゃんに粗相をしてなくて」

「まあ粗相されていると言えばされてるけど……この際どうでもいいか」

「でもお姉ちゃんはえっちなの苦手なんでしょ? だったら溜まった性欲はどこで発散してるの?? もしかして、内浦に来てから一度も射精してないとか!? 忙しそうだけどちゃんとオナニーできてる!? オナペットである私がいなくても大丈夫!?!?」

「で、できてるから大声でそんなこと言うな!! 色々誤解されるだろ!!」

「えっ、誤解って……私で性欲処理してるのは事実でしょ?」

「うっ……まあその話を大っぴらにするのだけはやめてくれ」

 

 

 正直に言えばついこの前、己の性欲をコントロールできずに子犬となって花陽や凛、花丸とルビィを襲ったという裁判いらずの即逮捕レベルの事件を起こした経歴がある。つまり性欲を定期的に発散できていないということだが、楓にその事実を話してしまうと今この場でR-18展開が始まってしまい兼ねないので敢えて黙っておく。

 

 

「ねぇお兄ちゃん。私もね、お兄ちゃんがいなくてずっと溜まってたの。やっぱり1人でやってもやり切れなくて、お兄ちゃんのことばかり思い出しちゃうんだ」

「いやそう言われても……」

「ねぇお兄ちゃん。この体勢……えっちだね」

「お前が勝手に俺の寝込みを襲ったからだろ……」

 

 

 仰向けになっている兄の腰の上に、妹が跨っているという背徳的構図。腰と下半身の密着面は楓のスカートによって隠されているので俺からも周りからも確認することはできないが、傍から見たらもう繋がっているようにしか見えないだろう。近親相姦上等な彼女にとっては問題なく、むしろ他人に見せつけたがっているくらいだ。この現場を目撃されれば俺の社会的抹殺は確定だが、むしろ楓はわざとそのように俺を社会から切り離し、大好きな兄を自分だけのモノにしようとすることくらい平気でやりそうで怖い。今のコイツが小悪魔っぽい笑顔をしているのがその証拠だ。

 

 そしてさっきから気になっていたのだが、楓が"お兄ちゃん"と言う率がやたら高くないか? そこまで連呼しなくてもいいのに、会話の中で不相応に"お兄ちゃん"と付けたがるこの感じ……まぁ、可愛い妹に"お兄ちゃん"と言われるのは嫌いではなく、むしろ好きな部類だ。しかも冒頭に"ねぇ"とか語尾に"だね"とか、ちょっと甘く媚びている感じがまた不覚にも心に響いてしまう。恐らくコイツは俺のそんな弱点を知って攻めてきているのだろう。相変わらず計算高い奴だ……。

 

 

「ねぇお兄ちゃん……しちゃおっか?」

「ふざけんな!! 外だぞ学院内だぞ!? 誰か来るかもしれないんだぞ!?」

「いいじゃん見せつければ。私はお兄ちゃんのモノだってこと、周りに証明したいもん♪」

「そんなこと言うなよ好きだからそういうの……」

「えへへ、知ってる♪ だから寝込みを襲ったんだよ、お兄ちゃんが言い逃れできないように……ね♪」

 

 

 やっぱ全て計算の内だってことかよ!! コイツの行動の基本理念が自分の利益になるかどうかだから、ただキスをして俺だけに気持ちいい思いをさせるはずがないのだ。

 しかし俺は楓のような節操なしではないので、一応だけど世間の目を考慮して行動している。だから学院の中で堂々と近親相姦を繰り広げるような常識知らずでもないし、コイツのように誰かに見られてもいいなんて公開プレイフェチでもない。人に見られて興奮するって、それどこぞの鳥さんだっつうの。

 

 

「でもさぁお兄ちゃんのココ、心なしか大きくなってる気がするんだけど」

「そりゃあ女の子が腰の上に乗っている状況で、しかもさっきからお前が激しく動くからあそこが刺激されてんだよ……」

「うわぁ~妹に欲情するとか変態さ~ん♪」

「な゛っ!? お前だって普段から実の兄に欲情しっぱなしだろうが!!」

「そうだよ。だからさ、お互いがお互いを求めてるのに遠慮するのは勿体無くない? 目の前にいつでもヤれるオナホ妹がいるんだから、お兄ちゃんはいつでもどこでも私を使ってすっきりしていいんだよ? もう付き合い始めてから5年も経ってるのに、そこのところ分かってないんだよなぁお兄ちゃんは」

 

 

 正直に言うと、俺は楓のような女の子の服従心というものが大好物だったりする。自らを『オナホ』やら『性奴隷』やら、淫語を絡めて誘惑してくる女の子って可愛いと思わない? 特にご主人様気質を持つ俺にとっては、そのように服従してくれる女の子にあっさり堕とされてしまったりするのだ。そう考えればもうどっちがご主人様なのか分からねぇな……。

 

 

「知ってると思うけど、俺はヤってもいいよと言われてがっつく安い男じゃない。女の子を手篭めにするのは俺の意思で、俺が決めた時だ。だから妹であるお前にヤるかヤらないかを決める権利はない。兄である俺に従え」

「もうっ、お兄ちゃんのご主人様口調も大好き♪ さっきから興奮が収まらないからそろそろ挿入れちゃうね!」

「ちゃんと俺の話聞いてましたかぁ!?!?」

「女子高生のガキに惑わされて、お兄ちゃんは性欲が鈍ってるんだよ。だから思い出させてあげるよ、妹の味を……♪」

 

 

 楓は俺のズボンのチャックを下ろすと、そこに手を突っ込んで俺のモノを握り締めようとしてくる。男の急所でもあり弱点でもあるそこを握られたら、もうその手から逃げ出すことはできないだろう。そうなれば学院内で兄妹濃密な近親相姦を披露するハメに……。まるでAVの企画モノのようだが、コイツの目はマジだ。油断してたら一瞬で搾り取られてしまうぞ!!

 

 しかし幸運か不運か、中庭近くの渡り廊下で袋のようなものが落ちた音がした。楓に淫語付き誘惑をされて沸き立った性欲など速攻で忘れ去り、嫌な予感に心から脳内まで支配される。

 今は授業中なので生徒が通ることはないと思うが、そう考えると残る可能性は学院の教師くらいなので余計に背筋が凍る。生徒に見つかってもまだ何とか誤魔化せるが、教師に見つかったら即学院追放、ついでに社会や世界からの追放も視野に入れなければならない。

 

 俺はロボットのようにガチガチになった首を渡り廊下に向け、音の正体を確かめる。

 するとそこには浦の星の制服を着た、赤紫色の髪の女の子が――――って、梨子じゃねぇか!?

 

 

「せ、先生何をやってるんですか……? ここ学校ですよ? それなのに女の人と腰を振り合って……え、えっちなことを……!!」

「誤解だから!! とりあえずエッチなこととか叫ぶのはやめてくれ!! 本当に通報されそうだから!!」

「誤解……? こんなに大きくしてるのにぃ~?」

「それはお前のせいだろ!!」

 

 

 やはり楓は誰かに見つかろうが近親相姦をやめる選択肢は一切ないようだ。コイツの対処だけでも一苦労なのに、今は離れたところで口を抑えて驚いている梨子の対応もしなきゃいけないし、あぁもうメンドくせぇなぁオイ!!

 

 

「先生がまさか野外プレイの趣味があっただなんて……」

「ないから! 俺は2人きりでねっとりとやる方が好きなんだ!!」

「その告白もどうかと思いますが……」

 

 

 結局どう答えても俺の逃げ道は完全に封鎖されているみたいだ。それに疑問に思う以前に梨子とは腹を割って話し合った仲だから、今更そんなドン引きしなくてもいいだろうよ……。自分自身がレズプレイに興味あるってことを棚に上げやがって、それも相当ドン引きものだっつうの。

 

 

「あ~あ、なんだかシラケちゃった。私たちの営みを見るのはいいけど、邪魔だけはしないで欲しかったなぁ~」

「じゃ、邪魔って、先生困ってるじゃないですか……」

「たかが先生と生徒の関係なのにここまでお兄ちゃんを擁護するとはね……。どれだけあの子に調教したのお兄ちゃん? 調教期間は? どんなプレイで服従させたの? あの子の妊娠何日目?」

「だ、だからそんなことを学校で言うなって!!」

「さ、ささされてませんよそんなこと!! 突然何を言ってるんですか!?!?」

「黒すぎるよ2人の反応が……。これは一度パコパコやっちゃってるね♪」

「「やってない!!!!」」

 

 

 ブッ飛んだ妄想力は俺譲りなのか、あらぬ疑いを吹っ掛けてこちらの立場を徐々に悪化させていくこの陰湿さがいかにも楓っぽい。梨子の顔を見てみろ、楓の言葉のせいで俺とやっている姿を想像してか顔面の紅潮が止まらないぞ。梨子もネジが外れたらうるさくなる性格だから、ただでさえ楓だけでも騒がしいのにこれ以上になったらもう手が付けられなくなってしまう。ここは2人のどちらかに早急に帰ってもらわなくては……って、そういや今授業中だけど、梨子はどうしてここに……?

 

 

「おい梨子、授業中なのにどうしてここにいる?」

「あぁ、さっき体育の授業だったんです。でも体育用具を後片付けるために早く終わって、更にその片付けも早めに終わったので……」

「そっか、最悪だよこの状況……」

 

 

 俺が懸念しているのは、この先にまた波乱が起きそうだってことだ。だってよく考えてみろ、体育はクラス単位でやるものだ。つまりここに梨子がいるってことは、同じクラスのアイツらも――――

 

 

「あぁああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

「来やがったか……」

 

 

 突然渡り廊下の入口から、オレンジ髪の女の子がアホ毛をぴこぴこと揺らしながらこちらに全速力で走ってくる。俺と楓がお互いに繋がりそうになっている状況などには目もくれず、彼女は楓の元へ一直線に辿り着くとその手を握り締める。

 

 

「μ'sの……μ'sの神崎楓さんですよね!!??」

「な、なにこの暑苦しい子……」

 

 

 オレンジ髪の女の子――千歌は楓の手を握ったまま、まるで絶景を眺めているかのように目を輝かせていた。まあ彼女からしたらμ'sのメンバーってのは絶景にも値する存在なのかもしれないが。感動するのはいいけど、仰向けの兄の上に跨っている妹の手を握っているファンという奇妙な図になってるから誰か早くどうにかしてくれ。

 

 

「はぁ、はぁ……千歌ちゃん早すぎるよぉ」

「よ、曜ちゃん、大丈夫?」

「梨子ちゃん、千歌ちゃんどこに行ったか知らない……?」

「千歌ちゃんなら、ほらあそこに……」

「やっぱりか。さっき更衣室で着替えをしてたら、千歌ちゃんが『アホ毛レーダーにμ'sの電波を感じる!!』とか意味分からないこと言って、早着替えのあと全速力で走り出したんだよ……。あの早着替えはギネスに載れるし、あの走力だったら国体も狙えるね……」

「あはは……」

 

 

 電波って、もう中二病丸出しじゃん……。これまで幾多のμ'sメンバーに会ったせいで、彼女たちから発せられる覇者のオーラを感じ取れるようになったのかもしれない。μ'sが来てからというもの、Aqoursのメンバーにロクな成長がないような気がする。

 

 

「楓さん……動画で見るよりもカッコいいし可愛いし綺麗です!!」

「当たり前でしょ。私を誰だと思ってるの」

「千歌ちゃん、この人は一体……?」

「えぇ梨子ちゃん知らないの!? あれだけ夜通しでμ'sのライブ動画見たのに!?」

「μ'sの神崎楓さんだよ。ほら、あのシスターズで有名な」

「あ……あっ!!」

「スクールアイドルのくせに、私の存在を知らないなんていい度胸じゃん♪」

「ご、ゴメンなさい!! 千歌ちゃんの言う通り、映像で見るよりも綺麗で気付かなかっただけです!!」

「まあそれだったら仕方ないか」

 

 

 我が妹がチョロすぎて心配になってくるレベルなんですがそれは……。彼女は自尊心とプライドが高すぎるゆえ、相手から素直に褒められると弱いという可愛い欠点がある。そのせいで絵里や海未をからかおうとしたけど返り討ちにあったりした過去もあった。いつも自信満々の女の子が恥ずかしがってる姿ってよくない? だから俺はそんな楓の表情を見るために、誘惑されるとなし崩し的にやっちゃうんだよなぁ。

 

 

「ていうか、あんたたち誰? お兄ちゃんのなに??」

「私たちAqoursというスクールアイドルをやっているんですけど、知りませんか?」

「Aqours……? あぁ、最近お兄ちゃんが手を出してるって噂になってるグループね」

「言い方が意味深すぎるんだよお前は!! ただの顧問だよ顧問!!」

「そっかぁ知らないか……。まだまだ私たちの頑張りも足りないってことですね」

「いや、コイツは自分の興味ないこと以外は記憶に入れないタチだから。コイツの常識を指標に考えない方がいいぞ」

「そうそう、私は常にお兄ちゃんのことしか考えてないからね♪」

「うぐっ! いきなり抱きつくなって!!」

 

 

 俺の腰に跨っていた楓は、そのまま倒れ込みながら抱きついてきた。大学生になって更に成長した双丘が俺の胸で潰され、その大きさが手に取るかのように分かる。しかも女の子特有の甘い匂いが鼻をくすぐり思考を乱し掻き立てられる。抵抗しようにも俺の何もかもを知り尽くしている楓は、逃げ出されないようにガッチリと俺を抱擁していた。

 

 

「お兄ちゃんがおっぱいを押し付けながら抱きつかれるのに弱いってことは、もう知りすぎるほど知ってるんだから♪ さぁ、さっきの続きしよっか! お気に入りの女の子たちの目の前で、お兄ちゃんが乱れに乱れる姿を見せてあげよ♪」

「考え方が毎回汚いんだよお前は……」

「お兄ちゃんから余計な牝豚たちが離れ、心が空虚になったお兄ちゃんを私が頂いていく。まさにWin-Winだね♪」

「Winなのはお前だけだからな!?」

 

 

 相変わらずのブラコンヤンデレ思考は何年経っても変わらず、こんな状況であってもここまで徹底的に同じキャラを突き通されると逆に安心してしまう。ブラコンもヤンデレも大好物なのでいくらでも曝け出してもらって構わないのだが、周りにギャラリーがいるのにおっぱじめようという精神だけは自重してもらいたい。ほら、千歌たち口を半開きにしてポカーンとしてるから。

 

 

「せ、先生1つ聞きたかったんですけど……楓さん、先生のこと"お兄ちゃん"って言ってません?」

「えっ、別に変なところあるか?」

「そういや苗字も同じ"神崎"ですよね……?」

「まさかお兄ちゃん、この子たちに私たちのこと何も言ってないんじゃないの?」

「あっ、そういえばそうかも!」

「苗字が同じで"お兄ちゃん"呼びってことは、もしかして――――兄妹なんですか!?」

「あぁ、そうだよ」

 

「「「え゛ぇえええええええええええええええええええええええええええええ!?!?」」」

 

 

 学院中に千歌たち3人の声が響き渡る。

 まあこんな近くにμ'sとの血縁者がいたんだから驚くのも無理はないだろう。しかし"神崎"という苗字はそこそこ珍しいと思うから、兄妹で同じ高校の出身ということもあっててっきりもう楓との関係なんてバレているのかと思ってたぞ……。

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 楓ちゃんが本編に出演するのは5ヶ月ぶりなので、是非おかえりと言ってあげてください!
 執筆の最中に思ったのですが、もしかしたらこの小説で一番可愛いのって彼女なのでは……? ラブライブ小説なのにオリキャラを推す時点でおかしいのですが、読者さんの中にも彼女のファンは多いみたいなので(笑)


 次回は一応今回の続きなのですが、話の内容はガラリと変わるので前後編ではありません。そして次回がμ's襲来編のラストとなります。

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