ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 本日(正確には翌日0時ですが)この小説が2歳の誕生日を迎えました!
 そして今回の特別編はやりたいことをブッ飛んでやってるだけなので、以下の今更な注意事項をよく読んでから頑張って展開を追いかけてください(笑)


※ものすごぉく今更ですが、キャラ崩壊注意
※特別編なのでいつもよりご都合展開MAX
※メタ発言もあり
※パンツ泥棒はしない


【特別編】パンツ・パニック・パイレーツ

「ねぇ零くん。ことりはね、本当はこんなことしたくないんだよ? でも犯罪者だと確定している人をそのまま野放しにしておくのも心残りがあるというか、見て見ぬふりをするなんてできないんだよね。だから零くん、白状して? ことりの――――――パンツを盗んだって」

「いや、してねぇよ」

 

 

 俺はどこかも分からない取調室で、ことりからの尋問を受けていた。

 休日だから昼寝に勤しんでいた俺を手錠や縄などありとあらゆる拘束器具を使って無理矢理引っ捕え、現在こうして卓上ライトだけがぼんやりと灯る暗く狭い空間に押し込められているのだ。

 そして取り調べが開始されるなり無実の罪を着せられ、あたかも俺がことりのパンツを盗んだと強制的に自白させようとしている。もちろん何度も否定しているのだが、その度に苦しい難癖を付けて自ら引こうとはしない。これはもう警察の闇としてよく語られる、点数稼ぎの職質や圧迫取り調べに他ならないぞ……。

 

 

「もぉ~!! どうして零くんはそんな強情なの!? ことりのパンツを盗む犯人はこの世界でたった1人、零くんしか有り得ないんだよ!!」

「だから知らねぇって! そこまで言うのなら証拠はあんのか証拠は!!」

「零くんがことりたちに欲情する変態さんってだけでも十分な証拠だよ!」

「たかが人の性格ごとき事件の証拠にならないから!」

「本当に零くんじゃないの……?」

「今日は昼に起きて昼飯を食ってそのまま昼寝してただけだ。家に秋葉がいるから聞いてもらえれば確認くらいすぐに取れるから」

「むぅ……」

 

 

 唇を尖らせて不満そうな顔をすることり。コイツはどれだけ俺を犯人に仕立て上げたかったんだ……。もしかして『零くんが犯人だったんだ♪ どうしよっかなぁ警察に通報しちゃおうかなぁ~。もしされたくなかったら、今日からずっとことりを性欲便所に使ってね♪』みたいなことを要求してくるつもりだったんだろうか。ありえる……コイツならありえる!! でもその展開も若干……アリ? でもコイツの思惑通りに事が進むのは釈然としないから抵抗しておこう。

 

 

「せっかく零くんを犯人にして、これから一生手錠で手首を繋いで仕事もご飯もお風呂も就寝も性欲処理も一緒にしようと思ってたのに……」

 

 

 重い!! 思っていた以上に愛が重かった!! でも結局俺の想像と対して結果は変わっていないような気もするけど……。

 

 

「そんなことだと思ったよ。それじゃあ俺は帰るからな」

「待って! ことりのパンツの件はどうなったの!?」

「どうなってのって、それは俺をここへ連れ込むための口実だろ?」

「違うの! パンツを盗まれたのは本当なの!!」

「えっ、そうなのか……」

 

 

 てっきりパンツ盗まれた関係の話は俺のオナペットになるための計画の一部だと思っていたのだが、彼女の必死さを見る限りではそうじゃないらしい。だったら俺ではない真犯人がいるってことになるけど、この時代に下着泥棒なんてする奴いるのか? スクールアイドルの天使(外見では)と呼ばれたことりのパンツとあれば食いつく奴はいるだろうけど。俺も見せびらかされたらドキッとしてしまうし……。

 

 

「零くんお願い! 犯人逮捕に協力して!」

「まあ乗りかかった船だし、協力はしてやるよ」

「ありがとう♪ 零くんがいれば迅速に犯人を捕まえて、服を脱がせて世間へ痴態を晒し上げることなんて余裕だよね!」

「極刑が重すぎる! 主に精神的な意味で……」

 

 

 乗りかかった船というのもそうだけど、恋人のパンツが盗まれてるんだから黙って見過ごせないという気持ちもある。しかもパンツ泥棒なんて流行らない時代にこんなことをやらかす野郎だから、犯人は相当変態で危ない奴っぽいしな。だからことりだけに任せるのは危険だと思ったんだ。いくら面倒臭がりな俺でもせめてもの責任くらいはあるよ。

 

 

「で? どんなパンツなんだ?」

「えっ!? そ、そんないきなり男の子に自分のパンツについて話すなんて……恥ずかしいよぉ~」

「お前なぁ、今頃清純ぶってんじゃねぇよ。もうお前の性格なんて表から裏まで隅々まで知ってるんだからな」

「ことりの身体のことも隅から隅まで知ってるもんね零くん♪」

「そんなことどうでもいいから早く言えって」

「ヒドイ!? もう何度もエッチした関係なのに……。やっぱり周りに女の子がたくさんいるから、ことりなんてただ性欲をぶちまけるためのティッシュみたいな役割にしか思われてないんだね……」

「いや本気で愛してるから――――じゃなくて、話が停滞してるから怒ってんだよ俺は!!」

 

 

 確かに周りに女の子はたくさんいるよ。μ's然りAqours然り、A-RISE然りSaint Snow然り、その関係者然り――――でもだからといって俺が女の子をぞんざいに扱うはずがないだろう。普段はこちらから攻めるのがいいんだとか、性奴隷モノが好きだとか色々女の子を雑に扱うプレイが好きだと言っているが、それも女の子を信頼している愛ゆえだ。女の子側もこちらを愛してくれているからこそそんなプレイが成り立つ訳だしな。まあもちろん嫌がる子を無理矢理ってのもアリっちゃアリだが。

 

 

「そんなにことりのパンツが知りたいの? もう零くんってば本当に変態さん♪」

「いい加減にしないと帰るぞ」

「ゴメンゴメン♪ 色は薄いピンク色で、可愛いひらひらが付いてるんだ」

「全く……。それでどこで盗まれたんだ? まさか外に干してたとかじゃないだろうな?」

「ちゃんと家の中に干してたよ。だから犯人は家に侵入できる人、つまりことりの関係者だと思うんだよね」

「関係者ってことは、μ'sの誰かってことか……? そんな馬鹿な」

 

 

 セキュリティが進歩しているこの世の中で、わざわざ家に忍び込んで下着を盗むなんて暴挙に出る奴はそうそういないだろう。だったらことりの言う通り彼女の家に内通する関係者が怪しいが、ことりの知り合いは俺を除けば全員女の子だ。普通に考えれば百合属性を持たない限りは同性のパンツを盗もうなんて思わないはずだが……。これも色物揃いのμ'sだから、裏で何を考えてんのか分からないけどな。

 

 

「μ'sのみんなだけじゃないよ、Aqoursのみんなも疑わないと」

「えっ、どうして? お前そんなにアイツらと関わりあったっけ?」

「曜ちゃんと連絡先を交換した時に、今度はことりの家に遊びに来てくださいって住所を送っておいたんだ。そしてついでだから、曜ちゃんを通じて他のみんなにもね」

「オープンだなお前……」

「だってせっかく仲良くなったんだから、一度会ってそれっきりってなんか勿体無くない?」

 

 

 なんだろう、出会って即仲良くなり連絡先どころかその友達すらにも教えるその寛容さは。しかも自分が伝説のスクールアイドルなのに、何の躊躇もなく住処を晒す来るもの拒まずどころか自ら呼び込むその精神。そう考えると寛容というより無用心な気もするが、それは逆に友達になった人を信頼できる人かそうでないのかを確信するのが早い、つまり人を見抜く力に秀でていると言える。ことりってぽわぽわしてそうで案外計算高いところ(特にR-18関係)があるから、そのおかげなのかもしれない。

 

 

「Aqoursって言ってもなぁ、アイツらは静岡でお前の家は東京なんだから、わざわざパンツごときで遠征しに来ないだろ」

「でもAqoursってμ'sに憧れている子が多いんでしょ? だったら十分に容疑者だよ!」

「簡単に友達を疑いすぎじゃないか……?」

「零くん、女の子が処女か非処女かはどうやって見分ける? とりあえず一発突っ込んで確かめてみるでしょ? つまり最初から勢いが大切なんだよ! いくら零くんが処女厨だからって、もたもたしていると女の子が逃げちゃうよ。だからいきなり襲わないと! 食べちゃわないと! 犯人探しも行動原理は同じ! どう理解できた?」

「いや全然……」

 

 

 コイツは結局下着を取り戻したいのか、それとも他の子にちょっかいをかけたいだけなのかどっちなんだ……。それ以前にパンツを盗まれたこの状況を楽しんでいる、そんな感じがする。

 

 

「それじゃあ早速行こうよ」

「へ? どこへ?」

「決まってるじゃん! 静岡にだよ!」

「ということは千歌たちに会いに行くのか!? 準備なんて何もしてないんだけど!?」

「それは心配ないよ。だって特別編だもん」

「ちょっとさっき世界観が崩壊する発言しなかった!?」

「はいレッツゴー♪」

「お、おいっ!!」

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「はい着きました~♪」

「ホントに内浦にいる……。もうなんでもアリだな」

 

 

 さっきまで薄暗い牢獄のような取り調べ室にいたはずなのに、気が付けば浦の星女学院の目の前にワープしていた。いくら今回が特別編だからって自由すぎやしませんかねぇ……って、この発言も相当世界観が歪むので謹んでおこう。

 

 浦の星に来たと言っても、具体的に誰に会って何をするのかは全く考えていない。ことりはニコニコと笑顔のまま、不審者のように怪しく校門前で校舎を覗いている。恐らくAqoursの誰かに会えるのを楽しみにしているのだろうが、だったら普通に会いに来ればいいのに。わざわざパンツ泥棒という汚名を着させる口実なんてなくても、千歌たちだったらレジェンドスクールアイドルのことりとなら二つ返事で会ってくれるだろう。ていうか自分の憧れの人にいきなり下着ドロに疑われる彼女たちが不憫でならないんだけど……。

 

 

「あっ、あの子なんて怪しいんじゃないかなぁ?」

「あの子って……梨子じゃねぇか」

 

 

 ことりが最初に目を付けたのは、世間一般では受け入れがたい密かな趣味を持つ梨子だった。そう考えてみれば、初対面で梨子のことをほとんど知らないのに目を付けたことりの勘は冴えていると言える。やはり同じ曲がった趣向の持ち主同士だから雰囲気で感じ取れるのだろうか。曜と意気投合した時も、淫乱センサーが反応したって言ってたし。

 

 ことりは梨子から何かを感じ取るなり校舎に潜り込み、小走りで彼女に近づいた。

 

 

「桜内梨子ちゃん……だよね?」

「わっ、ビックリしたぁ……。は、はいそうですけど……どちら様で――――あっ、もしかしてμ'sの南ことりさん!?」

「そう、変質者対策班の南ことりです! あなたを逮捕します!」

「へっ、えっ!? どうして!?」

 

 

 そりゃ驚くわ。いきなり本物の警察に逮捕されると宣告されればもちろん驚くが、突然出会った美少女に逮捕状を突きつけられる方がよっぽどな。

 

 

「悪いな梨子、今のことりはちょっと頭がおかしいんだ。まあいつもおかしいけど」

「先生もいたんですか!? これどういうことです……?」

「茶番だ。こうでもしないとことりが満足しないから付き合ってあげてくれ」

「えぇ……」

 

 

 渋い顔をしながらことりを見つめる梨子。それに対してことりはぷりぷりと可愛く怒りながら梨子の眼前へと詰め寄る。

 それにしても可愛い女の子に迫られ頬を赤くして一歩退く梨子を見ると、やっぱりコイツって百合属性持ちなんだなぁと実感する。決して表には出さないが、普段のオナネタも女の子だったりするのだろうか。もしそうだとしたらしっかりと俺が男の魅力を身体に刻み込んであげないと……。

 

 

「まず逮捕の前に、ことりのパンツ返してね♪」

「はぁ!? そ、そんな持ってないですよ!?」

「嘘! あなたからは女の子好きの百合百合しいピンク色のオーラを感じるの! ことりと同じく世界の理から外れたあなたが、女の子の下着に興味ない訳ないでしょ??」

「ゆ、百合百合しいってそんな……そ、そんなこと……ないですよ……?」

「だったらどうして顔が赤いのかなぁ~? ん~??」

「そ、それはぁ……」

「ことりでえっちな妄想してるんじゃないの? この牝豚!!」

「はぅ!!」

 

 

 な、何やってんのコイツら!? いきなり目の前で百合プレイ始めないでくれるかな!? しかも妙にSM属性が混じってるのがやけにリアルだ。もう完全に目的を見失ってるだろことりの奴……。

 

 

「ねぇ早くことりのパンツ返してよ。ないんだったら今あなたの履いているパンツを貰っちゃおうかなぁ~」

「そ、それだけは……」

「そのパンツを使ってことりが夜な夜なあなたを妄想して自分磨きに勤しむとしても? そんなことりをオカズにして、あなたも自慰行為に没頭することができる。まさにWin-Winな関係じゃない?」

「それはまぁ、否定はしませんが……」

「だから――――――パンツ、頂戴?」

「おい、主旨が変わってきてるぞ。とりあえず梨子から離れろ」

「やんっ! 零くんそんなとこに無理矢理手を突っ込まないでぇ~!! や~んっ♪」

「襟を掴んでるだけだから、変な言い方すんな」

 

 

 ただでさえ収集できないカオスな状況なのに、意味深な発言で更に雰囲気を混沌にさせたらそれこそ神の手で規制されるぞ。まあもはやことりの存在こそが規制対象なのかもしれないが、まだ限りなく有害に近い無害なので首の皮一枚繋がっている状態で規制を逃れていると思う。ことりがこんな性格になってここまで物語を紡いでこられたこと自体がもはや奇跡なのかもしれない。

 

 

「梨子ちゃん、本当にことりのパンツ盗んでないの?」

「盗んでませんよ。今日はずっと学院にいたんですから……」

「むぅ~。普段から曜ちゃんたちの着替えをまじまじと見て、はぁはぁと興奮してる梨子ちゃんが犯人だと思ったんだけどなぁ~」

「し・て・な・い・で・す!! 女の子を可愛なぁと思うことはありますが、あくまでそういう趣味は二次元だけですから――――って、私ってば何を言ってるんだろ……」

「ことりと絡んだ人はほぼ間違いなく大ヤケドするからな……」

 

 

 ことりと2人きりで絡むのはあの暴走機関車である楓すらも躊躇うくらいで、彼女が終始歪なテンションなせいでその相手すらも妙なテンションにさせられてしまう。今回のように普段絶対に自分の裏の趣味について暴露しない梨子が、外で思いっきり裏の自分を曝け出している。曜と邂逅した時もそうだったけど、ことりと絡んだ人のキャラ崩壊が半端じゃないな……。まあここまで来たら今更なことかもしれないけど。

 

 

「梨子ちゃんじゃないとすると誰なんだろう。心当たりない?」

「ここで誰かの名前を挙げることが心苦しいんですけど……。犯人扱いしてるみたいで」

「誰でもいいんだよ! こう、レズの梨子ちゃんから見て一番レズっぽい子の名前を挙げてくれれば!」

「お前さっき誰でもいいって言ったよな!? もう本気で犯人探す気ないだろ!!」

「疑わしき人はみんな罰せよという、古きありがたい教えに従ってるだけだよ♪」

「結局なんの根拠もないローラー作戦かよ……。こんなことに巻き込まれるAqoursが可哀想だよ」

 

 

 もうね、帰りたくなってきたよ俺は。もはやことりは犯人探しではなく、単純にAqoursのメンバーと一緒に遊びたいだけなんじゃないかと思ってしまう。いや、思うじゃなくて絶対そうだわ。そのせいでさっきから梨子が頬を赤く染めたまま物思いに耽ってるし、このままでは曜を皮切りに梨子、そして千歌たちとAqoursメンバーのキャラ崩壊が秒読みとなってしまう。もう外に出ず、家でじっとしていてもらいたいな……。

 

 

「心当たりがあると言えば……」

「あっ、結局言うのか」

「千歌ちゃんとダイヤさんはμ'sの大ファンですから、一番犯人に近いかと……。あぁ、ゴメンなさい2人共!! この雰囲気に耐えられなかった私を許して!!」

 

 

 いやそれは満場一致でみんな許すよ。このまま沈黙していたら、またことりに何をされるのか分かったもんじゃねぇからなぁ。

 

 

「という訳で、2人がいると思われる生徒会室の前まで来ました!」

「あっ、えっ!? またいきなりワープしてる!?」

「特別編だからね♪」

「答えになってるよななってないような……あれ? 梨子は?」

「残念ながらこのワープは2人乗りなのです」

「あとで梨子にフォロー入れておいてやろう……」

 

 

 ご都合主義にどれだけツッコミを入れてもどうしようもないことはどうしようもないので、今はパンツ泥棒探し、もといことりのお遊びに付き合ってあげよう。

 

 こう言っては悪いのだが、もし仮に女の子の下着を盗むんだとしたら、一番犯行をやらかしそうなのは梨子だと思っていた。そもそもAqoursはμ'sに憧れている子は多いものの、μ'sのように淫乱思考を持っている子はかなり少ない。だからわざわざ静岡から東京まで来て、しかも憧れだと崇めることりの下着を盗むこと自体ほぼほぼ有り得ないと思っている。

 

 ここで真面目に議論しよう。だったら誰がパンツ泥棒なのか。まあμ'sやAqoursの誰かである線よりも、ことりや親鳥が誤って家のどこかに落としてしまった説を唱えるのが最も現実的だ。そう考えれば家の中をもっと探せと言いたくなるのだが、ことりはAqoursにご執心なので何を言っても聞く耳を持たない。しかし人間というのは裏で何をやっているのか分からないからな。表ではいい顔をしていても裏では犯罪に手を染めている輩も少なくはないだろうし。それに犯罪でなくても、梨子みたいに極秘の趣味をもってコソコソやってる奴なんてごまんといるからことりの関係者が犯人説を完全には否定できないけど……。

 

 

「噂によると千歌ちゃんは時期生徒会長候補として、ダイヤちゃんから生徒会業務のノウハウをこの生徒会室で学んでいるらしんだよ」

「どうしてそんな情報知ってんだよ……」

「特別編だから♪」

「もうそれで納得できる自分が毒されてきてるな……」

 

 

 東京から静岡へ一瞬でのワープ、千歌が生徒会長になろうとしているという今までどこでも語られてない設定、未だかつてないほどのキャラ崩壊、まさに特別編だからこそのトンデモ展開に追いつける人はいるのか……? 俺は辛うじてついて行けているが、展開が早すぎて今にも置いてかれそうになってるのが現状だ。

 

 

「それじゃあちょっと生徒会室へ行ってくるね!」

「また真っ向からアイツらを犯人扱いするつもりか?」

「違うよ~。今回はしっかりとした確証があるんだから!」

「どうだか……」

「下着泥棒は女の敵! だからこの名探偵ことりにお任せ下さい!」

「警察だったり探偵だったりどっちなんだよ……」

 

 

 これまでの発言や所業を思い返せば、コイツが探偵として活躍するには程遠い気がする。というか程遠いと確定してもいいくらいだ。勝手に犯人だと決め付けて人に突っかかっていく様は、探偵モノのアニメやドラマによく出演している無能刑事や探偵キャラそのものだった。しかしそんな愛嬌のあるキャラが冴えると途端にカッコよく見えるので、ことりは今からそれを再現しようとしているのかもしれない。まあどんな結果になるかはこれまでの展開を読めば大体分かりそうだが……。

 

 

「洗脳探偵ことり! 行ってまいります!」

「洗脳?」

「ことりは零くんと遊園地に遊びに行った夜に、怪しい男たちの取引現場を目撃しちゃったんだよ。その取引に夢中になっていたことりは、背後から近づいてくるもう1人の男に気付かなかった。そしてその男に殴られ気絶したことりは毒薬を飲まされ、目が覚めたら――――なんと淫乱な女の子になっちゃったの!! エッチになっても頭脳は同じ、というかむしろオトナ! その名は、名探偵ことり!! こんな感じでどう?」

「どうと言われても……そのエピソードどっかで聞いたことがあるぞ」

 

 

 それに洗脳と言っているが、お前が淫乱になったのはクスリのせいではなく自ら染まったんだろとツッコミを入れるのももはや面倒だ。その一端は俺のせいでもあるのだが、あたかも自分が被害者面しているのが地味に腹立つんだよな……。しかもコイツは曜をアッチ方面に堕とした張本人だから、今や洗脳する側になっているのも忘れてはいけない。

 

 

「お前が探偵なのはこの際どうでもいいとして、パンツを盗んだ犯人がバカ正直に自白するとは思えないんだけど」

「それを確かめる方法がちゃんとことりにはあるんだよ! まあそこで待ってて」

「えっ、俺は行っちゃダメなのか? ここまで強引に連れ回しておいてそれはないだろ」

「大丈夫、すぐに終わるから。それじゃあ行ってくるね」

「お、おいっ!」

 

 

 ことりは俺の意見も聞かずそそくさと生徒会室に入って行った。

 なんだろう、乗りかかった船に無理矢理積み込まれたのに途中で海へ投げ出されるこの感じは……。

 ことりの推理なんてハナから期待していないのだが、心配なのはアイツの無茶苦茶な推理で千歌とダイヤがどんな目に遭うのか分からないことだ。2人共μ'sの大ファンがゆえに、ことりを前にしたら怖気づいて中々思っていることをはっきり言えないだろうしな。

 

 そしてしばらく廊下で待っていると、廊下に漂う静寂を貫く出来事が起きた。

 

 

「「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」」

 

 

「な、なんだぁ!?!?」

 

 

 廊下にまで響き渡る生徒会室からの悲鳴。

 ただのパンツ泥棒事件が、新たなる展開を迎える……のか??

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 1話に収めようと思ったのですが、もっとたくさんキャラを出演させてあげたかったので後編に続きます。とは言ってもμ'sもAqoursも全員出演させられないのが残念ですが。

 前書きでもお伝えした通り、『新日常』が二周年となりました!
 しかしこれからもやることは零君と女の子たちのダラダラとした日常を描いていくだけなので、またいつも通りまったりと読んでくだされば嬉しいです。


 次回は今回の続きです。パンツ泥棒は一体誰なのか……必見!





 超絶な余談ですが、どうやらスクフェスで新しいスクールアイドルが誕生するようで。もう何十股のレベルじゃ収まらなくなりそう……。

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