ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 今回は果南回です!
 思えば、こうして果南の胸の内を語るお話は初めてかもしれません。


嫉妬の浴場、禁忌の欲情

 

「悪いな、わざわざ来てもらって」

「気にしないでください。先生が病気になってしまったと聞いて、私も心配していましたから」

 

 

 果南はせっせとリビングを掃除しながら、同時に俺の様態も気遣ってくれている。

 一連の会話で察したかもしれないが、俺は生憎ながら軽く風邪を引いてしまった。いつもなら楓が寵愛を捧げるかの如く看病してくれるのだが、これも生憎ながら現在彼女は東京である。しかも肝心の同居人である秋葉は仕事で数日間ここを離れているので、1人寂しく風邪の寒気に耐えながら生きていかなければならない状況だったのだ。

 

 だからこそ突然果南が訪問してきた時には驚いた。夕食の材料を入れたスーパーの袋を手に持ち、服は制服のままだから授業が終わってそのままここへ直帰したのだろう。完全に押しかけ女房のようだが、正直身体が重くて適当に寝て過ごそうと思っていたので助かった。あまり食欲はないけど、風邪で弱っている時こそ食わないといけないしな。飯自体は高校1年生の時に1人暮らしをしていた影響で1人でも作れるけど、もう長年楓や最近では秋葉の手料理を嗜んできたせいで自炊が不可能な身体にされてしまった。アイツらの料理を1口でも食ったら、自炊した料理なんてゴミを食ってるようなものだからな……そういう意味でも果南が来てくれて助かった。

 

 

「他のみんなはどうしたんだ? 練習か?」

「そうです。千歌がこの前のお礼に今度は自分がお見舞いに行きたいって張り切っていたんですけど、梨子ちゃんや曜ちゃんに『千歌ちゃんが行くと看病にならないから、色んな意味で』と言われて泣く泣く練習に参加してましたけど……」

「あぁ、アイツ料理できないだろうから変なモノ食わされそうだしなぁ」

「それと同じ理由で鞠莉や善子ちゃんも却下。ダイヤも結構的を外れた看病をしそうですし、そもそもたくさんで押しかけるのは申し訳ないと思って、みんなが私に白羽の矢を立ててきたんです」

「唯一まともな看病ができそうなのはお前くらいだもんな」

「そうですか? 曜ちゃんにも付き添いを頼んだんですけど、やんわりと断られちゃいまして……。なんか微妙な顔してましたけど、もしかして曜ちゃんに何かしました……?」

「えっ!? あ、い、いや!!」

 

 

 ちょっと前に起こった曜との一連の出来事がフラッシュバックされるが、果南に悟られたくないので全力で否定する。もちろん何かしたと言えば本当にやっちゃったのだが、それは曜との暗黙の了解となっていた。あれ以来俺も彼女も雨の日の出来事を口に出すことはない。でも俺はベッドの上で毎晩のように思い出す、彼女の口の気持ちよさを――――

 

 

「先生? 顔を赤くしてどうしたんですか? まさか熱が上がってきたとか!?」

「いやそんなことはない!」

「どうして分かるんですか?」

「そ、それは自分の身体のことは自分がよく分かってるからさ……」

「一応ですけど、熱測っておきます?」

「大丈夫だから! なんならピンピンしてることを証明するために走り回ってやってもいい!」

「それで熱が上がったらただの迷惑なので、ちゃんと寝ててください」

「はい……」

 

 

 マジレスをされて少々萎縮してしまったが、曜との関係を追求されなくて助かった。口でされたことを言えない訳ではないが、女の子に面と向かって別の女の子に口でしてもらった話をする度胸は流石の俺でもない。物事の細かいことを気にしない果南だからこそ誤魔化せた感はあるな。

 

 ちなみに俺の容態についてはそこまで深刻ということでもなく、ただ風邪を引いて37度の熱が出ているくらいだ。しかもそれは今日の朝だけであり、夜になった今では1人で自由に動き回れるくらいには回復していた。だが秋葉が出張で家におらず俺が1人きりという情報をどこで聞きつけたのかは知らないが、心配性のAqoursがこうして果南を寄越してきた次第だ。

 

 まあ情報の漏洩についてはここでは考えないようにしよう。もはやμ'sとの繋がりができたAqoursは、俺の情報をいつでも余裕で仕入れられる状態にある。μ'sの一部メンバーなんて俺しか知らない秘密の個人情報を知ってる輩までいるから、その出処を調べるだけ無駄なことなのだ。どうせ調べて犯人を暴いたところで反省などしないだろうし。

 

 

「そういや、今日の練習はどうだった? 俺がいなくてもお前がいれば平気だろうけど」

「練習は滞りなく進みましたけど、千歌や曜ちゃんはかなり心配してましたよ。先生に連絡してもいいか、迷惑だからしない方がいいのか、休憩時間に悩んでいましたから」

「昨晩に比べれば全然大丈夫だし、連絡くらいならいつしてきても良かったんだけどなぁ。アイツら最近結構甘えてくるから、余計な心配かけちゃったかも」

「…………」

「どうした?」

「いえ、別に……」

 

 

 果南はそう言い残すと、晩飯を作るためだろうかキッチンへと向かってしまった。

 彼女の雰囲気にどこか哀愁が漂っていて、さっきまで意気揚々(とは言っても、果南だからそこまでテンションがアゲアゲではないが)と喋っていたのに突然どうしちゃったんだ……? また女心に関する縺れは勘弁して欲しいが、思春期の女の子と一緒にいる以上はしっかりと向き合わなければならないことだ。もちろんもう少し時間を置いてから、ゆっくりと話すことにしよう。生半可な気持ちで下手に刺激しないことこそが、μ'sとのいざこざで学んだ俺の教訓だ。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「ご馳走様! いやぁ風邪のせいで味を感じないかどうか心配だったけど、濃い味付けのおかげでたっぷり堪能できたよ。意外と料理上手いんだな果南って」

「含みがある言い方は気になりますけど、これでも毎日自炊しているんですよ? そこまで料理しないイメージあります?」

「店があるから忙しいのかなぁと思ってね」

「逆に店があるからこそ家族の代わりに私が夕食を作ってるんですよ。まあそこまで凝ったものはできないですが」

 

 

 果南の手料理は俺があまり食することのない和食だったのだが、飯も味噌汁も焼き魚も懐かしいお袋の味がしてとても満足した。風邪で鼻が詰まり味が分かりにくくなっている俺への配慮で、味を少し濃くしてくれた気遣いも心に響く。伊達にAqoursのお姉さんポジションを獲得している訳ではないようで、千歌たちを見守る経験を活かして俺への気回しも完璧だった。こういう子こそお嫁さんに欲しいところだよなぁ。やはり俺は胃袋を掴まれるのに弱く、安心して安定の美味さの料理を作れる女の子はそれだけでポイントが爆上がりである。

 

 ちなみに『男は女の美貌なんて3日で飽きる。だが胃袋だけは掴まれたら一生離れられない』という格言があったりする。出典は知らないがな……。

 

 

「果南、俺の嫁に来ないか?」

「ブッ!! な、何言ってるんですか急に!?」

 

 

 果南は飲んでいたお茶をグラス内に吹き出し、目を丸くしてこちらを見つめる。

 ようやくコイツにダメージを入れられたというか、心をドキッとさせることを言えた気がする。彼女はサバサバした性格だから心もあまり揺れ動かないようで、俺からの甘言も軽くスルーするなどμ'sにはなかった反応を示す。そんな屈強な心を持つ彼女をここまで驚嘆させ、なおかつ顔を赤らめさせることができたのはガッツポーズ案件だ。なんだよ、普通に乙女な顔もできるじゃん。

 

 

「そ、そんなことよりも、昨日はお風呂に入りましたか?」

「あぁ、昨晩はそこそこ熱もあったし、ずっと寝てたよ。狂ったように寝てたから身体も拭いてないな」

 

 

 まあそうやって何十時間睡眠をキメた結果、今日はこうしてピンピンしている訳だが。しかし風邪というのは病み上がりが肝心で、治ったからと言って下手に体温を刺激するとぶり返しの要因にもなる。だからこうして果南が来てくれたのだろうが、俺としては病み上がり云々の話よりも、柄にもなくそわそわしている彼女の方が気になっていた。

 

 そう思ったのも、彼女が飯を作る前に不機嫌(?)っぽくなっていたからだ。しかし嫁に来いと言った瞬間に慌てた表情になり、同時にうっすらと嬉しそうな微笑みを浮かべていたので機嫌は直してくれた……のかな? 正直な話、果南は今まであまり女の子っぽい仕草を見せてくれなかったので、たまたまだけどこうしてその一抹を垣間見れたのは嬉しかったりもする。こんなデリカシーのないことを本人の前で言ったら怒られるだろうな……。

 

 

「昨日お風呂に入っていないのなら、今日は入った方がいいんじゃないですか? 病気の時って普段より汗をかくと言いますから」

「そうだな。病み上がりと言っても風呂くらいは入ってもいいか」

「では入りましょうか」

「あぁ……って、へっ!?」

「…………」

 

 

 想像もしていなかった爆弾発言に、あまりに素っ頓狂な声が出てしまった。しかも発言した本人も頬をじんわりと赤く染めてモジモジしている。お互いに見つめ合ってしばらく無音状態が続いていたが、その後に果南が唾をゴクリと飲み込んで口を開く。

 

 

「ほら行きましょう! 病み上がりなのでまだ身体が硬くなっているかもしれませんし! そんな身体では思うように身体を洗えないでしょう?」

「どうした急に声を荒げて!? いつものお前らしくないぞ!?」

「行きましょう!」

「お、おいっ!!」

 

 

 滅多に平常心を崩さない彼女が、ここまで気性が激しくなっているは初めて見た。手首を強く掴まれ、そのまま引きずられるように風呂場に連行される。もちろん女の子と入浴を共にするのは嬉しいのだが、それ以上に今の彼女がどんな心境なのか気になって仕方がない。さっきから表情がコロコロと変わるのは見ていて面白いけど、どうしていきなり積極的になり始めたんだろうか……。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 現在の状況。下半身にタオルを巻いて風呂の椅子に座っている俺と、身体にタオルを纏って俺の背中をスポンジで洗ってくれている果南。風呂場に入ってからお互いにほとんど会話はなく、唯一あったのは身体を洗うから座れと促された時だけだ。風呂場に響くのはスポンジと泡の音、そして微かに聞こえる彼女の息遣いだけだ。鏡が曇っているから後ろの状況はよく見えないが、うっすらと見える影から察するに膝立ちをして俺の背中を洗ってくれているのだろう。

 

 そもそも――――どうして俺と果南は一緒の風呂場に入ってるんだ!?!?

 さっきから後ろにタオル1枚の果南がいるという事実も相まって、こうして平常心を保ちながら座っているのが奇跡に近い。スポンジで洗ってくれてはいるものの、時々彼女の柔らかい肌が俺の肌に触れ、その度に彼女の身体のどの部位が触れたのか頭の中で考察が止まらない。だから果南に真意を聞こうにも、煩悩が邪魔をして聞くに聞けない状態なのだ。

 

 そんな感じでしばらく彼女のスポンジ捌きに身を委ねていると、後ろからそっと声が聞こえてきた。

 

 

「私、嬉しいんです。先生のお役に立てて……」

「え……?」

「振り返らないでください!! 何が起こるのか分からないので、一応その予防線です」

「何もしねぇって、多分……」

 

 

 果南のスタイル抜群の身体の一糸纏わぬ姿を見れば、この平常心なんて速攻で崩れ去る自信がある。そんなことで自信を付けてもらいたくないと思うだろうが、これも男の性だからしょうがねぇだろ。それにさっきから俺の腹部に腕を回して腹回りまで洗ってくるため、その心地の良い感触に耐え切れる理性があるかどうかも不安だ。だから振り向かなくて正解だったかもしれない。己の理性の弱さと糸が切れた時の豹変具合は自分が一番よく知っているからな。

 

 それよりも、彼女が何か意味深なことを言いかけたのでそっちに集中しよう。

 

 

「役に立つって、どういうことだ?」

「先生が教育実習に来てからというもの、Aqoursの活動の幅が一気に広がりました。練習メニューを考える時も作詞作曲の時も、私たちの活動を全般に渡り手伝ってもらって感謝をしているんです。でも……」

「でも?」

「私からは先生に何も返してないな、と思いまして」

「だから俺の看病を?」

「それもあるんですけど……あぁ、もうっ!! 言いたいことを上手く伝えられない!! やっぱダイヤや鞠莉の言う通り、面倒だな私って……」

「どうしたんだよ一体……」

 

 

 簡潔に言えば、俺に何か恩返しがしたくて自ら看病をしに家に来てくれた――――そう思っていたのだが、果南のこの反応を見る限りどこか違うだろうか……? Aqoursのみんなと仲良くなった際に3年生組の加入についていざこざがあったことは聞いている。その時はダイヤも鞠莉も、そして果南もかなり面倒な子になっていたみたいで……。普段の様子を見ているととてもそうには思えないのだが、やっぱりまだ交流の経験が浅いことが彼女たちの真意を汲み取れない一番の要因だよな。

 

 

「もうはっきりと言います!」

「お、おう……」

「私、千歌や曜ちゃん、Aqoursのみんなに嫉妬してたんです」

「嫉妬? お前が……?」

「やっぱりそういう反応されますよね……。私も千歌たちみたいに先生とそのぉ……じゃれあうと言ったらおかしいですけど、もっとお話したいなぁと思ってるんです。でもいざとなったら行動に移せなくて、逆に千歌たちはどんどん先生と仲良くなって、最近置いていかれてると感じちゃうくらいで……」

「そうだったのか。俺はそんな距離は一切感じないんだけど、お前からしてみれば俺が遠くの存在になっちまってたんだな……」

「はい。幽霊騒動の時、先生が私たちをよく見てくれているのは分かりました。だからむしろ私から離れちゃったんだと思います。ずっとみんなに遠慮していたのもそうですし、自分から先生に向かう勇気がなかったのもそうですね」

 

 

 果南は意外と嫉妬深い。彼女に少しばかりヤンデレな性格が備わっていたなんて知らなかったし思いもしなかった。そういや秋葉のクスリでキャラが変わった際、コイツかなり病んでたからその時から兆候はあったんだ。気付かなかったのは彼女自身が己の気持ちを隠してたのでそこに悔やむことはないが、やはり女の子の負の感情を心に留めるのはいつも重々しい。事前に気付いて俺から話しかけてやれば、少しは軽くなるのにといつも思ってしまう。

 

 

「一言で言えば寂しかった。そういうことだろ?」

「そう言われると恥ずかしいんですけど……まあ仰る通りです。私も先生と、たまには2人きりで――――」

「な゛っ……!?!?」

 

 

 いきなり背中にふくよかな何かが2つ、ぴったりと張り付けられた。しかもタオル越しではない、生の肌の感触と体温が直に伝わってくる。紛れもない女の子の象徴であるその双丘は、窓ガラスにペタリと張り付くように俺の背中に密着している。そして果南は俺の腹を洗うために伸ばしていた腕を今度は首元へ回し、そのまま身体ごと俺に抱きついてきた。そうなればもちろんおっぱいが背中によって形が変わる感触を、生々しく直に味わえる訳で……。

 

 果南の身体は胸だけではなく全身が柔らかかった。体育会系だから筋肉質で肌が硬いなんて言い訳も全く通用していない。俺の肩に触れる二の腕も、臀部(でんぶ)に当たる太ももも、どこもかしこが柔軟な肉厚だ。しかもここが風呂場という最高級なシチュエーションだという事実も己の欲情に拍車を掛けている。

 早くこの肉眼で彼女の身体を舐め回すように鑑賞したいのだが、果南の熱くも優しい抱擁に身動きが取れなかった。それだけ彼女の強い気持ちに俺の心が捕まっているんだと思う。そしてそれは、彼女の願っていたことでもある。

 

 

「何も特別なことなんてされなくても、こうして先生と一緒にいられるのが今凄く嬉しいです」

「ただ俺がこうしているだけでお前が満たされるのなら、それ以上のことは何もないよ。でも1つ聞いていいか?」

「はい、なんでしょう?」

「どうして嫉妬なんて気持ちを抱いたのか、答えは出ているのか?」

「多分……。でもまだ言えません。この気持ちが確信に変わるまでは……」

「そっか……」

 

 

 それ以上は追求しなかった。以前にも曜が同じ答えを言っていたことを思い出したからだ。でも彼女たちが抱いている気持ちは大体分かっている。これでも恋人が12人もいるものでね、女の子の気持ちは多少なりとも理解しているつもりだ。それでもまだまだ自分は鈍感な方だと思うけど。

 

 

「気付いたらこんな気持ちになっていました。特別な出来事も事件も何もなかったのに、毎日一緒にいるだけで楽しくて、いつの間にか……」

「そんなもんなんじゃねぇの、普通はさ」

 

 

 穂乃果たち9人とはかなりの大事件があったが故の実りだったが、そんな結ばれ方は稀の中の稀だろう。普通は何気ない日常からいつの間にか心が傾いていた、という展開の方が自然だ。そもそも恋愛感情を抱くのに特別な理由なんてものはいらないからな。

 

 

「先生の気を引くために抱きしめるような真似をしちゃって……迷惑でしたか?」

「いや全然。むしろ気持ちがいいというか、ちょっと興奮しちゃうっていうか……」

「フフッ、先生のその直球なところ、嫌いじゃないです」

「ドン引きされないだけ嬉しいよ」

 

 

 元々エッチなことは嫌いではないのか、それとも相手が俺だから許容できるのか……まあ、どっちでも俺の不利益に働くことはないからいいかな。でもまさか果南がここまで大胆に、しかも風呂場でお互いにほぼ全裸状態の時に仕掛けてくるとは思ってもいなかった。もしかしたら果南以外のメンバーも、こうした少し欲に塗れた積極性があるのかも。そんな思考になるよう促したのは間違いなく俺だろうけど……。

 

 するといきなり耳元に微かな息が掛かる。同時に俺の身体に密着していた果南の身体が更にくっつき、もはや自慢の胸が平坦になるくらいに潰れている。どうやら彼女から顔を俺の耳元に近づけてきたみたいだ。

 

 

「先生、昨晩はずっと寝ていたんですよね?」

「あ、あぁ。熱も高かったし、トイレに行く以外はずっと寝てたよ」

「だったらその……溜まってるんじゃないですか……?」

「え゛っ!? そ、それは……そう言われればそうだけど……」

「使ってみませんか、私を……」

 

 

 まず考える前から心臓の鼓動が死んでしまうかってくらいに激しくなった。

 確かに溜まっていると言えば溜まっている。風邪で1日寝込んでいたってのもあるが、なによりあの果南と風呂場で2人きり。しかも彼女はタオルも巻かず、現在俺の身体におっぱいをこれでもかと押し付けながら密着している。そんな彼女に耳元で『自分を使わないか』と囁かれたら、男だったら誰でも動揺するだろ普通。

 風呂場の暑さとは別の熱さで感じた汗が、お湯の水滴と共に滴り落ちる。こんな時はどうするべきなんだ……? 恋人12人持ちのくせに対応の仕方が分からないぞ……!!

 

 

「私で興奮してくれてるんですね、嬉しいです」

 

 

 果南の目線の先には、俺の下半身に巻かれたタオル。いや、そのタオルを盛り上げるアレを想像しながら見ているのだろう。焦燥に駆られる心とは裏腹に、身体だけは純粋に正直だった。

 

 

「先生って女の子の胸、好きですよね?」

「それは……」

「フフッ、知ってますよ。練習中とか、たまにそのような視線を感じますから」

「あっ……ゴメン」

「謝らなくてもいいですよ。他のみんなはどうか分かりませんが、私はむしろ嬉しいと言いますか……。それが私に目を向けてくれているという、一番の事実になりますから!」

 

 

 俺の家に来てからあまり笑うことのなかった果南だったが、振り向かなくても分かる。今の彼女はとびきりの笑顔だろう。声だけでその高揚さが伝わってきて、そして徐々に彼女の身体が俺の前へと――――

 

 

「先生は病み上がりなんですから、そこで動かずリラックスしていてくださいね。先生が好きな胸で……頑張ります」

 

 

 やがて果南は俺の前でしゃがみこみ、片手を自分の胸に、もう片手を俺の腰のタオルへと向ける。

 そこからというもの、俺はただ本能だけであらゆる快楽を堪能していた……。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「あぁ、またやっちまったなぁ……」

 

 

 何がとは言えないが、とにかくまたやってしまった。しかし後悔の念などは微塵もなく、こうして冷静なのは男特有の賢者モードに入っているからだ。ただ果南からの奉仕が気持ちよかっただけではなく、目の前で女の子が屈み込んでご奉仕してくれているという光景自体にも視覚的性欲を覚えた。

 

 言えるのは、見た目よりも彼女の胸が大きかったことだ。まさかあそこまで綺麗に挟み込まれるとは思ってもいなかったので、2つの果実に俺のモノが挟まれた瞬間に身体に電流のような刺激が走った。昨晩は風邪で寝込んで性欲処理できなかった、その理由だけではない欲望が今さっき果南にぶちまけられたのである。あの凄まじいボリュームの双丘が頭から離れず、こうして風呂場で1人ぼぉ~っと座っているしかない。

 

 ちなみに果南は先に上がった。このままだと俺のペラペラの理性によって取り返しのつかない事態になりかねないので、俺から彼女をこのソープ現場から離れるよう頼んだのだ。今思えば正当な判断だったかもしれない。目の前に大きな胸を揺らす果南がいたら、多分我慢できなかっただろうから。

 

 

「また……やってくれるかな」

 

 

 そんな淡く淫猥な期待を抱きつつも、こうして果南の意外な一面を見られたことは素直に嬉しいと思った。軽いヤンデレ風味の嫉妬姿、可愛かったなぁ……。そんな彼女を想像するとこちらからも攻めたくなってきた。

 

 そして、果南は今日家に泊まっていくのだと言う。

 そう、まだ夜は始まったばかりなのだ……。

 




 私としてはAqoursの中で果南のキャラが一番掴みにくかったのですが、アニメでのキャラを考えてみるに、恋愛をしたら簡単に嫉妬を抱きそうだなぁと思いました(笑) アニメでもずっと己の想いを心に溜め込んでいたタイプだったので、今回のように普段は冷静でありながらも実は自分の中では想いが爆発してた――みたいな子だと勝手に解釈しています。
それでも今回の終盤の展開のように大胆に攻めるところは攻めてきそうなタイプで、心を許した人には積極性が増しそうな子だと想像します。ちなみにヤンデレ風味なのは完全に私の好みです(笑)


 最近ちょっぴりエロい話やご都合主義ギャグ展開が続いたので、次回は久々に思いっきりAqoursハーレムする話を描きます!


新たに☆10評価をくださった

Rikkunさん

ありがとうございます!

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