ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常~   作:薮椿

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 ハーレム回のラストは1年生組です!
 Aqours編に入って今までやりたかったことが遂に……!!


いつの間にかAqoursハーレム(1年生編) 

 

「どうしてお前らが衣装担当なんだ? いつもは曜の仕事だろ?」

「私だけだとアイデアに偏りが出るからって、曜さんがマルたちに仕事を依頼してきたずら」

 

 

 とある日の放課後、Aqoursの1年生組は練習を早めに切り上げて俺の家へやって来ていた。

 さっき花丸が言った通り衣装作成のためであるのだが、そのためにどうして俺の家に来ているのかはそれなりに理由がある。大雑把に言ってしまえば、ルビィはともかくとして花丸や善子に衣装のセンスがあまりないから衣装担当を命じられても困った! というのが大枠の理由だ。

 

 

「曜もどうしてこんな奴に衣装担当を任しちゃったかねぇ……」

「ちょっと! どうして私を見て言うのよ!?」

「お前この前、まともな私服も持ってないって言ってたじゃねぇか。それに堕天使のコスプレばかりしている奴に、ライブで着る衣装を任せたらどうなることやら。まあ奇抜なのはそれはそれで目立つと思うけどな」

「もしかしなくても馬鹿にしてるでしょ!? それにファッションセンスだったらズラ丸だって無いに等しいじゃない!」

「えぇっ!? 確かにオシャレなルビィちゃんに比べれば全然だけど、堕天使の翼を着けて長い着け爪までしてる人にファッションセンスをどうこう言われたくないよ!!」

「あれはあれでゴシックっていうファッションなのよ!! ねぇルビィ!?」

「えぇっと……まぁ、うん。堕天使はどうなのか分からないけど……」

「ほらみなさい!!」

「ルビィちゃんの同情に甘えてる時点で善子ちゃんはまだまだずら」

「私に対してだけは今日も一段と辛辣ねアンタ……」

 

 

 見てもらえれば分かる通り、こうして低レベルの争いが行われるくらいには衣装担当に向いていない奴らが集まっている。花丸と善子の口争いを苦い顔で傍観しているルビィ1人に任せた方が、到底マシな衣装が出来上がるだろう。でもそれだったらルビィの意向だけで衣装のアイデアが固まってしまい、結局アイデアに偏りが生まれてしまうので曜の依頼内容を達成できない。だから仕方なくこの2人も俺の家へ連れてきた訳だ。

 

 俺はコイツらに衣装を任せる恐ろしさを危惧しながらも、リビングに積まれているダンボールのガムテープを片っ端から剥がしていた。

 

 

「それで先生、ルビィたちはどうして先生の家に連れてこられたんですか?」

「お前らがちゃんと衣装作りできるか心配だから、参考になりそうなサンプルたちを渡そうと思ってな」

「サンプル?」

「知ってるだろ、μ'sの南ことり。アイツに今回の件を相談したら、もう使わなくなった衣装を送ってきたんだよ。この山積みになってるダンボールが全部そうらしい」

「ことりさんって、μ'sの衣装を一手に引き受けていた人ですよね!? ライブを見るたびに可愛く綺麗な衣装なぁと思っていたので、まさか生でその衣装が見られるなんて感激です!!」

「すげぇテンションだなお前……」

「当たり前です!! あのμ'sの衣装をこの目で見られるんですよこの手で触れられるんですよ!? 興奮せずにはいられません!!」

 

 

 いつにも増して声を荒げテンションMAXのルビィを見て、花丸と善子の口論も自然と終息していた。2人共恐らく自分のファッションセンスを自分で認めていたが、μ'sの衣装だけでここまで躍起になるルビィを見て、自分たちは余計なことをせず裏方作業に回ろうと決心したに違いない。ルビィのやる気に満ちあふれたオーラが全開すぎて、衣装作りで下手な真似をしたら殺されそうな雰囲気だからな今……。

 

 

「先生! ルビィ、μ'sの衣装を着てみたいんですが……いいですか?」

「まあ衣装は着るものだし、衣装作成のヒントになるなら全然いいぞ。どうせなら花丸と善子を入れて3人で着てみればいいんじゃね?」

「マ、マルも!? μ'sの衣装は全部可愛いから、マルに似合うかなぁ……」

「私は別にいいけど、アンタの着せ替え人形になるのだけはちょっと癪ね」

「どうしてお前はいつも俺を貶めようとするんだよ……。何もしないから安心しろ」

「どうだか。そう言いながらも、練習の時にいやらしい視線を感じることがあるのよね」

「それはぁ……男の子ですから」

「ちょっ、そこは嘘でも否定しなさいよ!? これから着替えるのが億劫になるでしょ!?」

 

 

 だって汗水垂らしながら運動をする女の子の姿を、変な目で見るなって方が無理あると思うぞ。しかも夏場だから練習着もみんな薄着だし、汗を拭う姿や疲れでヘトヘトになっているか弱そうな様子など、見ていて平常心を保っていられる男の方が珍しいだろう。俺は同性愛者ではないから、女の子の扇情的な姿を見て素直に興奮しちゃう性格なんだよスマンな。

 

 

「確かにお前らの衣装姿を見れば思うことがあるかもしれないけど、μ'sの衣装なんてもう腐るほど見てきてるんだ、今更下品にがっついたりしないから大丈夫だって。それにここまで来て衣装を見るだけで着ないなんて、ルビィが許さないだろ」

「善子ちゃんなら絶対に似合うから!! それも先生を悩殺できちゃうくらいに!!」

「はぁ!? そ、そんな先生にどう思われても私には関係ないし……」

「善子ちゃん、顔赤くなってるずら♪」

「うるさいわね!! あぁもう着ればいいんでしょ着れば!!」

「そんな強がっちゃって、善子ちゃんも先生に可愛いって言ってもらいたいくせに!」

「ぐっ……そんなアンタはどうなのよ」

「マルは最初から賛成ずら! μ'sが着ていた衣装なんて、今後着る機会があるかどうか分からないからドキドキしてるよ♪」

 

 

 そういや花丸も隠れれたμ'sファンだったっけ。彼女の話では、自分の境遇を凛と照らし合わせていた頃に千歌からスクールアイドルのお誘いが来て、そこからなんやかんやでAqoursに入ったと聞いた。その時に凛のウェディングドレスの衣装を見て憧れを抱いていたことから、花丸もルビィと同様にμ'sの衣装にかなり興味があることが伺える。最初はイマドキ女子のファッションに特段興味のない和風少女だと思っていたが、案外その辺に関してはしっかり女子高生なのかもしれない。

 

 こうして3人が全員μ'sの衣装を着る流れに同意したことで、ここから本格的に衣装作りの為の前哨戦が始まった。しかし衣装を着ると言ってもことりが送りつけてきた衣装は大量で、こうしてダンボールが山積みになるほどだ。しかもどの箱にどの衣装が入っているのかすらも書いていないので、とりあえず適当にダンボールに手を突っ込んで引き当てた衣装をみんなで着てみる、ちょっとしたコスプレパーティの流れになった。

 

 俺は鮮やかな衣装が詰められているダンボール箱に手を突っ込む。すると底の方から手触りの良い布地を感じたので、それを掴んで思いっきり引き抜いた。

 

 

「――――――ん?? こ、これは……!?」

「…………」

「…………」

「…………」

 

 

 3人は俺の引き抜いたモノを見るなり、一瞬で場の空気が変わった。。さっきまで高揚していたルビィのテンションすらも無にしてしまうほど、俺の引き抜いた衣装……と言っていいのか分からないモノがこの場の雰囲気をブチ壊した。

 それもそのはず、俺の手に握られているモノは"ブルマ"という今の時代では失われた体操着だ。しかも旧タイプであり、履いてしまったら最後太ももが全部露出するどころかおしりの肉まではみ出してしまう事態は必死である。そのエロさたるや、そんな光景を見て盗撮する輩が増えた影響でブルマがこの世から永久追放されたくらいなのだ。

 

 でもどうしてこんなモノが衣装と一緒のダンボールに入ってるんだよ……。もしかして、ことりの趣味だったりするのか? 衣装を詰める時に手違いで紛れ込んでしまったのかもしれない。

 

 

「さぁ、次の衣装に行くわよ」

「えっ、着ないの?」

「バカじゃないの!? そ、そんなブルマなんて着れる訳ないでしょ!? それに衣装でもなんでもないじゃないのそれ!!」

 

 

 ごもっともな意見である。でも俺としては彼女たちをここで引かせる訳にはいかなかった。

 よく考えてみろ、ブルマを履くこと自体が既に失われし文化だ。しかもその文化が衰退したのは男たちが卑しい目線で見るからである。その事実を踏まえれば、現実でブルマ女子を見たら今まで味わったことのない快感が得られるのではないか、俺はそう思っているのだ。今までμ'sの色んなコスプレ姿を見てきたが、ブルマ姿を見た記憶は一切ない。ネット上に不正にアップされている運動会の盗撮写真でしかブルマを装着した女の子を見たことがないのだ。

 

 だから俺は生でブルマ女子を見てみたい。普通の体操服の短パンでは決して拝むことのできない露出された太もも、はみ出るおしり肉、そして何よりブルマを着ることによって恥じらうこの子たちの姿! 妄想だけでも俺の欲求は留まることを知らず、このままブルマを片付けてはい終わりでは悶々として満たされなくなるのは確定的に明らかだった。そうならないためにも、絶対にここで引く訳にはいかないんだ!!

 

 

「そこまで着たくないのなら善子は着なくていいよ、どうせこれ1枚しかないしな。ルビィ!!」

「ピギャっ!! は、はいっ!!」

「頼む!! 俺の欲求不満を解消するために、これを着てくれ!!」

「ル、ルビィがですか!? そ、そんな似合いませんよぉ……」

「似合うとか似合わないとか、そんなことはどうでもいいんだ! ルビィがブルマを着てくれている、ただその姿を見られるだけで俺の欲求は満たされるんだよ! どうだ?」

「うぅ……せ、先生がそこまで言うのなら……。でも少しだけですよ!? 着たらすぐに脱ぎますから……」

「もちろん! 俺はブルマ女子を生で見られればそれでいいんだから!!」

 

 

 これが女子高生にブルマを着てくれと強引に頼む、犯罪者に最も近い教師の図である。だがここは俺の家だから、多少のことでは助けを呼ぼうがそのヘルプは誰にも届かない。つまりルビィも花丸も善子も、俺の手のひらの上だってことだ! 可愛い教え子たちに無理矢理をするのは気が引けるが、このまま引いたせいで欲求不満が続く方が男にとっては辛い!! 夜に1人寂しく自分磨きをするくらいだったら、オカズが目の前にある今のうちに欲求を解放しておきたいんだ!! 

 

 

「先生までルビィちゃんの優しさに甘えて、大人気ないずら……」

「全くよ。やっぱり着せ替え人形にさせるのが目的だったんじゃない」

「まあコスプレはμ'sも通ってきた道だから、お前らもそれにあやかればきっと魅力上がるって!」

「アンタ、とりあえず私たちにμ'sの話題を出しておけば何でも言うことを聞くと思ってないでしょうね……」

「………………お前は知りすぎた、このまま生かしておく訳にはいかねぇな」

「定番のセリフはいいから、まともな衣装着させなさいよまともな!!」

「ノリ悪いなお前……」

 

 

 μ'sをAqoursの言いなりにするための餌に使っているかどうかの真実はひとまず保留にしよう。言ってしまえばμ'sの大ファンである千歌やダイヤ、ルビィには相当な効果があると思っているのだが、そんなことをみんなの前で言えるはずがない。でもμ'sという高級な餌があるのに、使わず放置なんて勿体無いじゃん? 穂乃果たちには悪いけど、乱用はせず使いどころはしっかりと考えているから。もちろんルビィのブルマ姿を目の前で拝むことには使わせてもらうけどね、絶好の使いどころだから。

 

 

「とりあえず、ルビィはこのブルマと体操服を持って着替えてこい。その間に花丸と善子が着る衣装をダンボールから引き抜くから」

「わ、分かりました!!」

「よし、それじゃあ次の衣装は――――」

「ねぇ、その衣装の選定方法やめない? ブルマが出てきた箱に、まともな衣装が入ってるとは思えないんだけど……。ズラ丸もそう思うわよね!?」

「確かに、マルも着るならなるべくμ'sの衣装の方が……」

「花丸……俺はな、お前がコスプレを着こなす可愛い姿を見たいんだよ。μ'sの衣装が凄いのは分かるけど、一番凄いのはその衣装を着こなすお前の方だ。どんな衣装でもコスプレでも関係ない、花丸の輝く姿が見たいんだよ俺は!!」

「えぇ……そ、そこまで言われたら、ちょっとやってみようかなぁ」

「ちょっ!? 花丸!?」

 

 

 チョロいと言ってしまうと言葉が悪いが、本心では少し思っていたりもする。だが花丸が俺の提案に乗ってくるかどうか、どちらかといえば乗ってこないと俺は半ばやけくそで提案していた。彼女はアダルト方面の知識はあってもリアルでは大して影響を受けないので、俺の熱論を混ぜた提案もサラッと流されると思っていたのだ。だが予想に反して花丸が乗ってきてくれたため、図書室でのあの一件以来彼女にも大きな心境の変化があったのだろう。それに頬を染めてそわそわとしていることから、俺の勢いに負けて渋々ではなく自分から決意したことに違いない。

 

 よしっ、花丸をこちらに引き込めばもう怖いものはないぞ!!

 

 

「そうか。なら善子と2人でこれを着ろ」

「「!?!?」」

 

 

 俺の右手に掴まれた衣装――と言うよりコスプレを見て、2人はブルマを見た時よりも一層顔が引きつった。

 俺の手に握られているのは、紺色を基調とした巷でスクール水着と言われているモノだ。しかもこれもブルマと同じく旧タイプであり、既にこの世の学校からは消滅しかけている産物である。ここでどうして過去の遺産がμ'sの衣装に紛れているのか疑問だったが、なんとなく理由が分かった気がした。さっき手違いで衣装にブルマが紛れたと言ったが、本当は手違いでも何でもなく、ことりが面白がって意図的に紛れ込ませたと推測する。でなければブルマとスク水が同時に紛れ込むなんて考えられない。あぁ、今もアイツのしてやったりの笑顔が頭に浮かんで憎たらしいよ……。

 

 旧スク水について軽く解説しよう。前知識として知ってもらいたいのは、今のスクール水着は下半身がスカートや短パンのような形状になっている。つまり女の子の健康的な脚や太ももが隠されてしまうのだ。だが旧スク水は下半身を覆う生地がほぼ股間部分にしかなく、女の子の艶やかな脚が太ももを含めてほぼ全て露出している。しかも生地的にも身体にピッタリと張り付くものが多く、身体の凹凸がこれでもかというくらいに浮き彫りになるのが特長だ。

 

 花丸と善子は年代的に着たことはないと思うが、見ただけでその察しがついたらしく、みるみる顔が真っ赤に染め上がっていく。だがここは否定される前に、何とかこちらの熱意を押し込まなければ!!

 

 

「お前らの言いたいことは分かる。だけど一度だけでいいんだ! ルビィと一緒でちょっとだけこのスク水を着た姿を見せてくれるだけで俺は満足するから!!」

「そ、そんな欲望のためだけにスク水なんて着る訳が――――」

「わ、分かりました! マルでよければ……」

「花丸!? いいの?」

「先生が見たいって言うなら、マルは悪い気はしないかなぁって。それに善子ちゃんも、先生に可愛いって褒めてもらいたいでしょ?」

「それはそうだけど……。うぅ、も、もうっ! 仕方ないわね着てあげるわよ!!」

「ホントに!? いやぁ楽しみだよ!」

「全く調子いいんだから……」

 

 

 花丸の援護射撃により善子の陥落に成功した。花丸もルビィもやる気なこの状況で、自分だけがやらないのは負い目を感じるからだろう。そして花丸も言っていたが、持ち前のツンデレを発揮するということは善子も俺にコスプレ姿を見て欲しい欲求が少しはあるらしい。3人共なんだかんだ言って心の奥底ではノリ気なんじゃねぇか、可愛い奴らめ!

 

 花丸と善子は旧スク水を持ち、着替えるためにリビングを去る。

 こうして部屋に俺1人だけが残されたのだが、2人が去って数十秒後に再びリビングのドアが開いた。そしてそこから現れた少女の姿に、俺は思わず口を小さく開けて唖然としてしまう。

 

 目の前に顕現したのは、俺の希望通り体操服とブルマに着替えたルビィだった。

 上半身は白の体操服に身を包み、服の前面にはご丁寧に『黒澤』(残念ながら平仮名ではない)と苗字まで記入してあった。体操服の生地の薄さゆえか、彼女の慎ましやかな胸であってもその膨らみがしっかりと確認できる。なによりブルマ特有の脚の露出具合が半端ではなく、紺色の布地と純白の太もも、相反する色を持つもの同士が織り成す絶対領域が煌びやかに光って見える。それこそがブルマの2大特徴の1つだ。

 もう1つはブルマ自体の布地面積が少ないため、体操服の裾に隠れて傍から見れば何も履いていないように見える最大の特徴がある。ルビィは恥ずかしがって自然と服の裾をギュッと掴んでいるが、その仕草をしてしまうと裾が下に伸びるので余計にブルマが隠れてしまう。全くの逆効果にもちろん俺は諭すこともなく、ただただ生のブルマ少女の姿を脳裏に焼き付けていた。

 

 

「あ、あまり見つめないでください……!!」

「俺に見せるために着てくれたんだろ? ほら、もっとこっちへ来てくれ」

「うぅ……ちょっとだけって言いましたよね? もう恥ずかしすぎて溶けちゃいそうなんですけど!!」

「だったら写真1枚だけ!! 1枚だけ撮ったら着替えていいから!!」

「その写真の使い道が容易に想像できるんですけど!? さ、流石にダメです!!」

「想像できるってお前、どんなこと想像したのかなぁ~?」

「うっ……!!」

 

 

 ただでさえブルマ姿のせいで顔が沸騰するほど赤くなっているのに、こうして余計なことまで突っ込まれてルビィはあたふたと喚き出してしまった。ブルマ姿でそんなことをしたら体操服の裾がひらひらと舞って、隠れていたブルマが見え隠れするからなおさら艶かしい。本人が必死なのは分かるが、その動作は確実に男を誘ってるぞ……。

 

 そしてルビィが慌てている最中、またしてもリビングのドアがゆっくりと開かれた。

 花丸と善子の着替えが終わったのだろうが、ドアを開けたのにも関わらず2人は中々顔を見せない。しかし着てしまった以上このまま引き下がれない決心か、花丸が勢いよくリビングへ飛び出した。

 

 

「よ、善子ちゃん押さないでよ!! あっ、先生……」

「おぉ……」

「そんなにジロジロ見られると恥ずかしい――――って善子ちゃん、そんなところに隠れてないでこっちに来るずら!!」

「ちょっ、引っ張らないでよ――――きゃあっ!!」

「おぉ……!!」

「な゛っ……そ、そんなに見るなぁ!!」

 

 

 旧スク水を装着した花丸と善子が俺の目の前に現れた。ブルマと同様に身体にピッタリとフィットし過ぎているせいで、彼女たちの身体の凹凸が手に取るように分かる。花丸の出るところは出過ぎて、引き締まるところはそこそこ引き締まっている抱きしめたい体格から、善子の歳相応なスタイリッシュな体型と、どちらも男の目を惹きつけるには十分なスタイルだ。

 そして股間から太ももに広がるスク水のV字ラインは本当に最低限しか下半身を隠しておらず、今にも引き裂いてその奥を拝んでみたくなる。秘所部分を少しでも横にずらせば秘境がお目にかかれると思うと、俺も彼女たちと同じくらい緊張してならない。

 

 

「お前ら、ちょっとそこでじっとしてろ……」

「先生!? 雰囲気がちょっと……いやかなり怖いずら!!」

「な、何をしようっていうのよ!? 少しだけ着てすぐに着替えるって約束だったでしょ!?」

「ほんの少しズラすだけだ。大丈夫、痛くしないから……」

「ズラすってどこをズラすの!? それに痛いとか痛くないとかの問題じゃないような……」

「そうやって慌てちゃうのは恥ずかしがるからいけないんだ。恥ずかしいと思わなかったらいいだろ」

「この状況で羞恥心のない人の方が変態でしょ!!」

「なんか先生この前おクスリを盛られた時みたいになってるけど、一応シラフだよね……?」

 

 

 ルビィの冷静なツッコミに、俺もようやく意識を取り戻す。さっきまでは俺の裏人格が身体を乗っ取っていただけだから! 決して本心でブルマやスク水の下半身をズラして、その奥の秘境を拝もうとしてないから!! ――――――――あぁ、惜しかったなぁ……。

 

 

「ほら花丸、ルビィ、着替えに戻るわよ。そもそも衣装作りのアイデアを探しに先生の家へ来たのに、目的を見失ってるじゃない」

「これからブルマやスク水で舞台に上がることがあるかもしれない。その予行演習だと思えば……ね?」

「"ね?"じゃないわよ。どこの枕営業よそれ」

「でも邪な気持ちを抜きにしても、その姿は普通に可愛いと思うけどなぁ。千歌たちに見せたら受け良さそうだし」

「み、みんなに見せるのはダメずら!!」

「そうですそうです!! 特にお姉ちゃんにこんな姿を見られたら……」

 

 

 あぁ、なんとなく想像できるよダイヤの姿が。多分だけど、こんな破廉恥な格好をして怒るというより愛しく思って抱きしめそう。しかしその一方で怒りはしっかり溜め込んでいて、そのベクトルは俺に向くと。長年こんな経験をして分かってるからなオチくらい。

 

 

「まあ残念だけど、時間も押してるし真面目に衣装選びするか」

「アンタが無理矢理着させなければこんなことにはならなかったけどね」

「でも最終的に着ると決めたのはお前らだろ?」

「それはそうだけど……」

「さっきも言ったけど、変な目も贔屓目もなしで今のお前らすっごく可愛いから。そりゃあ恥ずかしいのは分かるけど、どうせ俺にしかそんな姿を見せないんだし、だったらまたいつかコスプレして欲しいって思うよ。俺のためだけを思ってさ、なぁ~んて―――って」

「…………」

「…………」

「…………」

 

 

 あ、あれ? また俺、変なこと言っちゃった!? 3人共顔を赤くして黙ったままだから、何かやらかしてしまった思い自分の言動を振り返るけど……さっきは普通にいいこと言ってない?? もしこれでまたみんなに怒られたら、その時は女心をまた1から勉強しなおそう……。

 

 

「先生今の……告白?」

「は……? 何言ってんだルビィ??」

「だってアンタ、さっき()()()()とか()()()()()()って……」

「つまりそれって……そういうこと? マルたちが先生の……」

「あ、あれぇ……?? まさかお前ら盛大な勘違いを!? あれはあながち勘違いでもないけど勘違いだから!! 他の男にはお前らのその姿を見せたくないってことで……あぁ、こういうことか」

「「「~~~~ッ!?!?」」」

「お、おいっ! 一斉に気絶しそうになるな戻ってこーーーーいっ!!」

 

 

 3人は同時にその場で倒れそうになった。何気ない発言でここまで昇天しそうになるか普通……。

 こうして見ると、1年生組はやっぱり初心な子が多いと実感する。まさか3人が同時に俺の言葉を勝手に告白と受け止めるなんて、相当な妄想癖をお持ちのようで……。だけどそんな純真な彼女たちだからこそ、絶対に他の男に渡したくない。俺自身がそう思っている時点で、その想いも既に告白みたいなものだけどな。もしかしたら、俺も人のことを言えた義理じゃないのかもしれない。

 

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

 

 やべぇ、みんな顔を真っ赤にしたまま動かない……。

 とりあえず写真だけは撮っておくか。

 




 恥ずかしいコスプレはやはり女の子がノリノリで着るよりも、今回のように恥じらう姿で着てもらった方が見る方も色々沸き立つものがあると思います!(笑) だからこそ1年生組をチョイスしたのですが、それでも零君のためにブルマやスク水を着ちゃう彼女たちも、これまでの個人回を経て成長(?)したのかなぁと感じます!


 実は最終回まで残り4話であり、この章をあと2話で終えて最終章に突入する予定です。是非最後までお付き合い頂ければと!

 次回は梨子の個人回です!

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