ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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 今回でμ'sメンバー勧誘編はラストとなります。
 そして、そのラスボスはまさかの……


米飯少女とラスボスと盗撮END

 長かった勧誘活動も、遂に終わりの時を迎えようとしていた。日付にしてみればたったの1日半程度だが、その1日が紆余曲折だったためかアニメの1クール並のボリュームを感じる。とは言っても長すぎず短すぎず、むしろ()()穂乃果が勧誘したにしては、この短い期間で全員を集められたのは褒めるべきだろう。弄ったり弄られたりと波乱万丈な展開がありながらも、与えらた使命を着実に全うするのは昔から彼女のいいところだ。

 

 こんな風に今にも勧誘が終わりそうな雰囲気を醸し出しているが、お察しの通りまだ最後に1人だけ残っている。だがその相手こそ勧誘するなら真っ先に誘うべき相手であり、亜里沙のようなイージーモードどころかゲーム開始時から仲間になっているキャラのような扱いだ。それくらいその彼女はスクールアイドルにご執心であり、大人になった今でも新たなスクールアイドルの情報を常に追い求めている。あのにこでさえ本業が忙しいという理由でスクールアイドルのことはおざなりになっているのに、μ's解散から4年が経った今でも同じ趣味を続けていられるのはそれはそれで尊敬しちゃうよ。高校生の頃と変わらずスクールアイドルショップで興奮できるのは、俺たちの中では彼女だけだろうから。

 

 だがそんな楽勝ムードを知ってか知らずか、穂乃果は彼女を最後まで残していた。宿題でも簡単な科目を先に終わらせたり、食事でも好きなモノを最初に完食する性格の穂乃果が一体何を考えているのやら。

 

 しかも今から最後の勧誘だと言うのに、俺たちは何故か穂乃果の部屋にいる。いよいよラスボス間近なのにここで休憩とは何とも呑気なものだと思っていたのだが、穂乃果のしたり顔を見る限りどうやらまた良からぬ手を考えているらしい。前回希に手も足も出ずやられっぱなしだったから、余計にいきり立っているのだろう。強者の希にしてやられた腹いせに、仕返しのしやすいアイツをターゲットに憂さ晴らしとは手口がまるで雑兵だ。

 

 

「遂に……遂にこの時がやってきたね零君!!」

「まあアイツさえ勧誘すれば最後だしな」

「違うよ! 確かにそれも嬉しいけど、もはや勧誘なんて終わったようなものだからそんなことで喜んでるんじゃないんだよ!!」

「はぁ? じゃあどうしてテンション上がってんだ?」

「説明するより、これを見てもらった方が早そうだね」

「ん? モニター?」

 

 

 穂乃果のPCのモニターには、何やら見覚えのある部屋の状況が映し出されていた。とりあえず俺の部屋でないことを知って安心してしまったのは、彼女にヤンデレ成分が含まれていないと確認できたからだろう。まあ俺の部屋でなくとも、誰かの部屋をこうしてモニタリングしている時点で性格が捻じ曲がっているもクソもないのだが……。

 

 映し出されている部屋はよく言えばシンプル、悪く言えば質素なレイアウトだ。あまりきゃぴきゃぴとした女の子っぽい部屋ではないこと、そして最後に残った勧誘対象の人物を考慮すると、盗撮されている部屋の主が必然的に1人に絞られた。

 

 

「どこかで見たことのある部屋だと思ったら、これ花陽の部屋かよ……」

「おっ、流石零君! とっかえひっかえ女の子の部屋に入り浸っていることはあるね!」

「浮気者みたいに言うな! そんなことより、どうしたんだよこの動画!?」

「これには穂乃果のナカよりも深い訳があるんだよ」

「お前のナカが凄いのか、その訳の方が凄いのか……」

 

 

 モニターに映し出されている部屋は、これから勧誘のラスボスとして立ちはだかるであろう花陽の部屋だった。綺麗好きな彼女の性格を具現化しているような部屋で、潔癖症と言われてもおかしくないくらい家具や小物の配置がキチンと整っている。先程も言った通りそこまで女の子っぽい部屋には見えないが、ぬいぐるみが1つ2つ置いてあるのは彼女なりのコーディネートなんだろうか。部屋のレイアウトを見ただけでも謙虚な様子が伺えるので、尚更こうしてモニタリングしているのが心苦しくなってくるんだけど……。

 

 

「で? 犯罪をやらかした弁解は?」

「そうやってすぐ穂乃果を悪者にするんだから! 悪いのは花陽ちゃんの方なのに!」

「お前と花陽、2人の中でどっちが犯人と聞かれたら、事件の詳細を聞かずとも100%お前に疑いの目が向けられると思うけど」

「ひどっ!! 花陽ちゃんは零君との今後に関わる重要な情報を隠蔽してるのに?」

「は? なんだよそれ……」

 

 

 俺との今後に関わる重要なことって、まさか……浮気とかじゃないだろうな? いや、恋に一途な花陽のことだから他の男に靡くような性格はしていないはず。大学特有のあの手この手のサークルに騙されそうなおとなしい子ではあるのだが、それは事前に俺が変なサークルの勧誘に捕まらないように守ってやったから心配しなくてもいい。だが俺の知らないところで男を知り合って親密になっていたとしたら……?

 

 

「零君、顔青くなってるけど大丈夫? まあ花陽ちゃんのエッチの趣味が未だに分からないんじゃ、これから心配だよねぇ~」

「えっ、え!? 今なんて言った??」

「だから、花陽ちゃんのエッチの趣味が分からないんだよね未だにって」

「…………」

「えっ……顔怖いよ零君?」

「思わせぶりな言い方しやがってぇえええええええええええ!! 無駄に心配しちゃったじゃねぇかコノヤロォォオオオオオオオオ!!」

「わ˝ぁ˝あ˝あ˝あああああああああああああ!! 身体揺らさないでよぉおおおおおおおおお!!」

 

 

 花陽が浮気するなんて万に一つも考えられない事態だけど、やっぱりどこか心配していた俺がいた。だからこそ穂乃果の話を聞いて安心したと共に、言葉っ足らずの彼女に追い詰めたくなっちゃったのだ。みんなが俺に対する愛が深すぎるからヤンデレだと今まで散々言ってきたのだが、もしかしたらその逆も然りかもしれないな……。

 

 俺の焦りが収まり一息ついたのも束の間、よくよく考えてみれば穂乃果の言っていた深い訳というものも相当ぶっ飛んだ内容だと今更気付く。勝手に勘違いしていた浮気問題に意識を奪われていたのだが、つまり花陽の性事情ってことか……? そもそも純情を体現化した存在の彼女に性の欲望があるのかどうかすら怪しいが、案外むっつりなところもあるからなアイツ……。

 

 

「おっ、賢者モードになったね零君。ようやく本題に入れるよ」

「そうだな。どうしてお前が花陽の性事情を気にしているのか、まずそこからだ」

「実はこの前ね、花陽ちゃんの家に遊びに行ったんだよ。そして花陽ちゃんがお菓子と飲み物を取りに行っている間、穂乃果はふと疑問に思ったの。花陽ちゃんって、どんな趣味してるんだろうってね」

「その趣味はhobbyの方じゃなくて、habitの方だろ?」

「英語はよく分からないけど、言ってしまえば花陽ちゃんがエッチなモノを隠し持ってないか探りたかったんだよ!」

「なるほど、ツッコミどころしかないけど理解したよ。それでお前は部屋を漁りまくったと」

「そうそう。でもね、何にも出てこなかったんだよ! 花陽ちゃんって純情ぶってるけど、案外むっつりなところあるでしょ? なのに何も出てこないって詐欺じゃん!!」

「アイツがむっつりというのは俺たちの共通認識なのか……」

「だからこうして盗撮したんだよ! 穂乃果が見つけられなかっただけで、絶対に花陽ちゃんの性癖が隠されているに違いないから!!」

「いやその理屈はおかしい……」

 

 

 盗撮という言葉が日常的にポンポンと出てきている時点で、俺たちの日常はどこか狂ってると思い知らされてしまう。しかも盗撮することに悪気はゼロどころか、正々堂々としているあたり下手な犯罪者グループよりも質が悪い。出会った頃は純粋に夢を追いかける少女たちだったのに、どうしてこうなってしまったのか。あっ、俺のせいか……。

 

 

「見て見て! 花陽ちゃんが入ってきたよ!」

「これライブ映像なのか?」

「うぅん違うよ。花陽ちゃんの家に遊びに行った時に監視カメラを仕掛けて、翌日部屋に侵入して回収したんだ」

「サラッと盗撮だけじゃなくて不法侵入まで暴露したな……」

 

 

 不法侵入などもう当たり前の常識過ぎて、例えされたとしてももはや違和感のないことが日常となっている俺たち。そのことに対していちいち声を上げてツッコミを入れなくなったあたり、俺は彼女たちの奇行に毒されているのだろうか……?

 

 そしてモニターの映像は、穂乃果を玄関まで送り届けて花陽が1人になったタイミングから流れていた。

 

 

『久々に穂乃果ちゃんと2人きりで遊んで楽しかったけど、ちょっと疲れちゃったなぁ』

 

 

 モニター内の花陽が独り言を漏らしながら、小さな丸テーブルに置かれている残り物のお菓子やジュースが入っていたグラスを片付けている。

 まさかあの花陽が1人の時にしっぽりとしているとは思えないが、もしかしたらの可能性を考えるとどうしても目を離せなくなってしまう。どうやら俺も心のどこかで彼女の1人で乱れた姿を期待しているのかもしれない。

 

 

『あっ、これ穂乃果ちゃんが持ってきた巾着袋だよね? 持って帰るの忘れちゃったんだ……』

 

 

 花陽は床に転がっていた穂乃果の忘れ物を拾い上げ、中身を覗く。

 そこまで大きくもない巾着袋で、やけに長い形状をしているけど……ま、まさかな??

 

 

『なんだろうこの太くて長いの―――って、こ、これって……!? 穂乃果ちゃんとことりちゃんがよく嬉しそうに話してる――――』

 

 

 巾着から現れたのは、もはや秘所を隠す隙間すらないエロさ全開のTバックだった。しかもただのTバックではなく、前方に太くて長いシリコン形状の物体が装着されている。しかもその形はリアリティのあるグロデスクさで、まるで()()()()のモノの形状を模しているようだった。

 ダイレクトに言ってしまえば、ペニスバンドと呼ばれる大人の玩具の一種だ。主に男性器のない女性が身に着け、あたかも男性器が生えているように見せかける玩具である。それによって、女の子同士でも疑似的に男女のプレイを味わえる訳だ。しかも前方の突起部分は取り外し可能となっており、好きなモノを装着可能となっている。つまりペニバン1つさえあれば、男性器の大きさを様々に変えて楽しめるのが生身の男にはできない魅力だ――――って、どうして俺はこんなに熱く語ってんだ……?

 

 

 

『ど、どうしてこんなモノを穂乃果ちゃんが……!? どうしようこれ……』

 

 

 そりゃいきなりペニバンを見せられて動揺しない方がおかしいよな。穂乃果やことりを見ていると、この純粋な反応が逆に新鮮に思えてくるから困る。でも花陽の奴、目を背けるどころかガン見してるんだけど……。

 

 

『こ、この先っぽに着いてるのって、もしかして零君の……だ、ダメ!! 想像したら零君に失礼だよ!!』

 

 

「おい穂乃果、まさかあの先に着いてるのは……」

「うんっ! ことりちゃんが持ってたのと同じ、零君の形をしたアレだよ♪」

「お前なんてモノを花陽に渡してんだ!?」

「でもそれくらいしないと、花陽ちゃんの中に眠ってる性欲は引き出せないんだよ!! フッフッフ……さぁ穂乃果に見せてみて、花陽ちゃんが乱れる姿をね♪」

 

 

 もはや女の子を調教しているオッサンのようなセリフを吐く穂乃果は、顔を赤くしつつも良からぬ顔でモニターに釘付けとなっていた。故意にペニバンを放置してきたことは事実だろうが、そもそも何故コイツがあんなモノを持っていたのか甚だ疑問が残る。さっきモニターで花陽が穂乃果とことりがよく話題にしていたと言っていたが、コイツらまさかそんな趣味があったとか……? 事実を知るのが怖いから敢えて聞かないけども……。

 

 

『こ、これ零君のなんだよね……。おっきいなぁ、改めて見ると……』

 

 

 なんだか流れが危ない方向に変わってきた。さっきまで純情そうにペニバンを見つめていたのに、目の色が穂乃果たちと似た色に変貌を遂げそうになっている事態に俺が目を背けたい。だがペニバンを手にした花陽がこれからどのような行動に出るのか気になってもいたため、そのジレンマが自然と俺の目がモニタに引き付けていた。

 

 

『ちょっとだけなら……いいよね?』

 

 

「キタキタキタキタァアアアアアアアアアアアアアア!! 遂に花陽ちゃんの化けの皮が剥がれる時が!!」

「テンションたかっ!? 同性の性事情を知るのがそんなに嬉しいのか……」

「だってあの花陽ちゃんだよ? 薄々勘付いてはいたけど、やっぱり生でエロ陽ちゃんを見られるのはゾクゾクしちゃう♪」

「ひでぇあだ名だなオイ。本人がここにいたら発狂してるぞ……いや、この映像だけでも十分か」

 

 

 穂乃果は良からぬ心に完全に火を点けたようで、顔を突き出しながらモニターを凝視する。コイツの言動から察するに、花陽の変態シーンに興奮しているのではなく、清純な彼女が乱れそうになる瞬間を面白がって見ているだけだろう。同性の官能シーンを見て悦ぶ女の子もそれはそれでマズいが、人の乱れる姿を面白がって見ているオヤジ思考もそれはそれでやべぇよな……。

 

 

『今のうちに練習しておこうかな……? 零君に褒められるために……』

 

 

 モニターの花陽は何か決心をしたみたいで、ペニバンのディルド部分を自分の顔に向ける。その構図はさながら剛直を突き出している男の前に跪いて、今にもしゃぶろうとする女の子そのものだった。そして映像は俺の予想に導かれるように流れていき、とうとうディルドの先っぽが花陽の唇へと向けられる。映像には彼女1人だけなのに、何故かおしゃぶりモノのAVを鑑賞している感覚に陥っていた。

 

 花陽に邪な気持ちがどれだけあるのかは知らないが、大方は俺を喜ばせたいという純粋な心からこのような奇行に走っているのだろう。そう思うと嬉しくはあるのだが、やっていることは1人でペニバンのディルドを使ってフェラの練習という、μ'sの淫乱ちゃんたちもビックリの変態行為だってことは忘れちゃいけない。

 

 

「しゃぶっちゃう?? もうやっちゃう??」

「いらん実況を付けなくてもいいから」

「でもこれは紛うことなきお宝映像だよ! これをμ'sのCDの特典映像にしたら、さぞ売れるんだろうなぁ~」

「そのCDを買う奴はお宝映像目的であって曲目的ではない気がするんだが、それでもいいのか……」

「あっ、そろそろ始まるから静かにして!」

「お前の方が圧倒的にうるさいっつうの」

「来る……来る!!」

 

 

 穂乃果のこの興奮具合は、傍から見たら変態そのものだ。

 しかし、コイツの気持ちは分からなくもない。モニター内の花陽は今にも口の中に剛直もどきを挿入しようとしているのだ。アレのモチーフが自分のモノだと知っているからこそ、俺も妙に興奮しているのかもしれない。

 

 

 だがその時、誰かが高坂家の階段をドタドタと勢いよく駆け上がってくる音が聞こえた。映像に集中していた俺と穂乃果は身体をビクリと震わせたが、まさか勝手にこの部屋に入って来ないだろうと高を括っていた。しかし、そんな予想は簡単に裏切られ、この部屋のドアが乱暴に開け放たれる。俺たちはあまりの驚きにモニターの映像を消すことも忘れ、部屋に入ってきて息を切らしている人物に目を向けた。

 

 

「はぁ……はぁ……。ほ、穂乃果ちゃん!!」

「花陽ちゃん!? どうしてここに……?」

 

 

 穂乃果の部屋に突撃してきたのは、盗撮映像のヒロインとして出演していた花陽だった。内気な性格上よく取り乱すことのある彼女だが、今日は一段と興奮(変な意味じゃない)しているようだ。顔を赤くしながら息を切らし、ここまで全速力で走ってきたのか汗も凄まじく、清楚なイメージの彼女が一瞬でぶち壊されるほどである。まるで俺たちがさっきまで盗撮映像を視聴していたことを、あらかじめ知っていたかのような慌てっぷりだ。

 

 それもそのはず、彼女の手には小型カメラが―――――って、あれ? どうしてアイツがそれを持ってるんだ?

 

 

「おい花陽、お前が握ってるそれって……」

「そうだよカメラだよ!! どうして私の部屋にこんなモノがあるのか、穂乃果ちゃんに聞きに来たの!!」

「あっ、そういえば2つ仕掛けてたの忘れてた」

「おいおい……」

 

 

 つまり要約するとこうか。穂乃果が花陽の部屋に仕掛けたカメラは2つだっただが、本人がその数を忘れており、後日不法侵入した時に回収したカメラが1つだけだった。そして未回収のカメラは花陽の部屋に残り続けることとなり、幸か不幸か花陽がそれを見つけてしまったことにより現在に至る。ということだろう。花陽の慌て具合から察するに、見つけたのはついさっきだったに違いない。これまでの時系列を考慮すれば、さっき俺たちが見ていたおしゃぶり映像が終始完璧に収録されていたことくらいすぐに分かるだろうから。

 

 

「やっぱり穂乃果ちゃんだったんだね。これを仕掛けたの……」

「おぉっ、そういえばよく分かったね!」

「分かるよ簡単に! こんなモノ私や家族が仕掛ける訳ないし、穂乃果ちゃんが来る前に部屋の大掃除をしたからその時にカメラがないことも分かってた。それに穂乃果ちゃんと遊んだ日以降部屋へ誰かを招いたこともないから、必然的に穂乃果ちゃんが犯人なんだよ!!」

「すご~~い!! 花陽ちゃん名探偵!?」

「反省してる!? 自分が犯人だってバレたのに!?」

「あっ、そっか。フフフ、バレてしまってはしょうがない。ここはエッチなことで口封じだぁああああああああ!!」

「ふぇええええええええええええええええっ!?」

「ちょっと落ち着こうかお前ら」

 

 

 犯罪がバレたから強硬手段に出るって、それもう完全にかませのヤラレ役のセリフじゃねぇか……。

 とにかくこのままだと話が収束しそうにないので、両者の間に割って入ってあたふたしている現場を一旦クールダウンさせる。

 

 だが花陽はクールダウンどころか、部屋に入ってきた時よりもむしろヒートアップしていた。ただその目は俺たちを映しておらず、俺と穂乃果の後ろ、厳密に言えば先程食い入るように見ていたモニターが――――あっ、そういえば動画流しっぱなしだったような……? しかもモニターから目を離したのは花陽が一物を加える直前だったから、今流れてるシーンはまさに――――!!!!

 

 

「見ちゃダメェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」

 

 

 俺たちがモニターの方を振り向こうとした瞬間、花陽が俺と穂乃果の間を割り込むように通り抜け、PCの電源をぶち消す。あまりの俊敏な行動だったので、俺たちが振り向いた時には既にモニターはブラックアウトしていた。

 

 

「はぁ……はぁ……。このパソコンは押収します!!」

「いいよ」

「いいのかよ」

「その代わり、花陽ちゃんもまたμ'sに入ってね♪」

「えぇっ!? どうして今の流れからμ'sの話になるの!? 空気読めなさすぎだよ穂乃果ちゃん!!」

「だってよく考えてみれば、穂乃果たちの目的は勧誘することだったから。あまりに盗撮映像の花陽ちゃんが可愛かったから忘れちゃってたよ♪」

「あんな姿可愛くなんかないよぉ……」

 

 

 そういや勧誘活動の途中だったってこと、俺も忘れてたよ。これも穂乃果がいきなり盗撮映像を見せてくるからであって、決して俺が花陽のおしゃぶりシーンに期待して勧誘を忘却していた訳じゃないから。でもまあ、肝心なシーンを見られなかったのはちょっと惜しかったかな……。

 

 

「いや花陽ちゃんは可愛いよ! だからμ'sに入って、たくさんの人に自分の魅力を振り撒いちゃおう?」

「にこちゃんじゃないんだからそんな……」

「入ってくれたらそのパソコンを持って行ってもいいからさ」

「μ's関係なくこれは押収するから!!」

「でもさっきの映像は消しちゃダメだよ! CDの特典にして大々的に売り出すんだから!」

「それを阻止するためにμ'sに入ります!!」

「よしっ、よく言ったぁ!!」

「完全に勢いだけじゃねぇか……」

 

 

 今まで勢いじゃない勧誘があったかと言われれば疑問だが、これほど勧誘要素を蔑ろにしている話は今回が最初にして最後だろう。スクフェスに関する説明もなし、どうしてμ'sに入って欲しいのか、何故スクフェスに参加するなどの理由もなしなので、もはや勧誘という言葉が破綻している。長きに渡った勧誘活動のラスボスだというのに、そのクライマックスがこんないい加減でいいのか……? まあ勧誘なんて通過点に過ぎないので、これから12人で頑張ってくれればそれでいいと無理矢理納得することはできるが……。やっぱ消化不良感が半端ねぇんだが!?

 

 

「やったぁ!! これで元μ'sのメンバーが全員揃ったね♪」

「むしろあんな勧誘を続けてよく揃ったよな。素直に感心するわ……」

「今なお続くμ'sの人気の煽りに加えて、花陽ちゃんの盗撮映像をプラスすれば……フフフ、お金がガッポガッポ稼げるよ♪ という訳で花陽ちゃん、パソコン持って帰るなら動画の編集よろしくね!」

「しないよ!? 何が楽しくて自分が盗撮された映像を本人が編集しなきゃいけないの!?」

「ごもっとも……」

 

 

 結局最後までグダグダな勧誘活動だったが、無事に元μ'sのメンバー12人が集結することになった。まあ一部メンバーは勧誘の際に黒歴史を刻まれてしまったけど、それはそれでネタとして美味しいので我慢してもらおう。

 

 さて、スクールアイドルフェスティバル開催まで残り一か月半。それまでにμ'sはこれまでのブランクを埋め、12人の息を合わせることができるのだろうか……?

 

 

「ペニバンを貸してくれたことりちゃんにも、今日の成果を伝えておかなきゃ!」

「どうして携帯にまで動画をコピーしてるの!? もう誰か助けてぇええええええええええええええええええええええ!!」

 

「これから大丈夫か本当に……」

 

 




 長きに渡る勧誘編はこれにて終了です!
 投稿期間では1か月半程度でしたが、本編中の期間は1日半と中々のハイペースでした。これも穂乃果の勧誘が凄かったのか、それともμ'sメンバーがチョロかったのか……(笑)

 そんな訳で次々回(コラボ回後)から新章に突入します!
 新章では以前のμ's編と同様にメンバー間での掛け合いを重視する他、近いうちにAqoursも参戦予定なので、これまで以上に1話1話が騒がしくなるかもしれません(笑)
もちろんスクールアイドルフェスティバル編ということなので、A-RISEやSaint Snowも登場予定です。まさにスクールアイドル戦国時代なので、今までの『新日常』とはまた別の雰囲気を味わえるかも……?


 次回は"たーぼ"さんの小説『ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~』とのコラボ回となります!
 内容は当日まで秘密なのですが、μ'sとAqoursが一堂に会するオールスター回とだけネタバレしておきます(笑)
 投稿日は9月8日(金)を予定していますので、何卒よろしくお願いします!


 勧誘編が終了したので、これまでの感想や評価があれば是非お送りください!
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