ラブライブ!~蓮ノ空との新たなる日常2~   作:薮椿

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 Aqours登場編、その2。
 零君のことを先生呼びしていた千歌たちの心境に、今回で変化が……?


先生でもあり恋人でもありセフレでもある

「それで? 先生はどうして曜ちゃんに痴漢していたんですか……?」

「痴漢でもセクハラでもない、勝手に視界に入ってきただけだ」

「先生に邪な心があるのなら同じです!!」

 

 

 この世の中も理不尽になったもんだ。最近は何でもかんでも痴漢に仕立て上げようとする風潮があり、女の子に肩が触れても痴漢、カバンなど身体の部位以外のモノが当たっても痴漢、挙句の果てには香水など特に不快でない匂いでも女の子の鼻に付けば痴漢など、もう男は外を出歩くことすらできない。そんな理不尽な社会で生まれて育ってきたこの子たちからしてみれば、俺の行為も立派な痴漢行為なんだそうだ。確かにパンツを覗きそうになったのは認めるが、あれは曜が見せつけてきたからであり、あのまま我慢していたら絶対に性欲を抑えきれず深夜番組展開になっていただろう。いわば性欲の正当防衛だったんだよ、あれは。

 

 まあそんな言い訳をしても、目の前で腕を組んで仁王立ちをしている梨子には全く通用しないんだけどな。千歌たちも呆れた目でこっちを見てくるばかりだし……。

 

 

「先生って、実は痴漢趣味ありますよね? 千歌と初めて出会ったバスの中でもそうですし、学院内でも数えきれないくらい……」

「ありますよねって聞かれて素直にウンと答えたら、それこそ精神異常者だろ! 俺は至ってノーマルだから!!」

「幽霊の女の子までオトそうとしてたのに?」

「幽霊姦を趣味にしてたら、それこそ友達どころか家族まで離れてくレベルだわ! 俺ならそうする」

 

 

 浦の星女学院の幽霊騒動を片付けるため、Aqoursと一緒に裏山に上って幽霊の女の子を成仏させた出来事はまだ記憶に新しい。あの時はみんなに憑依しようとした幽霊の子を止めるのに必死だったけど、会話の流れでいつの間にか惚れられていた。流石に幽霊との性行為で勃つ特殊性癖は持ち合わせてないので深夜番組展開にはならなかったが、身体付きだけは超エロかったと今でも鮮明に思い出せる。もう幽霊に対してエロいと思ってしまうあたり、やっぱり俺ってノーマルじゃないのか……? それにそもそも痴漢趣味もねぇし!!

 

 

「自分が偏屈な奴だってのは認めるけど、低俗だとは思ってないぞ。なぁルビィ?」

「ピギィッ!? は、はい、先生はなんだかんだ優しいってこと、ルビィも知ってますから……」

「ほら見ろ」

「先生!? あなたって人は、こんな幼気なルビィを脅して無理矢理自分を正当化するなんて……!!」

「もし仮に俺が低俗な存在だとしても、引くくらいにドシスコンのお前にだけは言われたくねぇ」

「な゛ぁ……!? 姉として妹を守るのは当然のことですわ!! ですよねルビィ??」

「えっ……えぇ!?」

「ほら先生もダイヤも、ルビィちゃん困ってるから」

「果南さん!!」

「あ゛ぁっ!? ルビィが果南さんに寝取られましたわ!?」

 

 

 果南がルビィの頭を撫でてやると、戸惑いの色を見せていた彼女の表情が一瞬で笑顔になる。もう果南の方がよっぽどお姉さんやってる気がするぞ……。

 対してダイヤはルビィがNTRされたことに衝撃を受け、石膏像のように真っ白になり硬直している。もはやコイツのシスコンは重度の難病なので今更言及する気も起きないが、こんなバカっぽいことをしているから生徒会長はポンコツという風潮が広がるんだと思う。Aqoursを結成する前はどこぞの金髪を彷彿とさせる冷徹で格式高い生徒会長だったらしいのだが、少なくとも俺が浦の星に教育実習へ行った時にはもう既にこんな感じだった。生徒会長の肩書が就職に不利なほど汚名なのは、恐らく俺たちの界隈くらいだろう。

 

 

「ねぇ善子ちゃん、マルたち練習合宿に来たんじゃなかったっけ……? こんな道端で遊んでいていいのかな……?」

「とりあえず他人のフリをするのが安定ね。せっかくスクールアイドルとして名が馳せてきたのに、こんなところでイメージダウンなんて溜まったものじゃないわよ」

「それは未だにそこでクスクス笑ってる金髪悪女に言ってくれ……」

「先生ひっど~い!! 久しぶりに会ったから、ちょっとしたサプライズをしてあげたのに!」

「そのサプライズのせいでこんなややこしいことになってるのにか……?」

「でも少しは嬉しかったでしょ? 曜のおしりの感触はどうだった?」

「顔がおしりの肉に挟まれて嘗て味わったことのない感触が……って、あっ!」

「うぅ……」

「あ~あ、先生が曜を泣かしちゃったぁ~♪」

「お前なぁ……ってか泣いてねぇし」

 

 

 泣くどころかむしろさっきよりも更に顔を真っ赤にして、梨子の後ろに隠れている。いくら淫乱色に染まりつつあろうとも、心はまだまだ純粋が大半を占めているようだ。まあそうであってくれないと、脳内ラブホテルとなったμ'sとAqoursを同時に相手をする想像だけでも怖気が走る。田舎の少女は垢抜けない幼気な少女が多いと聞くが、これからもそうあり続けて欲しいものだ。

 しかし俺を驚かせて500円玉を自販機下に葬った千歌や、曜に強制的にセクハラすることを強いてきた鞠莉には、羞恥心が破裂するくらいの粛清を与えてやりたいが。まあそうしたらそうしたで梨子がうるさい訳で……。

 

 

「はぁ……もうこの際、金の件は水に流すからセクハラの件も無罪にしてくれ」

「どうする曜ちゃん……」

「う~ん……ま、また私と2人きりでお出かけしてくれるならいいですよ!!」

「「「「「「「「…………」」」」」」」」」

「えっ、えぇ!? みんなどうしたのその冷たい目!?」

「お前、みんなが揃ってるこのタイミングで恐ろしいこと言っちゃったな……」

「も、もしかして空気読めてませんでした……?」

 

 

 もう自惚れでもなんでもないから言ってしまうが、Aqoursのみんなは俺に恋愛方面の好意を抱いてくれている。そんな中で1人だけ俺とデートをするとなれば、当然残りの8人は曜が抜け駆けしたと思うだろう。しかもセクハラを種にして俺を逃がさないようにと、最初から計画していたと思われても仕方がない。そのせいでさっきまで俺に向いていた冷徹な目線が一気に曜へと集まり、雰囲気がプチ修羅場に様変わりした。

 

 いつもは俺を中心とした修羅場になるので、こうして自分が蚊帳の外になると安心すると同時に寂しくもある。もちろんこのまま他人の修羅場を見てメシウマするほど陰険な性格じゃないので、曜のためにもここは助け船を出してやるか。

 

 

「そんなことよりお前ら、どうしてここにいるんだ? 花丸がさっき練習に来たって言ってたけど、まさか……スクフェス?」

「えっ、先生スクフェスを知ってるんですか?」

「知ってるのは知ってるけど、やっぱりお前らも招待されてたのか」

「はいっ! 大規模イベントなので、これを機にAqoursの名を売ろうかと思いまして」

 

 

 とりあえず俺の質問で千歌たちの意識がこちらに移ったことで、曜は突き刺すような嫉妬の目線から解放された。そのことでお礼を言うように、曜は俺にペコリとお辞儀をする。

 

 プチ修羅場は難なく回避できたので、次なる話題はAqoursのスクフェス参戦に移る。

 やはりというべきか、俺の予想通りAqoursはスクフェスへの参入を決定していた。いつやらか東京でイベントに参加した時は結果が最下位と散々だったらしいので、今回はそのリベンジも兼ねているのだろう。

 

 

「参加するのはいいけど、まだ1か月半もあるじゃねぇか。こんなところで観光に洒落込んでていいのか?」

「開催まで期間があるからこそ、東京の雰囲気に慣れながら練習しようと思いまして。夏休み合宿というやつです!」

「なるほど。だったら俺に連絡くらいくれればいいだろ」

「いきなり出向いて先生を驚かせちゃおうって、みんなが」

「何言ってるの? 真っ先にそう提案したのは千歌ちゃんでしょ……」

「あ~ん! 梨子ちゃんそれは言わない約束ぅ……」

「先生に会える嬉しさで夜眠れずに、今日の集合時間に遅刻しそうにもなってたずら」

「は、花丸ちゃんそれは会心の一撃……!!」

 

 

 千歌は胸に銃弾を打たれたかのようにふらふらと電柱に身体を寄り添わせる。夜眠れなかった事実も遅刻した事実もAqours内で共有されるだけならまだ耐えることはできただろうが、実際にこうして事実の発端となった要因が目の前にいると、流石の千歌でも目をキョロキョロさせて戸惑っていた。だがそれは少なからず他のメンバーも同じようで、ふと梨子たちと目を合わせてみると、みんな頬をじんわりと染めつつ視線を逸らす。照れ隠しで千歌に矛先を向けているようだが、もう何年も数多の女の子と付き合ってきた俺にはそんな画策なんて通用しねぇから。俺に会える期待と緊張を抱いていることくらいお見通しだっつうの。

 

 

「とりあえず合宿でこっちに来てるのは分かった。で? どれくらい滞在するんだ?」

「えぇ~っと、3週間くらいですかね」

「は……? いやいや長すぎない!? 泊まる場所とかどうすんだよ野宿か?」

「実はですね、ダメ元で秋葉さんに泊まれるところがないか連絡をしてみたら、なんと空き家を用意してくださったんです!」

「秋葉が? でもまぁ、アイツなら家の1つや2つくらい余裕で買えるか……」

 

 

 秋葉はああ見えても世界の頭脳と呼ばれるくらいの才女である。研究の成果により俺たちの想像が付かないほどの莫大な貯金があるはずなので、そこら辺の適当な一軒家くらいならコンビニでお茶とおにぎりを買う感覚で購入できてしまうだろう。しかもアイツ、金を持っていてもそれを俺たちを貶めるような研究費にしか使わない上に、それでも湯水のように持て余している。だからこそ千歌たちに頼まれて家を貸してやったんだろうが、もはや自分の家族とは思えないほどの豪遊っぷりだ。わざわざ女子高生のため、しかもたかが3週間のために家を買って貸してやるって相当だぞ……? その優しさの裏に何か企んでないといいけどな。

 

 

「でも交換条件とか持ち出されなかったのか? 怪しい薬の被検体になれとか、物騒な玩具を作ったから実験台になれとか……」

「いや、むしろ先生の側に女の子が増えるのなら大歓迎だって喜んでましたよ……?」

「やっぱ何か企んでるんじゃないかそれ……」

「流石に考えすぎですよ~!」

 

 

 千歌もみんなもいくら秋葉とは言え、わざわざ家を購入してまで自分たちを貶めることなんてしないと思っているみたいだが、アイツに常識なんて通用しない。さっきも言ったけど、アイツにとっては家を買うなんて俺たちで言えば1円玉をドブに捨てる感覚と同じなのだ。それくらい金銭感覚が死んでいるので、俺たちで遊ぶためにわざわざ家を購入するのは何らおかしいことではない。むしろ今コイツらが滞在している家こそがアイツの実験道具の可能性がある。アイツに内緒で千歌たちをこっそり家から退去させた方が安全じゃないか……? みんなは秋葉と内浦で数回顔を合わせただけだから、まだアイツの恐ろしさを知らないんだよ。

 

 だからこそ、秋葉が快く家を貸してくれたと思い込んでいる千歌たちを説得する訳にもいかない。まあ何か起こったら起こった時に対処すればいいか。ただでさえμ'sの練習で忙しくなるっていうのに、これ以上面倒事で神経を使いたくない。こう見えてもエロが絡むこと以外は省エネ主義なんだよ、俺は。

 

 

「そうだ! 久しぶりに先生も顧問として、千歌たちの練習に参加してくださいよ!」

「おいおい、俺はもうお前たちの先生じゃないんだぞ? だから先生呼びもやめてくれ」

「それじゃあ何て呼べばいいんですかね……?」

「そうだなぁ、名前とか?」

「名前……ですか。神崎れ、れ、れ……うぅ……」

「どうして今頃恥ずかしがってんだよ!!」

「今まで先生のことを名前で呼んだことありませんでしたから、変に緊張しちゃうんです!!」

「3週間も一緒にいたのにそんなバカな……。なぁ梨子?」

「れ、れ……あ、あれ? その先の言葉が出てこない……」

 

 

 短期間とは言え、その期間はほぼマンツーマン状態で一緒にいたので名前で呼ぶくらい今更だと思っていたのだが、どうやら千歌と梨子にはハードルが高いらしい。多分それは俺がただの先生じゃなくて、想い人であることの方が大きいんだと思う。それでもここまで恥ずかしそうにするなんて想像もしてなかったし、下の名前を呼ぼうとするだけで緊張するってどれだけ純情なんだよ……。

 

 

「千歌も梨子も大袈裟なんだよな。なぁ曜?」

「えっ!? あっ、そ、そうですね、れ、れ……ぃ先生!!」

「どうして俺の名前のところだけ声小さいんだよ!? 果南は余裕だよな!?」

「えぇ~と……た、確かにちょっと恥ずかしかも……」

「お前まで!? 鞠莉!!」

「ふぇっ!? せ、先生は先生だしねぇ~……」

「俺の目を見ろ!! ダイヤ!!」

「と、殿方を下の名前で呼ぶ時は正式に婚約してからと思いましてですねはい……」

「早口すぎて聞き取りづらかったんだけど、ハードルが高いことは察したよ……」

 

 

 曜やダイヤはともかくとして、果南や鞠莉だったら名前呼びくらい余裕だと思っていたのだが、誰もかれもが顔を赤くしながら戸惑っていた。無理をするくらいならこの際先生呼びのままでもいいのだが、ここまで名前を呼ばれないとなるとそれはそれで虚しくなってくる。たった『(れい)』の二文字なのに、一文字だけしか口ずさめないなんて相当だぞ……。

 

 

「花丸!!」

「えっ!? あっ、あぁ……れ、れ……れ……れんこん!!」

「俺の名前の方が文字数少ないのに、どうして言えねぇんだよ……。ルビィ!」

「ピギィ!? うゅ……れ、れ……冷凍みかん!!」

「だからそっちの方が文字数多いだろ!! 善子!!」

「無理!!」

「最初から諦めんな!!」

「そんなこと言われたって、いきなり名前で呼べっていう方が無茶よ! そもそも男の人のことを名前呼びしたことないし……」

「あぁなるほど。大体分かった」

 

 

 今まで先生呼びで通してきたから、今更名前呼びは恥ずかしい。俺はみんながずっとそう考えていると思っていたから勢いに任せて呼ばせてみようとしてみたのだが、どうやら彼女たちにとって羞恥心の根幹はそこじゃないらしい。善子の話から察するに、Aqoursのメンバー9人全員は同年代の男とあまり喋ってこなかったのだろう。よくよく考えてみれば、コイツらは中学高校と女子高であり、同年代の男と接点を作ることさえできなかったのだ。小学生での名前呼びはガキの至りなので論外として、思春期真っ只中の中高生で男と接点がなければ、こうして俺の名前を呼ぶという行為が如何にハードルが高いのか分かる。

 

 つまり千歌たちにとって、俺との出会いは身内以外で初めて男性と濃密な接点を持つこととなり、しかもその相手が想い人なんだからそりゃ慎重にもなるわ。更に今まで先生呼びで一貫してきたからこそ、『(れい)』の二文字を発するのに焦りと緊張でドキドキするのだろう。もうみんながみんな頬を染めてそわそわしているため、冒頭で説教されていたシーンとは雰囲気がまるで逆になっていた。

 

 

「もう俺を先生と思わずに友達だと思ってくれていいんだぞ? そっちの方がお前らも親しみやすいだろうし。それでも無理なら兄でも父でも、なんならセフレでもいい」

「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」

「あ、あれ……? みんなの緊張を解すための冗談だったんだけど……? り、梨子、顔が怖いぞ……」

「冗談とは言え、一瞬でも生徒をそんな風に見ていたなんて……変態」

「うぐっ!!」

 

 

 梨子を始めとして曜や善子、果南、鞠莉からはまたしても冷徹な目でこちらを突き刺してくる。だが千歌や花丸、ルビィ、ダイヤは言葉の意味が分かっていなかったのか首を傾げていた。セフレの意味が分かっている子たちと分かっていない子たちの分類を見て、誰がどの程度低俗に塗れているのかが一目で分かる。特にふるいを掛けるためにセフレ云々発言をした訳じゃないけど、梨子たちからは蔑まれるし、千歌たちは意味が分からずぼぉ~っとしているので、結局ユーモアを利かせたつもりが全員に対して空振りに終わってしまう散々な結果となった。言っておくけど、マジでセフレにしたいなんて思ってないからね?

 

 

「と、とにかくだ! 今は無理でも、これからちょっとずつ慣れていけばいいから」

「だったら、千歌たちの練習に参加してくれるんですよね? ほら、先生が一緒にいないと名前を呼ぶ機会自体がないですし」

「あぁそのことなんだけど、μ'sの練習の手伝いをする羽目になっちまって……」

「「「えっ!? μ's!?」」」

「うぉっ!?」

 

 

 μ'sの名前を出した瞬間、千歌とダイヤとルビィのスクールアイドル熱狂ファン3人が俺の眼前にまで顔を詰め寄らせてきた。ていうか俺の名前を呼ぶことはできないのに、キスするくらいの勢いで顔を近付けることはできるんだな。コイツらの恋愛観というか、羞恥心を感じる基準が全く分からん……。

 

 

「μ'sって、あのμ'sですよね!?」

「まさかμ'sもスクフェスに参加されるのですか!?」

「解散したはずのμ'sを生で見られるなんて……ルビィ感激です!!」

「解散したのにスクフェスに参加するのは色々訳ありでな……。ともかく、俺が顧問をやってた時のように、付きっ切りでお前らの練習を見てやれないってことだ」

「それでも千歌は、また先生に指導していただけるだけでも嬉しいです!」

「俺もだよ。なんなら、μ'sと一緒に練習してみるか?」

「「「「「「「「「ッッ!?!?」」」」」」」」」

「あ、あれ……?」

 

 

 みんなは揃って恐れ多いと言った感じで首を横に振る。てっきり憧れのμ'sと一緒に練習できるからと大喜びすると思っていたのだが、どうやら千歌たちにとっては一度出会ったことがあるとはいえ、μ'sはまだまだ雲の上の存在であり憧れの有名人らしい。しかしμ'sの素行と実態は淫乱ちゃんや天然ちゃんの集まりでもあるので、もし彼女たちの現状をAqoursに見せたら一体どうなることやら……。しかしこちらからわざわざ千歌たちの理想を崩しに行く必要はないし、いくらμ'sが偏屈な集団であれ、彼女たちの存在が千歌たちのやる気に繋がっているのならそれはそれで咎める必要もない。

 

 

 ん? そういやμ'sで忘れていることがあったような気が――――――

 

 ………………

 

 ………………

 

 ………………

 

 あっ! そういえば!! アイツらに買い物を頼まれて買出しに行ってる途中だった!!

 しかも突然Aqoursと再会した驚きと彼女たちと話に花を咲かせすぎたせいで、μ'sの練習開始時間に遅刻していることに気付く。これじゃあ穂乃果たちが『私たちというものがありながら、他の女の子にうつつを抜かしていたんだねぇ……へぇ~なるほどなるほど』と、ヤンデレ混じりの圧力を掛けさせられるに違いない。ただでさえAqours内部でも修羅場が発生して緊張の糸が張り詰めていたのに、ここにμ'sまで加わったらもう俺の胃は穴が空くどころか破裂してしまうだろう。そうなる前に早急にアイツらのところへ戻らないと!!

 

 

 

 

「も~う! 零君どこにいるのぉ~?」

 

 

 

 

「な゛ッ……!?」

 

 

 

 まだ姿は見えないが、紛うことなき穂乃果の声がはっきりと聞こえてくる。もしやと思い咄嗟に携帯を見てみると、穂乃果を含めμ'sの面々から何度か不在着信やメッセージが飛んできていた。どうやら俺の行方を捜しに、ご丁寧にわざわざ捜し回っているらしい。ちょっと買い物が遅れているだけかもしれないのに律儀な奴らだとツッコミを入れながらも、この状況を抜け出すために俺は放置してあったビニール袋を両手にここから立ち去る準備をする。

 

 

「それじゃあもう俺は行くから!!」

「えぇっ!? 今から千歌たち練習するんです! 少しだけでいいので見ていってくれませんか? 用事があるのなら仕方ないですけど……」

「――と言いながらしっかり腕組みするんじゃない!! 離れろ!!」

「先生は千歌と腕組みするの、イヤですか……?」

「うっ……い、イヤとかそういう問題じゃなくてだな……」

「じゃあお付き合いしてください♪」

「そのセリフは勘違いするから!! ていうかお前、最初からこれ狙ってだろ!?」

「どうでしょうねぇ~♪」

 

 

 こうして腕組みされて、胸を押し付けられていると改めて思う。千歌の大自然で育った胸は、相変わらず豊満だと。割と着痩せするタイプなのか、こうして密着してみるまで本当の胸のボリューム感が分からないのはそれはそれでドキッとする。もちろんこんな状況でなければ、元生徒に鼻の下を伸ばそうが付き合っていたところだ。

 

 

「千歌ちゃんばかりズルいです……」

「私だって、先生と……」

「えっ? 梨子、曜!?」

「だ、だったらマルも!!」

「ル、ルビィもいいですか……?」

「アンタたち、先生はヨハネの眷属なのよ!!」

「ちょっと!?」

 

 

 千歌の大胆行動に触発されたのか嫉妬したのか、2年生と1年生たちも加わって俺の身体の周りが大混戦になる。女の子から求められるのは世界で一番嬉しいことなんだけど、さっきも言った通り修羅場になりそうな状況だから純粋に反応できない。梨子やルビィのように控えめに擦り寄ってくる子もいれば、曜や花丸、善子のようにそこそこ大胆に密着してくる子もいる。女の子の身体の至る部分が押し付けられてるせいで力が抜け、もう逃げ出そうにも逃げ出せなくなっていた。

 

 

「鞠莉、ダイヤ、果南! ヘルプヘルプ!!」

「先生ったら、私たちにも参加して欲しいだなんて♪」

「言ってない言ってない!!」

「公道でそんな破廉恥なことを……う~ん……」

「注意するか悩むかどっちかにしてくれ! 注意して欲しいけど!!」

「やっぱり、私ももっと大胆になった方がいいのかな……?」

「あれ、止めてくれる人がいない。詰んだ……?」

 

 

 3年生は直接俺に触れることはしないものの、メシウマ感覚でニヤニヤしてる金髪ハーフや、参加したいけど注意もしたい葛藤で悩んでる黒髪生徒会長、そしてこんなところで自身の性格を改めようとする青髪ダイバーと、誰1人この状況に水を差す者はいなかった。パンツ覗きにはメンバー総出で冷たい目を浴びせてくるくせに、ごく普通のハーレム現場には疑問すら抱かないんだな……。Aqoursも相当俺に色に染まってきていると見える。

 

 ていうか、今はそんな感心をしてる暇ないんだけど!? 早く逃げ出さないと穂乃果が来て――――――

 

 

「あっ、零君いた――――――って、えぇっ!? 女の子たちに揉みくちゃにされてる!!」

 

「あっ……」

 

 

 μ'sとAqoursが交差する時、物語は始まる。

 俺の物語は今にも終わりそうだけど……。

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 修羅場がまた新たな修羅場を呼んでしまうのも、ハーレム主人公がハーレム主人公たる所以なのかもしれません()
 そして、もし千歌たちからセフレでもいいから付き合ってと言われたら、皆さんならどうしますかね……?


 次回はμ's&Aqoursが交じり合い、遂に小説タイトルを回収する時が……!?



新たに☆10評価をくださった

紅葉さん、厨二乙さん、電伝坊主さん

ありがとうございました!
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