今後はなるべくAqours編で絡んだことのない組み合わせで話を構成していく予定です。
「えぇっと、待ち合わせ場所はこの辺だったよな……?」
夏休みのとある平日。俺は花丸から呼び出しを受け、某公園へとやって来た。
公園とは言ってもそこまで大きくはなく、夏休みと言えどもそこまで人はいない。そもそも今の子供たちは長期休暇なので、こんな小さな公園よりも少し遠くてもたくさんの遊具や人が集まる大きな公園を優先して遊びに行くはずだ。だからなのかは知らないが、公園には本当に小さな子供とその親、散歩途中のお年寄りなど夏休みではなくとも見られる姿ばかりだった。
そのことを踏まえると、花丸が何故こんな辺鄙な公園を集合場所に選んだのかが疑問である。昨日突然電話が掛かってきて今日の予定が組まれたのだが、その時の花丸はやけに焦っていたというか、とにかく緊急事態だということが声の震えからも伝わってきた。スクールアイドルのことで何か悩みがあるのかと疑い、元顧問として相談に乗ってやろうと思っていたのだが、こんな辛気臭い場所である必要はあったのかな……?
「あっ、先生こっちです!」
「よぉ……って、ここ公園の端も端だろ? 見つけるの苦労したぞ」
「ゴメンなさい……。でも、ここでないと相談できないことなんです!」
「はぁ……」
いつも能天気でのほほんとしている花丸がここまで取り乱すとは珍しい。昨日の電話でも緊急事態だって言ってたけど、この様子を見るとあながち間違いじゃなさそうだな。しかも親友のルビィや善子に相談せずわざわざ俺に連絡を寄こしてきたってことは、それなりに切羽詰まっているということだ。もしかしたらAqoursの今後に関わる重要な悩みかもしれないので、なるべく早急に手を打たないと。
俺はベンチに座っている花丸の横に腰を掛け、これから繰り出されるであろう重い話に身構えた。
「あの、実は……うぅ、やっぱり言いづらい」
「それを言うために俺を呼び出したんだろ? Aqoursのメンバーにも相談できないことだったら、尚更喋ってもらわないと」
「はい。い、いきます!!」
「逆にそんな勢いづかれても……。どうぞ」
花丸は半身分こちらへ身体を近付けると、瞳を潤わせながら俺の眼を見つめる。
どうやら覚悟はできたようだが、この状況になっても未だに戸惑いが見られるので本当に深刻な悩みらしい。ここからどんな面倒事……いやお悩みが展開されるのか、俺も自然と心が引き締まる。
「実は私……」
「あぁ……」
「体重増えちゃったんです!!!!」
「………………は?」
呆気に取られるというのはまさにこのことと言わんばかりに、場の空気が一瞬で静まり返る。さっきまでピリピリと張り詰めた緊張感が漂っていたのにも関わらず、今では全ての時が停止したかのような静けさしか感じない。そのせいで臨戦態勢に入っていた俺の気合もあっという間に冷め切り、むしろ絶対零度の温度にまで冷え切ってしまった。自分で自分の表情は見えないが、恐らく今の俺の目は漫画やアニメのような点だけになっているだろう。それくらい花丸の悩みがどうでもよかったという訳だ。
とにかく聞きたいことが色々ありすぎるから、とりあえず1つ1つ順番に解決しながらこの場を整えていこう。
「あのさ、まず1つ聞くけどそんなことで俺を呼び出したのか……?」
「女の子にとって、体重の増加は死活問題なんです!!」
「いやそれは分かるけど、お前が女の子を語るとはな……」
「むっ、それはどういう意味ずら!!」
「そのまんまだよ。それにしても、わざわざそんなことで俺を呼び出すなよ……」
花丸が女の子らしくないと言えばそれはもちろんNOだが、彼女の可愛さは女の子特有というよりもルビィと同じくマスコット的な可愛さに近い。だから彼女の口からいきなり『女の子にとって』などの言葉を聞くと、少しだけど違和感を覚えてしまう。まあ体重増加の悩みは穂乃果や花陽から耳に穴が空くほど聞かされているため、その悩みを抱くことが女の子っぽいと言えば女の子っぽいのかもしれない。
そして、相談の内容から何故Aqoursのみんなに相談せず俺だけを呼び出して悩みを明かしたのか、その理由が大体分かった気がする……。
「先生に相談を受けてもらったのも、体重が増えたなんて恥ずかしくてみんなに言えなかったから……」
「そんなことだろうと思ったよ。ていうか、ほぼ毎日練習してカロリーを消費してんのに、どこで太る要素があるんだか。消費カロリーを上回るほど食ってるのなら話は別だけど……って、どうした?」
「い、いや、心に突き刺さるなぁ~って♪」
「笑い話じゃねぇえええええええええええええええええええええええええええ!!」
「ゴメンなさぁあああああああああああああああああああああああああああい!!」
やはり俺の予想は的中しており、体重増加の原因もまさかの食い過ぎという至って普通な理由であった。中には嬉しいことがあり精神的に高揚し、そのせいで太ってしまう幸せ太りというものもあるみたいだが、コイツの場合は単純に甘いモノの食べ過ぎだろう。全く、無駄に心配して損したよ……。
「で? お前は俺に何をして欲しいんだ? 自分が太ってるって言いに来ただけじゃないんだろ?」
「えっ、マルの相談に乗ってくれるんですか!? あんなに怒ってたのに……」
「乗り掛かった舟だし、ここで無視したら逆に俺の品位が下がるだろ。仕方なく聞いてやるって言ってんだ、さっさと話せ」
「ありがとうございます! それでは効率のいいダイエット方法について教えてください!」
「さっさと話せとは言ったが、やけに直球だな……」
正直なところ、俺はダイエットというものをしたことがないのでそこまで的確にアドバイスはできない。単純に考えれば今の増加カロリーを減らすのが最善であり、会うたび会うたびにパンやお菓子をバクバク食っているコイツの日常を変えてやればそれで済む話だ。あれ? 結論が出ちゃったからこの話はもうここでおしまいじゃね……?
「マルは世間知らずなので、現代の女の子の画期的なダイエット方法を知らないんです! なので是非!」
「俺は女じゃないしお前も現代の女の子だろ……。だったら、俺よりもダイエット講師としてうってつけの奴がいるぞ」
「そんな人とお知り合いずら!?」
「あぁ。幾多の小太り女子をスリムにしてきた、ダイエットの神みたいな奴だから」
「是非紹介してください!! 最近体重が増えてダンスの動きが鈍くなってきたなぁ〜っと思ってたので、なるべく早急に体重を戻したいんです!!」
「心意気は良し。あとはへこたれない覚悟はしっかり持っておけよ」
「か、覚悟……?」
「そう、覚悟」
その講師が教えるダイエット術は女の子たちが震え上がるほど的確で、同時に唸るほどスパルタだと評判なのだ。そのダイエット術を受けた者は二度と過酷な現実に突き落とされないよう、自ら率先して体重を維持する努力をすると言われている。まあ一部の女の子は恐怖体験が待ち構えていると知っていても過度な食を取るチャレンジャー気質の奴もいるが、その時は大抵講師の怒りに触れて再度地獄を体感するのがお決まりだ。
そんなスパルタダイエット術を体験してもらうためには、それなりの覚悟を持ってもらわないと――――とは言っても、実践する前からビビらせる必要はないし、詳細は敢えて黙っておく。手っ取り早く体重を減らしたいのなら、それくらいの試練は乗り越えてもらわないとな。
~※~
「先生……? ダイエットの講師の方が来るはずだったのでは……?」
「そうだよ。だからわざわざこうして呼び出してやったんじゃねぇか」
「だって……だって……講師の方が"園田海未"さんだったなんて!?!?」
「零、あなた私のことを紹介していなかったのですか……?」
「あぁ、そっちの方がサプライズ感あるだろ?」
「またそんなつまらないことを……」
ダイエットの指導と言えば、μ's内の鬼スパルタ講師である海未が適任だ。という訳で、花丸の体重減量を図るために海未をこの場に召喚した。さっき俺が花丸に覚悟を持っておけと忠告した理由が分かっただろ? まあ花丸的にはダイエットなんかよりも、目の前にμ'sの園田海未がいる事実の方に驚いているみたいだが。
「ど、どうして海未さんがここに……?」
「コイツ、身体の管理に関しては口うるさいほどしっかりしてるんだよ。だからお前に合ったダイエット方法を教えてくれるかもしれないぞ」
「口がうるさくて悪かったですね……」
「まぁまぁ……。状況は電話で話した通りだから、とりあえず花丸を助けてやってくれよ」
「そのためにここへ来たのですからお助けはしますけど……国木田さん、でしたっけ? 見ず知らずの人に自分の身体を預けるのは気が気ではないと思いますが、よろしいですか……?」
「そ、そんな滅相もございません!! むしろ海未さんに指導してもらえるなんて光栄と言いますか……」
「そこまで畏まらなくてもいいですよ。深呼吸をして、リラックスリラックス」
「すぅ~~はぁ~~……あっ、本当にリラックスできたずら!」
「よろしい!」
流石は海未というべきか、あっという間に花丸の焦燥を解消してしまった。高校時代も穂乃果やことりはもちろん、他のμ'sメンバーの悩みにも敏感でよく個人で相談を持ち掛けられていたくらいだから、伊達にμ'sのメンタルヘルス係を担当していない。よし、こうなったら今度千歌がμ'sと会って暴走してしまった際には海未に対応を任せるとしよう。μ'sと顔を合わせるたびに俺にへばり付いて離れなくなるから暑苦しいんだよなぁ……。
しかし、これまでの優しさは海未の表の顔と言っても過言ではない。一応ダイエットを教えて欲しいと連絡を入れてこっちへ来てもらったのだが、不穏なことに何故かコイツはそこそこ大きなカバンを持ってきている。あの中に何が入っているのか想像するだけでも恐ろしいが、ここで彼女を咎めて花丸の不安を煽るような真似はしたくない。やっぱりここは花丸に耐えきってもらうしかなさそうだ。恨むなら俺じゃなくて、食べに食べ過ぎた過去の自分を恨むんだな……。
「とにかく、ダイエットをするにもまずは体重増加の原因を調査しなければなりません。どれだけ運動をしようが、原因の根本を改善しなければ効果はありませんから。国木田さん、自分で思い当たる点は何かありますか?」
「えっ、えぇ……と」
「食い過ぎだってよ」
「ひゃぁっ!? せ、先生!?」
「ここで口ぐもっててどうすんだよ。もし嘘なんて付いたら、それこそお前のためにならないだろ?」
「そ、そうですよね……。先生の言う通り、食べ過ぎが原因かと……」
「なるほど。これまたいつも通りの展開ですね」
「え、いつも通り……?」
「いえ、こちらの話です」
俺と海未の脳裏に浮かぶのは、和菓子屋のおバカちゃんとご飯好きのおっとり娘の顔だ。これまで何度かアイツらのダイエット活動を見てきたが、体重増加の原因は決まって『食べ過ぎ』でそれ以外が原因を聞きたことがない。海未はその過去があるから花丸の言葉にデジャヴを感じているようで、右手を頭に当てて呆れている。実はμ'sとしてスクフェスへ向けた練習を開始する前にもダイエット関連でひと悶着あったのだが、それはまた別の機会に語るとしよう。
「原因の根本は分かりました。それでは間食をする頻度はどのくらいですか?」
「うっ……つ、常に何かを……」
「常にって、いつも何かを食べているってことですか?」
「は、はい。お部屋の中とか、練習の合間とか、電車やバスで移動中とか、暇があるとお腹が空いちゃって、ついついお菓子やパンを手に取ってしまうんです……」
「これは想像以上と言いますか、今まで見たことがない事例ですね……」
「流石の海未先生も今回ばかりはお手上げか?」
「いいえ。むしろそれを聞いて俄然やる気が上がりました! 何としてでも国木田さんの体重を元通りに減量、いやこれまでよりもスリムにして差し上げます!!」
「えぇっ、どうして海未さん燃えてるんですか!?」
「人のダイエットに魂賭けてんだよコイツは……」
ダイエット方法の伝授を申し込まれると最初は呆れる海未なのだが、もう何度も同じことをやっているうちにいつの間にか自分の本業として認識したみたいだ。そして一度引き受けた仕事は何としてでも完璧にやり通すその性格が仇となり、こうして人のダイエットなのにも関わらず本人よりもやる気の炎を燃やしてしまう。海未がこうなったら最後手を付けられる者は誰もおらず、これから繰り広げられる地獄のダイエット活動を必死に耐え抜くしかない。花丸はそんな暴走した海未を知らないため今は訳も分からず焦っているだけだが、あと数分後にはどうなってることやら……。
「それでは質問を続けましょう。ついついつまみ食いをしてしまうとのことですが、具体的にはどんなモノを食べていますか?」
「そ、そんなことまで……!? えぇっと、これ……とかですかね?」
花丸はカバンから『のっぽパン』と書かれたパンの袋を取り出すと、渋々ながら海未に差し出す。ていうか、ダイエットしたいと懇願してきた奴がカバンの中に堂々とパンを忍ばせてるって何事だよ……。
海未は花丸からパンの袋を受け取ると、裏面に記載されているパンの原料やカロリー数をまじまじと見つめる。何も語らず無言なのがこれまた怖く、これから起こるであろう地獄のダイエットを予感させる静けさが立ち込めていた。
「…………」
「せ、先生。海未さんの顔がどんどん険しくなっていますけど、大丈夫ですよね……?」
「何をもって大丈夫と言っていいのかは俺も分からないけど、覚悟はしっかり持っておけ」
「また覚悟!? 食べ過ぎだって自白するだけでも恥ずかしいのに……」
「お前らが恥ずかしがる基準って、よく分かんねぇよな」
「女性は自身の食生活を赤裸々にされるのが何より恥ずかしいずら!!」
「へぇ……」
食べ過ぎだって事実を公表するのは恥ずかしがるくせに、俺と図書館で密着してしまった時は特にそんな片鱗すら見せなかった気がするんだが俺の気のせいか? 好きな男に近づかれるよりも食生活を暴かれる方が緊張するって言うんだから、女の子の羞恥心の基準を俺は今でも測りかねている。ホント、女心って分かんねぇな……。
「1袋に入ってるのっぽパンの本数は6本。暇があれば食べていたとして、1日に1袋と計算すれば消費しなければならないカロリーは……いやでも、それはのっぽパンだけのカロリーであって、普段の3食を考慮に入れたらもっと……。それにジュースを飲んでいればまたそれだけカロリーが増えることに……」
「せ、先生! 海未さんの声色が低くなってきましたけど、本当に大丈夫ですか!?」
「どうする? 今の間に遺書でも書いとくか?」
「私はダイエットをしに来たんです!!」
そう言われても、お経を唱えるようにカロリー計算をし始めた海未をもはや止めるすべはない。このまま尻尾を巻いて逃げ出してブクブク太り続ける生活に戻るか、それともこの重苦しい空気に耐えてガリガリにやせ細るか選択肢は2つに1つだ。
ちなみに海未のダイエットが効果的な原因の1つとして、この重い雰囲気に身が震えて痩せてしまう現象が考えられる。穂乃果や花陽なんて海未がダイエット講師になると聞いただけで冷汗を流し、地獄を味わいたくないからと自ら必死で減量しようとするくらいだから。その恐怖体験も相まって、μ's内では絶対に体重を増やさないことが暗黙の了解となっている。まあ海未は海未でダイエットがてらに穂乃果たちを登山へ誘おうとしているから、彼女からしてみればダイエットというのはいい口実なのかもしれない。
そんなことを考えている間にも海未はカロリー計算を終えたのか、パン袋を懐に収めて(無言の没収)険しい表情のまま花丸の顔を覗き込んだ。対して花丸はまるで凶悪犯罪者に睨まれたかの如く顔を青くし、激しく瞬きを繰り返しながらベンチの端に追い詰められていた。
「あ、あのぉ……」
「今から質問をしますから、正直に答えてください」
「えぇ……」
「こ・た・え・て・く・だ・さ・い・ね♪」
「は、はいぃ……!!」
少しでも恐怖を緩和させようと笑顔になる海未だが、この状況で笑みを零しても黒い笑顔にしか見えないので逆効果だ。そのせいか花丸は涙目になりながら俺に助けを懇願してくるが、さっきも言った通り今の海未を止める算段など持ち合わせてないし、そもそも下手にコイツに触れて俺まで地獄のダイエットに巻き込まれた目も当てられない。可哀想だが、花丸にはこのまま修羅の道へと堕ちてもらおう。なぁに、過酷なだけスリムになれるんだから問題ないさ。
「まず第1問。パンを食べた後のあなたの行動は?」
「えぇっと、食べた後は気持ちよくなって寝ちゃうことが多いかな……」
「………なるほど。それでは第2問」
「さっきの間は!?」
「これまで体重が増えたと実感したことはありますか?」
「昨日が初めて……だと思います。胸が重くなったなぁ~っと感じることはよくありますけど……」
「……………なるほど。それでは最後の質問です」
「間が長くなった!?」
あ~あ、花丸の奴、地雷踏んじまったなぁ……。海未に対して胸の話はNGだってことくらい、幼児が「あいうえお」を覚えるよりも先に学ぶことだぞ? 同級生の穂乃果やことりが二十歳を超えた今でも胸が大きくなりつつある現状に、1人だけほとんど膨らんでない胸を見たらそりゃ狂人にもなるわ……。
「国木田さん。あなた、胸のサイズはいくつですか……?」
「ふぇっ!? ど、どうしてそんなことを……?」
「い・く・つ・で・す・か♪」
「は、83……です」
「くっ……!!」
「なぁ、お前ダイエットを教えに来たんだよな? 趣旨変わってきてね??」
海未はベンチに手を着きながら、己に降りかかった敗北の2文字を重々しく受け止めている。コイツもまさか6歳下の、しかも高校に上がりたての子に胸のサイズで負けるとは思っていなかったのだろう。しかし夏場の薄着を見れば2人の身体の凹凸は一目瞭然で、もはや胸のサイズを聞くまでもなく花丸に軍配が上がることは自明の理だ。だが海未はその事実を受け入れられず、もしかしたら自分が勝っている一縷の望みに賭けて質問をしたんだろうが……夢見ていた華やかな結果は無残にも散った。
「いや薄々分かってましたよ。ダイエットを頼んでくる子たちが、ことごとく私よりスタイルのいい子ばかり。穂乃果と花陽も然り、私よりもたくさん甘いモノを食べて不健康そうな生活を送っていることりや希に至っては足元にも及びません……。ですが流石に高校生とならいい勝負ができると意気込んでいたのですが、まさかこんな無様な結果になってしまうとは……笑ってください、ははは……」
「ここまで成長しないのも笑えるよな」
「フンッ!!」
「ぐあ゛ぁっ!?」
「せ、せんせぇええええええええええええええええええええええええええええ!!」
そこまで強い力ではないがおでこに拳骨を入れられ、油断していた俺は大きくのけ反ってしまう。一瞬意識が飛んですぐ復活したのだが、あまりに突然の出来事に何故殴られなきゃいけなかったのかしばらく考えることすらできなかった。
「おいっ!! さっき自分で笑ってくださいって言ったろ!?」
「零に笑われると腹が立ちますから」
「出たよ、俺を理不尽扱いしておけば何でも許される法則……」
そもそも、ダイエットの話からどのような経緯でこんな話になったのかが分からない。それもこれもハーレム主人公を理不尽に扱っておけば、急な話の方向転換も許されるってか? いつか絶対その法則を打ち破って、正論で彼女たちを論破してやるからな……。
だが胸囲にコンプレックスのある海未は俺を殴っただけで気が収まる訳がなく、さっきから不穏に置いてあった大きなカバンを担いで花丸の前に仁王立ちした。
「国木田さん!!」
「は、はいっ!!」
「これから私の考えたダイエットプランを実行してもらいます! このプランを達成した暁には、肉付きの身体もスレンダーとなり、更に無駄に脂肪が付いた胸もスリムになることでしょう」
「よ、よろしくお願いします!!」
「だから、ちょっと趣旨変わってきてるよな……?」
巨乳を憎む復習者のような風貌で黒と紫のオーラを纏っている海未は、もはやμ'sの女神としての面影は一切ない。俺が呼び寄せておいて言うのもアレだけど、これはパンドラボックスの蓋を開けちまった気がするぞ……。
とりあえず、次までに花丸に遺書を書かせておくか。
To Be Continued……
こうして見ると海未がネタキャラにしか見えないのですが、もはや公式でも変顔で弄ってますし、この小説でもギャグキャラ路線で突っ張ります(もう今更かもしれませんが……)。
次回は地獄のダイエット編!
新たに☆10評価をくださった
虎雄さん、べいびぃーーさん、紫外線放射装置さん
ありがとうございました!
☆10評価をくださると非常にモチベが上がるので、まだ評価してくださっていない方は是非よろしくお願いします!