ラブライブ!~μ's&Aqoursとの新たなる日常~   作:薮椿
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 今回からはμ'sとAqoursが全員集合する合同合宿編がスタートします!
 これまでとは違って1話にたくさんの女の子が登場するのでかなり賑やかになるかも……?


合同合宿はハーレム・ハネムーン!?

 

 遂に、μ'sとAqoursのみんなが待ちに待った合同合宿の初日を迎えた。ここ最近の練習ではどちらのグループも嘗てないほどのやる気を見せており、如何に今回の合宿を楽しみにしているかが伺えた。中には嬉しそうに水着を選んでいた奴もいるから遊ぶ気満々なのはもうお察しだが、今回の目的はもちろん練習。μ'sとAqoursはスクフェスでコラボライブをすることになっているから、その調整も兼ねた合同合宿なのだ。まあこれだけの大人数が集まると、自然とテンションが上がって浮かれちまうのは分からなくもないけどな。

 

 そんなことより俺が一番驚いているのは、秋葉までこの合宿に参加していることだ。アイツが参加するなんて微塵の噂すらも聞いてなかったし、それにμ'sもAqoursも誰もそのことを知らなかったのがまた不気味なところ。聞けば誰も秋葉には合宿のことを話していないらしいし、全くどこから聞いて湧いて出たのやら……。だが秋葉が来て助かったことが早速あり、元々新幹線で合宿先へ行く予定だったので交通費だけでそこそこ費用が掛かっていた。しかしアイツが俺たち全員を乗せられる大型車を用意して運転をしてくれることになったので、新幹線の費用分が丸々浮いたのだ。あんな姉でもたまには役に立つな、たまにはね。

 

 ちなみに秋葉と俺が最後に会ったのはアイツの研究室。つまりアイツに見事に言い包められ、感情的になった俺が思わず研究室を飛び出したっきりの再会って訳だ。そのため秋葉と顔を合わせるのは少々気が引けるのだが、今日の俺はあの時の俺ではない。アポなしでいきなり現れて何を企んでいるのかは知らないが、今度はお前のペースに巻き込まれない自信しかないぞ。

 

 そんな感じで悪魔の姉の登場に一同が驚きながらも、楽しい楽しい合同合宿の幕が上がった。

 現在は秋葉の運転する車に揺られながら、目的地に向かっている最中である。しかしそれも当初の出発時間よりも1時間以上遅れてのスタートとなった。実は車に乗り込む前に誰が誰の隣に座るか(主に俺の隣に誰が座るか)で大盛り上がりとなり、しかも誰もオレの隣を譲ろうとしない、つまり話が永遠に平行線で席順は全く決まらなかったのだ。結局抽選アプリで席順を決め、予定よりも大きく遅刻しての出発するという、なんともまあ波乱な幕開けで合宿が始まった。席順ごときでいちいち騒いでたら、この合宿中どれだけまともに練習をする時間が取れるか分かったもんじゃねぇな……。

 

 

「あら? もうお疲れ?」

「ただでさえμ'sの12人をまとめ上げるのも骨が折れるのに、Aqoursの連中も合わさったら骨が折れるどころか粉々になるぞ」

 

 

 抽選で俺の隣の席になった絵里が、まだ合宿場所に着いていないのも関わらず俺に労いの言葉をかけてくる。そう、何がともあれ早速労いの言葉を言われなければならないほどに席順騒動を収めるのが大変だったんだ。μ'sの12人だけでも騒がしいのに、Aqoursの9人もプラスされたらもはや飛行機の離陸音並みの騒音が周囲に放たれる。その中に果敢にも飛び込んで行き、場を落ち着かせた俺の雄姿を見せてやりたかったよ。まあ俺の隣に誰が座るかで小一時間争っていたから、火種は俺にあると言えば間違いではないのだが……どうしようもなくね??

 

 

「それにしても、Aqoursのみんなまであなたに興味津々で正直驚いてるわ。まだ出会って2ヵ月くらいなのに、もうここまで手を回しているなんてね」

「すまねぇな、俺が魅力的すぎて。俺の周りに女の子が多くても嫉妬すんなよ」

「いつにも増して自己顕示欲が高いわね……。そんな姿を見ているとたまにだけど、あなたのことを好きなった理由を見失いそうになるわ……」

「それじゃあ更に俺のことが好きになるように、身体と心に叩き込んでやるだけだよ」

「真顔でそんなことを言うなんて本当に疲れてるのね……。言ってることは強気なのに、声に全然覇気がないから。旅館に着くまでまだまだ時間もあるし、少し寝ておく?」

「心配どうも。でも車の中が騒がしくて寝られる気がしねぇ……」

「確かに。私たちが一番静かかも……」

 

 

 とっておきのキザセリフも絵里に難なくスルーされ、俺の言葉にキレがなかったことが如実になる。でも言葉に覇気が籠らないくらいにはそこそこ疲れてるってことだ。絵里の勧め通りに仮眠を取りたいのは山々だが、車内はライブ会場を彷彿とさせるほど騒がしい。グループ同士で初対面のメンバーもいるため、同じスクールアイドルや俺という共通点がある以上は話に花が咲かない訳がない。そのために四方八方あらゆる席から話し声が聞こえ、大型車と言っても20人以上が乗り込んでいる車内では人口密度も高いため割と騒音になる。そのためおちおち休むことすらもできないのだ。まあみんなが楽しそうならそれはそれでいいんだけどさ、開幕時点でこの疲労感だと初日でグロッキーになってしまうのでは……?

 

 

「そういや、俺の家に送られてきたスクフェスの招待状について、何か分かったか?」

「あぁ、そのことね。残念ながら手掛かりはゼロ。そもそも私の会社からあなたの家に招待状の送信記録が残ってないから、不正な招待状の可能性があるわ」

「でもμ'sへの招待状ってちゃんとスクフェス公式の印が押してあったし、他の招待状と見比べても偽物だと断定する方が難しかったんだろ?」

「そうなのよね。本当に一体誰が送ったのかしら……」

 

 

 何気にしれっとスクフェスへ参加をしているμ'sだが、本来なら招待されていないのだ。μ'sは4年前に解散しており、こうして再びグループを結成したのもスクフェスの招待状が届いたからだ。しかもスクールアイドル関連会社で働いている絵里の調べでは、その招待状はスクフェス公式から送られたものではないらしい。だったら誰が何の目的で、更にはμ'sのメンバーでもない俺の家に送られてきたのかが永遠の謎だ。秋葉や虹ヶ咲の謎もまだ残されてるけど、そっちの謎の方が明るみに出ているだけまだマシ。招待状の方はこれまで事の全貌どころか、何一つ事実が見えてこないからある意味で不気味だ。虹ヶ咲と何か関連があるのか、それとも全く別の問題が闇に潜んでいるのか……。

 

 ただでさえ秋葉の行動や虹ヶ咲の子たちとの過去が掴めないのに、これ以上問題を増やさないで欲しいよ。何の柵もなく女の子たちと日常を過ごせるのはいつになるのやら……。

 

 

「雲を掴むようなことをさせて悪いけど、もうちょっとだけ調べてくれないか? 別に緊急じゃないから、仕事の手が空いた時でいいよ」

「そうね、私も気になるし。それに希も調べてくれているから、スクフェスまでには成果を出してみせるわ」

「おっ、成果主義なんて流石エリートは違うな。聞いてるぞ、『絵里ちは超有能だから他の部署への支援依頼がたくさん来てる』って」

「それ言いふらしてるの希でしょ? 全く、いつまで経っても人の噂話とか好きなんだから……」

「いいんじゃねぇの、悪い噂じゃないんだし。それに自分の彼女が活躍してるって聞いて俺は嬉しいよ」

「もうっ、いつも急に褒めるんだから……」

 

 

 絵里は顔を少し赤くして、プイッとそっぽを向いた。クールそうに見えて割と恥ずかしがり屋なのが絵里の可愛いところだ。時にはSっ気を見せて他人をからかうこともあれば、こうして純粋に褒められたり弄られまくったりして恥ずかしがったりもする。本当にいいキャラしてるよなコイツ。そんな彼女を自分のモノにしたんだから、そりゃ俺も浮ついちまうよ。

 

 

「あっ、零君と絵里ちが車内でイチャついてる~!!」

「な゛っ、希!?」

 

 

 希は突然後ろの席からこちらに頭を乗り出して、わざとらしく大声であらぬことを広めやがった。さっきまで騒音のようにうるさかった車内は一変、俺たちより前にいる子たちも後ろにいる子たちも、みんな黙ったままこちらに目線を向けた。特に空気が張り詰めているとかそんな様子ではないが、みんなはただ単に俺と絵里が何をしているのか気になっているだけだろう。だがそんなに一斉に見つめられたら硬直するしかねぇっつうの。絵里は平静を保っているように見えるが、希の悪ふざけにオドオドしているのが表情で丸わかりだ。希とは長い付き合いで彼女の悪行には慣れているはずなのに、流石にAqoursもいるこの状況だといつもの平常心が保てないらしい。希は希で口角を上げてニヤついてやがるし、どうしてくれんだよこの静寂……。

 

 

「Oh! 先生ってば、車内でやるなら2人きりの時にenjoyして欲しいわ!」

「おい鞠莉、やるってなんだやるって……?」

「もう~分かってるくせに♪」

「違うよ鞠莉ちゃん! 零くんはそんなことしないよ!」

「ことりさん……?」

 

 

 おおっ、珍しくことりが卑猥な話にツッコミを入れている。こんなことを言うとことりに申し訳ないけど、あまりの珍百景に彼女が本当に"南ことり"なのかを疑っちまうな……。

 

 ことりは隣に座っている鞠莉を諭しながら、澄み切った顔で口を開く。

 

 

「零くんはね、あまり背徳的なプレイは好きじゃないんだよ。2人きりでやるなら車内よりも自室。しかも自分のベッド上がベストポジションなんだ」

「へ、へぇ……先生って意外とNormalだったのね」

「うるせぇな。意外とじゃなくて最初からノーマルだっつうの」

 

 

 だがこれには誰からの賛同や同調が得られず、常に俺の味方で神崎零マンセーの楓や亜里沙ですら微妙な顔をしていた。

 そして俺と絵里の席から通路を挟んで隣の席に座っている千歌、その前後に座っている梨子と曜が不審そうな目線を俺に突き刺してくる。そうだ、そういや教育実習の初日に、バス内で千歌に痴漢紛いなことをしてしまった事実をこいつらは知ってるんだった。いつかその事実を盾に俺を奴隷の如く言いなりにしてくると思っていたのだが、今がまさにその時なのかもしれない。千歌も梨子も曜も『は? 何言ってんのコイツ』と言わんばかりの軽蔑に近い空気を醸し出していた。

 

 俺は思わず彼女たちの方を向き、ヤンキー並みの眼を飛ばしてしまう。教え子になんて目線をするんだと思うかもしれないが疲れてるんだ、許してくれ。

 

 

「…………なんだよ?」

「べっつにぃ~。先生がノーマルだって言うから、ふ~んって思っただけです」

「先生ほどの偏屈趣向の持ち主が、自らの口で普通と言い張るなんて……」

「教育実習生とは思えない行動ばかりだったからねぇ……」

「お前らが言うなよ……」

 

 

 バスの中で脱いだり、薄い本趣味をバラされたくないから身体を触らせてきたり、スク水姿で迫ってきたりと、コイツらも人のことを言えないほど変態行動を起こしている。だからこの3人にだけには俺の悪行をネタに脅されたくはないってのが本音だ。もう喧嘩両成敗ってことでお互いに手を打っていいんじゃないかな。

 

 

「あぁもう解散解散! 全員自分の席に戻れ!!」

「そんな誤魔化さんでも……」

「誰のせいだと思ってんだ。俺はもう寝るからな!」

 

 

 このまま下手に注目を浴び続け変な目で見られるのは精神的に疲れるため、余計なことを考えるくらいなら寝た方がマシだ。さっきは車内が騒がしかったためとてもじゃないが寝られる状況じゃなかったが、幸か不幸か場の空気が一旦リセットされたから幾分かリラックスできる。普段の日常とは違って周りの女の子の数が半端ではなく、それこそ全員に構っていたら先にこっちが参ってしまう。現に車に乗り込む前と乗った後のどちらでも俺を中心として騒ぎが起きているため、合宿の幕引きまでに元気でいられる自信がないんだけど……。

 

 

 それからは車内の空気も落ち着き、もちろんあちこちから喋り声は聞こえるものの耳障りな音量ではなくなっていた。そして心身共にようやく休むことができたので、疲れが溜まっていたのも相まって割とすぐに眠気が襲ってくる。絵里に一言断ってから寝ようと思っていたのだが、眠気はあっという間に俺を支配してそんなことすら考えられなくなる。

 

 そして睡魔に抵抗できなくなった俺は、座っている体勢のまま上半身が絵里の方へと倒れだした。電車内でたまにある、横に座っている人が眠ってしまい、その頭が自分の身体に倒れてくる構図。今がまさにそんな状況だ。

 

 

「ちょっ、ちょっと零……」

「…………」

「もう寝ちゃったの? 私は別にこの体勢でもいいんだけど、こんなところを誰かに見られたらまた注目されるわよ……? って、言っても寝ちゃってるか」

「ん……」

「カッコいい人って、寝顔だけは可愛かったりするのよね。そのギャップのせいか、ずっと顔を見ていても飽きないっていうか――――って、えっ!?」

 

 

 俺の頭が絵里の肩からずり落ち、そのまま彼女の太ももにダイブする形で倒れ込む。しかしあまりの弾力と柔らかさからか、ずり落ちた衝撃で俺が目覚めることはなかった。さっきまで座りながら寝ていたのに今は身体が横になっているという意識はあったものの、絵里の膝枕が快適すぎてこちらから体勢を整え直そうとは思わなかったんだ。そもそも眠気に思考回路を占領されている俺は、そんなことを考える余裕すらない。ただただこの柔軟な枕で快適な睡眠を取ろうとしているだけだ。

 

 

「も、もうっ! いきなり倒れてきたらビックリするじゃない……」

「んっ……」

「全く……。でも、たまにはこういうのもいいかもね」

 

 

 眠気に襲われながらも、頭に温もりが伝わってきた。恐らく絵里が俺の頭をまるで赤ちゃんを寝かしつけるかの如く撫でているのだろう。重い瞼を僅かに開けてみると、目の前に母性しか感じられない絵里の微笑みが映る。その表情を見た俺は無意識に安心してしまい、そのまま瞼を閉じた。

 

 よくよく考えてみれば希とにこ、そして絵里は年上だったと久々に思い出す。5年前から敬称なしのタメ口で喋っているせいで、彼女たちが自分よりもお姉さんという事実をすっかり忘れてしまっていた。だからだろうか、こうして年上の女性に甘やかされると安心してしまうのは。こう言ってしまうと柄じゃないだろと文句を放たれるかもしれないが、絵里に頭を撫でられると甘えたくなってしまう。こうして心地よく寝られるのは膝枕が気持ちいからってのもあるけど、彼女の包容力こそが一番の要因だろう。

 

 

「こうして見ると弟ができたみたい。零が私の弟かぁ……いいかも♪」

「何がいいって?」

「そりゃ零が私の弟になって甘えてくれることが――――え゛っ? り、凛……!?」

「絵里ちゃん、零くんと随分と楽しそうなことをしてるにゃ……」

「ち、ちがっ! これは……!!」

 

 

 いつの間にか俺たちの席にやって来ていた凛に、また懲りずにイチャついていた光景を見られてしまった絵里。イチャついていると言うよりも俺が一方的に眠気に負けて倒れてしまっただけだが、恥ずかしい現場を見られてしまった以上は絵里にとってどちらにせよ同じ。凛の言葉に反応した女の子たちの目線が、またしても俺たちに集まった。さっきまで世間話に花を咲かせていた奴らも場が静まり返るほど俺たちに集中しているため、どれだけ俺に対して敏感なんだよって話だ。それだけ隣の席になりたかったとか……?

 

 

「絵里ちゃんズルい! 凛も零くんに膝枕してあげたいのに!」

「そんなことを言われても……。零が勝手に倒れてきただけで、私の意志じゃないのよ……」

「でも絵里さん、さっきから顔がニヤケっぱなしだったずら」

「ルビィも見てました。絵里さんとっても幸せそうで……」

「そ、そんなことないわ!? いきなり膝に頭が落ちてきたから驚いていただけで……って、どうして見てるのよ!?」

「零が不届きなことをしないよう、見張っているだけですから」

「海未……? 怒ってる?」

「いえ、怒ってませんけど」

「海未ちゃんも零君に膝枕してあげたいんだよねぇ~♪」

「穂乃果! 余計なことは言わなくていいです!!」

 

 

 また車内がうるさくなりやがったなオイ。あちこちから絵里を弄り倒すような声が聞こえてくるが、あの花丸やルビィが先輩に突っかかるとはなぁ……。それだけ嫉妬しているのか、それとも場の賑やかな雰囲気に便乗しているだけなのか。どちらにせよ俺としては安眠を邪魔しないで欲しいもんだ。

 

 

「ダイヤはさっきから羨ましそうな顔で絢瀬さんを見てたけどね」

「果南さん!? あらぬ事実は誤解を招くだけですわ!?」

「だったら真姫ちゃんや善子ちゃんも、ずっと小声で『零の隣が良かった』とか『先生はヨハネの眷属なのに』とか呟いてたよ」

「花陽!? それ本当!?」

「ヨハネの心を読み取れる人間がこの世にいたなんて……」

「あっ、やっぱりそうだったんだ。もしかしたらって思ってたんだけど、2人共零君のこと大好きなんだね♪」

「花陽ぉ~~!! あなたカマかけたのね!!」

「人間ごときがヨハネをからかおうなんて1憶年早いのよ!!」

「あはは、ゴメンゴメン」

 

 

 μ'sとAqours切ってのツンデレたちは、いつも通りそのツンデレ具合が絶好調のようで。しかも世界中で屈指の温厚と言われている果南と花陽にからかわれるとは、真姫とダイヤ、善子がどれだけ分かりやすく俺に気を取られていたのかが分かる。たかが隣の席になれなかっただけでそこまで気に病むことかと思わなくはないが、彼女たちの気持ちはそんなに軽いものではないのだろう。ここまで求められると嬉しくなってくる反面、やはりこの合宿中に求められすぎてグロッキーになってしまう可能性があるのが怖い。そういった意味ではバスの中の席で絵里と隣同士になったのは、ある意味で安全で安心だったのかもしれない。

 

 

「にこも零の隣の席になりたかったけど、あの騒ぎの中に飛び込むのは些か勇気がいるわね……」

「じっとしておいた方がいいと思いますよ。零君、なんだか寝苦しそうですし」

「雪穂は行かないの?」

「私は別にいいですよ。それに合宿は3日もあるんですから、零君と隣の席になるならないことくらいで躍起になる必要はないですね」

「ホントにドライというかクールというか、アンタっていつも達観してるわよね」

「皆さんが子供なだけですよ」

「容赦なさすぎ!」

 

 

 いくらにこでもμ'sとAqoursが同時に騒ぎ出しているこの状況を見ると自ら身を引きたくなるようだ。

 そして雪穂はいつもと変わらず、どっしりと構えて騒ぎに乗じたりはしない。その冷静沈着さを崩さない毅然とした態度こそ高坂雪穂であり、恐らくこの合宿で数少ない常識人として活躍してくれることだろう。むしろ常識人を増やして俺を楽にさせてくれないと、もう1人でバカンスに出かけちゃうからな?

 

 

「私も零くんに膝枕してあげたいなぁ~。楓はいいよね、いつでもそのチャンスがあって」

「亜里沙だったらお兄ちゃんに甘えればやらせてもらえると思うよ? ほら、お兄ちゃんって亜里沙だけには砂糖吐き出すくらい甘いし」

「それじゃあ今晩、零くんに部屋に行ってやらせてもらおう!」

「それはμ'sの先輩やAqoursの子たちがまた暴れ出しちゃうかも……。ていうか、これ合宿なんだよね? もうみんな、お兄ちゃんとのハネムーンにしか見えないんだけど……」

 

 

 もはやスクフェスでの合同ライブのことなんて微塵も覚えていないだろうμ'sとAqoursのメンバーたち。こんな調子で大暴れしている連中がまともな練習できるのか……? そもそも俺はこの21人の女の子+秋葉をまとめ上げられる自信がないのだが……。悪いことは言わないからみんなもっと落ち着いてくれ。

 

 すると、運転席から秋葉がこちらを振り返ってにんまりとしていた。

 

 

「いやぁ、相変わらずモッテモテでお熱いことで!」

「うるせぇ……」

 

 

 疲労と眠気で何も考えたくなかった俺はありきたりな暴言を吐き、今度こそ本当に夢の世界へと旅立った。

 

 

 本当に無事にこの合宿を切り抜けられるのだろうか……?

 合宿の幕は、まだ上がったばかりだ。

 




 全員集合が目的のはずだったのに、いつの間にか絵里メインの回になっていたような気がしなくもない……() 
もちろん全員を均等に出すのは難しいので、全員集合がメインの合宿編であってもスポットを当てるキャラは絞っていきたいと思います。ていうか、そうでもしないと登場キャラが多すぎて執筆する私が大変になるので(笑)

 ちなみに今回はμ's12人+Aqours9人+秋葉さんの出番をどこかで1回以上作ってみました。1回も喋っていない子はいない……ですよね??

 そんな感じで次回以降からしばらくは合同合宿編となります。そこまで話数を肥大化させるつもりはないのですが、せっかくの全員集合がメインなのでこれまでできなかったネタをガンガン放出していきますよ!


新たに☆10評価をくださった

櫻屋さん

ありがとうございます!

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小説執筆のやる気と糧になります!


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